はじまりである。
タイのインラック政権は、紆余曲折を経ながら、
2013-14年度も、批判の多い「コメ抵当スキーム」を
続行することにした。
これで3年目に入ったが、当初の思惑と相違して、
コメの国際価格は上がるどころか、世界の需給を反映して
いっそう下がり、高値で買い取ったコメは、政府の倉庫に
山積みとなり(現在1800万トン、輸出2年分と言われる)、
その処分に頭を痛めることとなった。
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さらに、巨額の補助金支出により、財政負担が大きくなり、
インラック政権、またタイの国債の格付けにすら
影響をもたらす可能性さえ出てきた。
タイ貢献党政権は、以前お伝えしたように、
ことし6月以降、このコメ買取補助金政策の縮小を試みたが、
票田の3分の一以上を占める農民層の不評を買うことから、
妥協を余儀なくされた(タイの農村の問題は、コスト増による
借金漬けの増加にあるようだが)。
「どうなるか10月以降のタイのコメ国家買取制度 2013-7-29」
http://uccih.exblog.jp/19358154/
結局、縮小案は緩和され、新年度も、1期米(10~2月収穫)は
従来どおり、籾量トン当たり15000バーツの価格で買い取り
されることになった(ただし、金額を1戸当たり50万バーツに限定)。
3月以降の2期米については、買取価格をトン13000バーツに
下げ、限度を1戸30万バーツに下げるが、これはなお農民の
反対にあっている。
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政府の思惑は、これにより、新年度の予算を2,700億バーツに
抑え(損失額、補助金部分は1,370億バーツ)、過年度の
年間3,300億バーツの出費から縮小させたい意向である。
過去2年度に、政府は年間2,200万トンほどのコメを買上げた。
新年度は、買取量を1,800万トンほどに抑え(2期米は価格も抑える)、
買取費用を2,700億バーツに抑えたい意向だ。
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コメ抵当スキームは、数々の副作用を出しながらも、
農家の多くに収入増をもたらしているようである
(収穫量が少なく、これに与らない農家も少なからずあるが)。
かつてのタイ経済の屋台骨だったタイ農家の米作については、
コストの削減、生産性のアップ、質の高い品種の開発、
さらには、米作からの転換や借金経済からの脱却など
政府の高値買取にもかかわらず、またはこの制度の結果、
課題が多く残されている。