最近のデータでも、日本の自殺率が高く、タイの自殺率は比較的
低いことに変わりはない。むしろ日本が高止まりし、タイは下がっている。
日本の自殺率は、2011年で人口10万人当りで男性33.5人
(女性は14.6人と半分以下)、全人口当りで23.8人と、世界第7位の位置にある。
1998年以降景気が悪くなるにつれて、年間30,000人水準に上がっている。
自殺率世界上位には、やはり寒い国が多く目立つ。
英文ウィキペディアによると、1位はバルト海のリトアニア、2位が韓国、
3位は寒くないが南米のガイアナ、4位がカザフスタン、5位が元ソ連のベラルーシ、
6位が戦後しばらく首位をキープしたハンガリーが、日本より上位に入っている。
首位のリトアニアの男性の自殺率は、61.3人(10万人当たり。2009年)と
日本の倍近くもある。
これに対して、60~100位といった下位には暑い国が多い。
タイは107か国中、中位の56位に位置している。
人口10万人当り男性12.0人、女性3.8人、
全体で7.8人(2002年の数字。後述するように
2010年はもっと下がっている)。
男性が日本の3分の一近く、女性が4分の一の低さだ。
寒い国のどんより暗い気候は自殺したい人の気持ちをそそのかし、
暑い国は自殺するのも面倒なのかもしれない。
日本では、1日平均80人強が自殺している(18分に平均一人になる)。
交通事故の死者のある部分は自殺だと言われるから、実際の自殺はもっと
多くなろう。
ことに日本では高齢化、不景気を反映して、
60歳代、70歳以上の自殺者数が他の世代を
上回って、一番高くなっている。
60歳代は5,555人(2010年)だというから、日本の60歳代の人口
1,780万人(2009年)に対して、10万人当たり31.2人の自殺者となり、
全年齢平均の3割り増しとなる。
60歳代の男性だけ見れば、10万人あたり50人という高い自殺率となろう。
一日平均1.18人の60歳代男性が日本では自殺している。
話をタイに戻すと、1997年から2010年までの過去14年間で、
年間自殺者は、5,700人から、3,700人に減っている。
2010年の人口6,630万人から見ると、人口10万人当たり8人近くだったのが、
5.6人にまで下がってきている。
経済の成長が、自殺率の低下に寄与しているのだろうか。
タイの人口はおよそ日本の半分だが、自殺者の数は、日本が8倍も多い。
タイの自殺率は、なんと日本の4分の一以下である。
そのタイでも、地域によって自殺率に開きがあると、
タイの新聞「タイ・ニュース」は伝えている。
やはり、北タイの自殺率が全国の平均以上に高い。
トップ5県の人口10万人当たり自殺率は、順にランプーン20.0人、
チェンラーイ15.6人、メーホンソーン14.5人、ナーン13.0人、チェンマイ12.5人となる。
それでも、日本の自殺率23.8人に比べれば低いし、チェンマイの
自殺率は、日本のたくましい女性の自殺率より、なお低い。
北タイの自殺率が高いのは、「体面を失いたくない、恥をさらしたくない」と
いう社会慣習が大きく影響していると解説されているが、同時に、比較的
寒冷な気候、所得の相対的な低さも影響しているかもしれない。
タイでも、高齢化社会の進展によって、手元に数字はないが、
高齢者の自殺割合が高くなってきている。
何もできない、一人で生きていくことへの絶望感などが背景にあると見られる。
タイ社会の大家族で高齢者を敬いながら面倒を見ていく文化はなお生きているが、
次第に都市化、核家族化が進展すると、日本の社会のようになって行くのかもしれない。
それも、参拝する機能だけでなく、実際に布施された食べ物や日常品を効果的に分配する場所として役に立っているようです。
日本では何でも国が面倒を見すぎたせいか、助け合いのシステムが無いように感じます。