プロのトーナメントのピン設定でやったわけでも、
目をつぶって打ったわけでもありません。
ちょっとグリーンが速かったとはいえ、
あのグリーンバレーCCで普通にやってのことです。
ただグリップが違っています。
以前書いたように、
パッティングを根本から見直すことにしたのです。
ドライバーはほぼ真っすぐ飛ぶようになりましたし、
アイアンショットの左右へのぶれも少なくなりました。
苦手だったアプローチも練習の工夫でよくなってきました。
それに比べて、スコアメイクの要であるパッティングがばらばらなのです。
以前シンガポールで買ったスタン・アトリーの
「The Art of Putting」を何度も読み直し、
彼の言う理屈が合点がいくので一から、つまりグリップから変えて、
基本からの出直しです。
2-3度出た練習場ではなんとか打てたのですが、
コースではそうはいきません。
本にも書いてあるように、
最初は、ともかくパッティングがオーバーしてしまいます。
初心者と同じで何回も往復。
おまけに、近いパットもホールの脇を抜けていく。
パーオンしても、4パット、5パットです。
次第に自分でもいやになります。
ついに途中で2ホールばかり元のグリップに戻して
やらしてもらいましたが、それでは苦労のかいがない。
再び新しいグリップに戻しました。
基本から始めるのに、数日でマスターできるわけがありません。
2日間回りましたが、1日目は、ともかくグリップが正しいのか
そんなことばかり気にしていて、ろくに方向だの、距離感だのに気が回りませんでした。
それ以前に、本に書いてあるようにリラックスして両腕をわきにつけて構えることすら無頓着でした。
2日目は、少し慣れてきて、ややふつうのパットに近づき、
最後は1.5メートルのパーパットも決められました。
ようやく違和感なく打つことに近づけたのは、
ひとつのシャフト・アングルの変更、工夫からです。
これはヒミツです。
このアトリーのパッテング術には2つの特徴があります。
一つは手のひらの生命線で握る「ライフライン」。
もうひとつは弧を描いて打つ「アーク」。
ウエイト・バランスのパターが増えて、アーク派よりも、
デーブ・ペルツの提唱する「まっすぐ引いて、まっすぐ打つ」派が
優勢なのでしょうが、ともに一長一短ありますね。
グリップについては、日本では「順手とクロスハンドとクロウ・グリップがあります」
くらいでライフラインに言及しているものは少ない。
「フルショットのクラブを握るのと同じように」などと
いい加減な指導がまかりとおっている。
このアトリーは、自ら米国ツアーで勝ってもいますし、
ジェイ・ハース、ダレン・クラーク、クレッグ・スタドラー、
また丸山茂樹のパッテイングも指導しています。
「ライフライン・グリップ+アーク・スイング」は、
欧州のライダーカップチームのメンバーにも採用されているようです。
ただ、このライフライン・グリップは手のひらべったりで
握るわけではない。手のひらとグリップとの間に光が見えるくらいの空間が必要だ。
なぜなら、指先の感覚を十分使うためだ。
また、ストレート・ライン流からアーク・ラインに
変えるには違和感があるから、ひと工夫必要だ。
理屈はさておき、今までの握りと構えを20年ぶりに変えてみる。
「どうせ元に戻るんじゃない」
「やはり長年やってきた慣れたやり方がいいんじゃない」
「たかが遊びのゴルフの球ころがし。
そうむきにならなくてもいいんじゃない」
といろいろ言われそうだが、
理論にあったやり方を追求してみよう。
プロのようにドライバーを300ヤード飛ばすことは
無理でも、パッティングなら努力で近づけるはずだ。
それにしても、プロはパッティングが上手だなあ。
面白みのなかったパッテイングの練習にも、工夫が必要だなあ。