ねらい、インドにその後(さらにパキスタンにも)核爆弾を
持たせるきっかけとなった「中印戦争」が拡大したのは、
キューバ危機のあった1962年。それから半世紀が経過した。
今や経済成長を軌道に乗せた中国は、インフラ建設に忙しい
経済の立ち遅れたインドに人を送っている。
首都デリーの郊外の建設現場に行くと、中国人の現場監督や
技術者が、インド人を使って現場の建設作業を仕切っているという。
中国の労働者、技術者といえば、古くはアメリカ、さらにアフリカの
鉄道建設に携ってきたが、今や国内に新幹線を敷き、同じ人口大国で
かつては仇敵だったインドのインフラ作りを指導するまでになった。
インド人は、IT技術者や医者、法律家などの専門職を多く
生んできたが、製造業の発展が遅れたため、土木・建設の作業技術者が
あまり育っていない。電気技術者、大工、溶接工、機械工、左官などが
不足していると言われる。
インドは今後5年で1兆ドルのインフラを作る計画を持っている。
年平均2000億ドル(16兆円)ずつかけて、港湾、ハイウェイ、発電所、
製鉄所、製油所、架橋、通信ネットワーク、空港ターミナルを築いていく。
中国は、過去3年間においても、インドのインフラ・プロジェクト計100億ドルを
仕上げてきた実績を持つ。
中国は、すでにアメリカ、イギリス、日本を抜いて、
インドのトップの貿易相手国になっている。
中印間の貿易額は、2010年には600億ドル以上と、2000年の29億ドルから
10年で20倍に拡大している。2012年には700億ドルを超え、
4年後には1000億ドルに達しようと見られる。
ちなみに600億ドルという貿易量は、片道ながら、米国が日本へ
輸出している額と同じである。
このように、中国がインドで仕事する量は今後も大きく増えそうだ。
しかし一方でインド側に警戒感も強い。
専門職だけでなく、多くの中国人労働者がインドに入り、
インド人の職も奪うのではないかという警戒である。
昨年、インドは、25,000人もの中国人労働者を、労働ビザでなく
ビジネスビザで働いているとして、数十のプロジェクトの現場から
帰国させた。
とは言え、今後5年、インドと中国の共同のインフラ・プロジェクトは
増えていきそうである。
日本の土建業者は、高くて使えないのかな・・。