かつては原油の輸出国であり、OPECのメンバーでもあった。
しかし、近年の内需を中心とする経済成長により、今や
原油の輸入国に転じた。
主食であるコメについてもそうである。
80年代初め、一時コメの自給を達成したが、世界第3位の
コメ生産国にもかかわらず、その後農地の宅地化と、消費拡大に追いつけず、
時折りコメを海外に頼る現状である。
2011年には190万トンのコメを緊急輸入したが(うち91万5千トンを
タイから輸入。タイにとってナイジェリアに次ぐ、第2の輸入国となった)、
今年は、なんとか自給する予定(籾ベースで7200万トンの生産)だった。
しかし、雨や病害により、6800万トン程度に留まりそうなので、不足分
200万トンを輸入すると2月22日発表して、世界のコメ市場を驚かせた。
1月にはミャンマーから20万トンを買っている。
昨年は、6540万トンの生産で、190万トン輸入しているから、
籾ベースでの国内消費量は、6730万トンほど。
インドネシアの人口一人当たりのコメ消費量は、
ひとり年間280kg(籾ベース)と多い。タイの倍とさえ言われる。
ちなみに、アジアは米食中心だが、米の一人当たり消費量の
多い国は、ミャンマー、ベトナム、ラオス、バングラデッシュ、インドネシア
といった後進国であり、中国やインドと違って小麦のとれない地域である。
もっとも、マレーシアやタイなどは、近年一人当たりコメ消費量に減少傾向が
見られる。
インドネシアのコメ市場への参入は、低迷するコメ市場にとって
プラスになる。
米価(5%砕米)は、2月15日のトン430~435ドルから、翌週には、
400~430ドルへと下がってきている。
ベトナムの輸出用米価はフロアー価格を割ってきている。
インドネシアは、密輸入を防ぎ、国内産のコメを守るため、
民間のコメ輸入は2004年から禁止されており、
コメの輸入は、政府間取引となっている。
インド、ベトナムの輸出余力は限られているので、値段は高いが
タイ米の輸入もあると見られる。
タイ米の輸出は、2月半ばまでの1ヵ月半で79万トンで、
前年同期比マイナス50%となっている。
タイ米のトン560ドルというFOB価格に対して、インド米は450ドル、
パキスタン米は440ドル、ベトナム米は420ドルと、いずれもはるかに安い。
インドネシアのコメ緊急輸入でタイのコメ輸出業者は一息つけそうだが、
タイの市場を無視したコメ高値計画は、引き続きタイ米の輸出を低迷させるだろう。