12億の人口を抱えるインドには28の州と7つの連邦直轄領が
あるが、首都デリーの東に位置するウッター・プラデッシュ州は、
この州だけで2億の人口を抱えるインドでも一番人口の多い州です。
ウッター・プラデッシュが独立国だったら、中国、インド、アメリカ、インドネシア
に次ぐ、世界第5位の人口の多い国になっている。
ここには、タージマハールのあるアグラの街や、沐浴場のある
マトゥラの聖地などがあるが、いろいろなニュースの発信地でもある。
昨年は手足に34本の指のある男の子がいてギネス記録を破ったとか、
2008年には70歳の女性が双子を出産したとか珍しいニュースが
出てくるが、このカーペット生産でインドの輸出量の75%も占めるという
州は、児童労働も多く、インドでも貧困州と言われる。
カーストの下位にある貧困層は、1日100ルピー(170円ほど)の収入だと言う。
乳児死亡率、寿命、文盲率、栄養不足、どれをとってもインドの下位にあると言う。
このウッター・プラデッシュ州で、議会選挙が行なわれた。
2月から3月まで7回に渡って行なわれたインド最大州の選挙結果が、3月6日に
出揃った。
この貧困の多い人口最大州では、過去22年、政権は、BJP、SP、BSPという
政党が政権を取り、連邦政府で力のある“ネルー・ガンディー王朝”の国民会議派は
政権を取れないでいる。
国民会議派は、将来のリーダーと目される“プリンス”ラフル・ガンディー(41歳)を
選挙戦に送り込んで、このインド最大州の政権獲得を目指したが、
結果は見事に敗れ、4位に留まった。
1位: SP(サマワディ党、社会主義)34%(前回2007年は25%)
2位: BSP(バフジャン・サマティ党、中道左派)24%(30%)
3位: BJP(バラティヤ・ジャナタ党、保守系)14%(17%)
4位: 国民会議派 12%(13%)
この結果、インド最大州では、現在の低カーストの権利を主張する
マヤワティ女史(56歳)のBSP中道左派政権に代わって、
元レスラーのムラヤム・シン・ヤダフ党首(72歳)の率いるSP社会主義政権が、
前々回から復活することになる。
また、ラフル・ガンディー(41歳)の将来性も、また汚職やインフレで揺れる
現シン連邦政権の今後も怪しまれるようになった。
もっとも、ラフル自身への期待はウッター・プラデッシュ州でも高く、
選挙時の次の国のリーダーには誰がいいかというアンケートには、
州民の38%がラフル・ガンディーを挙げ、今回州の政権獲得の
立役者となったSP党首ムラヤム・ヤダフの息子、アキレッシュ・ヤダフ(38歳、
次の州の首相と目される)の21%を上回って、トップだった。
また、次の連邦選挙は2014年だから、まだ時間はある。
しかし、ネルー・ガンディー王朝の‘プリンス’ラフル・ガンディーと
彼の妹の‘プリンセス’プリヤンカ(39歳)との争いは、いっそう激しくなりそうだ。
「インドのネルー・ガンディー王朝物語 2011-10-1」
http://uccih.exblog.jp/14668177/