「わが国は若い国なので(将来の成長性が高い)」といった各国の人の
発言に多く出会う。フィリピン、カンボジア、ラオス、インドといった国々だ。
老成国ニッポンには、うらやましい話だが、
実際どのくらいなのか、世界の人口ピラミッドの推移で追ってみた。
実際、日本の戦後の歴史がそうだったように、
人口ピラミッドの変化(若い層が多い正三角形から、年配者の多い逆三角形へ)は、
株式市場のパフォーマンスとよく比例している。
また、世界の公的年金は、ほとんどが賦課方式で、働く層の収入で退職者の
年金を担う仕組みになっているので、将来の人口層の変化は、その国の
年金の耐性度に大きく影響してくる。
現在、そして10年後、20年後の主要国の人口層の変化予測を見て、
あらためて驚いた。
まず、日本の突出した老成国振りである。
日本はすでに人口が減り始めたが、人口鎖国に近いので、
ほとんど補充がない。20年後の人口は、総務省統計局によると、
今より1,200万人減と、スエーデンの現在の全人口を上回る減少見通しだ。
人口の中位年齢は、今でもイタリアやスエーデンを上回り、45.1歳と
立派なおじさん・おばさんの国だが、20年後にはこのままでは、なんと53.0歳と、
主要国中2位のイタリア(20年後に50.1歳)をさらに引き離し、世界トップの老成国となる。
子育てのしにくい、余裕のない国になってしまった結果でもある。
心配なのは、公的年金だ。今でも、65歳以上は人口の4人に一人近く(23%)だが、
これが20年後には32%と、3人に一人が高齢者となる。
一方、これを支える15歳から64歳までの人口層は、現在の8,127万人から
20年後には6,740万人と1,400万人近くも減る見込みだ。
一方、アジアの中で、もっとも若い国はどこだろう。
韓国は日本に次ぎ老成化が進む(20年後の中位年齢は47.6歳に)。
一人っ子政策のせいで、中国の20年後の中位年齢は41.1歳と40歳を超える。
タイも現在の中位年齢33.2歳が20年後には38.8歳となり、
もはや若い国ではなくなる。タイでも一人っ子が増えてきている。
米国統計局の10年後の65歳以上の人口比率で見ると、
若い国の筆頭は、ラオス(4.3%)、カンボジア(4.7%)、フィリピン(5.5%)、
ビルマ(6.4%)、そしてインド(6.9%)となる(15歳未満の人口比率は、
ほぼこれと逆相関で、これらの国では、25~30%である。日本は11.1%)。
ラオス、カンボジアは、内戦で過去に多くの人口が失われたが、取り戻してきている。
フィリピンはカトリックの国。20年後の人口は、日本を上回ろう。
ビルマ、インドも若い国だ。インドは14年後から中国を上回り、
20年後には14億8,500万人と世界一の人口となる。
これらのアジアの国々の10年後の65歳以上の人口比4~7%を見ると、
現在の日本の23%、10年後の28%が、別の星の国の出来事のように見えてくる。