あまり報道されない北朝鮮の経済の話(上)
北朝鮮のキム・ジョンイル(金正日)労働党主席が、
2011年12月17日に、70歳(報道はなぜか69歳)で亡くなった。
父のキム・イルソン(金日成)は、抗日戦線に立ち、建国をリードしたが、
この建国の父の長男は、何もしないと言うか、“瀬戸際外交”を行ない、
かつ国を窮乏に追い込んでしまった。

死去の報道後の日本のニュースを見ると、
「これから、北朝鮮が不安定になるのが心配だ。
うまく安定してくれるといい」という、マッチポンプ的と言うか、
自己矛盾的な報道で事足らしている。

「悪かった国の指導者が亡くなったのだから、変化のきっかけに
なる方がいいのじゃないの?悪かったまま安定して何がいいの?」
と言えば、屁理屈と言われそうだ。日本は、ないものねだりの“安定”が
お風呂のように好きである。

屁理屈はさておき、北朝鮮については、うわべの政治的、軍事的
議論ばかりが多い。外国からの援助や譲歩を引き出すために、
危なっかしい“瀬戸際外交”をとってきたと言えば、その通りだが、
国の根底にある経済となると、「貧しくて国民は飢えている」だけで
すんでいる。

世の中、表面的で現象的な情報ばかりが、複製され、広まり、
大事な情報はほとんど出てこないが、北朝鮮情報はその典型かも知れない。

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どの程度貧困なのか、また経済政策はどこを向いているのか、
GDPは?、貿易は?、税制度は?となると、情報閉鎖国なので、ほとんど何も
出てこない(北朝鮮は経済活動もまだ伸びていた1974年に税を廃止したと
言われるが、別の名称で財政収入は獲得しているようだ)。

朝鮮労働党も奉じたはずのマルクス経済学を引き合いに出すまでもなく、
国の“下部構造”である経済は、その国の体力を決めることになる。
ブルンバーグのユンキュン・セオ記者が、最近いろいろなところからの情報を元に、
北朝鮮の経済の現状と流れをうまくまとめているので、これに情報を付加して、
ポイントをまとめてみたい。

北朝鮮は、今でこそ経済がひどく落ち込んだ国になったが、
かつて70年代初め頃までは、韓国に負けないぐらいがんばっていた。
石炭(無煙炭)や鉱物資源に恵まれ、その埋蔵価値は6兆ドルを超え、
韓国の24倍に及ぶと、韓国の資源会社は見ている。
北朝鮮は、大戦中に日本が残したインフラを活用し、経済発展が出来たのだ。

しかし、1974年頃から、工業化と輸出強化を図った韓国に引き離され始める。
今や、韓国の輸出入金額8900億ドル(2010年)に対し、北朝鮮のそれは
42億ドルしかない。200倍の差である。
少ない輸出品に代わって、ミサイルや麻薬、偽造たばこ等で数億ドルの
外貨を稼いでいると、10月31日の米国国務省のレポートは伝えている。

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最大の経済発展の失敗は、72年ごろより、金日成が育ったソ連からも、
朝鮮戦争で助けてくれた中国からも独立した「チュチェ(主体)思想」を、
経済分野にも適用しようとしたからのようだ。

早い話が、経済鎖国である。20世紀終わりごろから21世紀にかけて
世界はいやでもグローバル化していったのに、ひとり取り残された。
資源はあっても、燃料や部品や材料が足りなくては工業化は進まない。
北朝鮮の経済状況については、韓国の「NIS」(国家インテリジェンス・サービス、
かつてのKCIA)が25人のエコノミストを抱え、追っている。

面白い話がある。
北朝鮮の化学者リー博士が、戦前日本の研究所で、「ビナロン」を発明した。
国産の石灰石を原料にして、ナイロンに2年遅れて世に出てきた化学繊維である。
これをいつまでもチュチェの製品として誇りにし、
世界の繊維産業発展の潮流からすっかり遅れてしまった。

北朝鮮の2010年のGDPは、韓国中央銀行の推計によると、
およそ265億ドル。パナマ、ヨルダン、ラトビア、キプロスといった
小国なみである。人口は、2430万人とちょうど韓国の半分居るが、
GDPは韓国の40分の一だ。
CIAによると、世界228か国中、195位だという。

(「下」に続く)
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by ucci-h | 2011-12-24 09:38 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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