カテゴリ:タイの財政・税金( 50 )
厳しいタイの不動産課税への道のり
タイの積年の課題である「資産課税」の
導入が、選挙結果にとらわれない軍事政権下で
実現するかと見られていたが、この3月になって、
やはり一頓挫をきたしている。


タイは不動産課税(軽微なものを除く)や相続税がない
東南アジアでも珍しい資産家厚遇国である。
ミャンマーやカンボジアでさえ、不動産税はあるのに・・・。
タイはアセアンでも所得格差のもっとも
大きく開いた国となっている。

 「世界最高レベルをキープするタイの所得格差 2011-12-18」
  http://uccih.exblog.jp/15126498/


資産課税を果たすことによって、
所得格差が少しでも縮まり、遊休地の有効活用が
図られ、さらに国のインフラ投資への資金が生まれると
いいこと尽くめだが、改革の道は厳しい。


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ここ20年、タイでは不動産税のアイデアがいつも
出てきたが、時の政権が立法化することが出来ないで来た。
近くは2011年、民主党政権の時代、党内の反対も押し切って、
不動産税案が出てきたが、政権交代で出てきたタクシン派の
インラック政権によって捨てられた。

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今回の軍事政権は、税制改革をひとつの目玉に挙げており、
当初から積極的だった。
最初に、「相続・贈与税」を導入し、続いて「土地・建物税」を
導入する日程で進んできた。


 「タイの貧富の差を縮める資産課税の導入なるか? 2014-10-8」
   http://uccih.exblog.jp/21126476/


税率や課税最低限度も、負担度を減らすため、
財務省案は、それなりに抑えられ、リーズナブルなものである。
相続税については、最低課税遺産額を5千万バーツ
(約1億8500万円)とし、税率を10%としているが、
反対派からに妥協すべく税率5%の線で調整が進められている。

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不動産税も、各国に比べれば、低い税率だが、
反対派のレトリックが効いている。
不動産税は、はじめて住宅も対象となるため、
所得税すら払う人の少ないタイでは、庶民のふところを
直撃するという怖れが広がった。

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折りしも、タイの景況は良くなく、家計の借金レベルも高い。
2015年3月12日、プラユット首相は、不動産税案の棚上げを
表明した。


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もっとも、変幻自在のタイのこと、これで不動産課税が
またつぶれたとも言い切れない。
財務省やエコノミストの中の税導入必要論は多い。
ことに現在のタイは、国のインフラ投資を進めないと、
なかなか景気を浮揚させるのが厳しい状況にある。


国の借金も拡大しており、不動産税の導入によって、
年間2000億バーツ(約7400億円)の税収増を図りたいのが本音である。
まずは相続税がことし成立するかが、軍事政権の税制改革に
対する本気度の試金石となる。
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by ucci-h | 2015-04-05 23:56 | タイの財政・税金 | Comments(0)
タイの教育予算や国防予算は高めだが、その中身はどうなっている?
前回、タイの新年度の財政規模について触れた。

 「タイの新年度財政は、少しは立て直しを図れるのだろうか? 2014-10-19」
  http://uccih.exblog.jp/21223451/


なかなか財政支出を抑えることは難しいようだが、
その中身について見てみよう。


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タイの2015年度(2014年10月~2015年9月)予算の
総額は、2兆5750億バーツ(約8.5兆円)。
このうち、省庁別に見ると、トップ3は以下の様になる。


1位は、教育省の4980億バーツ(全体の19.3%、約1兆6400億円)
     前年度比+3.2%
2位は、内務省の3410億バーツ(同じく13.2%、約1兆1250億円)
3位は、防衛省の1930億バーツ(同じく7.5%、約6370億円)
     前年度比+5.0%


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日本の一般会計(特別会計もあり必ずしも全体像を表していないが)
に占める文部科学省の予算の比率はほぼ6.0%だから、
タイの教育予算の比率19.3%はきわめて高い。
教育充実はタイにおける優先度のナンバーワンだ。

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タイは教育が遅れていると、自他共に認めている。
しかし、教育予算はきわめて高い。
また進学率も低くない。
この矛盾はどこから来ているのだろう?


その答えは、タイにおける教育予算の使われ方を見ると
見つかるようだ。
学校関係の建物、ハコ物に多くの予算が使われているという。
もともとタイ人は見かけを重んじる。

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大きな校舎や事務所を作るだけでなく、立派な国旗ポールや
校章の入った建造物を作る。
こういった入れ物偏重の予算執行は、わいろの入る余地を増やし、
プロジェクト予算の3割は袖の下だと業者に言わせている。


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また、現場の教師以外の学校関係の人件費が膨らんでいるという。
管理関係の人件費が多く、現場の教師は、そこからの雑事に追われ、
実際の授業の先生は不足がちだという。


こういった、高給の教育管理者をかかえる頭でっかちの組織に
反対する声も多い。
「まずは、教育省を解体せよ」という声まで出ている。


タイの教育内容は、近隣諸国に比べても不十分だと言われる。
特に、カリキュラムが詰め込み式で(タイの学校の授業時間は長い)、
考えるくせが育たないと言われる。
先生からの教えは絶対的で、質疑や批判の空気が育っていないと言われる。
日常でもタイ人は、「なぜ?」とか「どうして?」とか問いかけることが少ない。


予算は大きくなっているが、タイの教育は、構造転換と質的変化を
求められているようだ。


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内務省予算も教育省と似たところがある。
つまり、タイの各地を回れば分かるように、田舎に行っても
立派な地方庁舎、役場が多く見られる。

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ここもハコ物、そしてその中に入れる人数主義だ。
ことにタイの場合は、中央集権政治だから(各県の知事は
内務省から派遣される)、いっそう中央の威光を示すべく
立派な地方庁舎が建てられる。


建物が大きいと収容人員も多くなる。
地方の役人は、余った時間を外国視察旅行など
予算消化に努めると言われる。


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国防費の規模は、その国のおかれている状況によるわけで、
適正規模は存在しない。

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ちなみに、日本の防衛庁の予算は5兆円近くで、
一般会計に占める比率は5.0%ほど。
タイの防衛省の比率7.5%の方が高い。


クーデターが起り軍事政権が出来るたびに
防衛費はジャンプアップしたものだが、
今回は5%増に抑えられている。
プラユット政権は、世論に敏感である。

 「軍事政権になってタイの軍事費は膨れたか 2014-8-5」
  http://uccih.exblog.jp/20978963/


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タイにも、産軍複合体は存在する。
武器には常に老朽化と言う「買い替え論理」が存在する。
新しい武器は、旧来型よりも高くなっている。


また、タイの軍隊には、現在1750名以上もの“フラッグ・オフィサー”
(将軍および提督)がいると言われる。
20万の国軍においては多すぎると見られている。
ほとんどのフラッグ・オフィサーは一定の任務はなく、高給と
地位を保持していると言われる。


プラユット軍政権が、国の改革に本気なのか・・・
お膝元の軍改革の行方で、国民もその本気度を
占うと言われる。
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by ucci-h | 2014-10-20 11:01 | タイの財政・税金 | Comments(1)
タイの新年度財政は、少しは立て直しを図れるのだろうか?
タイは軍政になっても、ポピュリスト的財政政策から
なかなか抜け出せないかもしれない。


途上国において、政府は、国民にいわば金を配る
バラマキ政策が、人気取りの手っ取り早い方法だから、
麻薬中毒患者のように、国民が期待するバラマキ政策からの
転換はなかなか難しい。

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前2014年9月度、タイの財政収入は、予定額より
8.8%(2000億バーツ、約6600億円)も少ない
2兆730億バーツにとどまったようだ。
減税や景気停滞、輸出の不振が効いている。


財政支出は、2兆5250億バーツほどの予算近くを
消化したはずなので、前年度の赤字は
4000~4500億バーツほどに拡大したはずである
(計画は2500億バーツの赤字だった)。


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そして新しい2015年度(2014年10月以降)は、
2兆5750億バーツ(前年度比+2%、約8.5兆円)の歳出が、
軍政下で計画されている。

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これに対して、赤字の予定は新年度も2500億バーツだから、
財政収入の予定は、2兆3250億バーツ(約7兆6700億円)という
ことになる。


つまり、財政赤字を2500億バーツに抑えるためには、
前年度比+2500億バーツほどの増収が必要になる
(2兆3250億バーツ - 2兆730億バーツ)。


昨年度の税収がだいぶショートしたとはいえ、
+12%の歳入増は簡単ではないだろう。


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軍政は、歳出の伸びはほどほどに抑え、
歳入の大きな伸びに期待しているように見える。


昨年度の4000億バーツ近い財政赤字に加え、
新年度も赤字が3000~4000億バーツに達するなら、
近年のタイの財政状況は、なお悪化しつつあるということになろう。


財政バランスの回復には、支出抑制が必要になる。
財政支出には、非効率なものも多い。
軍政下での財政支出の中身については、
次回に見てみよう。
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by ucci-h | 2014-10-19 19:59 | タイの財政・税金 | Comments(0)
タイの税制改革を目指す軍事政権にも‘政治のカベ’
前回、タイの軍事政権が最優先課題に掲げた
エネルギー政策について、この物価高の環境で、
なかなか思い通り、市場価格にもっていけない状況を
お伝えした。


タイ軍事政権は、また、タイの税制の包括的改定も
重要政策として掲げている。
ここまで2ヶ月、タイの税制の変化は見えてきたのだろうか?


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タイの税制の最大のポイントは、高所得者への課税を強め、
経済成長に不可欠な、貧富の分化を正し、中間所得層の
拡充にある。

 「資産再配分より資産集積を目指すタイの税制 2012-4-22」
  http://uccih.exblog.jp/15760350/


そのためには、懸案の資産税を導入し、
税収の拡大を図ると同時に、貧富の差を少しでも縮めることが
必要で、軍事政権も、財務省からの資産税の提言には耳を傾けている。

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以前から提案されてきて、日の目を見ないでいる
土地・建物にかける不動産税は低所得層も含めすべてにかかるので
嫌われるのなら(もちろん、用途により税率は大きく変わるのだが)、
“富裕税”はどうかという案が出てきている。

 「貧困層の味方であるはずのタイ貢献党政権に葬り去られる不動産税法案 2012-4-5」
  http://uccih.exblog.jp/15674915/

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富裕税は、各世帯の資産額に応じて税を課そうというものだが、
むしろこちらの方が、課税対象資産の算定にてこずりそうだが・・。


また、株式の譲渡益にキャピタルゲイン税のないタイだが、
1年未満の短期利得に対し5%の譲渡利得税をかける案も出てきている。
もっとも、財務省は及び腰で、証券取引所からの提案待ちである。

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しかし、前インラック政権の消長を見てきた
軍政権は、世論の動向に敏感になっている。


長年ポピュリスト的甘やかし政策に慣れてきた
タイ国民に対して、課税を強化することは、今のハネムーン的な
軍政権に対する人気が、急速に剥げ落ちかねないことを知っている。


税の徴収を増やすというより、
軍政権も、今の芳しくない景気動向を見て、むしろ
減税に傾きそうな気配である。


軍政権のトップ、プラユット陸軍司令官は、
クーデター1週間後の5月末に、早くも、
「付加価値税の現行の7%を下げれないか検討してくれ」と言っている。
タイの付加価値税は、10%への引き上げが、ずっと延ばされて来ている。


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結局、軍政権は、税制については、今の段階で改定は行なわず、
新しい内閣に任せる意向のようである。

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タイの税制をどうするかの中で、典型的な議論が
「LTF」(長期株式ファンド)と「RMF」(退職投資信託)の
非課税をどうするかという議論だ。


LTF(資産23億バーツ)とRMF(資産1500億バーツ)は、
投資奨励のため、これらへの給与からの拠出分
(年収の15%か50万バーツまでの低い方)が所得課税
対象から引かれるが、2016年末までとなっている。


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「これらの非課税奨励の効果が薄くなってきたので、
もう非課税扱いは止めにしよう」と言うのが、財務省の言い分だ。
非課税分は、年間200億バーツに達するというから、
それが本当なら、確かに大きい。


確かにこの非課税措置で大きな恩恵を受けるのは、
高所得者層のはずだから、キャピタルゲイン非課税に加えての
投資ファンド非課税では、高所得者層に恩恵を与え過ぎというわけだ。


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証券界の方からは、もちろん投資奨励のため、
また高齢化の中、不足している退職基金積立のため、
この制度の継続を求めている。


RMFの非課税措置は、退職基金充実のために残りそうだが、
LTFは、わずか70万人しか所有しておらず、実質3年強持てば
(暦年で足掛け5年)非課税とされるため、
高所得者層の節税ツールとなっているようで、
消される可能性がある。


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この議論の中でも、税金をしっかりとって、
所得格差を減らしていくべきだが、
エネルギー価格と同じで、税は誰にとっても低い方がよいと
いう民意に迎合して行きたいという為政者の思いが顔を覗かせる。


低い税金に慣れたこの国において、
税制改革は容易ではないだろう。
もっとも税収もさりながら、前政権の政策を見ていると、
税の支出の方向に、さらに大きな問題がありそうだ。
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by ucci-h | 2014-07-25 21:25 | タイの財政・税金 | Comments(0)
軍事政権だからできるか、タイの国有企業へのメス入れ
非民主主義と非難されがちな軍事政権だが、
議会制内閣に比べて、プラス面もある。

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①決定と行動が速い。独裁政権だからである。
②既得権が絡み、通常の内閣ではなかなか切り込めない
分野にメスを入れやすい
(もちろん軍部の利権というものはあるが・・)。


①長期に滞っていた農民へのコメ代金支払いが、
即座に始まったのは、速い決定と行動の例である。


②そして、今回、国営「タイ航空」など、国営企業に
メスが入れられることになった。
強権政治ならではのことである。


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まず槍玉にあがったのは、「タイ国際航空」(THAI)である。
財務省がその株式の51%を持っているが、
そのほかに政府貯蓄銀行が2.4%、政府系投資ファンドが16.3%
持っているので、実質的には国が7割を持つ国有企業である。

 「財政悪化を小さく見せたいタイ貢献党政府 2012-1-21」
  http://uccih.exblog.jp/15306127/

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国営企業であるタイ国際航空は、LCC(格安航空)の攻勢にあって、
シェアを下げ、今や赤字に陥っている。

 「タイ上空でタイ国際航空を包囲するLCC 2014-4-24」
  http://uccih.exblog.jp/20614120/


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タイ国際航空の役員に対する特典は手厚い。
この国営航空会社の役員は、政権が変わるごとに
入れ替わるが、政治家が身近な人を送り込むからである。


15人の役員は、国内線往復券10枚と国際線往復券10枚
(いずれもビジネスクラス)を毎年手に入れることが出来る。
家族に対してでもだ。
また役員を退任した後も、12枚の国際線チケットと6枚の国内線チケットを
75%ディスカウントで、生涯安く入手することができる。


業績の良かった2011年10月以前は、なんと、国内、国際線それぞれ
30枚ずつ、ファーストクラスの航空券をもらえたという。
これでは、毎週のようにファーストクラスの座席に乗っていなければ
使い切れない。


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「国家平和秩序評議会」(NCPO)は、
2014年6月10日に、ただちにこれを廃止させた。
組合が長年要求してきたことが、軍事政権の一声で実現した。


チケット特典の経費は、航空会社全体の費用から見たら
たいしたことはないが、それでも、国内券平均7千バーツ(2万2千円)、
国際券平均6万バーツ(19万円)として、役員一人当たり67万バーツ
(210万円)分の特典付与だったわけだ。


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国営企業へのメス入れは、
役員の特典にまず向けられる。
分かりやすいし、国民の支持を得やすいからだ。

 「タイの国有企業の問題点 2011-6-20」
  http://uccih.exblog.jp/13831530/


タイには60近くに及ぶ国有企業があるが、大手では、
石油会社の「PTT」(ポートートー、国の所有66.4%)、「タイ国際航空」、
「クルンタイ銀行」(KTB、国の所有55.3%)といったところだ。

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これら国有大手3社の役員に対する報酬、特典は多い。
各社とも、取締役会のメンバーには、月3万から7万バーツの
報酬を払った上に、会議毎に3万~5万バーツの手当てが出る。


平取りでも、月8万~10万バーツ以上になる。
これに、利益に比例した年間ボーナスが付く。
欧米に比べれば、レベルは低いが、
タイの一般的サラリーマンから見れば、
高嶺の花である。

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NCPOは、国家財政の赤字拡大を抑えるためにも、
過度の報酬・手当てを廃止させる意向を示している。
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by ucci-h | 2014-06-12 23:16 | タイの財政・税金 | Comments(0)
GDP比50%に近づいていくタイの公的債務残高
タイ貢献党のポピュリスト的支出拡大に
洪水対策支出が加わり、タイの財政状態は、
青信号から黄信号に変わりそうだと1月に見たが、
その姿がはっきりしてきた。
 「青信号から黄信号に変わったタイの財政事情 2012-1-18」
  http://uccih.exblog.jp/15290556/

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この2012年度(9月期)は、従来の財政赤字見通し3500億バーツが
4000億バーツに拡大する(これだけで、予想GDP11兆バーツ近くの
3.7%ほど)。

これに、洪水対策のための借り入れ3500億バーツが加わる
(執行は3年ほどにわたろうが)。
プラス洪水補償基金500億バーツが加わり、
政府の公的債務残高は、計8000億バーツほど増加する。

その結果、公的債務残高は、昨年度末の4兆3千億バーツ(GDP比40.3%)
から、5兆2千億バーツ(GDP比48.6%)に拡大すると、政府は見ている。
2013年度は50.4%と50%を超え、2014年度52.1%、2015年度の53.2%
まで上昇すると見られる。従来の見通しを上回ってきた。
 「公的債務残高を小さく見せたいタイ貢献党政府 2012-1-21」
  http://uccih.exblog.jp/15306127/


公的債務残高がGDPの50%を超えるからといって、
日米欧など先進国の100%前後の高い残高から見れば、なお
許容範囲だろうが(経済が成長しているし)、
今までの青信号から黄信号に変わり、注意しなければならなくなったのは
間違いないだろう。

タイの財務省は、GDP比60%を公的債務残高の天井としている。
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by ucci-h | 2014-06-10 23:39 | タイの財政・税金 | Comments(0)
タイの新たな公共投資、最優先はやはり4車線道路拡張工事
タイの経済発展を支えてきたのは、全国に広がる 道路網である。
タイがアセアンの中でここまで経済が 発展してきた背景には、
アジアでも進んだ道路網の 存在があった。

 
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ことに1990年代半ばから、 道路の4車線(片側2車線ずつのこと)拡張工事が、
 第1期、第2期と進められ、経済成長のインフラとなった。


 2013年末現在では、タイの4車線道路の総延長は12,444kmと、
 全自動車道路67,000km(2012年、JETRO)の2割近くを占めている。
 これに加え、433kmが工事中とのことだ。


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 昨年度(2013年9月度)も、 4車線拡張工事は優先的に進められるはずだったが、
 多くが、タイ貢献党政権の‘予算外の借入インフラ大プロジェクト’の 中に組み入れられたため、
インフラ大プロジェクトの停滞によって かえって進まなかった。


  「進まないタイの公共大プロジェクト 2014-3-5」
    http://uccih.exblog.jp/20427703/  


 今2014年度、タイの公共投資は、 “2兆バーツ大プロジェクト”ではなく、
 予算の中で、優先度の高いものが執行される。 
 そして、その中で、やはり道路の4車線拡張工事が 最優先となってくるようだ。


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 「公共債務管理局」(PDMO)によれば、
 45地点での道路4車線拡張プロジェクトが進められるという。
 総延長距離は14,741km。総工事費は2,890億バーツ 
(約9,000億円)ほどにのぼるという。

 
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これが実現すれば(単年度ではおそらく無理だろうが)、
 現在ある4車線道路数は倍増し、27,600km近くに達し、
 全自動車道路の4割ほどが、4車線以上となるはずだ。


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 タイには、4車線以上の、6車線、8車線の道路も目立つ。
 また、インラック首相のおひざもとのチェンマイのサンカンペーンでは、
 昨年来、4車線拡張工事が進められている。


 当面、自動車輸送が、タイの主要交通網であり続けるだろう。
 鉄道改良の方は、インフラ・プロジェクトには組み込まれたが、 動きは鈍い。
 2,859kmの鉄道複線化はいつ動き出すのだろうか?




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by ucci-h | 2014-04-24 11:48 | タイの財政・税金 | Comments(0)
タイにおける際限のない(?)酒税の引き上げ
2013年9月4日(水曜日)午前0時より、
タイのアルコール飲料の税金が上がり、
ビールやワイン、蒸留酒の値段も5~20%
上がった。
諸物価高騰の折、酒飲みにはさらなる追い討ちとなる。

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買いだめを防ぐため、閣議決定後、即実施となった。
酒類やタバコに対する増税は、悪習に対する課税強化
ということで理由が立ちやすいから、いつも増税の
対象になりやすい。

 「蒸留酒、たばこに続き、ビール税も引上げか 2012-8-26」
  http://uccih.exblog.jp/16695671/

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今回は、ふたつの変更で実施された。

①酒税は、価額に対する課税と、アルコール量に
対する課税から成り立つが、
許容限度一杯になってきたアルコール量に対する
税額限度を、今回は大きく引き上げた。

醸造酒(ビールやワイン)に対し、
従来のアルコール量リッター当たり100バーツから
一挙に20倍の2000バーツに引き上げた。

蒸留酒(ウイスキーやラオカオ)に対しては、
100バーツを400バーツの上限に。

これにより、今後10年、さらに酒税を引き上げられる
準備をしたということだ。

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実際には、今回は、ビールは、アルコール・リッター当たり
300バーツ(当初は155バーツ)へ、
ワインは1000バーツに引き上げられた。
実際の小売価格では、この分、ビールで一瓶4バーツ前後、
ワインで、35-40バーツの値上がりになろうか。

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(バンコク・ポスト紙より)

一方、庶民のアルコールである米の蒸留酒については、
リッター100バーツが145バーツほどに引き上げられたようだ。
一瓶100バーツ未満の安い蒸留酒は値上げこそすれ、
なお相対的に安いアルコール飲料にとどまる。

酒税の引き上げは、健康や車の運転によくない酒飲みを
減らすためと唄われるが、なおアルコール度の強い酒が
割安なことは変わらない。

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②もうひとつは、価額に対する課税の対象を、
従来の倉出し価格(輸入品はCIF価格)から、
卸売価格(付加価値税控除後)に変更した。

これにより、業者の低い価格での申請を防ぎ、
税収を増やそうと言うことである。

アルコール量課税に、この卸売価格価額課税が加わる。
こちらの料率は、ビールで48%、ワインで36%
(一瓶600バーツ以上のもの)、と変わらない(米蒸留酒は4%と低い)。
対象が卸売価格に変わったが・・・。

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もちろん政府の本音は、ポピュリスト政策による税収減を
カバーするためだろう。
酒の物品税収入は、年間1300億バーツ(4000億円)ほどに
のぼり、物品税収全体の4割近くに達するが、
今回の引き上げにより、年間100億バーツを超える税収増に
なるようだ。
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by ucci-h | 2013-09-26 01:21 | タイの財政・税金 | Comments(3)
日本から見ればうらやましいタイの財政刺激策だが、今後タイは暮らしにくくなるのか?
ポピュリスト的ばらまき政策で批判の多い
インラック政権の経済政策だが、
財政面でどのくらい負担になっているのか
調べてみた。

一番、財政面でも負担の多いのは
「コメ抵当スキーム」だ。
これは1年で終わることなく、2012年10月より
2年目に入っている。

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1年目は、1805万トン(籾量)のコメが納められ、
補助金部分を、「受取価格(平均15600バーツほど)-市場価格(平均10500バーツほど)」
とすると、トン当たり5100バーツ、総額920億バーツが税負担となった。
国民一人当たり1370バーツほどの負担だ。

 「コメ抵当スキームの大きな資金はどう渡ったか 2012-12-9」
  http://uccih.exblog.jp/17392326/

もっともこれは、政府が倉庫に貯め込んだコメを劣化、低価格処分せずに
処理できたとしての話で、在庫負担費用も含め、今後の損失も考えると、
税負担は、1000億バーツを超えていこう。
国民一人当たり1500バーツの負担を超えそうだ。

@@@@@

次に大きいのが、これはポピュリスト政策ではないが、
法人所得税の引き下げによる税負担(税収減)だ。
従来の30%の法人税率は、2012年7月より23%に、
そして2013年1月より20%に引き下げられた。

法人税収入は5440億バーツほど(2012年9月度推定)にのぼり、
タイの税収(1兆6200億バーツ)の3分の一を占める大きな税収源だ
(一番大きいのは付加価値税の6280億バーツ。両者で
全税収の3分の2に達する)。

減税初年度は、5.2%の法人税税収減となったようだ。
企業収益も伸びているので、本来なら4%ほど(+225億バーツ)の
税収増だったはずだが、減税による減収分マイナス525億バーツ
があったため、300億バーツほどの税収減になったと見られる。

2年目(2013年9月期)は、1月から税率が20%にさらに下がる。
法人税減税は、さらに500億バーツほどの税収減要因となりそうだから、
企業収益がよほど伸びない限り、法人税収入は、翌3年目の2014年度も含め、
足踏み、ないし減少しそうだ。

@@@@@

3つ目に大きな財政負担政策は、初回自動車購入者への税還付だ。
これは、2012年一杯で終わったようだが、予定の50万台を大きく超える
130万台の需要があったようだ(おかげで道路は渋滞、渋滞)。

 「予想を超える自動車の国内販売 2012-12-23」
  http://uccih.exblog.jp/17492857/

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1台当たり平均7万バーツの税収減(この物品税免除は、翌年の所得税還付
の形で行なわれる)として、910億バーツにものぼる。計画の300億バーツの
3倍だ。

もっとも、持ちきれずに手放す者も今後出てこようから(5年間持たないと
税還付は適用されない)、実際は100万台ほど、700億バーツほどの負担に
収まろう。
タイ国民一人当たり1050バーツの負担になる。

また、この自動車物品税還付制度は、言うなれば、今年、来年の自動車購入の
先食い。今年の爆発的な国内販売150万台ほどは、制度がなければ100万台ほど
だったはずだから、制度に刺激された追加需要50万台ほど(車種の制限はあったが)は、
今後3年ほどかけて吸収されていく(その分はへこむ)ことになろう。

およそ100万台分が、ここ3年ほどかけて、物品税計700億バーツを免れたと見て
いいのだろう。

@@@@@

その他にも、公務員の初任給引き上げ(+400億バーツ)や、
ディーゼル油減税(100億バーツ)など、負担は多い。

さらに、オフ・バジェットだが、水害対策費3500億バーツが
認められている(実際の支出はいまだ10億バーツだけだと言われるが)。
そして、今後数年のインフラ投資で、2兆バーツが計画されている。

こういった刺激策の追加支出は、2012年9月期が6250億バーツ
(税収の3.9%)と膨らみ、2013,2014年度も2000億バーツ以上には
なりそうだと見られる。

また、あまり報道されていないが、
タイの公的年金制度の充実もいずれ待ったなしでやってくる。
これに対する負担は議論されていない。

@@@@@

こういった中、2012年12月18日には、
政府は個人所得税の減税を決めている。

タックス・ブラケットを4つから7つに増やす中で、
最高税率37%を35%に下げ、また課税所得額100~200万バーツや
50~75万バーツ、15~30万バーツ層の税率を5%分下げている。
また、配偶者の所得税分納も今回から認められた。

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タイで所得税を納めているのは、230万人ほどしかいない。
全労働力人口の6%に過ぎない。
月収2万~2.5万バーツ程度の働き手なら課税最低基準に届かない。
従って、個人所得税の減税は、高所得者減税と言うことになる。

ポピュリスト的政策による税負担の拡大に加え、
法人税、個人所得税の減税。
景気にはプラスで、日本などから見ればうらやましい話だが、
これに公共投資の拡大が加わっていくと、
いまや青信号から黄信号に変わったタイの財政事情は、
今後たちまち赤信号になりかねない。

為政者は、選挙の票に結びつくばら撒き政策に走りがちだ。
景気の拡大により、財政悪化は止められると言うのが
減税、財政支出拡大の言い訳だが、はたしてどこまで
カバーできるのだろうか。

今後数年、タイの財政事情から目が離せなくなってきた。
いずれ近いうちに、付加価値税率も現在の7%から上がっていくのだろう。
タイでの暮らしが、バーツ為替アップ、物価アップ、付加価値税アップで
次第に暮らしにくくなっていきそうだ。
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by ucci-h | 2013-01-07 11:59 | タイの財政・税金 | Comments(2)
タイの住宅初回購入者優遇策はどうなったか?
タイにおける車の初回購入者への税優遇の結果は
前回触れたが、住宅の初回購入者に対する税優遇は、
どうなったのだろうか?

政策の中身が、ころころ変わるタイのこと、
よく追って見て行かないとわからなくなる。

 「とんでもなく変わるタイの住宅初回購入者優遇策 2011-10-3」
  http://uccih.exblog.jp/14687537/

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住宅の初回購入者に対する税優遇策は、
昨年9月末にスタートしたが、500万バーツまでの
新規住宅(500万バーツは高級住宅)の
初回購入者に対して、購入価格の1割分が、
所得税から5年かけて税額控除されるというものだった。

タイの年間の住宅着工戸数40万戸ほどのうち、
10万戸ほどが対象となり、120億バーツほどの
所得税減税になろうと見られていた。

そして、これに続き昨年10月はじめに打ち出された第2弾が、
高所得者優遇との批判を受けて追加された、
100万バーツ以下の低価格住宅の初回購入者に対して
政府住宅銀行(GHB)を通じての30年ローンにおける、
最初の3年間金利ゼロ政策だった。
200億バーツのローンが対象と見込まれた。

そして1年間経った。
前者のほうは、その結果が、タイらしく報じられていないが、
チェンマイではずいぶん多くの新築を見かける。
後者のほうは、自動車と違って、計画に届かなかったようだ。

期間終了1ヶ月前の8月末までの承認数は8700件。
計53億バーツ(1件平均60万バーツ)の利用にとどまり、
目標の200億バーツの3割弱しか行かなかったと言う。

そこで、来年の3月28日まで、プランを6ヶ月延長すると言う。
住宅購入優遇は未達成だから延長してもいいのだろうが、
自動車購入のほうは、予想通りの効果なのだから、
予定通り年内でもうやめて欲しいものだ。
税金を使って、これ以上街に車を増やして欲しくない。
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by ucci-h | 2012-11-12 16:31 | タイの財政・税金 | Comments(0)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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