前年、タイ貢献党政権がとった自動車、住宅販売
先食い政策が、今年になって影を落としている。
そもそも、自動車や住宅がよく売れていた2012年に
これらの税還付販売促進策を取る必要は、
景況から見ればなかった。
政府の人気取り政策でしかなかったと言われてもしかたがない。
このつけが今年回ってきている。
自動車は、街中だけでなく中古市場にも溢れ、
中古車価格は3割も下がっている。
@@@@@
2013年のタイのGDPの成長率は、3%台と低位にとどまりそうだ。
年初の予想の5%台をはるかに下回る。
自動車だけでなく、耐久消費財の販売奨励は
家計の借金を増やし、タイの家庭の購買力が低下している。
輸出環境も良くはない。
欧米の景気回復ペースはいまいちだし、
中国の成長力も落ちている。
2013年のタイの輸出の伸びも、2~3%にとどまろう。
コメの高価買取り、国家管理政策は、コメの輸出を減らしている。
さらに、景気を後押しするはずだった公共投資も
今年は始動しなかった。
政策の実行が遅いことがあるが、ポピュリスト政策の
大盤振る舞いで、国庫の赤字が拡大してきている。
@@@@@
ところで、いまや‘中年国家’となったタイだが、
成長するアセアン経済の中心にあって、なお成長ポテンシャルは高い。
2013年9月に、TMB銀行の経済調査部が、
タイの景気サイクルの分析をやっていた。
グラフが載せられないのが残念だが、
過去14年ほど、タイ経済はそれなりの景気サイクルを描いてきている。
2001年(実質GDP成長率2.2%)がボトム、
2003年(7.1%)がピーク。
2009年(リーマンショックでー2.3%)がボトム、
2012年(6.5%)がピーク。
そして、2013年からは低下していきそうだが、
そのサイクルに今は乗っていると見れば、
景気の減速は来年も続きそうだ。
@@@@@
景気がこれ以上過熱しないのはいいことだが、
上がってしまった物価は下がりにくい。
タイの物価上昇率は、商務省の統計によれば、
ここ数ヶ月2%以下だが、実感にそぐわない。
久しぶりに行ったレストランのメニューがまた10バーツずつ
上がっていた。
政府の経済政策は、あえて人気取りの愚策と言いたい。
車の増加による道路の混雑と、最低賃金他の大幅アップによる
諸物価の上昇は、生活に打撃を与えている。