2月バンコクに来て、バンコク・ポスト紙の記者のインタビューに
応じている。
マーク・モビウスは今や75歳だが、「テンプルトン新興市場グループ」の
会長として、なお400億ドル(3兆2千億円)にのぼる資産を見ている。
「さえないタイ株式市場の今年後半の見通し 2011-6-15」
http://uccih.exblog.jp/13795583/
(写真、図はいずれもバンコク・ポスト紙より)
アジア新興国の株式を主体とする彼の見るファンドは、ここ5~7年で
年20%ほどのリターンを上げていると言っている。
うち、アジア成長株ファンドは、1988年以降23年経つが、年平均12%の
リターンだそうだ。
そして、彼は依然として、アジアを中心にした新興国株式市場のポテンシャルを
高いものと見ている。
タイ株式への投資額は、40億ドル(3200億円)にのぼる。
2011年は、株式新発行の増加、金融引締めなどにより、アジアの株式市場は
あまりさえなかったが、今は、その分バリューが上がったと見ている。
中国市場などは大きく下がったので、今やインドの株式よりも割安だと見る。
2012年は、EU,米国の経済動向が心配されるが、
新興国からの欧米への輸出シェアは減ってきている。
むしろ注目されるのは、金融緩和の動きだ。
インドネシアはじめ各国の国内消費が刺激されると見る。
「テンプルトン・アジア成長株ファンド」(175億ドル、1.4兆円)の
2011年末の国別内訳は以下の通りだ。
・中国31.1%
・タイ 22.3%
・インド15.3%
・インドネシア13.6%
・韓国7.3%
(以下略)
ミャンマーについては、まだ様子見だ。
ミャンマーに投資しているタイの建設会社のリスクも警戒している。
ベトナムは、なお多くの問題を抱えているが、将来有望と見ている。
彼の運用上の問題は、投資に良い会社が少ないと言うことだ。
適正価値の半分未満の株価の会社に投資するのを旨としている。
そして、流動性の高いことも銘柄選びの条件となる。
タイでは、エネルギー、銀行、自動車及び部品が主要持株となっている。
銘柄では、エネルギーのPTT、銀行のSCB、資材のサイアム・セメントが
トップに顔を出す。
コーポレート・ガバナンスの悪い会社は、業績が良くても
投資しないと言う。コーポレート・ガバナンスの良し悪しがひとつの
投資基準だ。
だから、タイのコングロマリットで、香港にも会社を持っている某社の
株式には投資していないと言う。
2012年は、欧州の問題を抱えながらも、
金融緩和の元、経済も成長し、バリュエーションの
低い国の株式が評価される年となりそうだ。
今のところ、各国の市場とも好調だ。