タイ語読み書き60時間集中講座(14)
ーー5つの声調をどうやって覚える?--
タイ語の読み書きの学習も、
5つの声調(トーン)の発声練習から
いわゆる“二重母音”に母音の範囲が広がっていくにつれ、
難しくなってゆく。
でも、その前に、前回「マイ」を例に見てみたが、
5つの声調をもう一度実際の言葉で確認してみよう。
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タイ語の5つの声調については、
いわゆる声調符号が付かなくても、
高中低の3子音ごとに、長母音が付くか、
短母音か、また破裂末子音が付くかによって
変わるから、覚えるまでやっかいだ。
代表的な言葉を書き出して、覚えていこう。
さらに4つの声調符号が単語の頭に乗ることによって声調が決まる。
่マイ・エーク、้マイ・トー、๊マイ・トゥリー、๋マイ・チャタワーという4種だ。
もっとも、4つ全部付きうるのは、中心となる中子音グループだけ。
高子音・低子音グループは、1,2番目のマイ・エーク่、マイ・トー้
しか付かない。
3,4番目のマイ・トゥリー๊、マイ・チャタワー๋ は、中子音グループだけのものだ。
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この4つの声調符号、字面は覚えやすい。
符号が順に1,2,3,4に似ているからだ(4は十文字で4方向と覚える)。
中子音について、順に符号なしから、1,2,3,4と付けていくと、
5つの声調になる。
つまり、中声、低声、落声、高声、昇声となるので、
これで発音練習ができる。
「ガー→ กา」、「ガー↓ก่า」、「ガー⤵ก้า」、「ガー↑ก๊า」、「ガー⤴ก๋า」と繰り返す。
この5トーンは、音符で現わせないだろうか?
これについては、第4回での試みをトライしていただきたい。
五線譜を引いて、「レ♩、ラ♩、ソミ♫、ソ♩、ドミ♫」とやれば、
音の高低にほぼ合致する(音感はちょっと異なるが)。
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以前触れた「マー」に当てはめて、発声してみよう。
ただし、มmの音は、低子音なので、中子音のように、
声調記号をそのままつけては書けない。
マーをこの5トーンの順に書くなら、
最初は同じく何もなしの「来る」だが、2番目の低音のマーは、
そのままではないから、高子音のหHを借りてきて、
低声記号マイエーク่を付けることになる。
3番目の落声のマー(これも意味はないが)は、
先ほど見たマイエーク่を付けたもの。
低子音字についたマイエークは、音を下げるのではなく、
音を落下させる働きをする。
そして、もう一つある。
そう、頭にหHを借りてきて、2の字に似たマイトー้を付けたもの。
これも落声になるのだ。
4番目の高声のマー、つまり馬だが、マイトー้を付ける。
標準パターンの中子音で習ったように、
マイ・トーなら落声のはずだが、低子音だと高声になる。
マイトーが付くから落声だとは、相手が中高子音の場合。
相手が低子音なら、高声になるのだ。
そして、最後5番目の昇声。つまり犬のマー。どう書くか?
低子音のมMとしては、声調符号なしと声調符号2種類付きを
使い切ってしまった。
マイトリーやマイチャタワーは中子音グループだけのもの。
マイチャタワーを使えないので、「まいっちゃったわー!」と
しゃれている場合ではない。
そこで、最後のここにもหHを借りてくる。
頭にหHがついたマーは、幸いマイエークの付いたものと
マイトーの付いたものしか使っていない。
そう、何の声調符号もつけないหH頭のマーが、5番目の
昇声の犬をつづってくれるのだ。
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低子音の「マー」を代表例にまとめると、
1(平声)は、何もつけない。「来る」だ。
2(低声)は、หH付きで声調記号第1番のマイエーク่を付ける。
3(落声)は、同様にหH付きで声調記号第2番のマイトー้を付ける。
そしてもうひとつ、Hなしの第1番マーエーク่付きが、同時に来る。
4(高声)は、Hなしの第2番マイトー้付きが入る。馬だ。
そして最後5(昇声)の犬が、หH付きながら符号なしだ。
こうみてくると、1番目は何もなしで、最後はH付きで符号なし。
この2つに挟まれた2番目、3番目はH付きで符号1,2付き。
そして一つずれて3番目、4番目がHなしの1番、2番の符号付き。
最初はわかりにくいが、こうして覚えていくと、この低子音グループの
5声の“規則性”の様なものが見えてくる。
マーの例を挙げたので、
同じく意味を持つものとして、復習のために、「ヤー」の場合を見てみよう。
ยYは、マーのมMと同じ低子音グループだから、
同様なパターンとなる。
結果だけ書いておくと以下のようになる。
1.平声ยา (薬) 2.低声หย่า(離婚) 3.落声หย้า 、
(ย่า(おばさん) ) 4.高声ย้า 5.昇声หยา
なお、草、芝生のヤーも、หญ้า 落声のヤーだが、
ย(ヨーヤック、鬼のヨー)ではなく、 ญ (ヨーイン、女性のヨー)である。
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中子音グループの กา ガーと、
低子音グループの มา マーと ยา ヤーの
5つの声調変化のやり方を見てきた。
これは基本である。
声調変化の基本を確認しておこう。
まず子音が、高子音、中子音、低子音、
どの子音グループのどこの子音か見よう。
そして、
①付く母音が、短母音なのか長母音なのか?
②開口子音が付くのか閉口子音が付くのか?
③声調符号が付くかどうか?
それらによって、声調は決まっている。
(15へ続く)