http://www.adb.org/documents/reports/global-food-price-inflation/food-price-inflation.pdf
現在の、石油価格だけでなく、小麦、米、コーン、砂糖、食用油、乳製品、肉類といった食料品の10%を越えるインフレが続けば、アジアの6千4百万人の人が、極端な貧困に追い込まれ、リーマン・ショック後回復してきたアジアの景気も、今年は1.5%ポイント伸び率が落ちるだろうと警告している。
ベトナムが極端で(4月の全体のインフレ率17.5%)、コメの輸出国にもかかわらず、小売り米価は、昨年6月以降、37%も上がっている。中国ですら、米価は13%アップの状況だ。
小麦価格の高騰も大きい。キルギスタンでは、昨年6月以降67%上昇。バングラデッシュでは50%上がっている。
いずれも、昨年後半以降の、天候異変、自然災害が主因だと位置づけている。アジアの穀倉地帯だけでなく、北南米、欧州と世界的規模で、洪水、台風、旱魃が起こっている。
2007~2008年の食糧危機の再来と見ている(このときも、食堂の価格は上がった・・)。
各国は、食品に対する減税、価格統制、補助金の導入で凌ごうとしているが、それだけでは十分でないだろう。各国は、自己中心的な食料品の輸出自粛をやめなくてはならないと、ADBは警告している。問題を悪化させるだけだ。また反当り収量の改善を訴えている。
確かにADBの警告はその通りなのだろうが、はたして生産阻害要因だけで、これだけ食料品の市場価格が上がるものだろうか。
原油価格を見たらいい。たしかにリビヤや中東の騒乱による供給阻害要因はあるが、その前から原油価格は上昇トレンドにはいっていた。
実受給だけでなく、思惑、スペキュレーションの入る先物市場。そこにアメリカを中心とする超金融緩和でドル資金が出回れば、少しでも受給タイトな見通しがあれば、その商品に向かって投機資金は流れ込む。
現在の市場原理主義と投機資金の拡大が、基本的生活物資の食料品の値を上げ、6千4百万人のアジア人を苦しめる結果になっているとはいえないだろうか。