堤未果さんが「貧困大国アメリカ」という
面白い本を岩波新書で出したのが2008年1月。
それから、速いもので6年近くが経つ。
米国のセンサス・ビューロー(国勢調査局)の
2013年9月17日の発表によれば、
2012年失業率の若干の改善にもかかわらず、
アメリカの貧困層の割合は15.0%と、
6年連続で悪化したと伝えられた。
雇用が若干増えても、全体の収入はあまり上がっていない。
(写真はいずれもワシントン・ポスト紙より)
アメリカ人の7人にひとり以上が貧困層となるが、
人数にすると4,650万人になる。
4人家族で昨年の年収23,492ドル(233万円ほど)未満を
貧困層と言っている。
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貧困ラインの定義には、もちろんいろいろ問題もある。
貧困ラインの収入は、最低の生計費を基準にしていると
言われるが、広いアメリカで田舎もあれば都会もあり、生計費は
一様ではない。ことに家賃の比重が大きいようだ。
また、貧困ラインより1ドルでも上なら貧しくなく、1ドルでも
低ければ貧しいのかと言ういちゃもんもある。
アメリカだから一家で月に20万円未満は貧しいという
ことになるが、世界の最貧国は、月に4000円未満で
“貧しく”暮らしているところもある。
アメリカの昨年の一家の中位所得は、51,017ドル(ざっと500万円)。
貧困ラインは、この中位数の46%に当たる。
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この収入の数字は、所得税の対象となる税込みの数字だそうだ。
キャピタル・ゲインなどは入らない。
お金では払われる失業保険手当ては入るが、
税還付や、フードスタンプ、住宅補助、メディケイド(医療扶助)
のような非金銭の政府の補助は入らないという。
失業保険支払いのおかげで、170万人が貧困ラインを
上回っているそうだ。
また、税還付とフードスタンプを収入に加えれば、
それぞれ、550万人、400万人が貧困ラインを上回り、
貧困層は2割減り、3,700万人(全人口の11.9%)に減る計算だ。
政府がいかに貧困を救ってやっているかを示す数字にも見える。
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ちなみに、日本の貧困率はどのくらいなのだろうか?
日本の貧困率は、厚生労働省の2009年の調査(古い!)まで
しかないが(3年毎の調査か)、それだと、2009年に全所帯
(所得中央値で、一人当たり250万円)で貧困線
125万円未満の世帯が16.0%へと、ここ四半世紀で上がってきている。
定義もはっきりなく、また数字も世帯当たりの数字か良くわからないが、
日本には、公式にに貧困ラインは設定されていないのだろうか?
貧困率は1985年(12.0%)以降上がり続けている。
2012年の厚生労働省の世帯調査だと、
2011年の全世帯4,817万世帯の所得中央値(財産所得も含む)は432万円。
仮に200万円(中央値の46%)を貧困ラインとすると、
世帯の貧困率は19.9%となる。
この調査における世帯の意識調査では、
全世帯の28.6%、児童のいる世帯の31.3%が、
「生活は大変苦しい」と言っている。
2013年7月の生活保護受給世帯は、最多の158万世帯、
215万人となった。全世帯の3.3%にのぼっている。
確かに非正規労働者の増加、生活保護者の増加で貧困者は増えているのでしょう。
でも象徴的に報道されたりしている単身の生活保護受給者が働きもせずパチンコやったり酒を飲んだり煙草を一杯吸った居たり。
そういう人たちは貧困とは言いたくないな。
アメリカでも、有色人種(黒人・ヒスパニック系など)の貧困率の高さと、低学歴・虐待や薬物依存の多さが比例してます。公民権運動を始めたぐらい差別やストレスが酷かったのが、今も引きずっているのでしょうね。
生活保護受給者は、虐待の世代間連鎖の結果の場合があるし、飲酒や、煙草・麻薬は、無意識の自殺願望と現実逃避と快楽の結果ではないかと・・・
煙草やお酒が嫌いで、真面目で、欝病などの精神疾患の人も多いみたいですけど・・・
昔の人が、「金持ち喧嘩せず」なんて言ってましたしね。