なぜ高くなってしまったのか、前回触れた。
「ミャンマーの抱える問題 第1回 土地高価格をもたらしたもの 2013-4-1」
http://uccih.exblog.jp/18458484/
ミャンマーに進出する外資にとって、電力不足と並んで、
この高い不動産価格がひとつの障害になりそうだ。
とくに解放後、旅行客の増加に伴って、
もともと少ないホテルの値段が上がっている。
これは不動産の値上がりからではなく、需給の変化からだが。
ヤンゴンの5つ星の「パーク・ロイヤル」や4つ星の「トレーダーズ」ホテルが
2年前には1泊40ドルだった部屋が、今では400ドルと10倍になったという。
以前は15年間もお客が少なく安かったのかもしれないが、ここにきての400ドルは、
いかにも高いと他のホテルの支配人は言う。
10倍は例外にしても、ここ1~2年で宿泊料が4倍になったホテルは
多く見られるそうだ。
今現在、宿泊サイトの「アゴダ」で価格を見ると、
パーク・ロイヤルのデラックス・ルーム(35㎡しかない)朝食付き413ドルの部屋が
212ドルで提供されている。
トレーダーズの方は、460ドルのデラックス(31㎡)朝食付きが、200ドルだ。
まあ、数少ない高級ホテルだから、アゴダでとっても200ドルはするわけだが、
デラックス・ルームという割には、狭い。
タイでなら、せいぜい70~80ドル・クラスの部屋の広さだ。
ミャンマー全体でも、外国人が来て泊まれる部屋数は、昨年末頃で、
国全体で25,000部屋あまりだという。
ミャンマーへの外国人観光客数は、2011年81万人と増加したが、
2012年はさらに30%増の106万人、ついに100万人を超えてきたと
推計される。半分ほどが、航空機でやってくる。
ことに、11~3月のハイシーズンは客が増えるので、部屋が足りなくなるようだ。
たとえば、2011年の12月には、47,475人が国際便でやってきた
(ヤンゴン空港だけで9割の43,800人)。
都市別のホテルの部屋数は、
ヤンゴンが193のホテルとゲストハウスで、8,152部屋。
バガンが、2,076部屋。
インレ・レークで937部屋という状況だ。
ハイシーズン、ホテルの部屋は不足がちとなる。
先のアゴダで紹介されているホテル数を見ても、
ヤンゴンで53ホテル、
べガンで22、マンダレーで21、
インレ・レークで20と、主要4都市で116ホテルが紹介されている
にすぎない。
ヤンゴン中心にホテルの部屋の増設(古いホテルの改良が多いようだが)が
急がされ、ヤンゴンでも1,415部屋ほど(+17%)増えていく見込みだが、
おいそれとはホテルを増やすわけにも行かないだろう。
成長するアジアの主要都市では、
ここ3年ほどで、4つ星、5つ星の高級ホテルのキャパシティー増加傾向が著しく、
バンコク、バリ、ホーチミン、シンガポールの4都市では、28%~17%の範囲で
高級ホテルの部屋数が増える。
インフラの劣っているヤンゴンでも今後これに続くことになろうか?
ホテルの宿泊費の値上がりに業を煮やしたミャンマーの
ホテル・ツーリズム省は、2012年6月、待ったをかけた。
「外国資本のホテルは、スタンダードの部屋の
宿泊料を、1泊150ドルに抑えよ」(ただし6ヶ月限定)というお触れだ。
これを無視して200ドルから220ドルに値上げしたセドナ・ホテルの
マネージャーが国外退去命令を受けたりした(実際は出ないですんだが)。
また、スタンダードをデラックスに塗り替えたりしたところもあったという。
「当局は、ビジネスの自由を侵すのか!」、「これでは、外国投資家が
ホテルへの投資をやめてしまう」という批判があった一方で、
あまりの高騰ぶりに「必要な措置をした」と評価する声も聞かれた。
ミャンマーの観光インフラの不足は、ホテルだけではない。
客を送り迎えする車と運転手が足りないと言う。
また、ガイドの免許を持ったツアー・ガイドは3,160人いるというが、
最近増加している中国人観光客を相手に中国語の出来るのは、
125人だけだという。
もっとも、かつての英国の植民地だから、英語の出来るのは1,930人
いるそうである。
ここにきて、軍政の重石が取れたこともあって、
ミャンマー西部だけでなく、中部でも仏教徒強硬派のイスラム教徒攻撃が
見られ騒がしく、アメリカ大使館は渡航延期を勧告している。
ミャンマーは、少し落ち着いてから行きたいものだ。