いろいろな所で広がリはじめている。
「コメ抵当システム」によるコメ買い取り価格の
上昇見込みは、精米業者の退蔵を招いているようだが、
さらに末端の消費者の中にも、コメの値上がり、流通不足を
怖れて、スーパーなどで、5キロ袋を3袋、4袋などと
買いだめする動きが見られてきた。
今年はじめの食用油の不足、高騰によりスーパーの
棚から消えたのを思い起こしているようだ。
さらに、最低賃金の大幅引き上げ案や、
学卒初任給15000バーツ案を受けて、
外国からの投資の減退を危惧する声も聞かれだした。
タイ商工会議所は、現在年間4000億バーツにのぼる
FDI(外国からの直接投資)は、1000億バーツほど
減るのではないかと心配している。
2015年のアセアン経済統合を控えて、外国資本は
コストの安い近隣のベトナムやインドネシアを選ぶようになる
のではないかと心配している。
最低賃金一日300バーツが導入されれば、
月260ドルの最低賃金となり、ビルマの50~60ドル、
カンボジアの60~70ドル、ラオスの70ドルを大きく引き離すことに
なるからである。
タイのビジネスの30~40%は、労働集約型と見られる。
労働者は、高い賃金を謳歌するより、職がなくなることが
心配される。
もちろん、事業立地は、労賃水準だけではない。
労務面に限っても、労働の質や、労務規制などが重要だ。
タイは、その点、社会主義国などに比べて、やりやすいわけだが、
それでも、労賃の大幅な格差は、タイ離れを引き起こしかねない。
学卒初任給15000バーツの導入案も、
隠れたところで、不具合を招きかねない。
タイは、ラオスやカンボジア、ベトナムなどに比べれば、
労働者のスキルは良い方である。
しかし、それでも熟練労働者、技術を持った労働者は不足している。
そこで、一般的な大学卒よりも、職業学校を出て技術を身につけた
労働者が欲しいのだ。
学卒に限り初任給を高める案は、これに対し逆に作用をする。
タイでは年に10万人にのぼる職業学校卒業生がいるが、
学卒となると15000バーツが保証されるとなると、学生も考えてしまう
(もちろん電気エンジニア等はこれより上の給料の例も多くあるが)。
仮に、職業学校離れ、大学卒志望増加が起こったら、
ミスマッチの政策ともなる。
さて、どうなるのだろうか?