タイ語読み書き60時間集中講座(17)
ーー罪作りなことば“二重母音”--
タイ語の読み書きの学習も、
5つの声調(トーン)の発声練習から
いわゆる“二重母音”に母音の範囲が広がっていくにつれ、
難しくなってゆく。
復習になるが、タイ語の母音は32。
主要母音が、長短9つずつの18だった。
そして特別母音が4つ。
いわゆる二重母音が長短合わせて6つ。
プラス古語からくる文字が4つの計32だった。
二重母音の音は、タイ語によく出てくる。
「ウア」とか、「イア」とか、「ウワ」とかいう音である。
文字に書くと少し難しい。
「ウア」は、 ัวะ(短母音、ウア)、 ัว (長母音、ウーア)、
「イア」は、เียะ(短母音、イア)、 เีย(長母音、イーア)、
「ウワ」は、 เือะ(短母音、ウワ)、 เือ (長母音、ウーワ)である。
「ウア」ัวะ では、子音の上にサラ・ア ั が来るので、
つい、アウと発音したくなる。だが「ウア」である。
口を尖らせたウアである。
代表的な単語に、「ウーア」(牛)がある。
綴りは、長母音の วัวである。
蓮の都チェンマイの蓮(ブーア)も、บัว と綴る。
「イア」 เียะ では、 ย (y)が付くので、「イ」の
手掛かりになるが、なぜ子音の上はサラ・イー ีなのか、
詮索しても始まらない。
イアでは、サラ・イーを使うと覚えておこう。
代表的な言葉としては、「呼ぶ」のリアック⤵ เรียก がある。
また、「関係がある」のギアオ↓ เกี่ยว もイアを含む。
短母音のイアとしては、チア↑ เจี้ยะ (中国人の食べる)がある。
中国語のチー(吃、食べる)からきている。
「ウワ」 เือะ は、ウアと似ているが、こちらは、
口を横に開いてのウである。
後ろに อ サラ・オーが付いて、頭に乗るのはサラ・ウー ื 。
このウーが口を横に開いたウのしるしだ。
「血液」のルワッ(ト)⤵เลือด がある。
これととても似ているのが、「選ぶ」のルワッ(ク)⤵ เลือก 。
“血液を選ぶ”と覚えておこう。
ロー・ルーワ(舟のロー)で知られる
舟(ルーワ) เรือ も同じウワだが、
こちらは、Lではなく、Rである。
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発音が、ウーアとかイーアとか、ウーワとか
うなるような音構えの音は日常語に多く見られる。
日常は、子音が付くから、適当な発音でもなんとか通じる。
しかし、まともに読み書きに入ると難しい。
二重母音という言葉が頭にあるから、
イーアのイとア、ウーアのウとア、連ねて発音しがちである。
しかし、今回習って分かったが、いずれも口構えが変わって
終わる母音なのである。
けっして、イーアだからと、イからアに変えて発音しているわけではない。
二重母音だと思うと、イとア、ウとアをいずれも音に出そうとして変になる。
消え入るとき、かすかに口の構えが変わる母音だと
思った方が良い。
あえて、カタカナで書くなら、ウーア、イーア、ウーワとでも書き、
消えゆく母音は口の形だけぐらいに思っていた方がいいだろう。
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二重母音は、書く際に、もう一点だけ、
注意が必要だ。
以前、末子音が付いた時の母音の“変身”について述べた。
変身シリーズの
1番目は、サラ・アの ะ から、 ั への変化。
2,3,4番目は、マイ・タイクー ็ を使っての、
サラ・ア ะ の排除。
5,6番目は、あいまい母音アゥเ-อะ の เ-อ から、
เิ 、เ-ย への変化だった。
最後の8番目が、オOの โ-ะ のすべてがなくなる変化だった。
そして7番目に当たるのが、ウーア ัว に末子音が付いたとき、
サラ・アッ ั が取れる変化となる。
例えば、「痛い(外傷等ではなく内的な痛み)」のプアッ(ト)↓ ปวด 。
サラ・アッ ั はとれている。
ついでに、「マッサージ」のヌアッ(ト)⤵ นวด 。
こちらもサラ・アッ ั はない。
“痛いので、マッサージへ行く”と覚えておこう。
ちなみに外的な痛み(マッサージの強すぎなど)は、
ジェッ(プ)↓ เจ็บ だ。
(18へ続く)