ベトナムでは、いま不動産マーケットの値下がりがきついようだ。
ロイター電によると、今年4月に銀行から5億ドン(180万円ほど)
を借りて、ハノイに新築のコンドミニアムを投資目的で買った
ベトナムの婦人は、5ヵ月後のいま、売却できればラッキーと
いった状態になっているという。
値下がりしてきたベトナムの通貨の桁数は多く、
今や1ドルが21000ドンほど。円もこの1年近くでさらに
15%上がって、100円が27500ドンほどになっている。
ベトナムは、2006~7年に不動産がブームだったが、
いまは値下がりし、なおいまだ底入れの見込みも薄い。
2007年はベトナムの不動産の‘ゴールデン・エイジ’で、
不動産関連の利益は、濡れ手に粟だったようだ。
問題は、不動産ローンを貸し付け、また不動産を担保に
とっている商業銀行だ。
不良資産の10%は不動産がらみと言われるが、
実際はさらに数十億ドルの融資が、不動産を担保にしている。
ベトナムの経済学者は、「住宅市場の崩壊はすでに経験したが、
いまだリーマン(金融危機)がないのが怖い」と皮肉交じりに
言っている。
中央銀行は、不動産を含む“非生産セクター”への銀行の
貸付を、年末までに全貸し出し残の16%以下に抑えるよう
銀行に対し規制している。
中央銀行は、昨年末の焦げ付きローンの比率は2.16%と
公表したが、この7月末には3.04%に4割増えている。
今年の年末には、5%に達するかもしれないと中央銀行総裁は
見ている。
2006~7年からここまで4年間のベトナムの信用増加は、
年35%増というハイペースで、1000億ドルの新規信用が
加わった。1000億ドルといえば、2010年のベトナムの
GDP1036億ドルに匹敵する数字である。
これに比例して、不良債権も増加してきた。
ベトナムの問題は、国有企業だけでなく、金融機関にも
あるようだ。
しかし、ベトナムは日本式の不動産資本主義なので私には不動産価格がこれから大きく値崩れするとは思えません。ただ、書かれているようにサイゴンまたはハノイではオフィス需給が緩くなってきて空室率が高くなっています。