訪ね、聞き、記した「三陸海岸大津波」という本を読んだ。
過去、明治29年(1896年)6月、昭和8年(1933年)3月と大津波の
被害を経験した東北の三陸地方だが(その他にも、江戸時代
以降の400年間で、15回も津波に襲われている)、その都度
高い防波堤を築いたりしてきたが、「もう安心だ」は裏切られ、
2011年3月の大津波は、大きな犠牲者をもたらした。
今回の東日本大震災は、死者・行方不明者23700余名をもたらしたが、
明治29年の大津波は26360名、昭和8年のそれは2995名の
死者を出したと言う。
過去の大津波の教訓が十分生かされなかったのは残念だが、
何十年に一度やってくるかもしれない災害に対し、人の心は
十分備えられないかもしれないとも思う。
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バンコクの洪水も、近年では1983年と1995年の2回あった。
その都度、地形を考えない首都の乱開発が洪水の被害を
招くと言われたものだが(今回も同様だ)、今回も水が引けば、
その場しのぎの策で終わってしまうかもしれない。
もっとも、津波の襲来に比べれば、時間をかけてやってきて、
津波よりは水位も低い洪水に対しては、かなり守りができそうだが、
そこは楽天的なタイの国民性かと言ったら、叱られるか。
(1983年の洪水で水浸しになったスクンビット通り。バンコクポスト紙より)
参考までに、83年と95年のバンコク洪水のデータを示しておこう
(10月23日のバンコクポスト紙電子版より)。
水浸しの期間:
1983年 9月から12月までの4ヶ月間
1995年 10~11月の2ヶ月間
今回も、予想される1ヶ月では水が引かないかもしれない。
洪水の被害:
1983年 バンコクの55人を含め死者400人以上 数万所帯移動 倒壊家屋17000戸
1995年 死者400人以上 バンコクで260万人、その他地域で168万人被災 6万所帯移動
今回も死者数は全国で300人以上となってきている。
(同じく1995年の洪水のもよう)
物的損害:
1983年 バンコクの農地、果樹園4億バーツ損害 バンコクの東部地域で20万住宅損害
バンコクの道路4億3200万バーツ損害
1995年 26の主要道路著しく損害
経済的損失:
1983年 66億バーツ
1995年 数百億バーツ
今回は、7つの工業団地(現在まで)の損害が大きい。
1000億バーツを超えるか。
(同じく、今回ドンムアンの東より水が入る)
バンコクも灌漑用の運河だけでなく、洪水排水用の
水路を整備する必要があるのかもしれない。
水がひたひたとバンコクの一部を浸し始めた。