ギリシャとイタリアの首相にテクノクラートが就任したが・・・
かつての西洋文明の発祥の地、ギリシャとイタリアが
国の債務が拡大し、市場からの調達がむずかしくなり、
欧州中央銀行、IMF、EUから支援を仰ぐことになる。

その条件として、もはや自分で責任を果たせなくなった
ギリシャのパパンドレウ首相と、ちっとも変わろうとしない
イタリアのベルルスコーニ首相に代わって、
両国ともテクノクラート、経済専門家が、
EUからトップに送り込まれた形になった。

パパンドレウ前首相は、祖父、父も首相。父アンドレアスの
社会主義的バラマキ政策が今日のギリシャの財政赤字の
元となった。

ベルルスコーニ、資本と女性をこよなく求めるこの75歳の前首相は、
首相がたびたび代わるこの国で、都合9年間首相をやり、
戦争直後のガスペリ首相の7年半を抜き、戦後最長記録をたてた。
ちなみに断トツで長かったのは、ムッソリーニ。22年もの独裁者だった。
戦犯となった東条英機などは、3年弱しか首相を務めなかった。

ギリシャの新首相になったルーカス・パパデモスは、ギリシャの中央銀行総裁、
欧州中央銀行の副総裁を歴任し、ハーバード大学の客員教授を
やっていた金融の専門家である。
イタリアの首相になったマリオ・モンティは、ミラノのボッコーニ大学の総長をやり、
欧州委員会のコミッショナーもやり、独占禁止案件などで活躍した。

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(左がパパデモス・ギリシャ新首相、右がモンティ・イタリア新首相。ウィキペディアより)

EU、欧州中央銀行、IMFからきつい緊縮策を突きつけられ、
国民を説得することができなくなった政治家の両首相に代わり、
テクノクラート、教授が首相になったわけだが、さてうまくいくだろうか。

職業政治家でなければ、皆に嫌われがちな政治はこなせないと
言うのではない。
テクノクラート首相は、支持基盤が薄い。
選挙で選ばれたわけではないし、バックに多数党がついているわけではない。
さっそく、イタリアのベルルスコーニなどは、「自分の国に対する政治的関心を
片隅に置くつもりはない」と息巻いている。

また、学者、テクノクラートの資質と、政治家の資質は違う。
政治家に求められるリーダーシップ、やりくり、人間間の利害調整の能力などは、
テクノクラートの分析、論理の積み上げ、適正解の抽出といった
知的作業とはやや違う。

パパデモスの同僚だったハーバード大学のジェフリー・フランケル教授は、
偉大な大統領だったジョージ・ワシントンもドワイト・アイゼンハワーも
そう知的(インテレクチャル)ではなかったと言っている。

もっとも、今度のテクノクラート首相は、選挙で再選される必要もないし、
EUの後押しで(はざ間に立つかもしれないが)、思い切りメスを
ふるえる立場にはある。
というより、こういった人間にしか任せられない事態に陥ったと
言う方がいいかもしれない。
パパデモスの場合、「3ヶ月の執行期間をもう少し長くしてくれ」、
「何人かの閣僚を自分に選ばせてくれ」という要望は否決されて
しまったが・・・。

先のジェフリー・フランケルによれば、テクノクラートによる
成功例は見られるという。
1993年から1年間イタリアの首相になったイタリア中央銀行総裁だった
カルロ・チャンピは、時の欧州為替メカニズムから脱落してしまった
イタリアのインフレを抑え、再び軌道に乗せることに成功した。

ギリシャとイタリアのふたりのテクノクラート新首相。
外国では業績に対する知名度もあり、期待は高いが、
相手にするのは、それぞれの国民である。

たいへん難しい役柄だが、地球丸の一部に穴が開き
浸水している状態。
その技術を発揮して、欧州を救ってほしいものだ。
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by ucci-h | 2011-12-01 18:32 | 日本・米国・欧州 | Trackback | Comments(4)
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Commented by muga at 2011-12-02 13:31 x
 >というより、こういった人間にしか任せられない事態に陥ったと言う方がいいかもしれない<

いよいよドーンと来ますかね。欧州売りのメインディッシュ、スペイン&イタリア。その後の事を考えての人選なのかもしれません。
Commented by ucci-h at 2011-12-03 18:10
mugaさん イタリアンが売られるとすると、次はフレンチがメイン・ディッシュになりますかね?
Commented by muga at 2011-12-09 15:12 x
ぼろ儲け国は、ぶら下がり国のおかげで貿易黒字なのだから、助けないわけにはいかないでしょう。それには共存共栄の精神がいりますよね。 そんな日本人みたいなことができるのかな? それとも蹴っ飛ばすのかな? わかりませんが
Commented by ucci-h at 2011-12-09 20:57
mugaさん ヨーロッパ合衆国でまとまっていたら、こんな事態にならなかったでしょうにね。中途半端ですね。

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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