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タイの全国民皆医療制度に参加した私立病院の悩み
タイは、途上国の中でも国民医療では一歩進んだ国となっている。
2001年、タクシン政権により、いわゆる「30バーツ(90円)医療」が
導入され、人口6600万人の7割に当たる健康保険に入っていない、
4800万人を対象とする「ユニバーサル・ヘルスケア」
(全国民医療保障制度)が発足した。

公務員医療給付制度(対象760万人)や被用者社会保障制度
(対象民間企業従業員920万人)、また富裕層の民間医療保険
(約80万人)のいずれにも入っていない自営業者や農民、
貧困層に対する医療保障である。

健康維持は、国民の最低の生きるための権利だが、マイケル・ムーアの
アメリカの医療制度を描いた映画「シッコ」に見られるように、
これが保障されている国は少ない。
 「金のない奴は死ね 2008-4-22」
  http://uccih.exblog.jp/11115611

医療サービスの財源は、もちろん税金だが、登録患者一人当たり
年間1900バーツ弱(5500円ほど)の補助だから、国の負担は
年900億バーツほどになる。公務員医療給付の負担約140億バーツと
被用者保険料の国の負担分(保険料の3分の一)推定約50億バーツを
加えると、国民の医療費全体でGDPのほぼ6%、約5900億バーツに達するが、
そのうち、1100億バーツほどを国が担っていることになる。
国の財政支出の5~6%を占める。

ちなみに、日本の医療費の対GDP比率は9%ほどに上がってきた。
一人当たり年平均26万円だそうだから、国民健康保険も年18万円払わされる。
タイの一人当たり平均の医療費は、年約9000バーツ、日本人の10分の一
ほどとなるだろうか。タイ人の場合、病院へ行かず、薬屋で
売薬を買って直しちゃうことが多い。ほんとうはこれも医療費に
入るんだけど・・。

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しかし、このユニバーサル・ヘルスケア制度も、その負担は大変だ。
タイには1000近くの公立病院、400近くの私立病院があるが、30バーツ・
診療は、主に地元の公立病院と提携して行なわれている。
昔なら病院へ来れなかった人たちが、病院やクリニックへ来るようになる。
従って、3時間待ちの5分診療などざらだ。ロビーにエアコンの入っていない
公立病院も多い。
 「医師不足に悩むタイランド 2011-5-24」
  http://uccih.exblog.jp/11115611

そこで、この制度を管轄する「NHSO」(国立健康保障オフィス)は、
公立病院だけでなく、私立病院からもこの制度に入ってもらうことを
募っている。しかし、参加している私立病院は、全国で29に留まっている。
なぜだろうか?

モンクートワッタナ私立病院は、この4月にユニバーサル・ヘルスケアに
参加したが、患者の洪水に悩まされている。
昨年57000人だった患者の数が、今年は20万人を越えそうな勢いだという。

しかも患者の数が増えただけではない。
エイズや結核の重症患者が増え、長期の治療が増えている。
さらに、年配の患者や新生児は、直っても引取りに来られず、
病院に放置されている(タイらしい?)。
先のNHSOは、福祉当局に対し、放置患者の処置を相談している。

10代の妊婦には、出産所として使われるのが増えている。
新生児は、700グラムほどの未熟児が多い。
これの育児も、病院のケアになる。

病院は、ユニバーサル・ヘルスケアに入ったのはいいが、
利益が少なくなり、何とか凌ぐ状況になっているとこぼす。
病院は、患者の増加に備え、すでに2億バーツを投じ、
ベッド数を150から250に増やした。

また、医療ミスに対する訴えが多いのも、ユニバーサル・ヘルスケアに
入るのを躊躇させるもうひとつの理由になっているという。
昨年、4つの私立病院が、患者の混雑を理由に、
ユニバーサル・ヘルスケアでの診療をやめたという。

タイには、きれいで高価な、主に外国人や富裕層向けの
「いらっしゃいませ」志向の病院と、貧困層や中間層を対象とする
30バーツ医療の混雑する病院が並立している。
金のあるものはきれいなすいた病院へ行き、金のないものは
待ち時間の長い混雑する病院へ行く、ということになる。
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by ucci-h | 2011-07-31 17:16 | タイの財政・税金 | Comments(9)
政府系投資公社GIC(シンガポール)とCIC(中国)の拡大
世界では、近年、増大する外貨準備や石油代金を
原資として、世界の証券や不動産に投資する
政府系のファンド、いわゆる「ソブリン・ウエルス・ファンド」が
幅を利かせるようになってきている。

運用資産8750億ドルと最大規模を誇る
1976年からあるUAEのアブダビ投資庁(ADIA)、
サウジアラビアのサウジアラビア通貨庁(運用資金3000億ドル)、
クウェート投資庁(2500億ドル)
ノルウェーの政府年金基金(3500億ドル)、
シンガポールのテマセク・コーポレーション(1500億ドル)
とシンガポール政府投資公社(GIC、3300億ドル)、
新しいところでは、2007年にできた中国の中国投資有限責任公司
(CIC、4100億ドル)などが有名である。

ソブリン・ウエルス・ファンドは、政治的な投資を行なうと
懸念する声もあるが、先進国の国債の信用が危機に瀕する今、
ラスト・リゾートとはいかないが、国として買い支えてくれるとの
期待もある。

これらのうち、「GIC」(シンガポール政府投資公社、1981年設立)は、
この国の外貨準備の運用会社として、先輩格の国の投資会社
テマセク(1974年設立)を上回って大きくなってきた。

このたび、昨年度(2011年3月期)の運用結果が発表されたが、
そのポートフォリオは、欧米の先進国の株式を前期末(2010年3月末)の
41%から34%に減らし、逆に新興国の株式を10%から15%に増やした。
中国、ブラジル、台湾、韓国、インド、南アの株式が半分を占める。

債券を含め、米国の証券等を36%から33%に減らし、ユーロ圏のそれを
16%から12%に減じた。
米国の財政問題は気になるが、米国債への信用は失っていないと言う。

また、08年の信用危機後、投資したUBSとシティーグループの株式は、
それぞれ発行済み株式数の6.4%、3.86%をなお所有していると言う。
GICの運用成績は、過去5年で、年平均6.3%、10年で7.4%だという。

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一方、世界一の規模に外貨準備が膨らんだ中国(3.2兆ドル)では、
これの運用会社として2007年にできたCICが、急速に資産規模を
拡大してきている。いまやアブダビに次ぐ、世界第2位の規模になって
きているようだ。

ここの投資成績は、2009年、2010年とも、11.7%だったという
(同じ高い数字なのが少し怪しいが・・)。
2007年にスタートした時より、資産規模は倍以上になっている。
この1年で見ても、3324億ドルから4096億ドルへ23%も増えている。

中国のCICも、シンガポールのGIC(似た略号で紛らわしいが)同様、
新興国への投資を高めている。
設立当初は、安全性の高い米国財務省証券中心だったが、
信用危機後は、投資を多様化すると共に、リターンの極大化を
はかっている。

こういった国をバックにした巨大ファンドの投資動向は、
世界の証券市場の動きにどんな影響を与えるのだろうか?

それにしても、ユーロ圏と米国の財政信用問題、
どこかで早めにめどをつけて欲しいなあ。
えっ、日本の財政問題もあるって?
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by ucci-h | 2011-07-31 11:31 | タイの株式市場と企業 | Comments(4)
マラリアやエイズよりも怖いウイルス性肝炎
7月28日は、世界的に何の日だったかご存知でしょうか?
今年からなので、当事者以外まず誰も知らない。
WHO(世界保健機構)が、この日を「ワールド・ヘパタイティス・デー」
(世界肝炎デー)と名づけ、注意を促すようにした。

WHOの東南アジア地域のディレクター、サミリー氏が
肝炎の広がりへの備えを喚起している。

ウイルス性肝炎は、日本では「21世紀の国民病」と
呼ばれているが、東南アジアでは、マラリアやエイズよりも
死者数の多い病気である。
肝臓が沈黙の臓器なら、肝炎は目立たない病気である。

今後10年で、東南アジアでは500万人以上の人が
肝炎で亡くなるだろうと見られている。
今日でも、血液経由の感染が多いB型及びC型肝炎ウイルスの
キャリアーは、東南アジアで1億3千万人に及ぶと推測される。
東南アジアの人口は11カ国で5億8千万人だから、
5人に一人は肝炎のウイルスの持ち主となる。

母子感染や性行為、針の差し回しなど、エイズと感染経路が近い
B型が1億人、そして3千万人がC型のキャリアーである。
ちなみに日本におけるC型のキャリアーは200万人。
かつて血液製剤の感染などで広がった。

人口が日本の半分のタイだけでも、
肝臓がんの8割の原因になるC型肝炎の、一見健康に見える
キャリアーは、日本と同じ200万人に上ると見られる。
そのうち6割が、肝硬変や肝臓がんが発症するまでわからない。
針刺しや刺青、回し射ちでも移るC型肝炎は、いまだ
ワクチンがないのでやっかいだ。

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B型肝炎の感染力は、HIVの50~100倍も強いと言われる。
しかし、95%以上はB型ワクチンで防げるので、
東南アジアでも1億3千万人の乳児が予防接種を
受けている。

ウイルス性肝炎は、いずれの型もわかりにくく、
眼や皮膚が黄疸にかかり、疑われる。
発熱が出やすく、比較的自然治癒しやすいA型肝炎は、
経口感染だが、東南アジアでは、汚れた水を飲んだり、
カキの生食で発症することが多い。

A型肝炎は、アジアの国々の都市化に伴って増えている。
急速な都市化で、水道に下水が紛れ込んだり、
不衛生な環境が取り残されたりする中で、経口感染しやすい。
手を洗ったり、熱のよく通ったものを食べたり、安全な水を飲んだり、
ふつうのことをきちんとやることだ。
また、国、自治体としても、きちんと肝炎のスクリーニングをやるように
していくことが大事である。

怠ると、ウイルス性肝炎は、21世紀の東南アジア諸国に
大きな害をもたらす。
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by ucci-h | 2011-07-30 12:50 | アジア的な生活 | Comments(5)
タイの技術者の日給の目安
タイにおける最低賃金の問題がかまびすしいが、
タイにおける技術者に対しては、職能ごとに
労働省がランク付けを行ない、基準賃金を提示している。
その中身が面白い。

11の職種に渡り、技術者のレベルごとに基準賃金を
示している。新しい基準値は、7月28日に施行され、
10月から採用されることになるという。
企業は、この基準値に従って、技術者に給与を
払わねばならないことになっているようだ。

このうち、ある種類は、新しい最低賃金案300バーツを
下回っているので、もしこの案が通れば、それに従って
修正されることになる。

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(写真はすみません、カンボジアの少年工です)

11の職種は以下の通り。
そして、その職種の中で、技能のレベル毎に1~3の段階
(順に初級、中級、上級)で日当の基準が示される。
タイ料理とSPA技術者は2段階しかない。

1.車の塗装工      315 380 445
2.車の板金工      335 420 505
3.車エンジンの修理工 275 360 445
4.タイ料理師       280 360
5.タイマッサージ師   310 410 510
6.SPA技術者      350 460
7.コンピュータ修理工
8.家庭電気工
9.工場電気工
10.エアコン修理工
11.電器製品修理工  300 400 500

クルマの修理工は、やはり板金工が高い。
身近な職種では、料理人より、マッサージ師、
マッサージ師より、SPAの技術者の方が高い。
もっとも、マッサージ師の上級になると一番高いが、
実際マッサージ屋に行っても、クラスによって値段が
変わっていないなあ・・。

以上のようなスケールだが、
多くの企業は、あまりこれに従わないとも言われる。
マッサージなどは、お客の数によって収入は変わるだろうしね。
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by ucci-h | 2011-07-30 12:34 | アジア諸国の賃金 | Comments(3)
世界の都心の駐車代の比較を見てみると・・
チェンマイのような世界の田舎町に暮らしていると、
東京のような都会へ出て行くといろいろなコストが
かかるなあとつくづく思う。

その典型が駐車代だろう。
チェンマイでの駐車代はほとんどないが、
たまにレストラン脇のパーキング場でとられるくらいだ。
それも10バーツ、数十バーツ(30~120円くらい)で
時間を気にせず置いておける。

東京都心へ車で出ると、30分200円とか平気で取られる。
長い時間だと数千円になることもある。
これらのお金のやりとりがGDP、付加価値生産に
数えられるのだから、国のGDPが高いということは、
やたら金がかかるということの証しである。

「コリアーズ・インターナショナル」という商業不動産サービスの
会社が、このほど世界の都心(中心商業地区)における
駐車代のサーベイを公開した。
面白い数字だ。
http://www.colliers.com/Country/UnitedStates/content/globalcolliersparkingratesurvey2011.pdf

世界の156都市の1日、1ヶ月当たりの駐車代が
並んでいる。2011年6月現在の調査だ。
駐車代は、税金込みとなっている。

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ひと月当たりの駐車代で高いトップ5は、
ロンドン、チューリッヒ、香港、東京、ローマだ。
ロンドンは、1ヶ月1084ドル(87419円)もする。
東京は、744ドル、60000円となっている。

1日当たりのトップ5は、以下のようになる。
オスロ、コペンハーゲン、メルボルン、シドニー、ロンドンの順だ。
オスロは、1日当たり89.04ドル(7181円)と高い。
東京は、第6位で、62ドル、5000円となっている。
豪州の2都市が入っているのは、自治体が課税を高くして、
車での通勤を規制しているからのようだ。

1日10ドル(806円)、1ヶ月100ドル(8060円)を割ると
世界でも安い方になるが、これよりなお安い都心もある。
インドネシアのジャカルタ、インドのムンバイ、フィリピンのマニラが、
1日0.92~2.31ドル(74~186円)、1ヶ月で27.5~56.83ドル
(2218~4583円)でボトム3のトリオとなっている。

タイからはバンコクだけがエントリー。チェンマイは都心の商業中心地は
ないから、入っていない。
バンコクの1日は13.2ドル(1065円)、1ヶ月は82.5ドル(6653円)
となっている。

チェンマイもムアン(街の中心)へ向かう道路、
駐車スペースは混んできた。
バイクで行くのが良い。
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by ucci-h | 2011-07-29 16:54 | タイの不動産とコンドー | Comments(0)
新政権の最低賃金大幅引き上げへの内外からの応援団
タイ新政権の最低賃金300バーツへの引き上げ案は
数多くの議論を呼んでいる。
タイという国のコスト構造を大きく変えるエポック・メーキングな
ことになるかもしれないし、当面はインフレに油を
注ぐかもしれないからだ。

常識的には、一気の引き上げは、経済に9割がた
ネガティブな影響を及ぼしそうだが、300バーツ
支持論も各方面から垣間見られる。

学会の学者の声にも耳を傾けてみよう。

チュラロンコーン大学の労働経済の講師は言う。
「賃金コストは、全製造コストの10%未満に過ぎない。
タイは投資を呼び込むためにタイ人の賃金を抑制して来た。
そして、社会の不公平を助長してきた」と言っている。
(人件費が安いからと言って、タイの賃金コストの割合は
そんなに低いのかなあ?
日本の人件費比率は、中小企業の製造業で14~15%、
サービス業も含めた全業種で17~18%である・・)

別の経済学者は言う。
「これにより、多くのレイオフが生じるかもしれない。
地方自治体は、レイオフされた人々を雇うべく努めるべきだ」
(民間の失業者を自治体が採用せよということ?)

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チュラロンコーン大学の経済学者は言う。
「タイの最低賃金は、労働者の効率性に比べて低い。
これが、企業の大きな利益をもたらしている。
60%の労働者が月6000バーツ以下の給料だ。
彼らは、残業をして生計費アップに耐えている。
企業は、テーブルの下のフィーを減らし、役員の
個人的出費を減らすべきだ」
(たしかに、物価に比べ低いだろうが、だから企業は
儲かっているとなると、社会主義的主張となる)

どうも、学者の声は、‘抑圧された労働者の解放’の
応援歌のように聞こえる。
経済的不平等の大きいこの国の、社会階層の対立を
垣間見る気がするが・・。イデオロギー論争にならないか。

さらに、海外からも300バーツへの引き上げへの支持の声が
聞こえてくる。
「ESCAP」(国連アジア太平洋経済社会委員会)の幹事で、
国連の事務総長代理もやっているノエリーン・ハイザー女史
も、これを歓迎している。
「タイの国の工業転換を示すものだ。タイは、未熟練労働者の
工業国から、より付加価値の高いものを生み出す国へと変わる事を
世界に示すものだ」とおだて気味に賞賛している。
ESCAPの貿易投資関係の役員は、「賃金アップという短期の
マイナスを乗り越えて、長期のプラスを得て欲しい」と、
無責任気味にエールを送っている。

彼らは、この政策が一気に採用され、タイ経済にネガティブな面が
発生したら、どう責任を取るのだろうか?
関係ないか・・。
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by ucci-h | 2011-07-29 16:39 | アジア諸国の賃金 | Comments(3)
タイの暑い季節、月々の電気代はいくらだと思いますか?
日本では、代替エネルギー開発が決まると、
さらに電気代に上乗せされ、その分高い電気代が
いっそう高くなるようだ。
‘地域の殿様’電力会社の高いコストの積み上げが
納入業者その他から支持され、消費者に付けが回される
構造なので、日本の電気代はもともと高い。
 「日本の電気代がなぜ高いか 2011-6-24」
  http://uccih.exblog.jp/13871135

タイは、インドネシアやマレーシアのように資源国で
ないが、電気代は安い。諸物価の日本との比較は、
ほぼ3分の一(モノによっては6分の一)だが、電気代の
比較は、これを超えていると思う。月当たり90kwh以下は
電気代は無料だ。
 「どうにも理解できない日タイ電気代の違い 2011-5-24」
  http://uccih.exblog.jp/13640934

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今月(7月23日までの1ヶ月間)の電気代の請求書が来た。
この雨季は比較的涼しく、また新しく風通しのいい
一軒家に引っ越してきたせいか、月々の電気の使用量は、
200ユニット(KWH)ほどですんでいる。今月も208kwh。
もちろん暑い季節なので、エアコンは比較的使っている。

月々の電気代は、Ft(燃料タリフ、無料家庭補助向け)、
7%付加価値税を加えても、総額700バーツ(2100円)ほどだ。
1ユニット(KWH)あたり、3.38バーツ(約10円)の計算になる。
日本だといくらになるだろう?

日本は電気代が高いだけでなく、酷暑で節電だと聞く。
申し訳ない気持ちになる。
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by ucci-h | 2011-07-29 00:10 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(2)
タイの年金制度は、今後財政赤字の時限爆弾か
タイ貢献党は、積極財政政策をとり、
当面の財政赤字の拡大には眼をつむる目論見の
ようだが、これに対して、国の年金基金の担当者
から、財政赤字にも気を配るよう注文が出ている。

欧州の国々の財政赤字の問題を見れば、年金債務が
その大きな主因になっているので、高齢化が進む
タイにおいても、年金債務は「今後20年の時限爆弾」
になると警告している。年金は多くが確定給付型(DB型)
年金であり、積立不足のリスクは国が負うことになるからだ。

再来年からいよいよ公的年金の支給がはじまるが、
タイの60歳以上の人口は、今の全人口の11%から
20年後には、倍の22%に増大すると予想される。
 「タイの国民向け新年金来年スタート 2011-7-6」
  http://uccih.exblog.jp/14000492

タイの年金制度についておさらいをしておこう。
タイの公私の年金制度は以下のようなものから構成される。

まず、中央政府の公務員に対しては、従来の全額税金による
DB(確定給付)型年金に上乗せされる形で、
1997年に設立された「GPF」(政府年金基金)がある。
120万人を対象とする強制加入の公的年金である。
残高は4500億バーツ(150億ドル)ほどになる。
公務員には手厚く、97年以前の在職者は、60歳の退職で
最終給与の100%近くもらえる設計になっている。
ただしこれは、DC(確定拠出)型で設計されているから、
政府の拠出負担はあるが、のちのち政府の債務の拡大の心配はない。

地方の公務員ら200万人に対しては、中央政府の公務員に対しても
若干縮小した形で存在する97年の公的年金改革以前の旧型の
DB(確定給付)型政府年金がかばーしている。
これは、運用次第では、先々政府の隠れ債務になりうる。

大きいのは、民間企業の従業員に対する公的年金である
老齢年金(SSF,社会保障基金)制度である。
1990年に発足した非農業労働人口2250万人のうち、
民間企業の従業員925万人を対象とする公的強制年金制度である。
残高は8400億バーツに達し、一番大きい。

これは、日本と同様に賦課方式で運用され、事業主と従業員が
各給与の3%ずつ拠出し、政府も1%上乗せする。
15年以上の拠出実績で、55歳よりもらえる。
この最大の公的年金制度は、もちろんDB(確定給付)型だから、
運用の良し悪しにかかわらず、確定金額を払わねばならない。
2014年からいよいよ支給が開始される。

運用は保守的で、ほとんどがタイの国債で運用されている。
このままでいくと、支給開始12年後の2026年には支給額が拠出を
上回るようになり、その23年後の2049年には基金は底をつくと
見られる。今後の運用次第ではあるが、いずれ税金の投入が
必要になってこよう。

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タイは、途上国の中でも、90年代後半の年金改革を経て、
公的年金の柱を立て、社会保険を充実させている国だ。

しかし、民間企業の従業員向けの老齢年金の支給水準は、
最終給与の3割弱と低いので不十分だ。
老齢年金に加えて、企業の従業員向け(また一部公務員向け)には、
任意制(上場企業は強制)の職域年金「プロビデント・ファンド」
(老後基金)がある。残高は4000億バーツ近く。
ただし、これはDC型の私的年金である。

以上のように、年金制度でカバーされているのは、
全労働者3850万人(農漁業労働者1590万人を含む)の
3分の一に当たる1300万人ほど(公務員と民間企業の従業員)であり、
残りの自営業者や農民、非正規(いやな日本語だ)従業員
計2400万人ほどは、この公的な年金制度の蚊帳の中には
はいっていない。農業従事者は1550万人だが、農家出の
非正規従業員は多い。

これら2000万人余りの人は、自分で年金型保険に入ったり、
「退職投資信託」を毎月買ったりして、老後に備えなければならないが、
そんな面倒なことに余裕を向けられる人は少なく、
老後は大家族に頼るのが多い。

これらの年金カバー漏れの人たちを対象に、
前回ご紹介した、「NSF」(国民貯蓄基金)が来年より
新たに導入される運びだ。

以上が大雑把なタイの年金制度の概要だが、
制度が出来て来ているものの、いまだ小型で限られたカバーである。
老齢年金の所得代替率は3割ほどと、国際的に見ても低い。
現役時代の6割近くは欲しいところだ。
また、受給開始年齢が55歳と早い。これも早晩、高齢化に合わせて
60歳ないしそれ以上に引き上げる必要が出てこよう。

従って、加入者も国も、今後年金への拠出金を増やしていく
必要がある。運用の成果が上がらなければいっそう必要だ。

当面、タイは財政赤字規模を気にするレベルにないものの、
長期的には、年金拠出という大きな財政支出要因を
抱えており、今から注意を要する。
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by ucci-h | 2011-07-28 11:07 | タイの財政・税金 | Comments(4)
発電の主力石炭火力、タイでも復活なるか
石炭は、戦後いち早く日本では斜陽産業になってしまったが、
世界の発電燃料の主役は、石炭である。
世界の発電量の4割は、石炭火力が担っている。

中国では8割、インドでは7割、アメリカ、ドイツでは5割、
日本でも27%が石炭火力での発電だ。
埋蔵量も多い石炭は、CO2削減装置の向上によって、
原子力に代わって、今後も電気の原料の主役を務めそうだ。

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話は、タイの石炭需要の話である。
タイでは石炭火力に対する環境面からの反対が根強く、
発電の7割を天然ガスに依存している。
しかし、石炭火力も2割近くを占めている。
ランパーンにあるメーモー・ゴルフ場にあるのは、タイ一番の
メーモー火力発電所。露天掘りの褐炭を燃やしているが、
公害も発生した。

タイでも、原子力発電が延期になった今、
天然ガスのビルマからの輸入拡大と、タイランド湾沖での
増産、それと“クリーン・コール”の活用が課題となっている。
 「急がれる発電所向け天然ガスの増産 2011-6-2」
  http://uccih.exblog.jp/13699793

タイの最大企業PTT(ポートートー、タイ石油公社。政府68%所有の国有会社)
グループは、子会社PTT Exploration & Production社(PTTEP)を通じて、
資源開発に力を入れている。

2009年3月、信用危機による世界経済の大底の時に、
豪州の石油ガス開発のクージー・リソースイズ社を2億3千万豪ドルで
買収した。
また、同じ年、PTTインターナショナルは、同じく豪州のストレーツ・バルク社に
60%出資(後にPTTアジア・パシフィック・マイニングと改名)し、
同社の持つ、豪州だけでなく、ブルネイ、マダガスカル、インドネシアの
石炭鉱山の利権を獲得した。

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「石炭は、石油よりも安価な天然ガスの、さらに4分の一の
(1エネルギー当たりの)コストだ」というのが、PTTの石炭確保の理由である。
タイ国内で3000万トン近く生産される石炭は、品位の低いイグナイト(褐炭)が多く、
海外からの燃料炭の確保は、タイの発電需要の増大への対応策のひとつだ。
世界の燃料炭の取引は、今の7.5億トンから、20年後には21億トンへ
増大すると業界では見ている。うち、豪州は30%を占める最大の輸出国だ。

PTTグループは、今後10年間で1000億ドルの投資を行なう予定。
うち半分が、海外投資になる。
石油ガス開発でも、豪州のクージーを買収したPTTEPは、
いまや「PTTEPオーストラレーシア」の名で、
チモール海のモンタラ油田を含め、豪州で22の油田ガス田を確保
している。

石油ガス資源については、PTTはあと2箇所で力を入れている。
ひとつはカナダのオイル・シェール(頁岩油)。昨年43億ドルを投じ、
オイル・シェール・プロジェクトの40%を買った。
もうひとつは、地元のタイとビルマでの天然ガスの増産だ。

石炭火力発電へのアレルギーを抑えて、開発を進めるには、
すぐれたCO2削減装置が必要だ。
日本からの協力が期待される。
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by ucci-h | 2011-07-27 20:03 | 一次産品の市況 | Comments(3)
通貨高騰で国が揺れるかも知れないビルマ
ビルマの通貨チャット(kyat)が、アセアンのどの通貨よりも
対ドルで上がっていることは、以前お伝えした。
 「ビルマの通貨チャットが上がり続けている 2011-7-3」
  http://uccih.exblog.jp/13959576

しかし、この通貨高は、どうやらマイナス面のほうが多く、
このまま放置すると、新しいビルマ政権の命取りになるかも
しれないほど、経済面でのインパクトが出てきているようだ。

ビルマ産の大きなエビは、東京でも安く売られているが、
ビルマは鉱業とならんで水産業も盛んである。
しかし、この輸出産業にも、通貨高の影響でネガティブな
影響が働き出した。

今年になって、休業する漁業会社が増え、生き残っている
所も、赤字を回避するのに苦労しているようだ。
前回触れたように、昨年1ドル=1000チャットだったのが、
今では780チャット。過去3年間だと6割も上がっているのだから
輸出業者にはきびしい。
しかも、インフレ率は8%を超えており(4月で8.4%)、
インフレと通貨高の板ばさみになっている。

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これに対して、政府はほとんど手を打っていない。
わずかに今月、輸出税を10%から7%に下げただけだ。
新政権内部の対立もあるが、外国からの投資や木材、
不動産、宝石類の販売、また麻薬売買、それらによって得られる外貨は、
多く軍政権の関係者を通っていくと見られるからだ。
ことに最近は、中国による不動産投資、ダムなどの開発投資
が目だっているようだ。

事業閉鎖、サラリー・カット、失業などが、漁業者や農民、
さらにドル払いの外資系従業員に広がると、「民主主義の
実現」といった抽象的な要求でなく、生活基盤の問題と
なるだけに、今後の展開が懸念される。
1988年の軍事政権への抗議は、インフレ高から、
2007年の混乱は、エネルギー価格の引き上げが
きっかけだった。

今回のチャット高はどこでおさまるだろうか。
ドル安が続いているだけに投機も集まりやすい。
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by ucci-h | 2011-07-27 19:50 | ミャンマー・ラオス・カンボジア | Comments(2)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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