いい言葉である。
しかし、FTAにはいろいろな形があるし、
FTAが結ばれているために、輸出の手間が
厄介になっている面もある。
もちろん全体では、貿易の拡大に貢献してはいるが・・。
タイにおいても同様で、「TDRI」(タイ開発研究所)の
研究者が、改善点を提言している。
規則を緩和し、自由化品目の範囲を広げよと
言っているが、具体的な中身はこうだ。
①原産地証明の手間のかかる規則を緩和せよ。
関税を減免してもらうために、輸出品の原産地証明を
付さなければならない。これの基準には、
付加価値基準やら、加工工程基準、関税番号変更基準など
いろいろあるし、小額のロットの小さいものにも取らなければ
ならないので、メリットに比べて手間がかかり利用されないことが
多いようだ。
これが緩和されると、タイの食品、化学品、繊維、機械類の
輸出がやりやすくなるという。
②自由化の例外品目である「センシティブ・リスト」を速く減らすべし
せっかくFTAを結んでも、FTA活用による輸出入拡大の
メリットがなかなか享受されない。すでに関税ゼロや、加工輸出の
原材料輸入、経済特区での輸入のため、FTAの利用は要らないと
いうのはいい。
しかし、FTAの締結において自国の製品の保護のため
一方的に設けられたセンシティブ・リストに触れて、FTAを
活用できない例も多い。
時間を経て、次第に減らしていくスケジュールではあるはずだが、
中国とアセアンのFTAにおいては、自動車、バイク、テレビ、冷蔵庫、
鉄鋼、衣類など多くの工業品が、なお例外品となっている。
タイにおいては、昨年3.4兆バーツ(1100億ドル)の輸出が
アセアン諸国、中国、豪州、日本、韓国、インド等のFTAパートナー国に
対して成された。昨年のタイの総輸出額6.2兆バーツの過半数である。
FTAのおかげで、1000億バーツの税金支払いが節約できた。
しかし、FTAのメリットを受けた品目は、輸出品目の半分だった。
一方、輸入においては、これらFTAパートナーからは、昨年総輸入額
5.8兆バーツの6割に当たる3.5兆バーツを輸入した。輸入関税の
減免額は600億バーツに上った。輸入品目の40%がFTAのメリットを
享受した。
TDIRは、もう一点、アメリカ主導の「TPP」(環太平洋パートナーシップ)
へのタイの態度が積極的でないが、これでは、参加を目指している
近隣の競争相手、シンガポール、ベトナム、マレーシアに遅れを取る
として、積極的に参加することを求めている。
シンガポールとベトナムは、EUとのFTAを進めているが、
タイは滞っている。そのためEUは、相手先をフィリピンに
変えて来ていると、TDRIは指摘している。
日本でのFTAの活用はどうなっているのかな?
利用率のような数字はないのかな?