承認を受けて、タイのガソリン小売価格が27日より引き下げられました。
8月27日(土曜)より、いっせいに、ガソリン(エタノールの混ざっている
ガソホールでない、ふつうのベンゼン油)の価格が、
ハイオク95も、レギュラー91も、そしてディーゼル油も、
製油所段階での課徴税の6ヶ月撤廃により、引き下げられました。
物価高騰の折、生計費を助けるための引き下げですが、
さて、前回の予想に比べてどうだったでしょうか?
「このように変わるか自動車用燃料価格 2011-8-16」
http://uccih.exblog.jp/14358582/
8月27日から、自動車用燃料価格は以下のように変わりました。
ただし当面6ヶ月間です。
いずれも、リッター当りバーツ。カッコ内は前日までの価格。値引き額。
ベンゼン・ハイオクガソリン95 39.54 (47.56) -8.02
ベンゼン・レギュラーガソリン91 34.77 (41.94) -7.17
ディーゼル油 26.99 (29.99) -3.00
ガソホール95 37.04 (39.44) -2.40
ガソホール91 34.54 (35.54) -1.0
E20(ガソホール20%) 33.04 (33.04) -0
過去、高い方から順に、5.6、2.5、3.9、2.5、3.1バーツの油種間
価格差がありましたが、課徴税の撤廃により、価格差が、
2.5、2.3、0.2、1.5、6.1バーツと縮まりました(ディーゼル
だけは、ぐっと安い)。
レギュラー91のガソホールを入れていた人間は、これならベンゼンの
レギュラー91に切り替えよう。価格差が、わずかリッター23サターンに
縮まってしまったのですから。
この措置により、1000万人のモーターサイの利用者
(レギュラーガソリン使用が多い)、700万人のディーゼル油使用者
(ピックアップトラックなど)、100万人のハイオクガソリン利用者
(旧型車利用者など)、計1800万人が恩恵を受けると見られます。
このうち、ディーゼル油は、一日当たり5212万リッターと、他の
ガソリン・ガソホール合わせた消費量の2.7倍使われており、
産業運輸用やバスなど公共交通機関のコストが抑えられることから、
諸物価沈静の効果も期待されています。
この措置により、国のオイル・ファンドは、月61.6億バーツ(年率739億
バーツ)の減収になることから、この措置は、6ヶ月限定(来年2月頃まで)と
言われています。
(チェンマイのバンチャック・ガソホール専門スタンドは、75サタンほど高い)
なお、このオイルファンド向けの課徴税のほかに、自動車向け燃料には、
小売段階で通常の税金として物品税がかかっています。
ベンゼン・ガソリンには、95も91も、リッター7バーツ。ガソホールには同じく
リッター6.3バーツ。ディーゼル油にはほぼゼロの0.5サターン
(0.0005バーツ)の物品税が課税されている。これの変更は今回ありません。
このガソリン価格引下げ措置は、タイ貢献党の時間限定の生計費安定策
だが、副作用も懸念されます。
ひとつは、オイルファンドの資金がなくなることだから(国はいざとなれば
国債発行で購うつもり)、家庭の調理用プロパンガスへの補助金が
なくなる懸念です。これがなくなると、調理用ガス(15kg)の
280バーツが、倍以上の570バーツに跳ね上がろうと、ゴーン前財務相は
けん制しています。
もうひとつは、せっかくここ10年以上築いてきたガソリンから
ガソホールなどの国産エタノール混合燃料への流れが、止まってしまうことです。
バンチャックなどのもっぱらガソホールを中心に販売しているスタンドは、
外資系スタンドへの客離れが心配されますが、まあ、国営会社だから
いいのでしょうか。
すでに1日当り150万リッターのエタノールがガソリンに混合され、
ガソホールやE20として使われていますが、これを290万リッターに倍近くに
増やす計画が進行中です。
現在のエタノール混合油のシェア20%を25%にとりあえず持って行きたい
ところです。
政府は、「6ヶ月間だけ、6ヶ月間だけの措置ですよ」と、逆行性の
政策の弁護に躍起。
なお、補助金で大変安くなっている、自動車用LPGとCNG(圧縮天然ガス)の
価格を自由化するかはなお検討中。
オイルファンドに貯められた資金は、本来は代替エネルギーの開発や
技術改良資金に使われるはずだが、今はもっぱら補助金に使われています。
まあ、政策への批判はいろいろあるけれど、
こういった目に見える政策を、時限付きで導入する
タイの柔軟な経済政策は、また興味深くもあります。
もっぱらE20を使用している私は、恩恵がないなあ・・。