チェンマイの家を2か月ほど空ける。
いちばん気にかかるのは、愛犬クロのことだ。
小型犬だから、かごに入れて飛行機の
膝の上というわけにはいかない。
飼い主が日本にしばらく行くと気づいたのか、
最近は私の足元に朝夕付き添っている。
タイの田舎の家に預けるが、
以前は、食が進まないと聞いて、心配した。
でも考え直したら、6歳の今まで
クロは、平気で人生(犬生)を過ごしてきた。
生後一か月で親兄弟と永遠に離れたが、
それを恋しく思うこともなかった(ようだ)。
人間は、さみしいとか孤独だとか感傷的に
なるが、クロは犬一匹で生きている。まわりに犬友もいない。
犬でも心配事や苦しいことがあると思うが、
顔にも出さず、毎日ケナゲに生きている。
あまり、感情移入はしない方がいいかもしれない。
クロはこう思っているかもしれない。
「人間の主人は、なぜつまらんことでいちいち
怒ったり、嘆いたりするんだろうか?」と。
クロちゃん、ちょっとだけ、離れるよ。バイバイ。
夕方になって散歩相手がいなくて寂しく思うのは
僕の方なんだろう。
再会したとき、尻尾をちぎれんばかりに
振って、飛びついてくる姿が待ち遠しい。