自己主張しないところが好きである。
最近は、チェンマイの街にも、中国産の安価だがきれいな
真珠のネックレスが見られるようになった。
世界の真珠の主要生産地はどこか?
志摩半島の英虞湾や愛媛の宇和島ではなく、
かといって、タヒチ島でもない。
今や、世界の真珠の9割は、中国で生産されると言う。
上海・浙江地区が真珠生産の中心地である。
上海旅行で無錫の太湖まで足を伸ばすと、淡水真珠を
売っていた。
中国の真珠の生産量は、ジェトロの調べによると、年間
1400トンに達すると言う。ただし、品質の低いものが多いため、
生産額は、なお60億人民元(9.3億ドルほど、約720億円)に
とどまっている。グラム当たり51円ほどだ。
その中国の養殖真珠だが、かつては小粒で質の悪いものが
多かった。それが今や様変わりしてきているという。
メイドイン・チャイナだからとバカにできなくなった。
ことに浙江省を中心にした淡水真珠の進歩は著しい。
かつて田んぼがあったところで養殖されている。
淡水産の白真珠は、タヒチなどの海水産のものに比べ
値段は極めて安い。
中国産の淡水白真珠の流入で、半インチ以上の、宝石
クラスの真珠の相場は、過去数年で3割下がったといわれる。
中国産の半インチ・サイズの真珠は、卸で1粒4~8ドルほどで
取引される。タヒチ産の同等の真珠は、25~35ドルである。
小売価格は、これの倍以上になるが、中国産は、タヒチ産の
4~5分の一の価格だ。
中国の真珠生産モデルは、他の中国の製造モデルと同じである。
まず安い労働力を武器に、外国製品のイミテーションから入る。
そして、生産が習熟し、労賃が上がってくると、他地域へ広げ、
かつ自動生産プロセスを入れてくる。
中国製品をアメリカ市場に卸している大手の商社「リー&ファン」の
CEOは、「アメリカ人は中国製の安い物が入ってくるのを怖れているが、
今や怖れるべきは、中国製のいい品がはいってくることだ」と言っている。
マンハッタンの輸入業者のホノラ社のCEOは、
2連のベストな真珠の首飾りを取り出して見せたが、2つは
ともに、色合い・色調と光沢・つやが良く、お互い遜色ない。
一方は、タヒチ産の卸価格14000ドルの高級品である。
そして、やや青白いもう一方が中国産のものである。
こちらも輝きと丸みが素晴らしい。
卸価格は、1800ドルと、タヒチ産の物の8分の一だ。
このおかげで、今や真珠は、アメリカの大衆婦人が
買えるものになってきていると、ニューヨーク・タイムズ紙は
伝えている。
中国の真珠生産地は、浙江省の土地と労働者の値段が
上がるにつれ、江西、湖南、安徽、湖北へと広がっている。
今後数年で、中国産の真珠の供給は大きく拡大すると
予想される。
今や、浙江省で貝に膜を埋め込む作業をする労働者の
日給は、15~23ドルになった。過去3年で倍増したと言う。
労賃が製造コストの3分の一を占めるようになったので、
中国の養殖メーカーは、今後自動化をめざすようだ。
さらに技術革新で、染色でしか出なかった色鮮やかな
“エジソン・パール”の量産を進めていると言う。
技術革新はけっこうなことだ。
良い物が安く入手できるようになるなら、中国産だろうが
どこ産だろうが、かまわない。
宝石を見る眼を養いたいものだ。
他の奇石はまだまだ高級品という位置づけだったようで、市場よりも格安で提供することにより、出せば売れるという状況でしたね。そのうち個人輸入がはやりだし、学生などもタイで仕入れてはネットで売るような時代にはいりました。当然値段競争になります。彼らは店舗も従業員も抱えていないので、旅費が出ればいい感覚ですよね。たとえ競争しても値段的に太刀打ちできません。また、奇抜な店舗を構えたチェーン店も増え、量とビジュアルと値段を武器に販路を広げています。そのころには、肝心の「お金持ちたちの気持ちを掴む商品」ではなかったのです。
希少価値を武器に高値で売る時代は過ぎたのです。
もちろんセンスという武器を盛り込むことにより、比較的高値で売る事は可能ですが、売り場所と美的感覚が必須になります。
中国の真珠はこれからでしょうが、将来同じ道をたどるのかもしれません。
本物の真珠はカルシウムだからか、色落ちするので、プラスティックコピーの方がお奨めです。