カテゴリ:電力・エネルギー( 16 )
タイの自動車用燃料価格の不公平さにメス
7月下旬に、新しい軍事政権も、エネルギー政策には
混迷しており、包括的な政策は出せないでいると記した。

 「タイの軍事政権もエネルギー政策に戸惑う 2014-7-25」
  http://uccih.exblog.jp/20941898/


8月末になって、軍政権は、自動車燃料の価格差の不公平を
微調整だが、手直しした。
従来、タイでは、ガソリンの物品税と国の「石油基金」への拠出額は
高く、一方で、ディーゼル油、LPG(液化石油ガス)、CNG(圧縮天然ガス)は
税金も基金拠出額も低く(CNGはゼロ)、優遇されてきた。


その結果、同じクルマなのに、ガソリン車の維持費は高くなり、
人々はディーゼル車(車そのものの物品税も安い)、LPG車、CNG車に
傾いてきた。
今や、ディーゼル油の消費量は、ガソリンの3倍近くに上がってきている。
また、ガソリン車からCNG車への改造も目立ち、スタンドで火災など起こしている。


 「どうなるかタイで一番売れているディーゼル油の値段 2012-2-20」
  http://uccih.exblog.jp/15459857/

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2014年8月30日より、
ガソリン類の物品税の小幅下げと、オイル・ファンドへの拠出の小幅下げ
(20%エタノール入りのE20は小幅上げ)、ディーゼル油の物品税の小幅上げ
(オイル・ファンド拠出は小幅下げ)によって、ガソリン類とディーゼル油の
価格差は若干縮まった。


ガソリン      48.75バーツ/L ⇒ 44.86バーツ/L 
  物品税 5.60バーツ/Lに、オイルファンドへの拠出 9.75バーツ/Lに
ガソホール95  39.93バーツ/L ⇒ 37.80バーツ/L
  物品税 5.04バーツ/Lに、オイルファンドへの拠出 4.25バーツ/Lに
ガソホールE20 34.98バーツ/L ⇒ 33.98バーツ/L
  物品税 4.48バーツ/Lに、オイルファンドへの拠出 0.80バーツ/Lに
ディーゼル油  29.85バーツ/L ⇒ 29.99バーツ/L
  物品税 0.75バーツ/Lに、オイルファンドへの拠出 1.00バーツ/Lに

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差は縮まったといっても、ディーゼル油のリッター小売価格30バーツの天井は
保たれている。
ガソリンが製油所価格からリッター20バーツも高くなるのに対し、
ディーゼル油は、4.5バーツほどしか高くならない。


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家庭燃料とあわせ、統制されている自動車用LPGは、
物品税がガソリンの半分ほどに抑えられているので、
徐々に上がってきて自由価格に近づいてきているものの、
なおキロ21.38バーツと、ミャンマー、ベトナム、カンボジアと言った
近隣諸国の小売価格(バーツに直すと35~45バーツ)を、
キロ当たり13バーツから23バーツも下回っている。

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CNGについては、販売された2002年当初、国産天然ガスは
原油輸入を減らすものと奨励され(今は天然ガスの輸入が増えたが)、
物品税やオイル・ファンド拠出は無税、さらに供給元のPTT
(国有企業)がキロ4バーツほどの補助を行なっているので、
CNGの小売り価格はキロ10.50バーツと、製油所出のコストを
3.5バーツほど下回って売られている。

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今回の軍政権の価格調整をどうみるか?
公平への見せ掛けだけの、小幅調整と見る批判的な見方も多いだろう。
しかし、これが包括的な燃料価格の調整ではない。
これから、タイがエネルギーの市場価格に向かう初歩的な動きとみたい。


財政面から見ても、今後のディーゼル油の物品税引き上げの
余地を残したことは、税収拡大の可能性を残したことだ。
70億バーツの赤字と食い込んでいるオイル・ファンドについても、
今回の減収のままではすまないだろう。


さらにまた、今回やらなかった、LPGの市場価格への移行、
CNGへの課税も今後出てくるだろう。


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エネルギー輸入依存が高まるタイが、エネルギー価格への
補助制度を減らしていくのは、時間の問題かもしれない。
インドネシアの失敗の例も知っている。


もっとも、物価高で国民の家計が困っている今は、ともかく高い
燃料価格は少し下げて、公平を期し、値上げとなる市場価格への
移行はその後ということになるのだろう。
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by ucci-h | 2014-09-14 16:53 | 電力・エネルギー | Comments(0)
決断の速いタイの軍政権も、物価高の中、エネルギー政策の策定に戸惑う
決断の速い軍政権になったが、
タイのエネルギー政策はなお
混迷を続けているようだ。


一国のエネルギー政策は、
①エネルギーの無駄使いを排し、輸入依存度を下げたい
一方で、②補助金制度で国民の生計費を抑え、安く使わせたい、
と二律背反の中で決められる。


また、③補助金、課徴金制度でいろいろなエネルギー価格に
ひずみが生じるので、公平を図るようにしたいが、
④高めの商品の価格を抑えれば国の財政負担が増し、
低めのものの補助を外せば値上げとなり、国民の反発を買う
という矛盾の中にある。


要するに、ねらいの優先序列がつけられていないと、
どんな政策を敷こうとも、お互い矛盾しがちで、
相容れないのだから、改革が頓挫してしまうわけだ。


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日本が最大の外国人直接投資家であるタイランドの
アキレス腱は、
エネルギー供給の安定性と継続性への懸念にある。


電気の70%は天然ガスに頼っている。
10年前の60%から上がってきている。
そして、その半近くがミャンマーからの輸入と
マレーシアとの共同開発ガス田からの供給だ。

 「タイの電力事情の問題点 2012-11-20」
  http://uccih.exblog.jp/17200358/

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ここ数年、ガス供給のが途絶える件数が増えている
(我が家の電気も時々停まるが・・・)。
2013年の4月と12月には、ミャンマーからのガス供給が
1週間途絶えたが、
2014年6月には、タイランド湾の共同ガス田からの供給が
途絶し、南部の工場は電力使用の10%カットを余儀なくされた。


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従って、石油・ガス輸入国のタイとしては、
①国内及び近隣の石油・ガス田開発の推進と、
②補助金による安値販売によるエネルギー過剰消費傾向の
抑制が課題になるのだが、これが進まない。


タイランド湾のガス田開発にしても、
ここ7年ほど新たなコンセッションが行なわれていない。

 「クーデターがなかったらタイのエネルギー事情は変わっていた!?2011-7-26」
  http://uccih.exblog.jp/14195215/


また、かつての原油輸出国ながら補助金で石油過剰消費に
陥ったインドネシアを他山の石として、補助金を減らし、実勢コストベースの
市場価格で行くべきだとの‘正論’もあるが、価格引き上げには
政治的になかなか踏み切れない。

 「インドネシアを他山の石に、タイはエネルギー補助金を見直すか 2011-9-11」
  http://uccih.exblog.jp/14538049/ 


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2014年6月9日、軍政権は「国家エネルギー政策諮問委員会」
(NEPC)を設立し、包括的なエネルギー政策の立案に乗り出した。
委員長は、経済担当のプラジン空軍司令官である。

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しかし、当初安値で抑えられている家庭用のクッキングLPGガスの
価格を、前政権の決めたとおり、6月1日からキロ当たり22.63バーツから
23.13バーツに0.5バーツ引き上げたが、なんと翌日には、これを元に戻した。

 「年間350億バーツにのぼるタイのLPGへの補助金 2013-1-30」
  http://uccih.exblog.jp/17728615/

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家庭用クッキング・ガスは我が家でも使っているが、
5.0kgのボンベで調理に手頃な大きさで、半年以上も使える。
デリバリーしてくれて、値段は、以前より上がったが、160バーツ(500円)と安い。


前政権のとき、2013年9月より、それまで6年間キロ18.13バーツで
据え置かれてきたガス価格を毎月0.5バーツずつ、市場価格に近い
24.82バーツまで1年強かけて持っていくプランが、5ヶ月を残して
ストップを喰らった状況だ。


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包括的な政策が決まるまでは、上げないと言うわけだ。
総合エネルギー政策は、市場価格の導入と公平な価格だが、
前インラック政権のポピュリスト政策が負の遺産として残した
当面の物価上昇下では、物価上昇抑制が優先した。


同じく6月13日には、リッター当たり30バーツ以下の低価格に抑えられている
ディーゼル油価格についても、マーケティング・マージンを抑えて、
末端価格を29.85バーツへ0.14バーツだが引き下げを指導している。
ディーゼル油への補助金は、年間1000億バーツに達する。

 「どうなるかタイで一番売れているディーゼル油の価格」
  http://uccih.exblog.jp/15459857/

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NEPCは、6ヶ月かけて年内には包括的な
エネルギー政策を出すと言うが、
この物価高の中で、どこまで価格の引き上げにつながる
市場価格政策を出せるだろうか?
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by ucci-h | 2014-07-25 01:50 | 電力・エネルギー | Comments(0)
アセアン4カ国の電力事情(4) 電力不足が拡大しているベトナム
アセアン4カ国電力事情の最終回は、ベトナムである。
ベトナムの電力需要は、インドネシアなどの伸び率を
上回り、ここ4年ほどは、年14%のハイペースで伸びている。

増大する需要にこたえるべく、中国から電力を輸入したり、
インドネシアから燃料炭を2011年には初めて輸入したりして
対処しているが、電力不足は否めない。

2007年以降電力事情が悪化し、
夏季には週2~3回の停電を余儀なくされ、
家庭だけでなく、ビジネスにも影響するので、
外国資本投資の障害になっているという。

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2011年の年間電力消費量93,600ギガワット時を
2020年には329,400ギガワット時と見込んでいるから、
年率15%の高い伸びを想定している。

発電能力は、20,000メガワット(2010年末)だから、
人口のほぼ等しいタイの77%ほどの能力を
数字上は持っている(電化率も97.6%といわれる)。

電力源としては、現在、
天然ガスが44%、石炭が27%、水力が27%、石油火力が2%
だが、将来は石炭を46%に伸ばし、天然ガスのシェアを29%に、
水力を23%に下げたい意向だ。

しかし、現実の発電所建設の進捗率は70%程度と計画通りに
行っていない。
ベトナム経済自体が、国有企業の経営不振、資金状況の悪化、
さらには相変わらずの共産党政権下でのレッドテープによる
行政の遅滞などが、進捗の障害になっている。

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ベトナムの電気料金は、kwh当たり6.5円ほどと、タイなどよりさらに安い。
補助金が多いのだろう。
しかし、その分、電力開発推進の障害となる。
今後は、徐々に電気料金を引き上げ、電力供給を増やしていく事になろう。

福島原発事故以降、各国で原子炉へのアレルギーは強まっているが、
ベトナムでは、南部での2基4,000mwのニン・トゥアン原子力発電所
(ロシアの技術による)の2014~2015年建設計画が破棄されてはいない。
今後、大きな電力不足が見込まれるベトナムでは、原子力に将来
15~20%のシェアを担ってもらいたいようだ。

もちろん安全性の精査もあり、実際の建設は先になろうが、
先に述べたように、ベトナムの経済政策全般の展開が、
電力設備の増強を可能に出来るかどうかの
鍵となるだろう。
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by ucci-h | 2013-03-02 20:34 | 電力・エネルギー | Comments(0)
アセアン4カ国の電力事情(3) 電力不足が年を追って増加する(?)インドネシア
アセアン4カ国のうち、タイとミャンマーの
電力事情についてみてきた。
第3回目の今回は、アセアンの大国インドネシアの
電力事情についてみてみよう。

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インドネシアも、アセアンの多くの国と同様、
増える電力需要に供給が追いつけない。
2008年から2012年までの4年間に、
国の電化率は、67%から65%に低下しているという。

インドネシアの人口2億4千万人の35%にあたる
8,600万人もに電気が届いていないという。
既存の発電設備も古いため、稼働率は66%と低く、
全国で1日4時間ほどの停電があることも多いようだ。

インドネシアの国営電力会社「PLN」の現在の発電能力は
33,250メガワット。タイの26,000メガワットを3割がた上回っているが、
人口は3.5倍だ。
電力消費は、現在年+9%ほどのハイピッチで伸びている。

全国の電化率が低下しているとはどういうことなのだろう?
電化率の定義が見つからないが、全所帯24時間を100%とするなら、
供給力が制限され、需要に追いつかず、一日4時間停電があるだけで、
100%は83%に低下するのだろう。
過去4年毎年250万人分が不足してきているという。

いずれにせよ、電気が足りないことは明らかなようだ。
政府は、前政権のときから、1万メガワットの能力増強を目指している。
2020年までに国の電化率を90%に持っていきたいという。
石炭、石油の資源は手に入る国だ。やり方次第だろう。

PLNの計算でも、インドネシアの電化率は73.4%。
100%近いシンガポールやタイ、97.6%のベトナム、
89.7%のフィリピンにも引けをとる。

日本など外資を交えた発電所建設が今後進んでいくのだろう。
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by ucci-h | 2013-02-26 22:13 | 電力・エネルギー | Comments(0)
アセアン4カ国の電力事情(2)開発の足を引っ張るかミャンマーの電力供給
インフラ整備が遅れてきたミャンマーでは、
増大する外国人の事務所や住宅向けや新しい工場向けに
電力を供給することが、今後の経済発展、
外国人投資を増やすための最大のクリティカルな
ポイントになっている。

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前回、アセアンの電力事情第1回目として、
タイの電力供給事情に触れたが、
ミャンマーの電力事情は、タイより2歩も3歩も
遅れている。

 「アセアン4カ国の電力事情(1)タイの電力開発の問題 2012-11-20」
  http://uccih.exblog.jp/17200358/

タイの電力最大供給能力は、26,000メガワットで、
国民一人当たりに最大388ワットの電力を提供することが出来る。
これに対して、人口6,200万人と、タイの9割の人口を抱える
ミャンマーは、2,254メガワットと、タイの1割に満たない。

従って、人口の13%に当たる800万人ほどしか、
電気にアクセスできていないと言われる。
しかも、電力需要は2007年以降、年10%で伸びており、
2012年などは、15%も増えている。

中心地ヤンゴンでも時折、時間停電があり、
2012年5月には、不満な市民たちの「キャンドル・ライト・デモ」が
行なわれた。

電力消費量で見ると、タイがひとり2,000kwh使っているのに対して
(もちろん工業用も含めてだが)、ミャンマーは、わずか104kwh、
インドネシアの600kwhに対しても大きく遅れをとっている。

ミャンマーの発電の70%は、18の水力発電所からもたらされる。
雨季に1,270メガワット、乾季に1,000メガワットの電気を生む。
ガス燃焼発電は、350メガワットと全体の15%ほどだ。

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政府は、20年後には、50,000メガワットの発電能力を
目指している。現在の能力の22倍だ。
年率16.8%の高い伸びだ。
500~1000メガワットの発電所を40~60基も作る計算になる。
発電施設だけで、500億ドルの資金が必要になるという。

1988年から2011年までの24年間の実績では、
ミャンマー政府が電力開発に使ったお金は、33億ドルだというから、
今後はこれの15倍に当たるハイピッチの投資が必要になる。

また、古いケーブルは40年経っているなど、送配電設備の更新、増設も
急を要すると言われる。
230キロボルトの送電線を、8つのサブステーションを経て、8000km
張り巡らす必要が言われる。

当面急増する外国のオフィスや住居には、間に合わないので、
とりあえずの配電設備をつなげることが考えられている。

ミャンマーでは、南部ダウェイの工業開発にも
時間がかかっている(もっともこちらはタイのニーズに
対応する部分が多いが・・)。

電力インフラが進まないと、ミャンマーの開発も
足を引っ張られることになる。
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by ucci-h | 2013-01-31 15:46 | 電力・エネルギー | Comments(0)
地下鉄1路線分にのぼったタイのLPGへの補助金
タイでは、エネルギー源としてLPG(液化石油ガス)が
大きな位置を占めている。

タイのエネルギー源の内訳は、天然ガスが72%と高く
(国産プラス輸入)、次いで重油が16%(多くは輸入)、
褐炭が10%(国産が多い)、その他2%となっている(2010年)。
LPGも、天然ガス随伴から作られるものが多いのだろう。

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2008年の原油価格高騰を受けて、
タイのエネルギー価格統制策は、国内価格を抑えるための
補助金政策に、2008年3月その比重を強めた。

その典型が、LPG価格である。
タイは2007年まではLPGの輸出国だったが、
2008年以降LPGの純輸入国に転換した。

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LPGの需要は、経済発展に連れて、過去6年ほど年平均10%以上で
伸びてきている。2006年の年間需要350万トンは、
2012年には760万トンほどまで倍増以上している。
中でも自動車向けの伸びが著しい(46万トンから105万トンに)。

LPGの需要の内訳は、
半分近く46%ほどが工業用及び石油化学産業向けだが、
40%が家庭、小売用のクッキング・ガスだ。
大変安く便利に使わせてもらっている。
残りの14%が自動車燃料向けだが、これが低価格のため、
昨年までの6年間年平均+15%で増えてきている。

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原油価格高騰時の救済策のはずが、
今や低価格消費推進エネルギーと変わってしまった。
LPGの輸入高は、2012年(推定)には180万トンと、
全消費量の4分の一近くに当たる23%にまで増えた。

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LPGのタイの小売価格は、18.13バーツ/kgに
過去20年ほど、抑えられてきた
(うち産業用は昨年自由化、また自動車用は徐々に21.38バーツ/kg
まで上がってきているが)。
トン当たり600ドルほどとなるこの小売価格は、
トン333ドルの輸入価格に基づくものだ。

しかし実際の輸入価格は、2008年には775ドルに上がり、
今でも893ドルほどの国際価格から見ると、
政府が大きな負担を払って、LPG国内低価格を維持してきた
こととなる。

国際価格で売られるなら、輸入品は36.4バーツ/kg、
国産品でも、製油所コストでトン550ドルほどだから、
24.8バーツ/kgほどの値段になるはずだ。
18~21バーツ/kgの現行小売価格は、本来の
市場価格27.5バーツ/kg前後を3割がた下回っていることになる。

近隣諸国を見ても、
LPGは、38バーツ/kg(カンボジア)、
45バーツ/kg(ラオス)で売られており、安いタイのLPGが
国境を越えて密輸されることも問題となっている。

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2008年以降のLPGへの政府補助金総額は、
1000億バーツ(33億ドル)を超えたろうと、「EBD」(エネルギー・サービス局)の
2012年8月のレポートは伝えている。

2008年3月から2012年7月までの
4年7ヶ月間の消費量累計が2370万トンほどだから、
販売kgあたり平均4.5バーツほど補助金を出し続けた計算になろう。
EBDは、「これほどの予算があれば、バンコク地下鉄ブルー・ライン
(ホア・ランポーンからバン・スーまで)の建設が出来たろう」と言っている。

価格流動化の動きは、2012年より出てきたが、
2013年に入り、政府は、自動車用とクッキング用のLPGの
フロート化も、3月より進めると表明した。

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今や年間100万トンを超えてきた自動車用需要は、
昨年21.38バーツ/kgまで徐々に上がってきたが、
なお統制下にあるCNG(圧縮天然ガス)との比較からも、
それ以上あげれないできた。
これが、3月以降徐々に25バーツ/kg(製油所コスト水準)まで
上がっていくことになりそうだ。

LPGの40%を消費するクッキング向けも、
徐々に市場価格化していくが、これに対しては、
弱者救済の仕掛けは残す。

367万戸を数える低所得者世帯(月々の電気消費50kwh未満)と、
40万を数える屋台に対しては、割引クーポンを発行、
LPG代が25バーツほどになっても、18~20バーツで
購入できるようにすると言う。

低所得者世帯のLPG使用量は、年間6kgほど、
屋台ベンダーは150kgほどを使うと言う。
両者を合わせたLPGの年間の使用量は100万トン足らずの
98.5万トンほど。

補助金の対象は、全クッキングオイル需要300万トンのうちの
3分の一に、全LPG需要の13%に絞り込まれることになる。

予定通りに進めば、LPG補助金の大幅削減につながっていくが・・。
LPGの補助金大幅撤廃が進めば、
自動車用CNGへの同様の補助金政策が問われてくることになろう。
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by ucci-h | 2013-01-30 22:48 | 電力・エネルギー | Comments(0)
アセアン4カ国の電力事情(1)タイの電力開発の問題
成長するアジアだが、各国ともインフラ未整備が多い。
中でも、拡大する経済に追いつけない最大のネックが
電力である。

以前、成長するインドネシアでは、増加する世帯に対し
むしろ電化が追いつかず、全人口の3分の一、8,600万人に
電気が届いていないとお伝えした。

タイで暮らしていても、時々停電がある
(もっともこれは地域の配電の問題だが・・)。
ラオスでは、タイへ売る水力発電の増強のために、
メコン下流域住民の反対の多いサヤブリ・ダムを着工する意向だ。

タイ、インドネシア、ベトナム、ミャンマーの4カ国について
最新の電力事情を覗いてみよう。今回は、タイである。

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タイはインドシナ諸国の中では、比較的電力は行き届いている
国である。時折、停電はあるが、このときは、冷蔵庫はじめ、
いかに今の我々の生活が、電気なしにはやっていけないかを
思い知らされる時だ。幸いじきに復旧される。

タイでの停電では、明かりがなく、本が読めず、
エアコンがつけられず暑いことが記憶されるが、
日本の計画停電のときは、日本の家のトイレが電動で
使えず困ったことを憶えている。

タイの現在の電力需要のピークは、26,000メガワットで、
日本の最大電力量18万メガワットの6.9分の一ほどの
水準である。

2012年6月にタイの国家エネルギー委員会で承認された
電力開発改定計画によると、2030年には70,800メガワットの
電力消費がタイでは見込まれる。今後20年弱で2.7倍ほどの
伸びであるから、年平均5.4%ほどの伸び率、そう高くはない。

タイの電力供給の問題は、その偏った電源事情にある。
発電の72%を天然ガスに頼っており、そのほかでは、
石炭が20%、水力が5%となっている。

天然ガスの6割は国産だが、残る4割はミャンマーから
輸入している。
天然ガスの国内生産は、2015年にピークを迎え、
可採埋蔵年数は18年だと言われる(可採埋蔵量が
掘り尽くされたという例は、世界でほとんどみられないものの)。
また、天然ガスのパイプラインが途絶したらとも心配されている。

2030年までに、天然ガスへの依存度を半分以下に下げることが
2010年からの電力開発計画で意図されているが、
その後原子力発電所の凍結などで、うまい代替案はない。

最大の候補は、埋蔵量の豊かな石炭火力だが、
これには、環境面からの反対の声が大きい。

 「発電の主力石炭火力、タイでも復活なるか 2011-7-27」
  http://uccih.exblog.jp/14209401/

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“クリーン・コール”が一番の代替エネルギー源になるはずだが、
タイでは、日本のクリーン・コール技術に注目している。
長崎県松浦の370万キロワット火力発電所。
石炭燃焼熱で高圧蒸気を生み、これでタービンの羽を回す
石炭専焼火力発電所である。

もうひとつは横浜磯子の120万キロワットの都市型火力発電所だ。
大震災の後に、三渓園を訪れたとき、震災に耐えた姿を見た。

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石炭の粉塵を散らさない機構とその脱硫、脱硝装置が
クリーン・コール技術として注目されている。

タイの現在の石炭火力発電所は、北タイはチェンマイの南、
ランパーンのメーモーの13基の火力発電所が中心である。

タイの電源開発会社EGATは、2013年には、南部クラビに
80万キロワットの石炭火力発電所を建設する計画だ。
環境問題のクリアーが課題になる。

またメーモーには、古くなった4-7号基の代替として最新技術を
用いた14号基(60万キロワット)を新たに建設すると言う。
メーモーでは、窒素酸化物を捕らえる装置と、粉塵の飛散を防ぐ
ウインド・ブレーカーがなかったが、新たに備えられ、
二酸化炭素の減量と、硫黄酸化物、窒素酸化物の低減が
図られる予定だ。

さて、クリーン・コール発電は伸びていくのだろうか。
タイの取り組みに注目したい。
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by ucci-h | 2012-11-20 23:00 | 電力・エネルギー | Comments(0)
タイの電気料金引き上げに対し噴出した批判
4月末にお伝えしたように、タイの電気代が、5月からユニット(kwh)当り、
0.30バーツ値上がりし、史上最高値となった。
理由は、原料天然ガスが上がってきたからだと、エネルギー省は言っている。
 「タイの電気料金は5月から史上最高になるが 2012-4-30」
  http://uccih.exblog.jp/15800266/ 

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日本の電気代は、もともと高い上に、原発に代わる代替エネルギーの
開発のためとかで、一層高くなるようだが、タイでのこの電気代アップは、
生活にもろ響くだけに、批判が出ている。

消費者団体は、発送電の独占国営企業「EGAT」(タイ発電公社)の
電力料金算定フォーミュラを公開しない等の秘密体質をまず非難する。
発電分野では、EGATの民営化が2000年代不成功に終わった代わりに、
民間の発電会社を参入させてはいるが、EGATの計画の下、
投資しているだけである。
日本の東電同様、タイでも、独占企業EGATの秘密体質への批判は強い。

電力料金は、今後の発電設備への投資額など含めて算定されるが、
その計画数字も非現実的だと非難される。
タイの現在の発電能力は、32,000メガワットあるが、EGATは過去、
電力需要増を年1,100メガワットという前提でやってきた。
しかし、実際の伸びは、過去25年で年825メガワット、ここ5年を見れば、
年707メガワットの伸びであると、消費者団体は言う。

生活にもっとも大事な電気代を、一般の参加もなしに決めるのも
おかしいと言う。

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今回の値上げで、一部コストはEGATが呑むと言われるが、
実際は、EGATは年間45億バーツの利得を得ているはずだと言う。

現在の夏のピーク電力消費水準26,000メガワットに対して、
能力は32,000メガワットだから余裕があるし、発電設備のメンテを上げることと、
節電努力を少しはすることで、電力の余裕はさらに20%方、改善できるはずだと
している。

日本の東電は民間企業のはずだが、
国営企業とあまり変わりないように見える。
では、国有化するとどうなるのだろうか、その体質は?
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by ucci-h | 2012-05-09 11:16 | 電力・エネルギー | Comments(0)
タイの電気料金は5月より史上最高になるが、日本と比べれば・・・
タイの電力事情については、昨年8月に見たが、
発送電と配電(販売)事業が分離されている。

発送電は、EGAT(タイ発電公社)中心に、その他
IPP(独立発電会社)が担い、配電は、首都圏の
MEA(首都圏電力公社)とその他地域をカバーする
PEA(地方電力公社)で担っている。
 「タイの電力供給事情 2011-8-4」
  http://uccih.exblog.jp/14273053/

タイの電力民営化は1992年より試みられたが、
2000年代初めのタクシン政権下でのEGATの民営化努力は、
組合その他の反対が多く、ならなかった。代わりに、
公民連携による独立発電会社のシェアが伸びてきている。

現在、タイの発電能力は3万メガワットに伸びてきているが、
EGATの発電シェアは50%(1.5万メガワット)でしかない。
他のIPPの発電シェアは46%まで上がってきている。
残る4%は、ラオスなどからの電力輸入。

独立発電会社といっても、EGATとは別に発電しているわけではない。
そこはタイお得意のPPP(公的私的パートナーシップ)により、
EGATの発電増加プランに対し、内外の私的資本に投資をさせ、
公的資本を節約しながら、年6%という高い電力需要の伸びに
対処しているのだ。

エネルギー省は、このIPPのシェアを2016年までに60~70%へ
持って行きたいとしている。

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今年の暑季は暑く、2012年4月26日(木)の午後2時半には、史上最高の
電力消費量のピークを更新、26,121メガワットと2万6千メガワット台
(発電能力比87%)を、初めて記録してきている。
ちなみに、タイの年間電力の消費量は、現在16万GWh(ギガワット・アワー)ほど。
過去30年で10倍に増えた。

タイの発電は火力・コンバインドが中心だが、原料としては天然ガスが72%を占める。
エネルギー原料価格の上昇は、電力コストのアップにもつながっている。

そして、タイの電力料金は、4ヶ月ごとに改訂されるが、
次の5~8月は、現在よりユニット(kwh)当り0.30バーツ高くなり、
これも史上最高価格となる。

と言っても、以前見たように、総括原価方式でコストをなるべくかけ、高くする
日本の電気料金のような馬鹿なことはやっていないので、依然として、
日本の電気代のざっと3分の一の水準だ。
 「日本の電気代がなぜ高いかが見えてきた 2011-6-24」
  http://uccih.exblog.jp/13871135/

タイは発電燃料の中心となる天然ガスについては、需要量の4分の一輸入しているが、
今後この比率は高まりそうだ。輸入LNG価格は、国内産の倍の価格になるという。
今回も発電コストの上昇分はユニット当り0.57バーツになるが、
うち27バーツ分はEGATに100億バーツほど負担してもらい、
消費者に0.30バーツ分をFT(フューエル・タリフ、付加金)として
負担してもらうことになる。

この結果、タイの電気料金は、ユニット(kwh)当り平均3.5バーツから
3.8バーツ(10.6円ほど)へ7~8%上がる。
家庭用の電気代は使用料によって異なるが、
以下のように5~8月分から上がりそうだ。

・100ユニット未満 2.27→2.57バーツ(約7.2円)
・100~150ユニット 3.23→3.53バーツ(約9.9円)
・151~400ユニット 3.74→4.04バーツ(約11.3円)
・401ユニット以上 3.94→4.24バーツ(約11.9円)

なお月90ユニット未満の家庭の電気代無料制度は続きそうだ。
月50~60ユニットの使用でも、無料なら月89ユニットまで使っちゃえとされる
この批判の多い制度は、ポピュリスト政権では続きそうだ。

今後は、暑い時は300ユニットほどは使う我が家の
ユニット当り単価は10円ほどだったのが、これからは11円ほどになろう。
300kwh使用で月1212バーツ(3400円)ほどに上がる。
 「タイの暑い季節、電気代は? 2011-7-29」
  http://uccih.exblog.jp/14220519/

でも、日本なら、使用料によって異なるが、
家庭用でユニット当り25~26円になるのでは?
それから見れば、ましである。
タイの電気代が安いというより、日本の電気代が高すぎる。
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by ucci-h | 2012-04-30 23:01 | 電力・エネルギー | Comments(0)
他国が二の足を踏む中でミャンマーの天然ガス田の開発に積極的なタイのPTTEP社
ミャンマーはエネルギー資源に富むと言われる。
原油の確認埋蔵量は6.86億バレルで、
予想埋蔵量はその4.7倍の32億バレルと言われ、
天然ガスの確認埋蔵量は17.65兆立方フィート、
予想埋蔵量はその5倍の88.7兆立方フィートと言われる。

原油の埋蔵量は、世界の原油資源国から見れば
たいしたことはないが、天然ガスではそれなりの資源を持つ。
世界の天然ガスの確認埋蔵量は6,600兆立方フィート(185兆㎥)と
言われ、その0.27%に過ぎないが、予想埋蔵量は
88.7兆立方フィートあるとすれば、インドネシアやマレーシアに
迫れる天然ガス資源国となる。もっともシェールガスの開発で世界の
天然ガスの埋蔵量は、倍増しているようだが・・。
 「ビルマの石油・ガス開発の人気は? 2011-12-21」
  http://uccih.exblog.jp/15145909/

現在の原油の生産能力は、一日2万1千バレルほどであるが、
天然ガスの生産は、一日12億立方フィート(年4,100億立方フィート)ほど
に及ぶ。2007年以降生産の伸びが止まっているが・・。
CIAによれば、ミャンマーは世界第38位の天然ガス生産国となる。

エネルギー量で見れば、原油1バレル=天然ガス6,600立方フィートだから、
ミャンマーは、原油の9倍、天然ガスを生産していることになる。

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ミャンマーは現在、天然ガスの生産量の7割をタイなどに外国に
提供しており、タイは天然ガス需要の25%をミャンマーにたよっている。
1988年以後の政治動乱でも、ミャンマーからタイへの天然ガス供給は
途絶えることはなかった。

タイ最大の企業PTT(タイ石油公社)が65%の株式を持つ子会社に
エネルギー資源開発を担う「PTTEP」(PTT開発生産)社がある。
PTTEPは、1989年以後、ミャンマーでエネルギー開発をやってきている。
1988年の経済制裁で欧米の石油会社が入ってこなくなって以降(仏トータル社を除く)、
中国のシノペックやマレーシアのペトロナス、インドのエッサー社などと
ミャンマーの資源開発に取り組んできた。

PTTEPは、最初1989年、「ブロックF」を探鉱したが、ガスは発見できなかった。
しかし、その後3つの沖合、2つの陸上ガス田を開発、またヤダナとイェタガンの
沖合ガス田も他社と組んで開発している。

現在は、ベンガル湾の12,300平方kmにわたる「ザウティカ」のガス田に8割出資
(残り2割はミャンマー石油ガス社)、2013年の生産開始を目指している。
また、「M-3」、「M-11」といったガス田の探鉱も進めている。
ミャンマーには深海探査の技術がなく、PTTEP社の1000m以上探査の
技術が生きていると言われる。

ミャンマーの資源開発には、なお二の足を踏む外国の石油会社が多いが、
PTTEPは、その天然ガスのニーズからも、積極的にミャンマーのガス田開発に
取り組んでいる。
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by ucci-h | 2012-03-02 21:49 | 電力・エネルギー | Comments(0)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
by バンディ
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