閣僚の入れ替えを行なった。
タクシンにより近い人間で固めてきた感じだ。
一番注目されるのは、国防大臣に、これまでの穏健なユタサックに代わって、
運輸大臣だったかつての空軍元帥スクンポンが就任したことだろう
(ユタサックは国防副大臣に)。
スクンポンは、タクシンとAFAPS(軍予備校)の同級生で、タクシンと仲が良い
(タクシンは警察畑の出だが、軍の予備校は、軍人も警官も一緒に教える)。
また、今度の防衛省は、軍予備校の「クラス10」の人間で多く固めたと言われる。
スクンポンは、2006年9月のタクシンを追い出したクーデターを
行なった連中に恨みも持っているといわれる。
当時空軍の幕僚長だった彼は、空軍の司令官になる予定だったが、
タクシンの失脚とともに閑職に追いやられた。
彼に代わって現在空軍司令長官になっているイタポーンとは
相容れないと見られる。
イタポーンはこの9月に退任する予定だが。
昨年秋に軍の人事があったが、ユタサック前防衛相は、
2008年に出来た「防衛法」があるので、口出しは出来ないとした。
この法律では、軍の人事は軍の7名の委員会で決められる。
スクンポン新防衛大臣は、この法律を変えたいと言われる。
軍が自由に軍の人事を決められるのを防ぎ、
政府が監督できるようにするつもりだ。
こうなると自然に実力者、陸軍司令官のプラユットと対立することに
つながる可能性が高い。
なお、スクンポンは、陸海空を統括するタナサック国軍最高司令官と
海軍のトップ、スラサックとは仲が良いと言われる。
さて、タイにおける軍の文民コントロールは出てくるのだろうか?
いや、そういうことではなくて、軍出身者同士の権力争いということに
なるのだろうか?