米国の人身売買対策キャンペーンは犠牲者を救うより傷つけている!?
「こういうことって世の中にあるものだなあ」と
考えさせられる。
その意図と反して、むしろ逆の結果しかもたらして
いないことが・・・。


2014年6月、ちょうどタイで軍事政権ができた
翌月、アメリカ国務省は、「人身売買リポート2014年」を
発表し、それまで4年間ティア2.5で来たタイランドを
3に格下げした。

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アメリカ国務省のこの年次レポートは、2001年から
始まったので、今年で14回目になる。

http://www.state.gov/documents/organization/226844.pdf


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2014年のリポートでは、人身売買をよく抑えられている
国としての「ティア1」に、アメリカや英独仏など31カ国。


十分ではないが努力している国として、「ティア2」に、
日本やアフリカ、南米の国中心に最多の89カ国。


努力がやや足りなくて、‘犠牲者’も多い国として、
「ティア2ウォッチ・リスト」(ティア2.5)に、
中国、パキスタンはじめアフリカ、南米、アジアの国々44カ国
(タイは過去4年間ここに入っていたが・・)がぶらさがっている。


最低の「ティア3」は、最低基準を満たさず、その国の政府も
あまり努力をしていない国として、23カ国が入っている。
ロシア、アルジェリア、イラン、北朝鮮、サウジといった顔ぶれに、
タイ、マレーシア、ベネズエラがウオッチリストから降り、加わった。


しかし、ティア1にも、ティア2にも‘上昇’して入った国が見えない。
今年だけなのだろうか?


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タイの場合、2001年発足以来、日本並みのティア2で9年間来たが、
2010年にティア2ウォッチ・リストに格下げされた。
それが4年間続き、今年最低のティア3に落ち込んだわけだ。


米国のこの人身売買対策キャンペーンは、単に
“世界の人身売買対策の指導者”アメリカが、リポートを
出して警告するだけでなく、お金、経済が絡んでいる。

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米国は、このキャンペーンに年に1億ドル(100億円)以上の
対策費を投じていると言われている。
これは、各国の取り締まり当局にとっては魅力的な金だ。


また、対策の悪い国(ティア3の国)には、貿易制裁や
禁輸も辞さないと言われる。
今回も、タイに対しては米国の制裁はまだのようだが、
EUからの一部製品に対する拒否反応は出ているようだ。
タイ軍事政府も、重く受け止めている。


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しかし、タイが14年間の間にランクが落ち込んできた事実、
また落伍国はあっても、なかなか上昇国は少ない事実は
何かを物語っていないだろうか?


1984年タイで創設された
CSW(コマーシャル・セックス・ワーカー)達の人権を守る
NPO団体である「Empower Foundation」(エンパワー基金)は、
このアメリカのやり方に対して、
犠牲者を助けるより、彼等、彼女等を傷つけていると批判している。


Empowerは、「Education Means Protection 
Of Women Engaged in Recreation」の略でもある。


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米国の「TIP」(Traffic In Persons、人身売買)対策キャンペーンは、
当初、主にCSW取締りとして始まった。今では漁業の不法外国人労働者などに
ターゲットが広がっている。

 「ミャンマー人56歳がタイで陥った苛酷な物語 2014-7-16」
  http://uccih.exblog.jp/20911859/
  
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つまり、人身売買の流通市場は押さえにくいので、その川下の
セックス・ワーカーや不法労働者の現場を当局に押さえさせ、
対策費を出すわけだ。

 「早くも懸念されるタイへのセックス・ワーカーの大量流入 2012-10-30」
  http://uccih.exblog.jp/17083298/


キャンペーンの写真はいつも、現場でセックス・ワーカーや
トラックに乗ってきた不法入国労働者が警官の前にうずくまり、
犠牲者というより、犯罪者として扱われる。

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彼等、彼女等は、拘留されても、その間の保障もないし、
通訳がついたり、弁護士がつくことも今のところない。


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人身売買疑惑の摘発捜査は、こうして、何人犠牲者を検挙したかの
コンテストになってしまう。
2004年当時、タクシンが、麻薬撲滅と称して、罪のないと思われる
人間も含め、3000人ほどの命を奪ったキャンペーンを髣髴させる。


がさ入れ活動には、米国からの資金援助も絡むから、
点数を上げるのに拍車がかかる。また、腐敗・汚職の温床となる。
客を装った警官がCSWに近づき、検挙するのだが、
中には、その前にただでセックス・ワーカーとナニする
不埒な警官もいるという。


タイの人身売買、ないしは強制労働には、業者のシンジケートだけでなく、
これを取り締まるべき警察筋の眼こぼし、暗黙の協力(それによる
お茶代の獲得)があるようだ。
これでは、取締りを厳しくするほど、裏金が動くことにもなる。


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アメリカの善意は、世界の校長先生のように各国の状況に評点を
与え、さらに金を出して、取締りを厳しくさせて満足しているように見える。


しかし、現実にはなかなか不法労働はなくならない。
むしろ悪化しているのかもしれない。
喜ぶのは、取り締まり強化で懐が豊かになる連中で、
このままでは、犠牲者たちはいっこうに救われないままなのかもしれない。


アジアには働きたくてもなかなか職場が得られない人間が沢山いる。
彼等は、生活のために、不法労働に身を置いているケースが多い。
そういった労働の流れを透明、簡易化し、また彼等の職場を合法的、
公正なものにしてやるのが大事だと、エンパワー基金は見ている。
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by ucci-h | 2014-08-08 01:16 | アジア的な生活 | Comments(3)
Commented by NINJA300 at 2014-08-21 16:38 x
アメリカはインディアンから土地を奪い、黒人を奴隷にして発展した国。日米戦争もどちらかといえば、悪さでは米国が日本よりもずっと悪い。というか米国は日本に拘るあまりの政策ミスで、ソ連の領土を拡大し、共産チャイナが成立させた。19世紀からクジラの脳みそだけを目的に捕鯨をし、バランスがとれていたクジラを絶滅寸前に追い込んだ。
そもそも日本は日本の周りに植民地をつくったし、英国は豪州、シンガポール、インドだが、米国はハワイ→ガム→ピリピン→隣りは台湾。と一直線に西へ直進している。謀略が大好きでピリピンも謀略でスペインから奪った。ハワイの王様は困って、明治天皇に保護を頼んだが、明治天皇は断ったそう。アメリカって最悪国家ですね。
Commented by NINJA300 at 2014-08-21 16:42 x
補足・・日清戦争後なので当時の台湾は日本領です。
Commented by ucci-h at 2014-08-30 12:27
ハワイが日本に助けを求めたとき、一緒になってやっていれば、良かったですね。時の日本の政権の不作為で、求めに応じられなかったようです。

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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