発送電と配電(販売)事業が分離されている。
発送電は、EGAT(タイ発電公社)中心に、その他
IPP(独立発電会社)が担い、配電は、首都圏の
MEA(首都圏電力公社)とその他地域をカバーする
PEA(地方電力公社)で担っている。
「タイの電力供給事情 2011-8-4」
http://uccih.exblog.jp/14273053/
タイの電力民営化は1992年より試みられたが、
2000年代初めのタクシン政権下でのEGATの民営化努力は、
組合その他の反対が多く、ならなかった。代わりに、
公民連携による独立発電会社のシェアが伸びてきている。
現在、タイの発電能力は3万メガワットに伸びてきているが、
EGATの発電シェアは50%(1.5万メガワット)でしかない。
他のIPPの発電シェアは46%まで上がってきている。
残る4%は、ラオスなどからの電力輸入。
独立発電会社といっても、EGATとは別に発電しているわけではない。
そこはタイお得意のPPP(公的私的パートナーシップ)により、
EGATの発電増加プランに対し、内外の私的資本に投資をさせ、
公的資本を節約しながら、年6%という高い電力需要の伸びに
対処しているのだ。
エネルギー省は、このIPPのシェアを2016年までに60~70%へ
持って行きたいとしている。
今年の暑季は暑く、2012年4月26日(木)の午後2時半には、史上最高の
電力消費量のピークを更新、26,121メガワットと2万6千メガワット台
(発電能力比87%)を、初めて記録してきている。
ちなみに、タイの年間電力の消費量は、現在16万GWh(ギガワット・アワー)ほど。
過去30年で10倍に増えた。
タイの発電は火力・コンバインドが中心だが、原料としては天然ガスが72%を占める。
エネルギー原料価格の上昇は、電力コストのアップにもつながっている。
そして、タイの電力料金は、4ヶ月ごとに改訂されるが、
次の5~8月は、現在よりユニット(kwh)当り0.30バーツ高くなり、
これも史上最高価格となる。
と言っても、以前見たように、総括原価方式でコストをなるべくかけ、高くする
日本の電気料金のような馬鹿なことはやっていないので、依然として、
日本の電気代のざっと3分の一の水準だ。
「日本の電気代がなぜ高いかが見えてきた 2011-6-24」
http://uccih.exblog.jp/13871135/
タイは発電燃料の中心となる天然ガスについては、需要量の4分の一輸入しているが、
今後この比率は高まりそうだ。輸入LNG価格は、国内産の倍の価格になるという。
今回も発電コストの上昇分はユニット当り0.57バーツになるが、
うち27バーツ分はEGATに100億バーツほど負担してもらい、
消費者に0.30バーツ分をFT(フューエル・タリフ、付加金)として
負担してもらうことになる。
この結果、タイの電気料金は、ユニット(kwh)当り平均3.5バーツから
3.8バーツ(10.6円ほど)へ7~8%上がる。
家庭用の電気代は使用料によって異なるが、
以下のように5~8月分から上がりそうだ。
・100ユニット未満 2.27→2.57バーツ(約7.2円)
・100~150ユニット 3.23→3.53バーツ(約9.9円)
・151~400ユニット 3.74→4.04バーツ(約11.3円)
・401ユニット以上 3.94→4.24バーツ(約11.9円)
なお月90ユニット未満の家庭の電気代無料制度は続きそうだ。
月50~60ユニットの使用でも、無料なら月89ユニットまで使っちゃえとされる
この批判の多い制度は、ポピュリスト政権では続きそうだ。
今後は、暑い時は300ユニットほどは使う我が家の
ユニット当り単価は10円ほどだったのが、これからは11円ほどになろう。
300kwh使用で月1212バーツ(3400円)ほどに上がる。
「タイの暑い季節、電気代は? 2011-7-29」
http://uccih.exblog.jp/14220519/
でも、日本なら、使用料によって異なるが、
家庭用でユニット当り25~26円になるのでは?
それから見れば、ましである。
タイの電気代が安いというより、日本の電気代が高すぎる。