「大インフラ投資プロジェクト」は、タイの財政にどのくらいの
負担となってくるのだろうか?
タイの国家財政の状況を見ると、
タイ貢献党政権のポピュリスト的財政支出の拡大により、
2012年度(9月期)、13年度(予想)とも4000億バーツ近くに
膨れて来ている。
GDP(2013年予想12兆バーツ)比、3.3%ほどとなってきた。
2014年度以降、前回見たように、予算外も含めた大きなプロジェクトの
増大する出費を見ていくと、経済がただちに高い成長につながらないと、
財政赤字のGDP比は、3~4%を超えて高まっていきそうだ。
国の公的債務のGDP比残高はどうなっていくのだろうか?
2012年度末のタイの公的債務残高は、
国営企業の債務や政府保証残高を含めて、
4兆9400億バーツ(15兆円ほど)と、ほぼ5兆バーツだ。
GDP(2012年度11兆2440億バーツ、ほぼ34兆円)比、
43.9%ほどになる。
タイの公的債務が今後数年で天井の目安とされる50%に
乗せていくのか?また、さらに国際的格付け評価の
危機ラインとなる60%に迫るのだろうか?
計算上は、現在の公的債務残高5兆バーツが、
数年で2兆増えて、7兆バーツ乗せて行くかだが、
タイで議論されているように、インフラ投資プロジェクトを中心とする
これらの支出が、経済成長率を6%以上に高められるのか、
それとも、4.5%以下の伸びにとどまるのかが、
評価のポイントになりそうだ。
6%以上なら十分な経済の成長が公的債務比率を抑えるだろうし、
数々のプロジェクトにもかかわらず経済が伸び悩むとすれば、
公的債務比率は危機ラインに迫っていきそうだ。
そのためにも、コメ抵当スキームのような生産性の低いプロジェクトは
縮小して、経済効果の高いものに絞り込むべきだと思われるが、
政治の世界、はたして経済合理性を生かせるだろうか。
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ちなみに、タイの経済成長率は2000年代以降は、
年平均5%近くで来ている。