タイ語読み書き60時間集中講座(20)最終回
--子音グループの連携で声調が完成--
前回、タイ語の子音グループを4つに分けて、
各グループの文字の確認と、
その覚え方を行なった。
4つに分けた子音グループをじっくりと比べてみよう。
「LC1グループ」(低子音その1)の文字は、「高子音グループ」の文字と
好対照を成しているではないか。
高子音グループは、kh,ch,ph,f,s,th、hと
7つの音を持っているが、LC1グループも、
kh,ch,ph,f,s,th,hと、同じ7つの音を持っている。
同じ音(いずれも有気音)なのに、
なぜ高子音グループと、LC1(低子音第1)グループ
に分かれて、似たような文字が対照的に並んでいるのだろう?
ข と ค ・・・同じkh(有気音のkだが、
前者が高子音(卵のkh)、後者がLC1(水牛のkh)。
ผ とพ・・・同じph(有気音のp)だが、蜂のphと脚付き盆のph。
ฝ とฟ・・・同じfだが、蓋のfと歯のf。
などは、どちらが高子音だったか、LC1だったのか
ときどき迷ってしまう。
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実は、高子音グループとLC1グループは、
裏でつながって、助け合っているのだ。
声調の変化を見ればいい。
高子音グループの子音は、低声、落声、昇声しかなく、
平声、高声がないのだ。
自分たちだけでは、5つの声調変化を完成できない。
そこで、LC1グループとタイアップする。
LC1は、平声、落声、高声の3つだ。
平声と高声で、高子音グループを補ってやれる。
一方で、LC1は、低声、昇声を欠く。
逆に高子音から補ってもらう。
両者は、助け合いグループなのだ
(だから、形も似ているのがある?)。
5声調をkhで代表して記せば、以下のようになる。
平声 低声 落声 高声 昇声
高子音 ข่า ข้า ขา
LC1 คา ค่า ค้า
この6つの言葉(カム、 คำ )のうち、
意味を持っているのはどれだろうか?
どれも、有気音のカーという発音だが・・・。
実は、6つ全部、意味(クワーム→・マーイ⤴、 ความมาย )を持っている。
・平声の「カー→ คา 」は、「カー・ティー⤵ คาที่ 」(その場で)で使われる。
「くっついて」の意味。
・低声の「カー↓ ข่า 」 は、「タイ生姜、ナンキョウ、ガランガー」だ。
トムヤムなどに入っている清涼感のあるやつだ。
なお、薬味として良く使うジンジャーの生姜は、「キン(グ)⤴ ขิง 」である。
・落声の「カー⤵ ข้า 」は、「カー⤵・ラチャガーン(公務員)」のカーだ。
「人」の意味。
同じ落声の「カー⤵ ค่า 」でも、低子音の方のカー⤵は、
「料金」の意味。
「カー⤵・ファイ→(電気代) ค่าไฟ 」 月900~1400バーツと、
「カー⤵・ナーム↑(水道代) ค่าน้ำ 」 月130~140バーツは、
日本よりは安い。
なお、落声の「カー⤵」で、もうひとつ「殺す」というのがあるが、
このkhは、コー・ラカン(グ)の ฆ ( ค と同じ低子音)を使った ฆ่า である。
・高声の「カー↑ ค้า 」は、「商いをする」という意味。
「商売する」は、「カー↑・カーイ⤴ ค้าขาย 」(カーイ⤴は売る)。
まさに商売である。
ちなみに「ビジネス」は、「トゥラギッ(ト)↓ ธุรกิจ」。
「トルコでのビジネス」は、「トゥラギット↓ ティー⤵ トゥラギー→
ธุรกิจที่ ตุรกี 」となる。
・昇声の「カー⤴」は、すでに出てきたカー⤴。
そう、脚のカー⤴ ขา である。
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このパターン、以前にどこかで見ている。
そう、中子音グループが、平声、低声、落声の三つしかなかった時に、
高子音グループの中の ห h の字を‘借りて’きて、頭に ห h を付けて
5声調を完成させたケースだ。このパターンを再度示しておこう。
平声 低声 落声 高声 昇声
高子音 หก่า หก้า หกา
中子音 กา ก่า ก้า
(カラスのガー→ กา は、中子音、平声のガー→である)
高子音グループと低子音グループとの
助け合いと同じパターンが、高子音グループと
中子音グループの間で行われている。
こちらは、高子音グループがhを提供する形だ。形を変えて。
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20回にわたって、
パヤップ大学で行われた
タイ語の読み書き講座を
自分なりに頭の整理のために
まとめてみた。
今までややあやふやだった
タイ語の基礎構造をしっかり
固めることができた。
タイ文字になじみの薄い人には
ちんぷんかんぷんだったかも
わからないが、実際タイ語の
読み書きに真剣に取り組んだ時に
生きてくる内容かなと思われる。
(最終回終わり)