そして、料理や化粧品、日用品に利用されている。
ココナツ・ミルクは、タイの各種カレーやトム・カー・ガイ
(白い鶏肉スープ)や飴に使われており、ココナツ・オイルは、
昔は体によくないと思われていたが、今ではスキンケア製品など
多くの化粧品に使われている。
また、大きな殻は、蚊取り線香や練炭の原料になっている。
タイで年間120万トン取れるココナツのうち、7割が国内で使われるが、
今やその半分は、化粧品向けになっているという。
また、ココナツ・オイルは、ロシア、中国、日本等への
輸出に向けられている。
そのココナツだが、近年は減産となっている。
農業経済局の統計によると、2006年に180万トンあった
タイのココナツの生産は、その後毎年減少し、
2010年は125万トンに、そして、今年は110万トン台と
なりそうだ。
台風や虫害で生産が減少してきたと言われるが、
古木が増えたのか、5年も連続して減っている。
かつて1個数バーツしかしなかったココナツは
商品としての魅力が少なかったのかもしれない。
しかし、その反面、供給の減少と用途の拡大で、
価格は上がってきている。以前の1個数バーツから、
今年始めには、1個27バーツもつけている。
今も16~19バーツほどだが、買占めでもあると、
また25バーツほどには行きそうだと見られている。
(バンコク・ポスト紙10月11日付けより)
ココナツは、バンコクの西、ナコン・パトムあたりが
生産の中心である。肥沃な土地と水の便がココ椰子の
栽培に向いているといわれる。
ココ椰子は5~6年かけて成木になる。
そして30年間くらい多くの実をつける。
7歳から25歳くらいまでは、毎年40~65個の実をつけるが、
60歳にもなると10個つけるかどうかだという。
ココ椰子は80~100年も生きるそうだが。
世界では、インド、フィリピン、インドネシアが、ココナツの
主要生産国だが、放っておくと生産危機に陥る。
フィリピンでは、4軒に一軒の農家がココ椰子に頼っており、
この国の最大の輸出農産品として、昨年は15億ドルを稼ぎ出している。
しかし、国全体の14%に当たる4400万本のココ椰子の木が、
実の生産期を過ぎて、ココナツの採取が減っていきそうだ。
国が計画的植林をしてこなかったつけが回ってきている。
昨年の生産量300万トン近くから、今年は13%減少し、
今後3~5年、輸出量も減りそうだという。
その昔、島崎藤村が伊良子岬に椰子の実が
流れ着いた話を柳田國男から聞いて、抒情詩に
したのが、明治31年だった。
「名も知らぬ遠き島より、流れ寄る椰子の実ひとつ・・・」
その椰子の実はどこから流れてきたのだろう?