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ラオスからタイへ、インドシナ半島縦断高速鉄道の建設を手がける中国
タイの高速鉄道計画は、技術を提供する中国が、
自国で開通したばかりの7月に新幹線で大事故を起こし、
日本の事故ゼロの新幹線が再度売り込みに動き、
どうなるかと思われたが、年も詰まって、どうやら
中国の技術でタイの高速鉄道の建設は進められる
ことになったようだ。
 「中国新幹線の大事故の背景 2011-7-27」
  http://uccih.exblog.jp/14200289/ 
 「タイの高速鉄道のフィージビリティ・スタディに日本が挙手 2011-10-27」
  http://uccih.exblog.jp/14834466/

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タイ国内に5つの高速鉄道網を敷く計画は、
前民主党政権下で決まり、議会で承認されているが、
12月22日(木)、中国の次期指導者と目される習近平
(シー・ジンピン)副主席がバンコクを訪れ、インラック首相との間で
バンコク・チェンマイ間の高速鉄道を中国が建設する合意書が
サインされた。

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スクンポン運輸大臣によれば、現政権下でも5つのルートを
建設することに反対はないという。
まずは、主力のバンコク・チェンマイ間がサインされたというわけだ。
5つのルートの距離と予算は以下の通りだ。

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(国際金融情報センターより)

1.バンコク――チェンマイ(北線)  745km 2300億バーツ
2.バンコク――ウボン・ラチャタニ(東線) 870km 1800億バーツ
3.バンコク――(コラート経由)ノンカイ(東北線) 615km 2000億バーツ
4.バンコク――(ホアヒン経由)パダン・ブサール(南線) 982km 3000億バーツ
5.バンコク――ラヨーン(東南線) 221km 700億バーツ

以上、合わせると、計3433km、9800億バーツと1年間の国家予算の半分に
匹敵する事業となる。
100m当たり2850万バーツ(7400万円)ほどの鉄道敷設費用となる。

中国は、チェンマイ線のほかに、ノンカイ線、パダン・ブサール線にも
興味を持っており、バックアップしたい考えのようだ。

ノンカイはラオスのビエンチャンとつながり、中国が手がける
ラオス高速鉄道と結び、雲南省の首都クンミン(昆明)までひとつになる。
さらに、マレーシアの国境パダン・ブサールまで手がけると、
中国からマレーシアにかけて、ラオス・タイ2000キロ縦断鉄道路線を
中国が手がけることになる。
 「ラオスの高速鉄道、着工延期される 2011-5-6」
  http://uccih.exblog.jp/13522435/

タイは、すでに線路の軌道を、中国のゲージに切り替えることを
表明している。
 「タイ国有鉄道のゲージにも及ぶ中国の影 2011-10-7」
  http://uccih.exblog.jp/14713641/

中国は、着々とインドシナ半島に足を伸ばしてきている。
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by ucci-h | 2011-12-31 13:37 | 中国・韓国そしてインド | Comments(4)
地震、洪水、ユーロ危機の厄年、チェンマイでのゴルフも20年前に戻ってしまった
今年も終わり。
1年前のように、せっかくチェンマイに長くいるので
ゴルフの総括をしたいけど、今年はゴルフがあまりできなかった。
昨年はゴルフの記録を残したけれど・・。
 「2010年のゴルフの平均スコアは 2010-12-31」
  http://uccih.exblog.jp/12608059/

3月に日本へ帰り大地震と寒い節電に遭い、10月には
タイが洪水に見舞われた(幸いチェンマイは少しで済んだが)。
さらに1年を通しての欧州の政治家の不手際によるユーロ債務危機の
拡大、そして2010年11月に無理して痛めた背中と腰の痛みが
ほぼ1年続き、ゴルフ・クラブもうまく振れなかった。
なんとも公私にわたり悪い年だった。

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チェンマイのゴルフは、2010年のスコアの平均が88点だったので、
ことしは85点を目指したが、体の回復が目標になり、
スコアどころでなかった。
去年は出したことがなかった100点が平気で出るゴルフとなった。
20年前の自分に戻ったような年だった。

幸い、体の方も9割回復。
無理と楽観は禁物だが、新年からまたスコアも残して行こう。
でも、転んでもただでは起きない。
今年の休養中に、ゴルフについて新たに会得した点もある。

健康が一番。
人間、体調さえ整えておけば、災害がやってこようが、
不況がやってこようが、人間関係がうまく行かなかろうが、
ドンと来いである。

皆様も、新年は健康でよい1年を!
朝晩は肌寒いくらいのチェンマイより、ご多幸をお祈りします。
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by ucci-h | 2011-12-31 11:34 | ゴルフの工夫 | Comments(4)
2012年タイの日の出産業と日没産業は?
昨年の暮れに続き、今年もUTCC(タイ商業会議所大学)の
「来年日の出の産業と日没産業」が公表された。

昨年暮れの今年の予想はどうだったか?
大洪水で、自動車産業やゴム産業が、日の出の位置から
こけたが、おおむね当たっていた。
ただ、世界経済に大きなブレーキがかかることは見通せなかった
ようだ。
 「来年タイで伸びる業種・伸びない業種 2010-12-25」
  http://uccih.exblog.jp/12571992/

さて、今年の新年の予想はどうなっているか?
“日の出産業”のベスト7は、以下の産業である。

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1.医療・美容産業
タイ人の近年の医療・美容への関心は著しい。
2.砂糖産業
中国、ブラジルなどの大国の需要増が大きい。
3.セメント・コンクリート産業
水害からの復旧もあり、インフラ投資の需要が盛り上がると見る。

4.NGV(圧縮天然ガス)とLPGの自動車用燃料スタンド
相変わらず、安価なガソリン以外の燃料へのシフトが続くと見る。
5.金融サービス
タイ人のローンへのニーズは増え続けると見る。
6.通信技術
インターネットの高速化や3G携帯はこれから。
7.生命・損害保険

逆に、日没産業のワースト7は、以下の通り。
1.小規模パパママ・ストア
大規模量販チェーンに押される。
2.乾燥野菜・果物
フレッシュなものがより好まれる。
3.工芸品
デザインが悪いものは、中国産の安いものに駆逐される。

4.皮革一般製品
5.一般織物製品
6.衣料品一般
7.鉄鋼・鋳造産業

砂糖とセメントを除くと、昨年の顔ぶれと大きくは変わらない。
日の出産業は、タイのここ数年の成長産業を多く示している
ということか。
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by ucci-h | 2011-12-31 10:49 | タイの株式市場と企業 | Comments(0)
年末大掃除、1年間汚れた窓ガラスの外側を拭くすぐれ物
タイの新しい家は、床に白いタイルが多いので、
汚れは目立つが、涼しく掃除しやすい。

年末になったので、ふだん掃除が行き届かない
窓ガラスもきれいにしようと思った。

日本でもそうだが、窓の外側に鉄の格子がはまっているので、
外側は、雨風に汚れたままでなかなか拭けない。

そこで、「ビッグC」スーパーへ行って、
窓拭きの出来るモップを199バーツで買ってきた。
スポンジ側をぬらし掃除し、ゴム側で水をふき取るのだ。
柄が伸縮できるようになっている。

だめもとで買ってきたが、これがうまい具合に窓の外側と
鉄格子の間に入り込み、拭いてくれる。
完璧ではないが、水で拭くだけで、ずいぶんきれいになった。

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クルマと同じで、やはり窓ガラスがきれいな方が
気持ちがすっきりする。
これで何とか、新しい気分で、新年を迎えられそうだ。

(ついでに)
一緒に買った、写真のブラシ(109バーツ)はトイレ掃除用だが、
実は背中洗い用に使う。
これで軽く背中の中ほどをこすると、強力で気持ちがいい。
かゆみなどすぐ吹き飛ぶ。
ただし、軽く使うこと。強くこすると皮がむけて血が出るだろう。
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by ucci-h | 2011-12-31 10:16 | アジア的な生活 | Comments(0)
バンコクの西300km、ビルマの「ダウェイ港湾工業地帯」開発の概要が明らかになってきた
ビルマの南部、アンダマン海に面する漁村ダウェイに
ビルマ最大級の臨海工業地帯が開発されそうだと
お伝えしたのは、昨年12月だが、それから1年、
その概要がだんだんはっきりしてきた。
 「注目されるビルマのダウェイ経済開発 2010-12-8」
  http://uccih.exblog.jp/12458702/

ダウェイは、ビルマの港湾と言っても、
ラングーンからよりも、タイのバンコクからのほうがよほど近い。
カンチャナブリを経て、バンコクの西300kmに位置する。
国境を越えた道路が完成すれば、バンコクから、南のマラッカ海峡を
経ずとも、インド方面への海路が開けることにもなる
(中国も当然ねらっている)。

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(Global Asiaより)

このダウェイ開発を仕切っているのが、タイ最大の土木建設会社
「イタリアン・タイ開発」(ITD)だ。
1954年にチャオプラヤ川での沈没船引き上げに協力した
イタリア人ベーリンジェリとタイ人チャイジュット・カルナスータが
仲良くなって1958年に作った会社だ。
スワナプーム空港の建設や、バンコクのBTS(スカイ・トレイン)や
MRT(地下鉄)の建設にも携わってきている。

社名からは、イタリアとタイの合弁のように見えるが、今では
創業家のカルナスータ・ファミリーを中心に
株主も経営陣もほとんどみなタイ人である
(足元の業績、財務内容は必ずしも良くないが・・)。

ダウェイ開発は、インフラの建設と、
6つの優先的工業プロジェクトからなる。

インフラの開発に向けて、ITDでは、125億ドルの大型ローンを
予定している。
内訳は、港湾と道路の建設に35億ドル。
鉄道建設に20億ドル。
石炭火力発電(出力計4000メガワット)に70億ドルだ。

125億ドルのうち、港湾・道路建設(35億ドル)については、
日本の国際協力銀行(JBIC)に、鉄道建設(20億ドル)については、
中国の銀行と話をしている。

ITDは、ビルマ政府から、25600ヘクタール(256平方km)の
土地を75年間、譲り受けている。25600ヘクタールといえば、
真四角にすれば、16km四方の広大な土地だ。

ここに以下のような工業団地を作る予定だ。
・港湾施設 976ヘクタール(全体の面積比3.8%)
・発電所 368ヘクタール(1.4%)
・製鉄所 2200ヘクタール(8.6%)
・石油・ガス施設 1392ヘクタール(5.4%)
・石油化学コンプレックス 2755ヘクタール(10.8%)
・肥料プラント 384ヘクタール(1.5%)

製鉄所については日本の2社、中国の1社と協議している。
発電所については、タイのラチャブリ発電が30%出資の予定だ。

ITDは、6つの優先工業プロジェクトの資金を得るため、
来年、全体の3割にあたる8000ヘクタール(ほぼ9km四方)
の土地を売却する予定だ。

ITDは、ダウェイ開発のインセンティブを得るため、
ビルマ政府から、最初の5年間の法人税免除、
その後5年間の15%低税率を獲得している。

タイの財務相、運輸相、エネルギー相は、来年連れ立って
ダウェイを訪問する。

ダウェイ開発は、タイのベネフィットが大きい。
そして、これに中国が続くことになる。
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by ucci-h | 2011-12-30 17:07 | ミャンマー・ラオス・カンボジア | Comments(2)
ベトナムの銀行の増大した不良貸し出しにメスが入れられるか
欧州の財政問題は、銀行の信用問題に変容してきているが、
アジアでなお20%近いインフレ率(11月19.8%)に悩むベトナムの
最大の経済課題は、金融機関、銀行の健全性、具体的には
膨れ上がった不良ローンの処理という点になってきたようだ。
 「不良資産の処理に追われるベトナムの銀行 2011-10-4」
  http://uccih.exblog.jp/14690591/

ベトナムには、100行ほどの、国営、民間、外資系の銀行があるが、
多くが、過去のローンの急激な拡大から、不良債権を抱えている。
ベトナムの銀行融資は、過去10年で14倍に膨れたと言われる。
年35%増のペースで拡大してきた。
今や、融資残は、中央銀行によれば、2011年9月末現在で、
2500億ドルと、GDPの2.4倍に達している。

もともと資本が過小なベトナムの銀行は、不良資産の増大により、
資金不足に悩むことになる。
しかも高い貸出金利を余儀なくされているので、借り手の障害に
なってきており、金融業の機能が制限されてきている。
このままでは、経済の発展にも支障をきたしてくる。

ベトナムの銀行の不良債権の割合は、公式には3.2%で、
年末には5%に達するかもしれないと言うことだが、
数字があいまいなベトナムのこと、実際の割合は、
もっと高く、外資筋は、10%以上、銀行アナリストは15%を超えている
と見ている。

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これは、捨てて置けない問題で、共産党政府(ベトナム戦争勝利後、
ベトナム労働党の名をベトナム共産党に変えている)は、
銀行業の再編成に乗り出す意向だ。

もっとも、政府のやり方は、今のところ銀行合併しかない。
小さな銀行を一緒にさせ、2015年までに銀行の数を半分に減らす
つもりだと、前中央銀行総裁は言っている。
さっそく、この12月には、ホーチミン市の3行が合併した。

しかし、一緒になれば、不良資産が減ると言うものではない。
かつ、政府や大銀行にこれらを救済する余力も少ないようだ。
でも誰かが不良債権をかぶらなければならない。

そこで期待されるのが外資系金融機関だ。
外資系銀行も、欧米の銀行の多くは、欧州の債務問題で余裕に
乏しい。期待されるのは、アジア、中国の銀行と言うことになるのだろうか。

現在、ベトナムの銀行業において、外資系銀行は、一行につき、
国内銀行の資本保有は20%までに制限され、全部あわせても、
外資の保有比率は30%に制限されているが、今後は
こういった制限が緩められ、外資系銀行の設立が促進されるのだろうか。

ベトナムに外資系銀行が増えて、資金が豊かになるだけでなく、
ここまでのベトナムの国営企業を中心とする野放図な経営姿勢が
チェックされるようになれば、ベトナムの経済発展に好ましいことに
なるだろうが、さて今後どこまで開放されるだろうか。
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by ucci-h | 2011-12-30 12:10 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(1)
タイらしいというか、真昼のガソリン・スタンドのトイレで政治家の惨劇
12月25日(日)クリスマスの日の午後3時、
タイらしい惨劇が、バンコクの西南サムート・サコンの街の
ガソリン・スタンドのトイレで起こった。

お寺での葬式に向かう途中のPTTのガソリン・スタンドで、
ウドン氏(49)は、運転手の運転する車から降り、
用を足しにトイレに向かった。
するとすぐその後に、隣りにピックアップ・トラックが止まり、
長身の黒い服の男がトイレに入った。

銃声が聞こえたのは間もなくだった。
その男はクルマに戻り、急発車で走り去った。
運転手がトイレに入り見たものはウドン氏の遺体だった。
頭に八発もの40口径の銃の弾丸が打ち込まれていた。

警察は、昼間の惨劇なので、目撃証言や十分な証拠から、
現下院議員のカンチット氏(41)に対し逮捕状をとった。

タイでは、政治は利権ビジネスなので(どこもそうかな)、
選挙前には候補者の暗殺が多い。
しかし、現職の政治家自身が手を下す例は珍しい(本当ならば)。
殺し屋に頼む方が多い。

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カンチット氏は、議会の福祉プラン(?)で、拳銃を買っているという。
カンチットは、民主党の2期連続当選議員で、
今年も、民主党の強い首都圏で議席を獲得している。
父も議員で大臣になっている。「息子は冷静な人間だ」と言っている。

一方、殺されたウドン氏は、政敵であるタイ貢献党。
地元の行政組織の会長を務めていた。
普段から、ふたりは仲が悪く言い争っていたという。

カンチット氏は、2日後の27日(火)に警察に出頭した。
罪を認めるのでなく、身の潔白を示すためだと言う。

タイでも議会の開いている間は、議員は逮捕勾留できないが、
議長の提案で、議会で多数の賛成を得られれば、
警察に身柄を引きわたせられる。

それにしても、計画的殺人にしては、
平気で運転手のいる車の脇に自分の車を止めるなど、
自分を隠すこともあまりせず、冷静な犯人とは見えない。

それにしても、銃社会タイランドの
なんとも忌まわしい凶劇である。
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by ucci-h | 2011-12-30 01:32 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(0)
タイの長期的洪水対策の資金手当は決まったが・・・
年末が近づき、水没したロジャナ工業団地のホンダの工場で
水に浸かったクルマ1055台の廃棄処分が開始されるなど、
タイでは、2011年の洪水から回復する途上にある。

注目される今後の洪水予防、対策案だが、具体的なものは
いまだ出ず、閣議で12月27日に資金手当だけが決定された。

短期的対策としては、既存の水門や河岸の改良、ダムや水源地の
管理強化などで、2012年度120億バーツ、2013年度45億バーツが
雨季入り前に、予算から使われることになった(タイ政府の会計年度は
9月末)。

これだけでは、小手先の対策になりかねない。
長期対策が施されなければ、外資はタイの中央平原から逃げ出していく。
長期洪水対策のために、短期対策の20倍となる3500億バーツを
国内向けに国債を発行し調達することになった。

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3500億バーツ(ざっと9000億円)といえば、
タイ政府の予算規模2兆バーツの18%に達する大きな金額だ。
このお金を使って、どういった長期的な洪水対策を施すかは
未定だ。チャオプラヤ川の東西に水路を設けて、バンコクを
水害から守りたいとだけ、キティラット副首相は言っている。

具体的なアイデアは、日本の国際協力機構(JICA)と
相談しながら決めて行きたいと言う。
また、水害対策の組織としては、今回重複して乱れたのを反省して、
灌漑局を中心にした単一のオーソリティーを作りたいと政府は言う。
これもまだ決まっていないが。

さて、どんな長期対策が出てくるのだろうか。
あと少しでタイの大洪水の年が終わる。
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by ucci-h | 2011-12-29 13:26 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(0)
あまり報道されない北朝鮮の経済の話(下)
一人当たりのGDPでみると、92年以降の落ち込みが著しい。
1991年にソ連が崩壊し、閉鎖国への援助の手がなくなってからだ。
1974年ごろに一人当たり2850ドル(現在のエジプトほど)まで伸びた
北朝鮮のGDPは、その後20年近く、チュチェのもと、停滞した後、
1992年ごろより、現在に至るまで大きく落ち込んで行く。
配給制度が不調をきたし、街に“コッチェビ”(花燕)と呼ばれる浮浪児が
急増し始めたのが1994年頃からである。

現在は一人当たり1090ドルと、なんと1960年代頃までの
水準に落ち込んでしまった。現在のカメルーンやコートジボワール、
パキスタンやラオスのレベルである。ピークから6割減である。

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北朝鮮は、西側の経済制裁もあり、中国から食糧支援を受け、
計画経済の下、食糧配給を行なっていると言われるが
(もちろん私的な小規模市場もあるようだが)、現在国民の5人に一人に当たる
5百万人に食糧が足りないと、
11月25日に出た国連の「FAO」(食糧農業機関)のレポートは伝えている。
子供の3人に一人が栄養不足だそうだ。

5月から9月の夏の間の食糧配給は、一人一日当たり200g弱と、
必要最小限の600gの3分の一だそうである。
不足分は、草、どんぐり、松の実、野いちご、きのこ、花の根などで
補っている。

北朝鮮は経済開放を進めなければ、これ以上援助でしか
凌げない状況に来ている。
しかし、アラブの国々のように下からのデモで国がひっくり返る
可能性は、なくはないだろうが、今のところ薄いだろう。
国民の横のつながりがまだできていないようだ。

韓国国境からわずか16kmしか離れていない、かつての高麗の
首都だったケソン(開城)には、グッド・ピープル社(下着メーカー)など
韓国企業も活動している「ケソン工業団地」がある。
そこにエジプトのカイロに本拠を持つ「オラスコム・テレコム」社も
モバイル電話サービスを提供している。
そこでの携帯電話の契約者は、この6月末に、1年前の18万人から
67万人に伸び始めたところだ。

北朝鮮政府が、中国にならって、いつどのように開放経済を取り入れるか
注目される。
新しいリーダー、キム・ジョンウン(金正恩)は28歳と若く、
最低1年は、政治的、軍事的基盤作りに追われると言われる。
経済的開放をやるならそのあとになりそうだ。

経済開放はやるなら、かつて中国のデン・シャオピン(鄧小平)がやったように
経済特区の拡大など、市場経済の一部導入や、外資の導入となるだろう。
見本は世界中に散らばっているのだから、閉鎖志向を捨てて、開放経済に向かう
考え方の変化が必要となる。
若い指導者に、知恵を与えられる人物が出てくるのだろうか。

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北朝鮮の経済政策の変更については、悲劇がつきまとう。
2010年3月、党の財政、経済計画のトップのパク・ナムギー(朴南基)が
経済を意図的に悪化させようとした罪を問われ、逮捕され、76歳で銃殺された。
通貨価値を切り下げ、国民の預金の一部を差し押さえようと
いうものだったが、インフレを引き起こし、その失政を問われたと言う。

いずれは、開放路線に向かわざるを得ない北朝鮮だが、
そのきっかけはどこで生まれてくるのだろうか。
いっそうビルマのように、中国が属国化するかのごとく
丸抱えにし、それへの反発から経済開放へ向かうという
筋書きはどうだろうか。

それには少し時間がかかりそうだが、
世界の変化はまた思ったより急激にやってくることもある。
閉鎖国北朝鮮の開放が待たれる。

(おわり)
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by ucci-h | 2011-12-24 09:44 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)
あまり報道されない北朝鮮の経済の話(上)
北朝鮮のキム・ジョンイル(金正日)労働党主席が、
2011年12月17日に、70歳(報道はなぜか69歳)で亡くなった。
父のキム・イルソン(金日成)は、抗日戦線に立ち、建国をリードしたが、
この建国の父の長男は、何もしないと言うか、“瀬戸際外交”を行ない、
かつ国を窮乏に追い込んでしまった。

死去の報道後の日本のニュースを見ると、
「これから、北朝鮮が不安定になるのが心配だ。
うまく安定してくれるといい」という、マッチポンプ的と言うか、
自己矛盾的な報道で事足らしている。

「悪かった国の指導者が亡くなったのだから、変化のきっかけに
なる方がいいのじゃないの?悪かったまま安定して何がいいの?」
と言えば、屁理屈と言われそうだ。日本は、ないものねだりの“安定”が
お風呂のように好きである。

屁理屈はさておき、北朝鮮については、うわべの政治的、軍事的
議論ばかりが多い。外国からの援助や譲歩を引き出すために、
危なっかしい“瀬戸際外交”をとってきたと言えば、その通りだが、
国の根底にある経済となると、「貧しくて国民は飢えている」だけで
すんでいる。

世の中、表面的で現象的な情報ばかりが、複製され、広まり、
大事な情報はほとんど出てこないが、北朝鮮情報はその典型かも知れない。

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どの程度貧困なのか、また経済政策はどこを向いているのか、
GDPは?、貿易は?、税制度は?となると、情報閉鎖国なので、ほとんど何も
出てこない(北朝鮮は経済活動もまだ伸びていた1974年に税を廃止したと
言われるが、別の名称で財政収入は獲得しているようだ)。

朝鮮労働党も奉じたはずのマルクス経済学を引き合いに出すまでもなく、
国の“下部構造”である経済は、その国の体力を決めることになる。
ブルンバーグのユンキュン・セオ記者が、最近いろいろなところからの情報を元に、
北朝鮮の経済の現状と流れをうまくまとめているので、これに情報を付加して、
ポイントをまとめてみたい。

北朝鮮は、今でこそ経済がひどく落ち込んだ国になったが、
かつて70年代初め頃までは、韓国に負けないぐらいがんばっていた。
石炭(無煙炭)や鉱物資源に恵まれ、その埋蔵価値は6兆ドルを超え、
韓国の24倍に及ぶと、韓国の資源会社は見ている。
北朝鮮は、大戦中に日本が残したインフラを活用し、経済発展が出来たのだ。

しかし、1974年頃から、工業化と輸出強化を図った韓国に引き離され始める。
今や、韓国の輸出入金額8900億ドル(2010年)に対し、北朝鮮のそれは
42億ドルしかない。200倍の差である。
少ない輸出品に代わって、ミサイルや麻薬、偽造たばこ等で数億ドルの
外貨を稼いでいると、10月31日の米国国務省のレポートは伝えている。

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最大の経済発展の失敗は、72年ごろより、金日成が育ったソ連からも、
朝鮮戦争で助けてくれた中国からも独立した「チュチェ(主体)思想」を、
経済分野にも適用しようとしたからのようだ。

早い話が、経済鎖国である。20世紀終わりごろから21世紀にかけて
世界はいやでもグローバル化していったのに、ひとり取り残された。
資源はあっても、燃料や部品や材料が足りなくては工業化は進まない。
北朝鮮の経済状況については、韓国の「NIS」(国家インテリジェンス・サービス、
かつてのKCIA)が25人のエコノミストを抱え、追っている。

面白い話がある。
北朝鮮の化学者リー博士が、戦前日本の研究所で、「ビナロン」を発明した。
国産の石灰石を原料にして、ナイロンに2年遅れて世に出てきた化学繊維である。
これをいつまでもチュチェの製品として誇りにし、
世界の繊維産業発展の潮流からすっかり遅れてしまった。

北朝鮮の2010年のGDPは、韓国中央銀行の推計によると、
およそ265億ドル。パナマ、ヨルダン、ラトビア、キプロスといった
小国なみである。人口は、2430万人とちょうど韓国の半分居るが、
GDPは韓国の40分の一だ。
CIAによると、世界228か国中、195位だという。

(「下」に続く)
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by ucci-h | 2011-12-24 09:38 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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