インドネシアだが、2014年の大統領選挙を前に、2013年6月21日、
ついにエネルギー補助金の大幅削減に鉈を振るった。
インドネシアは、かつてのOPEC(石油輸出国機構)のメンバーからはずれ、
今では原油の純輸入国だが、一度始めたガソリンなどの補助金制度は
麻薬のように止められず、国家財政に大きな負担でのしかかってきていた。
「インドネシアを他山の石にエネルギー補助金を見直すタイ 2011-9-11」
http://uccih.exblog.jp/14538049/
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インドネシアの燃料補助金額は、昨2012年で216兆ルピア(2兆2千億円)と
137兆ルピアの予算計画を大きく上回った。
成長する巨大な内需市場が、安価な石油の消費を増やした。
2013年も、予算額194兆ルピアを上回り、297兆ルピア(3兆円)と
ほぼ3兆ルピア、国の予算総額の3割近くになると予想される。
石油消費量は、計画の4600万klを上回る5600万klに達するかと見られる。
補助金制度により、市価は、実際のコスト含みの価格よりも3割ほど安くなっている。
この補助金込みのガソリン価格リッター4500ルピア(45円)を、
6月22日より、44%引き上げ、6500ルピア(65円)とした。
それでもなお、日本の150円はもとより、タイの108円ほどよりずいぶん安い。
ディーゼル油は4500ルピアから5500ルピアへ。
低所得世帯(月収15万ルピア未満)1550万世帯には、
援助として、総額9.3兆ルピア(930億円)の現金給付がはかられる。
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内需中心の成長を見せるインドネシア経済は、
2013年第1四半期6%の経済成長率を示している。
年間でも、タイなどを上回る6%ちょっとの成長が期待される。
エネルギー補助金の削減は、2013年のインフレ率(第1四半期+5.3%)を
1.5%ポイントほど上げ、若干の消費抑制要因になろうが、
選挙を翌年に控え公共支出は旺盛なので、景気の落ち込みは最小限だろう。
ユドヨノ政権の英断と言えよう。
「選挙前だが、後の世代に負担が残らないように、今やる」と言っている。
インドネシアへの直接投資(海外からが75%)は、
2013年第1四半期、前年比31%増の93兆ルピア(9300億円)に達した。
シンガポール、日本、韓国などからの直接投資が盛んである。