「サイアム・セメント」グループ(SCG)である。
絶対君主制が廃止される前の、1913年、ラーマ6世の治世に
創立されたというから歴史は古い。
また、王室が株式の30%を今でも所有している、王室系企業でもある。
セメントだけを作っているかというと、そうではなく、その事業範囲は広い。
化学、製紙、セメントが3本柱である。
昨年の決算が出たが、売上げは前年比26%増の3,013億バーツ。
純利益は、同じく54%増の374億バーツであった。
その内訳を見ると、
売上げの半分近くを占める「SCGケミカルズ」が、売上げ1,440億バーツ(+43%)。
純利益は226億バーツ(+80%)に膨らんだ。
これは、第4四半期に、持株PTTケミカル株の売却益88億バーツが
あったためである。
2番目に大きい製紙部門は、517億バーツの売上げ(+21%)で、
純利益は34.9億バーツ(+53%)だった。
3番目のセメント部門は売上げは490億バーツ(+5%)だったが、
純利益は、60億バーツ(マイナス3%)だった。
今年は、売上げ10%増を見込んでいるが、国内は原油高と金利高で需要が
抑えられると見ており、輸出の増加をもくろんでいる。
輸出は売上げの30%を占める。またアセアンの海外子会社からの売上げ寄与は7%ほどある。
財務内容は強固だ。
手元余裕資金は700億バーツにのぼり、
借入金も1,200億バーツあったものが、840億バーツに減ってきた。
これを元手に、海外への投資に積極的になろうとしている。
米国の石油化学会社の買収、アセアンでのダンボール箱メーカーや建設資材会社の
買収、インドネシアのセメント会社への出資、ベトナムでの石油化学合弁会社の設立、
またビルマのダウェイのコンビナート開発にも積極的だ。
老舗サイアム・セメントは、ここからは海外への投資をめざす。