飛び交っている。
「最低賃金が平均70%実際に引き上げられたら
(今のところ10月から公務員、来年1月から民間への予定)、
その影響はどのくらい広がるだろうか?」・・・
TMB銀行の経済分析チームが、その影響を
調べた。
最低賃金の平均70%引き上げというのは、
かつてないことだ。過去10年、タイの最低賃金は、
年平均5%ずつ引き上げられてきているのだから・・。
タイの現在の最低賃金は、地域によって異なるが、
ならすと平均米ドルで見て、1日7ドルである。
マレーシアの1日8ドル、中国の5.6ドルに比べて、
そう低いわけではない。
これが70%引きあがると、1日11.9ドルとなり、
マレーシアの5割り増し、中国の倍になる。
最低賃金の70%引き上げで、タイ全土の
平均賃金は26%ほどアップするだろう
(非農業部門の平均月次賃金が、昨年末で10534バーツ、
3万円強だから、タイの月次賃金は、13270バーツ、
3万8千円ほどに跳ね上がることになる)。
(バンコク・ポスト紙 2011年8月5日)
産業界に与える影響は、業種によって異なるだろう。
横軸に、賃上げによる利益の減少度、
縦軸に、消費者への価格転嫁可能度を
とって、主要産業をプロッドすれば、
この賃上げに弱い産業と、耐久力のある産業が浮き上がる。
弱いのは、繊維、衣料、機械製造といった労働集約的で
国際競争にさらされている産業だろう。
利益は20%以上落ち込み、価格転嫁が難しい。
比較的耐久力のあるのは、自動車、食品、家畜飼料と
いった業界だろう。ここらは、半分以上、価格転嫁でき、
利益の落ち込みは、13~16%程度ですみそうだ。
しかし、これは、消費者にとっては、いいニュースではない。
食品は、生活必需品だし、家畜飼料も肉の値上げとなるからだ。
生計費のアップは避けられない。
最低賃金の引き上げで、コア・インフレ率(変動の大きな食品・
エネルギー価格を除くインフレ率)は、半年ほどで、
2.3%ほど上がるだろう。2008年7月の3.7%上昇時に次ぐだろう。
今年の年末のコア・インフレ率は3%には達していようから、
来年末のコア・インフレ率は、近年にない5%アップということに
なりそうだ。
中央銀行のガイド水準3%を大きく上回るので、そうなると
来年は、金利もこれに合わせて上昇を続けよう。
食品価格も上昇しよう。最低賃金の引き上げで、食品価格は
平均4%ほどアップしよう。今現在の食品価格のインフレは、
すでに7月で7.2%だから、来年は、これでいくと、11~13%の
食品インフレ率が広がる。2008年9月の食品インフレ率の
ピーク15.7%に迫ることになるだろう。
食品価格のアップは、最低賃金の引き上げで救おうとする
貧困層を、皮肉にも、逆に傷つけることになる。
すべての貧困層が、最低賃金アップのメリットに
ありつけるわけではないが(逆に人減らしが起きそうだ)、
食品価格アップのデメリットには、すべての貧困層が
直面しよう。
タイ貢献党の内閣官房は、最低賃金大幅引き上げの公約を
着々と実施すべく協議に入っているようだ。
おもいっきり直撃です。アメリカ等のバイヤーさんはドル安で苦しんでいると思います。その上に人件費高騰による商品値上げで完全にタイから撤退することでしょう。
タクシン追放劇の時期から、チェンマイを訪れる観光客は確実に目減りしています。
更に赤服の乱からは、目に見えて少なくなりました。
小売で立ち行かなくなった商売は、卸売の減少でトドメを刺される事でしょう。
考えれば赤服のおかげで損失被っている事甚だしいのですが、タイ嫁には口が裂けても言えません。
商売人は、今から手を打たなければホントにヤバいですね。
もしプア・タイ政策によりタイ全土が大不況となっても「一部の情報を持つ人たちが躍進していた。新しい既得権益層が現れた」というシナリオも考えられますね。
それから、不景気や政治問題などといった外部要因だけでなく、ボーサンが衰退した理由の一つに「商品のクオリティー」があります。難易度の高い制作を敬遠する地元労働者のメンタルゆえに、購入意欲のあるお客さんであってもオプションは安易で安価な商品に絞られます。リピーター獲得など夢のまた夢。
一説には「チェンマイで商売できれば何処でもできる」といいます。この土地特有の気質に苦しまされます。