「プレー・ガオ」(スカー、古傷)が37年ぶりに映画化
されたので、見てきた。
この物語は、戦前の1936年、首都バンコクの東方の
バン・カピ(当時は運河の流れる農村地帯)を舞台に、
愛し合う農村の若者と娘の仲を切り裂いた悲恋物語である。
1977年に映画化されたときは、大きな人気を呼び、
また国際的にもロンドンの「動画博物館」により
1998年に「世界古典映画360」のひとつに選ばれている。
また、2011年には、タイの映画アーカイブから
「タイ国宝映画25」のひとつに選ばれている。
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今回の映画化は、37年ぶりの国宝級映画のストーリーの
リメイクだけにいろいろタイで話題を呼んだ。
前作と「比較すると?」、「いや比較できない」と騒々しい。
前作は見ていないので比較は出来ないが、
今回の映画は、きれいに撮れていた。
今回の主役の二人、クワンとリアムを演じるのが
共にベルギーとタイの混血の俳優なのであれこれ言われたり
したが、二人とも可愛らしく、いいキャラクターだった。
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映画は古き良きサイアムをしのぶ感じで、稲穂を
風が揺らし、運河がゆったり流れ、その中に
ゆるやかな曲が流れる。
映像が鮮明で、音楽の流れが良く、見ていて気持ちがいい。
ストーリーは、女主人公のリアムが無理やり
バンコクの貴族の元に売られ、そこで洗練され、
いつまでも水牛に乗って待つクワンと心も離れていく
様に見える。
再会した後に波乱万丈の展開が控えている。
ああ、これでハッピーエンドになれるかなと思うが、
やはりストーリーは悲劇的な結末で終わる。
最後はかわいそうで、目頭が熱くなる。
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タイの昔話と言ってしまえばそれまでかも知れないが、
映像の力が、ストーリーを現実化して見せる。
印象に残るきれいな映画である。