人口の世界一は、なお中国だが、
社会主義国中国には、省レベル以上での普通選挙はないので、
有権者数が8億1,400万人に達するインドの国政選挙が、
世界最大の選挙ということになる。
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インドでは、戦後独立後、共和制への移行後の1951年に第1回の
国政選挙が行なわれたが、今年2014年は第16回目の総選挙となる。
5年ごとに下院議員543名を選ぶ選挙だが
(ちなみに、仏暦元年の紀元前543年とは関係ない)、
途中解散もあるので、今年が16回目となる。
過去2回(2004年と2009年)も、5年経った満期解散選挙だった。
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立候補者数は、500の政党から15,000人ほどが小選挙区に立つ。
インドの全28州および7つの連邦直轄領から543名が選ばれる。
倍率は平均ざっと28倍だ。
地域が広く、民族色も異なる大国インドは、地域性が強い。
しかし、その中で、インドの政治を引っ張ってきたのは、
‘ネルー・ガンジー王朝’と俗に呼ばれる「国民会議派」(INC)と
これに対抗するヒンドゥー至上主義の「インド人民党」(BJP)である
(もっとも地方毎には、もっと有力な政党があるが)。
「インド最大州でガンディー王朝昇れず 2012-3-8」
http://uccih.exblog.jp/15541520/
今回は、ネルー・ガンジー王朝のプリンス(母親はイタリア人の
ソフィア・ガンジー)と呼ばれるラフール・ガンジー(43歳)と、
BJPの党首、白髭のナレンドラ・モディ(63歳)の独身者同士の闘いとも
騒がれている(モディには隠れ妻はいたようだが)。
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北のヒマラヤの降雪地域から南の灼熱の砂漠まで、
広大なインド亜大陸での選挙なので、4月7日(月)の
北東部アッサム州(人口3,100万人)など6州を
皮切りに5週間ほど、5月12日(月)まで9回にわたり行なわれる予定だ。
17日(木)には、マオイスト(毛沢東主義派)の反乱が続く
東部寄りのチャティスガル州(人口2,600万人)など13州でも行なわれた。
実際今回も、警官や選挙係員が計7人ほど殺されている。
ちなみに、インドの州で、人口の多いビッグ3は、
①タージマハールのあるウッター・プラデッシュ州(2億人)、
②商都ムンバイが州都のマハラシュトラ州(1億1,200万人)、
③マガダ国ブッダガヤの地、北東のビハール州(1億400万人)である。
いずれも1億人を超えている。
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結果は、最終選挙日4日後の5月16日の一斉開票で行なわれる
(1ヶ月近く、投票箱をどうやって安全に確保できるのだろうか?
電子的に保管するのかな?)。
今回は、2004年以降2期続いた国民会議派政権も、
数々の問題を抱えてほぼ機能不全に陥っている。
国民会議派のマンモハン・シン首相もすでに81歳だ。
インド人民党がバジバイ首相政権(98~04年)以来、
10年ぶりに政権の座に着くことが予想されている。
経済界も、モディBJP党首が、2001年以来、工業生産の盛んな
西部のグジャラート州(人口6000万人)の首相として、
二桁の高い経済成長を示してきたその手腕に期待している。
ここにきてインドの株式市場も期待で上げている。
「インド国民会議派グジャラート州でも敗退 2012-12-27」
http://uccih.exblog.jp/17515355/
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皮切りとなった4月7日7時から始まった
アッサム州の選挙の写真を見ると面白い。
並んでいるのは、サリーを身につけた女性ばかりだ。
インドではなぜか、選挙ではトイレに並ぶように、
女性と男性は別の列を作る・・。
投票は、今年は電子式だという。
公用語が22もあるこの国のこと、文字で書かせる投票は行なわれない。
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インドは、中国と並ぶ人口大国だが、経済成長において
大きく水を開けられた。
仮にインド人民党のモディ政権になったとして、
経済面で挽回できるのだろうか?
人口大国だけに、世界の経済に与える影響も大きい。
次回は、現在インドが抱える経済の問題について、
数字を検証しながら見てみることにしよう。
(その2に続く)
BJPのマニフェストには中国は一字も見かけられませんが、中国に対しては、歴史的経緯や国境紛争もあり、表面的にはその拡張主義を牽制する姿勢を保つのではないでしょうか。しかし、外資導入・経済発展がもっとも大事ですから、今と変わらず、中国資本や中国人労働者を受け入れるのではないでしょうか。反米親中は個人的にはないと思います。