アジアでなお20%近いインフレ率(11月19.8%)に悩むベトナムの
最大の経済課題は、金融機関、銀行の健全性、具体的には
膨れ上がった不良ローンの処理という点になってきたようだ。
「不良資産の処理に追われるベトナムの銀行 2011-10-4」
http://uccih.exblog.jp/14690591/
ベトナムには、100行ほどの、国営、民間、外資系の銀行があるが、
多くが、過去のローンの急激な拡大から、不良債権を抱えている。
ベトナムの銀行融資は、過去10年で14倍に膨れたと言われる。
年35%増のペースで拡大してきた。
今や、融資残は、中央銀行によれば、2011年9月末現在で、
2500億ドルと、GDPの2.4倍に達している。
もともと資本が過小なベトナムの銀行は、不良資産の増大により、
資金不足に悩むことになる。
しかも高い貸出金利を余儀なくされているので、借り手の障害に
なってきており、金融業の機能が制限されてきている。
このままでは、経済の発展にも支障をきたしてくる。
ベトナムの銀行の不良債権の割合は、公式には3.2%で、
年末には5%に達するかもしれないと言うことだが、
数字があいまいなベトナムのこと、実際の割合は、
もっと高く、外資筋は、10%以上、銀行アナリストは15%を超えている
と見ている。
これは、捨てて置けない問題で、共産党政府(ベトナム戦争勝利後、
ベトナム労働党の名をベトナム共産党に変えている)は、
銀行業の再編成に乗り出す意向だ。
もっとも、政府のやり方は、今のところ銀行合併しかない。
小さな銀行を一緒にさせ、2015年までに銀行の数を半分に減らす
つもりだと、前中央銀行総裁は言っている。
さっそく、この12月には、ホーチミン市の3行が合併した。
しかし、一緒になれば、不良資産が減ると言うものではない。
かつ、政府や大銀行にこれらを救済する余力も少ないようだ。
でも誰かが不良債権をかぶらなければならない。
そこで期待されるのが外資系金融機関だ。
外資系銀行も、欧米の銀行の多くは、欧州の債務問題で余裕に
乏しい。期待されるのは、アジア、中国の銀行と言うことになるのだろうか。
現在、ベトナムの銀行業において、外資系銀行は、一行につき、
国内銀行の資本保有は20%までに制限され、全部あわせても、
外資の保有比率は30%に制限されているが、今後は
こういった制限が緩められ、外資系銀行の設立が促進されるのだろうか。
ベトナムに外資系銀行が増えて、資金が豊かになるだけでなく、
ここまでのベトナムの国営企業を中心とする野放図な経営姿勢が
チェックされるようになれば、ベトナムの経済発展に好ましいことに
なるだろうが、さて今後どこまで開放されるだろうか。