肥大化したインドのタタ・グループの今後の道
インドの財閥といえば、まず浮かんでくるのが
「タタ財閥」である。

明治維新の時、1868年にムンバイで始めた織物業を振り出しに
拡大したタタ・グループは、現在引退間近の
ラタン・タタ現会長(73歳)のもとで一段と多角化し、
今では、グループ98社の全売上げ680億ドル(5.6兆円)
という大コングロマリットになっている。

傘下には、タタ自動車、タタ鉄鋼、ソフトウエア・アウトソーシングの
TCS(タタ・コンサルティング・サービス)、さらにタタ電力やタタ紅茶など、
主要上場会社だけでも10社を抱える。
タイにもタタ自動車(商用車)の生産工場がある。

インドは、人が多く、資本が少ない国だったので、
知的集約産業のソフトウエア産業が大きくなってから、その後で
資本集約型の装置産業が発展するという珍しい形を取った国だが、
タタ財閥は、早くから鉄鋼、自動車という装置産業の拡大を目指した。

多角化の多くが買収によってなされてきた。
市場価格が高かった2007年にタタ鉄鋼は、英蘭のコーラス鉄鋼を130億ドルで買収し、
鉄鋼生産世界5位の規模となり、同じく2008年には、タタ自動車は23億ドルで、
当時フォード・モーター傘下にあった英国の高級車ジャグアーとランドローバーを
買収した。

こういった巨額の借り入れによる買収が尾を引き、
タタ・グループは現在、140億ドルの債務超過となっている(未検証)。

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また、タタ自動車は、2009年4月に、10万ルピー(20万円強)車と
話題になった「ナノ」を発売した。インドでトップのスズキの20万ルピー車
(800cc)の半額、オートバイからの買い替えを狙った画期的な製品だったが、
その後623ccのエンジンの発火事故などが重なり、年間100万台の売上目標も、
発売以来2年ほどの実績では、11万台にとどまっている。

タタ自動車の年間売り上げ台数は108万台(2011年3月期)。
商用車でスタートしたが、
うち乗用車は57万台と、ほぼ半分。うちフィアット車が33万台、
ランドローバーが19万台、ジャグアーが5.3万台となっている。

タタ・グループの売上げは2010年3月度674億ドルだったが、
税引き利益は17億ドルしか出ていない。
多角化で売上げ規模は拡大してきたが、利益がついてきていない。
これでは、債務を完済するに至らない。

2011年3月度に入って業績の改善が見られる。
前年度赤字だったタタ鉄鋼と、同じく5.7億ドルの利益だったタタ自動車は、
ともに、20億ドルずつの税引き利益を上げている(グループ合計は未詳)。

ラタン・タタ会長も引退時期を迎え、後継者を探している。
しかし、白羽の立ったペプシコのインド系アメリカ人
インドラ・ヌーイ社長からは断られ、英国のボダフォーンの
アルン・サリン前CEO(現在投資会社KKRの顧問)も
見込みが薄い。

タタ・グループでは、持株会社「タタ・サンズ」が、多くのグループ企業の
株式を所有する。タタ・サンズの66%は、タタ・ファミリーの作った「タタ慈善基金」が
持っている。
タタ・サンズの最大株主パロンジ・ミストリー氏の義理の息子、ノエル・タタ氏(54歳)が
後継者候補に挙がっているが、ラタン・タタは、いまだ経験不足と見ている。

いずれにせよ、ここまで家族経営を続け肥大化したコングロマリット、
これの収益力を上げる責務の課せられる後継者の仕事は容易でないだろう。
いろいろな会社を見てきた経験から言わせてもらえば、
まずは解体して、分割して管理することなのだろうが・・。
さて、人材が揃うのだろうか?
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by ucci-h | 2011-06-16 12:10 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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