十分安全圏までプミポン・ダムの雨季入り時の水位を下げれない事情
タイの巨大ダム「プミポン・ダム」の水位が、昨年の洪水の後から異常に高く、
このままでは再び洪水が心配されることを、今年になって2度お伝え
したが、その後の対応はどうなっているだろうか。

 「巨大ダムの水位が昨年よりも高い 2012-1-12」
  http://uccih.exblog.jp/15261187/
 「雨季入り3ヶ月前の今も依然高いダムの水位 2012-1-27」
  http://uccih.exblog.jp/15334039/

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ダムの管理が焦点だが、下流のバンコクの洪水対策についても、
もめている。
1月26日は、バンコクでヨンユット内務大臣が、「洪水対策で
政府に協力しないなら、バンコク都知事を首にするぞ」と
スクンバン都知事に対しプレッシャーをかけた。

昨年、洪水対策を巡って、スクンバン都知事(民主党)と
インラック内閣(タイ貢献党)との行き違いは記憶に新しい。
他の県は、政府が県知事を任命するが、バンコク都は
選挙で都知事が選ばれるので、民主党知事だ。

しかし、1985年にできた「バンコク都管理法」のセクション52(8)によれば、
都知事は、業務怠慢だったり、大きな損害を都に与えた時は、
内務大臣により更迭されるとの規定がある。
今年こそは、インラック政権は洪水対策を成功させたい。
さもなくば、内閣は瓦解するだろうと恐れている。

しかし、これは主に下流地域の洪水対策にかかわることで、
上流ダムの管理は、主に灌漑局と電源開発公社によって
行なわれている。上流のダムがまた雨水を貯めきれなくなって
放流するようだと、ちょっとやそっとの下流の防水対策では防ぎようがない。

タイの気象庁によれば、昨年同様、今年も早めに雨がやってきそうだという。
まだ乾季中の2月末から雨がやってきそうで、夏季(3~4月)には雨が降りそうだという。
乾季中の最中の1月31日(火)にも、チェンマイの郊外では、夕方、土砂降りの雨があった。
昨年以来、乾季に雨が降るようになった。

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プミポン・ダムのナロン所長は、雨季入り前の水位を、「従来の50%目標ではなく、
40%に持っていきたい」と言っている。
これは、前々回見たように、4月末、40%に当たる54億㎥未満なら、2009年の水準で、
そのあとの雨季の大雨にも耐えられそうだからだ。

一方、政府のティーラ農業・組合大臣は、「5月1日までに50%まで下げていくから
問題ない」と言っている。ずれがある。
50%では67億㎥。昨年の水準より高く、雨季に大雨が来たら危うい水準だ。
なぜ、昨年以上に高いレベルで大丈夫なのか。おそらく農民が今年の雨季は
稲作に多くの水を使うから、その後はあまり水が増えまいと楽観視しているからだろう。

農林大臣は、2月23日までに政府の「水資源管理戦略委員会」に
提言するからと言っているが、悠長だ。
過去30年の平均降雨量をベースにすると言っているが、最近の異常
気象を考えると、かえって危うい。

灌漑局のステープ副局長は、やはり灌漑用水を確保するのが仕事だと
思っているからか、「8月には、昨年の水位を下回るだろう。
今年は、中部平原のコメ栽培者に対し、2期作が奨励されているので
水を多く使うだろうから」と同じく楽観的だ。
昨年の洪水に懲りて、9月までに雨季米を収穫するよう、今年は急がれる。

8月末までには昨年の水準を下回るだろうということは、どの程度
雨季の4ヶ月間(5~8月)で水量が増えると見ているのだろうか。
昨年は、雨季の4ヶ月間で、ダムの水は40億㎥(61億㎥から101億㎥へ)
も急増し、洪水の原因になった。

今年は4ヶ月間で、30億㎥程度しか増えない(67億㎥から97億㎥へ)と
見ていることになる。
例年なら、この間10億㎥も増えないので、それでいいのかも知れないが、
今年も雨が多かったらどうなるのだろうか。

ナロン電源開発公社理事は、「8~10月に4度ほど暴風雨がやってきて
65億㎥ほどダムの水が増えても大丈夫だ」と言っている。
言い換えると、一回暴風雨が来ると、プミポン・ダムの水量は、
16億㎥(12%)も増えると言うことか。

1月29日(日)ダボスの世界経済フォーラムから帰国した
インラック首相は、「今度の雨季には十分備えができている」と
宣言した。
電源開発公社によると、プミポン・ダムの放水量は、一日5800万㎥
(以前の5500万㎥から300万㎥ほど増えたようだ)。
1月末の水量が111億㎥。83%の貯水量だから、
2~4月の3ヶ月間で、52.2億㎥減らし、このまま行けば4月末は
59億㎥ほどになる計算だ。貯水率は44%ほどとなる。

そして月末の、1月31日(火)になると、先の灌漑局は、
雨季入り時の目標を45%に下げた。
当初の55%から50%に、そして45%にまで下げてきた。
45%と言うのは、水量を60億㎥まで減らすと言うことだが、
これで、昨年の同時期のレベルだ。

灌漑局中心に、放水量を少しだけ増やし、4月末の貯水目標を
45%にまで下げてきた。
しかしこれでも、まだ昨年と同レベルだ。
昨年同様に大雨が来たら危ない。

昨年と同水準での雨季入りで、いいのだろうか?
安全を見込むなら40%未満だが、
灌漑用水管理でやってきた水源管理は、頭がなかなか洪水防止へと
切り替わらないのかもしれない。
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by ucci-h | 2012-02-03 08:33 | アジア的な生活 | Comments(0)

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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