成長アジアにあって通貨ルピー安に泣くインド
経済成長の高いアジアで、例外的に通貨価値が
下がっているのはベトナムくらいかと思っていたら、
中国と並ぶ人口大国インドのルピーも下がっている
(お隣のビルマの通貨チャットは上がっているのに・・)。

余談だが、インド人と商売する時は、為替の条件など
向こうの都合のいい形でごり押ししてきて平気なので、
かつて辟易したものだ。

インドの通貨ルピーは、11月22日、対ドルで史上最低値の
1ドル=52.37ルピーに下落した。2009年3月3日の安値
を下回り、史上最低値だという。

近年、経済もほどほどに拡大してきたインドなのに、
なぜドルに対して、今年18%も下落してきたのだろう?

d0159325_20153615.png

(Exchange-rates.orgより)

インドの景気が減速し、投資家のインド投資への熱も冷めている
のだが、基本的に貿易赤字・経常赤字の体質が、
通貨を弱いものにしている。

消費者物価上昇率は2桁に乗せ(9月、10.1%)、
鉱工業生産指数の伸びは低く(9月前年比+1.8%)、
失業率は高く(直近の昨年末のデータで9.8%、もっともインドの
失業者の数は膨大だろうから、よくわからないが・・)、
貿易赤字(国際収支ベース)は2010年も1300億ドルと恒常的、
経常赤字も2010年440億ドルと赤字が続いており、
ほめられた経済パフォーマンスではない。

統計の精度はわからないが、
中国のCPI+5.5%(10月)、鉱工業生産+13.2%(10月)、
失業率4.1%、貿易収支2540億ドルの黒字(2010年)、
経常収支3050億ドルの黒字(2010年)と比べると、
雲泥の差である。

d0159325_20124010.png

インド商工省の数字では、原油・石油製品の輸入が
輸入総額3220億ドル(2010年通関ベース)の
3割にあたる1000億ドルにのぼるのに対して、
輸出品目に稼ぎ手がない。
輸出総額2170億ドルのうち、1、2位の原油・石油製品(17%)と
宝石・宝飾品(14%)は輸入品目の1,2位の品目であり、
中継貿易品が多いことになる(ネットでは石油、宝石とも輸入超)。

輸出品のうち、石油、宝石を除くと、輸送機器157億ドル(7.3%)、
繊維製品116億ドル(5.3%)、機械110億ドル(5.0%)が
上位に来る。
インドの2170億ドルの輸出額と言うのは、
再輸出品を除けば1500億ドルほどになろうが、
人口がインドの5.5%しかいないタイの2010年の輸出額
1950億ドルより、実質では少ないかもしれない。

d0159325_2010815.jpg

もっとも、インドの場合、輸出工業は未発達だが、
ソフトウエアのアウトソーシングなどのサービスが発展している。
ソフトウエアの受託開発など、経常収支上の「サービス収支」が
500億ドル近くの黒字となっている。海外の印僑からの送金等の
経常移転収支の黒字とあわせ、貿易収支の大きな赤字を
経常収支段階で860億ドルほど縮めている。

インドのルピーの下落は、輸出や受託開発にはプラスに
働くだろうが、価格が上昇してきている原油輸入代金をいっそう膨らませ、
国内のインフレを押し上げ、経常収支赤字を拡大させる。
けっして好ましいことにはならないだろう。

さらに、予想以上のルピー安は、インド企業の想定範囲を超え、
ヘッジングでも追いつかないところが多いようだ。
インド中央銀行は、他国と違い、ドルを売り、ルピーを買い上げているが
ルピー安は抑えられない。

さらにインド企業が困っているのは、金利の安さにつられ、
海外で多く起債したことだ。
インド企業の海外起債は今年300億ドルに達したが、
ドルでの元利支払いは、ルピー安でルピーで見ると、
54億ドル分も増えることになる。痛い。

ルピー安の反転は、何をきっかけにやってくるだろうか?
中国と並んでインドにも世界経済を引っ張ってもらわないと
いけないが、しばらくはいまいちだ。
[PR]
by ucci-h | 2011-12-01 20:18 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
by バンディ
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
検索
ブログパーツ
ファン
ブログジャンル
海外生活
時事・ニュース