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経済停滞の要因であるタイの借金増はどこへ行く?(4の1)
タイ経済の現在の重い落ち込みは、
その多くが、前タイ貢献党政権のポピュリスト的政策による
ばらまき経済政策によるものであることを見た。

 「クーデターの5月、タイ経済沈下の真犯人は? 2014-5-28」
  http://uccih.exblog.jp/20754892/

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そして、現在のタイ経済は、消費、投資が低迷している
背景に、経済失政で加速された“借金経済”の負荷が
官民に重くのしかかっている面を見逃すわけにはいかない。


 「タイ人家計の借金は重荷になってきているか? 2012-5-15」
  http://uccih.exblog.jp/15870529/


 「先行き懸念されるタイ経済 家計の借入急増の負担は? 2013-7-20」
  http://uccih.exblog.jp/19301742/


物価上昇もあり、
「タイの労働者の生活の質は、過去6年で最悪となっている」と
まで言われるが、タイの家計、企業、政府の借入残高は
どこまで上がってきているのだろう?
そして、その仲介役を務める銀行など金融機関の
健全性は保たれているのだろうか?


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官民の借入負担が改善していく見込みがないならば、
単に経済局面が景気後退に入るだけでなく、
タイ経済は、その後に、大きな経済構造の
荒療治が必要となる。


現在ここまでの、各経済主体の債務状況を
4回に分けて、見てみることにしよう。


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まずは、家計の借金の状況から見てみよう。
タイは、所得格差が大きな国だから、
低所得層の人たちは、いつも借金に頼りがちだ。


タイ人は、「明日は明日の風が吹く」という意識が強いから、
借入をした際の将来の元利支払いの負担など
深く考えないで、借入に飛びつきがちだ。

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以前、タイ人の若い人と話をしたが、
車を買った上で、さらに住宅も買うという。
もちろんほとんどローンで買う。


「月々の収入に対する借入の支払いは毎月いくらになるの?
それでは、他の経費が出ないじゃないの」と
言っても、ともかく、車と住宅を持ちたいんだの一点張りだった。


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そういう中で、2012年のタイ貢献党政権による
「自動車初回購入者税優遇」政策は、罪作りなことをした。


“自動車を欲しい若い層のお尻を持ち上げてやる”と言って
実施されたこの政策は、景気の先食いをして、
自然な景気サイクルをゆがめただけでなく、
124万人の制度利用者の多くに、その後大きな借金を残してしまった。

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もちろん、国にも物品税還元の912億バーツ(2800億円)の
税収減負担がかかり、その負担は今年度(2013~14年度)も
続いているが、無理して購入した層のローン残高は膨れ、
現在の消費差し控えの要因になっている。


そのため、車の次に手を出すはずだった住宅のローンを組むのも
難しくなってしまった。
2014年に入り、住宅ローン申込者のうち、既存ローンのレベルが高く
撥ねられる比率は、15%に上がってきている。


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タイの全2,030万世帯の家計の借金は、2013年3月末で総額9兆バーツ
(28兆円)に達し、GDP比78%の水準までになったと言われる
(2008年は56%)。


もっともこれは、個人企業等の債務も含む数字と思われ、生活のための
借金は4兆バーツ(12兆円)ほどであろう。GDP比33%ほど。
これも、もちろんここ数年増加してきている。


バイクよりも車を持ちたい、自分の家を持ちたい(タイの持ち家比率は80%と
高い)といったニーズに対して、低利の住宅ローン、また最近はクレジット・
カードが普及してきている。


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家計の借入増に伴い、
“デット・サービス比率”、つまり月々の所得に占める借入の元利負担が
上がってきている。2013年末で平均34%(4年前の2009年は24%)。
これは借金のある世帯(ほぼ半分近く)の平均だが、
負担に耐えられないと言われる40%ラインに近づいてきている。

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ことに、月収1万バーツ(3万円強)未満の低所得層のD/S比率は、
61%(2009年は45%)と突出している。
この世帯は、全世帯数の35%ほどを占め、700万世帯(2200万人)
近くある。


「タイ商工会議所大学」(UTCC)の1237世帯を対象にした
最近の調査によると、一世帯あたり平均のローン残高は168,500バーツ
(約52万円)、月々の支払いは11,000バーツ(約3万4千円)に及んでいる。


最低賃金や公務員初任給の大幅引き上げにより、物価も上がっている
ことから、借金増は、耐久財中心に購買を控えさせている。


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住宅ローンの残高総額は、ほぼ2兆3,000億バーツ(7兆円強)。
自動車初回購入奨励策で、家計の借り入れ増は、5,000~6,000億バーツ
(1兆5000億~1兆8千億円ほど)増えたと推定される。


自動車を購入した100万世帯強の家計では、
住宅購入の頭金以上が消えてしまった勘定になる。


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当面しばらくタイの家計は、支出の抑制を余儀なくされよう。
個人消費は伸び悩みそうだ。


幸い、銀行はじめ金融機関が住宅ローンやその他個人向け融資に
対して警戒的になってきているので、
金融システムとしての“システミック・リスク”は限られよう。


次回は、企業、なかでも景気に翻弄されがちなタイの中小企業の
債務状況も見ておこう。
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by ucci-h | 2014-05-31 12:16 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(0)
クーデターの夏5月、タイ経済沈下の“真犯人”は?
2014年5月下旬のタイ。
暑さの続く中で、クーデターが起こり、
耳目はタイの政治動向に釘付けとなったが、
一方で、タイの経済は、今までになく沈下しつつある。

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2014年5月19日(月)、タイ陸軍が戒厳令を敷く前日、
「国家経済社会開発庁」(NESDB)が発表した
第1四半期のタイのGDPは、前期比マイナス2.1%、
前年同期比でもマイナス0.6%と、予想以上の落ち込みを見せた。
民間消費と投資の落ち込みが、タイ経済を後退させている。


年初に4.5%ほどと見込まれた2014年の民間の経済成長率予想は、
ここにきて1.6%ほどと、アセアン諸国で最低の成長見通しと
なってしまった。年前半はリセッション(景気後退)さえ見込まれる。


昨年10月からのデモの激化など「政治混乱が原因」と言われるが、
この説明は正確さを欠く。
2012年に展開されたタイ貢献党政権のポピュリスト的
ばらまき政策が、今日の重い景気の落ち込みをもたらしたと言える。


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2011年8月政権に就いたインラック・タイ貢献党政権は、
当時でも首を傾げたくなるポピュリスト的経済政策を連発した。


2012年に実施された初回自動車購入者には物品税を還元する
という「自動車購入奨励策」は、いったい誰のための政策か
よくわからなかった。しかもタイの景気が良かった時期に自動車販売を
奨励するという政策であった。

 「浮き出てきた自動車初回購入者税優遇のデメリット 2011-9-15」
  http://uccih.exblog.jp/14567597/

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結果、2012年のタイの自動車国内販売は、前年比+80%もの
急増となり、街には新車が溢れ、すいていたチェンマイの街にすら
いままでにない渋滞をもたらした。
車のデリバリーに時間がかかったので、新車ラッシュは2013年前半まで続いた。


その後に残ったものは、街の渋滞の他に、無理して自動車購入に向かった
若年層のローン残高の増大と、買っても維持できず手放すので、
中古車市場に車が溢れ、中古車価格の急落であった。
ことに、これによる家計の借金残高の増大は、これから先
何年間かタイ中間層の購買活動を削ぐものとなろう。


2014年1~3月の自動車国内販売台数は
22.4万台。昨年同期に比べ46%の落ち込みと
なっている。輸出向けも含めた生産台数も51.7万台と
マイナス28%である。


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最低賃金の引き上げ策も乱暴だった。
2012年から2013年にかけて、全国の最低賃金は、
それまでの地域差も無視して、一律に1日300バーツとなった。
一日900円強という水準はけして高いものではないが、
全国平均で一挙に+70%という大幅引き上げとなった。

 「最低賃金70%引き上げに対しタイ工業連盟最後の抵抗 2011-10-28」
  http://uccih.exblog.jp/14706397/

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水準の低かった北部や東北部は、平均以上の
一挙引き上げとなった。チェンマイは+67%だったが、コンケンが+80%、
ピサヌロークが+84%、全国一低かった(1日159バーツだった)にいたっては
+89%の大幅引き上げとなった。
激変緩和措置もなく、2012年4月から13年にかけ導入された。


最低賃金を大きく引き上げて、タイ国民の所得水準を
先進国に近づけるという理屈は、一見もっともらしく見えたが、
予想通り、失業の増加、中小企業の倒産、そしてインフレを
もたらした。


最低賃金を引き上げるだけで(生産性の上昇もなしに)、
国民の所得水準が上がるなら、これほど楽な政策はない。
どこの開発途上国でもやるだろう。


賃金アップに耐えられない中小企業は、従業員を減らすことで
対応した。出来ないところは倒産した。
北部の就業機会の少ない地域では、最低賃金の80%ほどのアップで、
いっそう産業立地が難しくなった。


賃金がアップし(同時に公務員の初任給も大幅に上げた)、
職を失わなかった者も喜んではいられない。
コストアップのつけが、物価上昇となって跳ね返ってくる。
今では、街の食堂のメニューがほとんど上がってしまった。


公式に発表されるタイのインフレ率は低く、
生活実感とそぐわないが、
それでも、2014年4月のCPI(消費者物価指数)は
過去12ヶ月上昇を続け、前年比+2.5%へと上がってきている。


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そして最大の政治問題となったのが、「コメ抵当スキーム」だ。
全国のコメを市場価格より5~6割高い価格で政府が
すべて買い取り、農民の生活を楽にするという看板の
政策は、実施2年にして綻びが出て、クーデター前夜には、
「コメ代金を半年も政府が払ってくれない!」という事態に
なってしまっていた。

 「問題山積みでコメ抵当システム10月スタート 2011-9-24」
  http://uccih.exblog.jp/14626247/

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そもそも、発足当時から危うい政策に見られた
この国家コメ管理政策は、タクシン政権時代の失敗が
あったにもかかわらず、政治家、役人、業者をも
潤す仕組なので不透明な形でスタートし、その不透明さゆえに、
十分な計画と管理ができないまま、結局は挫折した。


「タイ産の米は世界でも人気だから、政府が在庫を増やして
供給を減らせば、価格が上がり、高い価格で売れる」
という、世界の供給過多のコメ市場を無視した政策は破綻した。


「タイ政府が米を溜め込んでいる。そのうちどっと出てくるぞ」と
いう市場の読みによる大幅値下がりで、しっぺ返しを食うことになった。


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戒厳令の敷かれる前夜は、
「国家反汚職委員会」(NACC)が、
これを実施したタイ貢献党内閣を訴追する寸前だった。


政府コメ政策委員会の委員長ながら、
ほとんど委員会にも出なかったインラック前首相を
「職務怠慢の罪」で上院に弾劾させようとしていた。


また当時担当のニワタムロン前商務相(クーデター時には
暫定首相代理)ら関係閣僚を、存在しなかった
「G-to-G」(国家間のコメ売買契約)における
「汚職容疑」で摘発するところだった。

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コメ抵当スキームは、2年半で8,000億バーツ(2兆5千億円)以上の
巨費を投じた仕組みなので、関係者の懐は潤ったかもしれないが、
納税者には、その半分以上5,000億バーツにのぼる損失が
負担としてかかってくる。


一部の農民は潤ったようだが、それでも半年も
コメ代金が払われない状態は、農家全体の借金の水準を
いっそう上げ、高利貸しに走らせることになってしまった。


また、タイがコメ輸出国の首位の座を明け渡しただけでなく、
味や質を無視した重量ベースの買い取り制度は、
タイ産米の品質向上に暗い影をさした。


この間、農民はただ収穫量の増大に走り、
肥料や農薬の購入で、借金水準をいっそう高めてしまった。

 「前政権のコメ未払い問題、軍事政権が解消に 2014-5-27」
  http://uccih.exblog.jp/20751426/


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タイの経済の重い落ち込みは、世界経済の停滞や
政治の不安定さからではなく、明らかに、タイ貢献党の
経済失政からもたらされた。


具体的には、バラマキ、それも下手なばら撒き方による
需要先食いでの落ち込み、正常な経済活動への介入による
労働市場や農業市場へのゆがみ、そして
家計、企業の借入残増大という長期的問題も残してしまった。


「カシコン銀行研究所」の「家計経済指数」によると、
2014年4月の家計消費動向を示すこの指数は、
3ヶ月続けて下がり、41.9と、中立の50の水準を割り
なお下がっている。


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インフレが高進して来ていることと、借金が増えてしまった
ことが家計の消費行動を抑えてしまっている。

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家計の慎重さは、耐久消費財購入の先延ばしだけでなく、
今まで盛んだった国外旅行にも影をさしている。


2014年の1~4月のタイ人の国外旅行件数は
日本への64%増のブームにもかかわらず、
全体では40%の落ち込みとなっている。


軍のクーデターが‘ショック療法’、つまりタイ経済の
再生のきっかけになることを願わずにはいられない。
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by ucci-h | 2014-05-28 23:34 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(3)
前政権の失政、コメ代金の未払い問題が、軍事政権で解消に
半年以上の懸案であった、タイの農民に対する
政府のコメ代金未払い問題が、クーデター4日後で
解消に向かった。


コメ代金が政府から半年以上も払われないで来た
タイの多くの農民は、クーデターによる軍事政権の
成立で、5月26日(月)午後から、さっそく長く滞納されていた
コメ代金が支払われ始めたことに喜んでいるに違いない。

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タイ貢献党の経済失政の最たるものである
コメ抵当スキームは、実施2年後で‘代金の未払い’と
いう形でほぼ挫折していた。
この政府のコメ代金未払いの問題は、農民の
自殺者も出すなど、農家の深刻な問題となっている。


 「タイ政権のコメ代金確保の苦闘続く(前半) 2014-3-4」
  http://uccih.exblog.jp/20426509/

 「タイ政権のコメ代金確保の苦闘続く(後半) 2014-3-6」
  http://uccih.exblog.jp/20430460/


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農民の多くが選挙を通じて送り込んだタイ貢献党政権が
未払いの状態を延ばし延ばしで来たのに対し、
望まない軍事政権が、ただちに手を打ってくれたのは
何とも皮肉なことである。


実は、ここにタイの未成熟な民主主義の欠陥と、
海外から忌み嫌われるタイの軍事政権の対照的な
効率性が垣間見られるのだが・・・。


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それはさておき、
タイの「コメ抵当スキーム」のここに至るまでの
数ヶ月の動きを振り返ってみよう。


昨年暮れから明らかになった政府によるコメ代金の
未払いは、年末から年始にかけて、政府の閣僚達からの
「今から支払う」という虚偽の声を何回も聞きながら、
「まあ、3月半ばくらいになるかなあ」という支払い見通しだった。
しかし、その3月を過ぎても問題は持ち越され、
すでに半年以上に及んだ。


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2013年10月から2014年2月までの第1期米
(それ以前の未払いもあるが・・)の納入量は、
籾量にしてほぼ1,150万トンだった。
平均トン16,500バーツ(5万円強)の高値で政府が
基本全量引き取ってくれるので、農家は増産に努めた。
支払い代金は、1,900億バーツ(5,900億円)となる。

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ところが、政府の高値売却のもくろみは外れ、
高コスト米は、世界のコメ市況の下落の中で外国に売れず、
政府の倉庫に精米量で1,700万トンと、
輸出の2年分近くが積み上がってしまった。


政府は市況の回復を待っているから、なかなか損切りもできず、
コメ売却代金が入ってこず、農民への支払いに齟齬をきたした。


@@@@@


第1期米1,900億バーツのコメ代金のうち、
実際に支払われたのは、ここまで半分の1,000億バーツである。
半分近くが未払いとなり、農民を高利貸しに走らせることになった。

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既支払い額のうち、コメ売却による商務省への入金は700億バーツ
ほどだった。
高いタイ米は、国際市場で精米ベースで半年で260万トンほど
(モミ量にして420万トンほど)と、3分の一強しか捌けなかったのだ。


政府の予算の予備費から200億バーツ、そしてコメ代金支払いを扱う
国営の「農業農協銀行」(BAAC)の集めた基金から100億バーツが
足されて、83万人ほどの農民に、ここ3~4月頃までに、遅ればせながら
半分の1000億バーツほどがようやく支払えた。


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年末から年初にかけての、コメ代金充当のための政府の借入れの試みは、
ことごとくつぶれてきた。
その理由の多くが、資金の出し手である銀行や国有企業が、
暫定政府の借入の正当性に対して疑問を感じたからと言われるが、
銀行や役所といったエスタブリッシュメントのタクシン派嫌いも
根底にあったのだろう。


そして、なお残る84万人ほどへの900億バーツをさらに予算の予備費から
捻出できないかと苦闘していたのが、クーデター前夜の政府の姿だった。


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その閉塞状況が、クーデターから4日目で突き破られた。
26日の午後から全国のBAACの店頭で、残るコメ代金が
支払われ始めたのだ。
軍事政権が優先課題として取り上げたからだ。

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まだるっこしく時間がかかり、時には時機を失する「民主主義」より、
「独裁主義」の方が時宜を得た決定・実行が速やかに行なえると、
企業経営になぞらえて、一部で言われるゆえんである
(だから民主主義はダメだと一般化しているわけではありません)。


タイの軍事政権は、海外の民主主義国から懸念を示され、
国内ではその強権体制に一部反発を受けているが、
①首都での両派の対立をストップさせたこと
(まだ先の展開はわからないが・・)と、②このコメ代金問題に素早く
着手したことのふたつは、評価されよう。


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この900億バーツ(2800億円)は、6月までの1ヶ月で
支払われる予定と言われる。

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この資金はどこから来るのだろうか?
このうち400億バーツは商務省からと言われるが、
結局は、予算の予備費からさらに400億バーツ出すことになるのだろう
(インラック政権時に200億バーツ引き出しているので、計600億バーツになる)。


残る500億バーツは金融機関からの借入と言われる。
「選挙委員会の承認なしには、政府からの借入の要望でも
憲法違反の嫌疑がかかる恐れがあるので、応じるわけにはいかない」と
言っていた金融機関も、現憲法停止、全権掌握の軍事政権からの
要請なら受け入れることになるのだろう。


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軍の政権掌握が、うまくタイ経済の復活と
社会安定のきっかけになればいい。


ちょうどタイの経済は、このコメ抵当スキームや自動車購入奨励策、
最低賃金一挙60%引き上げ策など、前政権のバラマキ政策による
家計の借金の増加、消費の先食い、インフレの高進により
重く沈んでいるときだ。


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また、世界のコメ相場もどん底にきている。
タイ政府の在庫放出懸念も含め、コメ生産国の供給増で
市況は下がりっぱなしで来た。

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5%精米FOBベースで、2012年平均573ドルだったタイ米の輸出価格は、
2013年には516ドルに下がり、今や391ドルの安値である。
2年間で32%も下がってしまった。
以前は100ドル以上安かったベトナム米の390ドルに並び、
インドやパキスタン米の420ドルよりも安くなってしまった。


しかし、そこはマーケットである。
安くなったタイ米を見て、購入を打診してくる国々が増えてきたという
一面もある。
ことによったら、貯まっていたタイ米が年後半以降、
はけ始めるかもしれない。


@@@@@


過去2年半に、8,000億バーツ(2兆5千億円)以上をつぎ込み、
その半分以上の5,000億バーツの損失を出し、
タイの米作の質の向上を止め、タイ米の輸出を減らし、
国と農民の借金を増やした、政治資金作りのスキーム。


損失部分が、まるまる農民への補助金になったのならいいが、
多くが、市場相場を崩し、不必要な費用として出費され、
まさに“損失”となってしまった。


それを始めたタイ貢献党が始末をつけられず、
最後は、軍事政権が始末をつけてくれそうな状況。
考えれば、なんとも皮肉なタイの悲喜劇である。
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by ucci-h | 2014-05-27 23:28 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(8)
タイのクーデター(続編3) 集権化を強める軍事政権と街の様子
タイのクーデターから2~3日経た週末、
クーデター本部の「NCPO」(国家平和秩序協議会)は
集権化を強めている。


ペイ・テレビの娯楽番組など通常の番組は土曜日(5月24日)から
見られるようになったが、CNNやBBCのような国際ニュース局は
見れない。NCPOは、外国からの‘懸念’が広まるのを怖れているようだ。
インターネットに頼るしかない。

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(写真はバンコク・ポスト紙より)


バンコクやチェンマイで反クーデター・デモが散発し始めたが、
兵隊に押し止められている。幸い、暴力沙汰はないようだ。
あれば、たちまち参加者の携帯からネットに画像がアップされる時代だ。


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NCPOは、土曜日の夕方になって、唯一立法機関として
残っていた上院も解散させた。
反タクシン派政府の上院に時期首相を選ばせるという筋書きを通すには
頼りなく切り捨てたのか、いっそう軍政権に権力を集中させる
新たな理由が出てきたのかわからない。

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また、3軍・警察揃いの政権体制だが、
2日と経たず、警察庁長官のアドゥル警察大将をはずし、
ワチャラポン副長官を昇格させた。


また、独立機関の「特別捜査局」(DSI)の局長タリットと
国防省の次官ニパットもはずした。
DSI局長にはチャチャワン警察副長官が、国防省次官には
次官補だったスラサック大将が、それぞれ就く。
ここらは、タクシン派寄りの人間を外したということだろう。


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アユタヤに拘留されたという政治家、デモ隊リーダー達は、
軍の奨めにもかかわらず、同じ屋根の下で寝ることを拒んでいるという。


軍が仲裁に入り、全権掌握した形となった
今回のクーデターだが、数年かけて固まってきた両派の
対立は、簡単に和解、氷解するものではない。


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また、土曜日になって、NCPOは召喚の対象を
学者やコメンテーターにも広げた。
彼等の意見を聞くというより、余計な扇動を排除するためだろうが・・。


これには反発も多く、
召喚のかかったチャルポン・タイ貢献党党首(なぜ最初に召喚のかかった
政治家グループに入らなかったのだろう?)は、
「軍には投降しない」と、セリタイ(自由タイ)グループに言っている。

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また、タマサート大学の教授らにも召喚が出たが、
同じく召喚のかかった京都大学にいる政治学者のパビン教授は、
「タイには戻らない」と言っている。


@@@@@


一方で、首都バンコクでは、反クーデター・デモが出始めている。
「クーデターよりも選挙で我々の首相を!」は正論だから、
NCPOも、政治的行き詰まりに対するクーデターでの介入の必要性の
説明が求められる。

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反政府派と赤シャツ隊の直接の衝突は、軍の介入で避けられたが、
今度、反クーデター派と軍隊・クーデター支持派の衝突と
なっては何にもならない。

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週明けの月曜日の朝には、「ロイヤル・コマンド」、国王の命令と言う形で、
NCPOのリーダーとしてプラユット司令官を正統付けるとともに、
今後のステップを披露する機会とする。

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軍事政権は、既存の政治家なしに、しばらく走っていくのだろうか?
この間、うまく大衆の理解を得られるのか?
難しい仕事となる。
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by ucci-h | 2014-05-25 23:20 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(0)
タイのクーデター(続々編) プラユット暫定首相政権の施政体制と政策
早速だが、クーデターの翌日から、
プラユット暫定首相のもと、
軍事政権による政治が緒に就いた。
軍事政権が良いとか悪いとかは言わないで、
その手腕を見てみたい。

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(写真・図表はバンコク・ポスト紙より)


少なくとも前インラック政権の数々の経済的、
社会的失政よりも、良いものになると期待したい。
プラユット暫定首相は、情勢が安定すれば
民政へ移管すると言っているが、
そう受け取っていいだろう。


@@@@@


2014年5月23日(金)、クーデターの翌日で、
まだテレビは、衛星チャネルも含め、
軍の音楽と発表ばかりやっていたが(24日には通常の番組に復帰)、
プラユット首相は政策と施政体制を述べている。

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まず、下院の総選挙をやる前に、政治・経済・社会体制の
変革をやる旨、述べている。
これは、反政府側が主張していたことだ。
具体的な変革の絵は依然として見えないが、
選挙が行われるのは、しばらく先になるということだろう。


選挙制度としては、下院選挙ではタイ貢献党が北部、東北部の
票で勝ち、中央部、南部が地盤の民主党がいつも負ける構図を
何とかしたいはずだが、難しい課題だろう。


@@@@@


具体的な行政の組織としては、
プラユットが全般および国内安全保障指揮、警察、
国家安全保障協議会などの4つの治安機関と予算局を見る。

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空軍の長であるプラジン元帥に、財務相、商務省、工業省などの
経済関係の7つの省を見てもらう。

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海軍の長であるナロン提督には、資源、教育、社会開発など
社会関係の7つの省を見てもらう。

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国軍の最高司令官であるタナサック元帥には、治安関係の4省
(国防、内務、情報、外交)の担当が与えられた。

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ちなみにタイの軍隊組織では、国防省の中にタイ王国軍最高司令部があり、
軍の人事、教育、作戦を司るが、軍隊の中心となる陸軍司令官が実質上、
軍のトップとして君臨している。


@@@@@


そして、警察のトップであるアドゥル(警察大将)警察庁長官に、内閣官房や
国家経済社会開発ボードなど22の政府機関を見てもらうことにした。
アドゥル長官は、インラック失職の引き金となったプリアオバン(タクシンの元妻の兄)
長官の後任。警察畑ながら反タクシンのステープに近いと言われる。

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プラユット暫定首相の下に、
空軍、海軍、警察のトップを揃い踏みさせた形だ。


@@@@@


まず、優先的に行なうことは、停滞している農民への
コメ代金の支払いを、速やかに行なうことである。
プラユット首相は、15~20日以内に行ないたいと言明している。

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インラック内閣の最大の失政の解決を優先課題に
挙げていることはうなずける。
もっともこの時点では、コメ抵当スキームの行方には触れていない。


行政体制といい、課題の捉え方といい、
プラユット体制は充分準備してきた感じがする。

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軍事政権が悪いとか、民選の内閣がいいとか
民主主義と言う形だけで首是できないのが、現実の歴史だ。
要はトップに立つ人間の才覚である。
当面、プラユット体制の打つ手を見守りたい。
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by ucci-h | 2014-05-25 00:41 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(0)
タイで起こったクーデターの状況(続報)
その後の報道によると、
22日2時から陸軍の建物で、プラユット陸軍司令官の
仲介の元で行なわれた、両派の会談は合意に至らなかった。
最終的には、現政府は辞職するか問われたのに対し、
政府を代表するチャイカセム司法大臣はノーと答え、
軍の全権掌握になったと伝えられる。

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会議決裂後、「UDD」(政府支持の赤シャツ隊)の代表
ジャトゥポーン達は軍の車で拘束、また反政府派「PDRC」の
代表ステープ等も同様に別の車で連行されたという。


クーデター後、18名の現閣僚に対し、ただちに
「NPOMC」(軍の作った国家平和秩序維持協議会)に
出頭するよう求められた。


また、その後深夜になって、タイ貢献党及び
タクシン派の政治家23名に対して、23日午前10時に
NPOMCへの召喚が求められた。
この中には、インラック前首相、ソムチャイ元首相(タクシンの義兄弟)、
ヤオワパ(タクシンのもう一人の妹)、チャラーム等
タクシン派の主要人物が含まれている。


タイの状況は緊迫感を増している。

23日(金)朝、プラユット司令官が暫定首相に就く旨が発表された。
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by ucci-h | 2014-05-23 10:41 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(2)
タイで8年ぶりに起きたクーデターの状況
2014年5月22日午後5時、タイの3軍は、
クーデターで全権を掌握したと発表した。
戒厳令が20日に敷かれてから、対立する反政府派と
政府派の仲裁に入ったが、その2日と14時間後である。
政府と反政府派への仲介がデッドロックに入った後である。

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(写真はバンコク・ポスト紙より)

 「タイ陸軍がついに戒厳令を敷いたが・・・ 2014-5-20」
  http://uccih.exblog.jp/20725294/

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タイは、クーデターなど超法規的な措置による
政変がよく起こる国だが、
前回2006年9月のタクシン追い出しのクーデターまで、
戦後、軍部により試みられたクーデターは、
数え方によるが、ほほ17回。


うち10回が成功、7回ほどが失敗ないし
未遂となっている。
ほぼ3年半に1回の頻度だ。
もっとも、今回はほぼ8年ぶりになる。


@@@@@


成功というのは、これにより時の政権が崩壊したり、
憲法が改定されたりしたものである。


青年将校団や一部の軍人による試みは失敗するものが
多かったが、軍のトップが主導して時の政権に
対抗したものには成功例が多い
(2006年反タクシン、91年2月反チャーチャイ、
77年10月反タニンなど)。

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今回は、3軍のトップが、いわば満を持して、
反政府派と政府派の対立の仲裁にはいった後の
クーデターだから、成功率は高いと見てよいだろう。


軍は、海外からの批判もあり、なかなか武力行使の
クーデターに打って出なくなったが、今回は、
やむをえず出てきたという形になっている。


@@@@@


クーデターと言うと、国の合法的な政府を、武力で
ひっくり返すイメージだが、軍や王室の権力は、
政府の政治権力とは別にあるとタイでは見られている。


従って、タイでのクーデターは、
政府の権力のやり方がうまく行かないとき
(腐敗や失政や政治のデッドロック)、別の頂点にある
軍が、その権力を使って、政府を立て直そうという行動と映る。

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 「立憲君主制80年のタイの民主主義の状況は? 2012-10-2」
  http://uccih.exblog.jp/16920985/


実際、1932年の立憲王政発足後のタイの過去32人の
首相のうち、半分以上の17人は軍の出身でもある。


@@@@@


今回のクーデターは、今までとちょっと違う。
過去は、時の政府を武力を背景に覆す形が多かったが、
今回は、政治対立のいわば最後の局面で、仲裁者として
出てきている。


92年5月の市民団体によるスチンダ首相退陣要求の
流血事件の後、形は違うが、プミポン国王が両者を呼び、
仲裁させた場面が思い出される。


軍は、従来の“転覆型クーデター”の悪評から学び、
“仲裁型クーデター”の形を取ることにより、
内外の支持を得ようとしているようだ。
軍が敷いた戒厳令は、タイの財界からも支持された。


@@@@@


2006年9月のタクシン追い出しクーデターの時は、
筆者はタイに長期滞在する前年で、クーデター時の体験はない。

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今回は、首都バンコクから離れたチェンマイにも緊張感はある。
タクシン家が、ここチェンマイ・サンカンペーンの出身のこともあろう。


初日の夜、街角には兵士が立っていると、チェンマイ市内の勤めから
帰った人は言っていた。
夜10時から朝5時までの外出禁止令が出たが、守られるようだ。
早めの時間から帰宅の途につく人の車が多い。



@@@@@


こちらのテレビは、軍のメッセージが各局で流されている。
衛星放送のCNNや娯楽番組、スポーツ局も今は
軍のメッセージ一色になった。


さらに、インターネットが閉じられるとの噂もある。
そうなると、外国のニュースも見えなくなり、ブログも送れなくなる。
噂だけだと思われるが、そうなると困る。早めの正常化を祈りたい。


@@@@@


これからどうなるか?
タクシン派政権は退くことになりそうだ。
タイの軍トップは、多くが反タクシンのはずである。
ただ中立の形で入ってきた以上、民主党側にも責任を問う
形も出てくるかもしれない。


喧嘩両成敗の形を取った上で、出てくる政権は
タクシン追い出し時と同様、軍人政権になるのか、
それとも、1946年に出来たタイの一番古い党で、
かつ19回の選挙に一度も勝ったことがない
民主党(首相は4人出している)が次ぐのだろうか?


「クーデターが起こったら、我々は街頭に出てくる」と言っていた
タクシン派に近いジャトゥポーン率いる赤シャツ隊はどう動くのだろうか?


このクーデターを転機に、沈み込んでいるタイ経済は
立ち直るきっかけをつかめるのだろうか・・・?
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by ucci-h | 2014-05-23 01:24 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(5)
タイ陸軍がついに戒厳令を敷いたが・・・
反政府派と政府支持派が首都バンコクで
直接ぶつかりそうな状況に至った
2014年5月20日、軍がついに介入した。


5月20日未明午前3時に、タイ陸軍は、戒厳令
(マーシャル・ロー)を敷いた。

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@@@@@


おかしなもので、日本にいるときは、数年に一度
出てくるタイの戒厳令を見て、「タイっていう国は
いったい何しているんだろう?」と思ったものだが、
タイに暮らし、日々の政治状況の変化を追っていると、
軍が中に入ってくることが、この国の政治状況では
しかたのないものに見えてくるから不思議だ。


軍という武力の介入がなければ、
反政府派と赤シャツ隊の初の直接の
激突すら想定できる状況となっている。

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@@@@@


軍は、さっそく政府の「平和秩序管理センター」(CAPO)を
機能停止にした。
CAPOは、「国内治安維持法」(ISA)に基づく、
政府の治安維持機関である。現在のセンター長は、
警察畑出身のチャルーム元副首相である。

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CAPOは、「反政府デモ首謀者を逮捕せよ」など
言葉は多く発するが、
ステープ元民主党副首相率いる反政府派の
活動を抑えることが出来ずに来た。

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チャルーム自身も、2011年8月のインラック政権の
発足で副首相の座についたが、党内での人気も
いまひとつで、内閣改造で副首相職を解かれていた。


@@@@@


この4月にも、以前のトップ官僚の解任や
コメ抵当スキームの職務怠慢で、
インラック首相の責任が「憲法裁判所」や
「国家反汚職委員会」(NACC)という独立機関から
問われている中で、これらの機関に対し
チャルームがクレームをつけたことで、
越権行為と言われたりしていた。


軍によるCAPOの機能停止措置は、
うまく機能しない政府機関に軍が取って代わることの
意思であると同時に、警察畑で固めた治安維持組織に対する
軍の反攻と見ることも出来よう。


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 「インラック政権の過度の警察畑への肩入れは軍の反発を招く 2014-4-25」
  http://uccih.exblog.jp/20618976/


@@@@@


さらに続けて、
軍はテレビ局とラジオ局を抑えた。
テレビ・ラジオは、両派にとって、宣伝の強力な
ツールになる。
もともと軍が所有している民間テレビ局が多いタイだが、
軍は、マスメディアをまず抑えたことになる。

 「タイの衛星放送トップのツルー・ビジョンズ 2011-3-6」
  http://uccih.exblog.jp/13060934/


@@@@@


まだ初日なので、今後、戒厳令下の軍が
どう動くか判らない。
「クーデターではない」と軍は言っているが、
軍の意向が今後の政局に反映されよう。


インラック与党首相は職を解かれ、次の総選挙への
めどが立たず、タイは‘政治不在’となっている。
経済的悪影響もばかにならない。
2014年第1四半期のマイナス成長が発表された。


下院が定まらない中、上院に注目が寄せられている。
上院の暫定議長であるスラチャイ氏を
反政府派は「中立首相」として担ぎ出そうとしているが、
7月20日に予定される総選挙が今の情勢だと
延びそうだが、といってすんなり‘スラチャイ首相’に
決まるわけでもないだろう。

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@@@@@


軍が戒厳令を敷いた中でも、
政府支持デモを展開するという赤シャツ隊の
動向が注視される。

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タイでの普段の生活には、
バンコクの現場以外では、今のところあまり影響はない。
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by ucci-h | 2014-05-20 14:16 | Comments(4)
ビザなし滞在者への運用強化とタイ入管がアナウンス
タイ王国には、日本など主要国の旅行者は、
ビザなしで30日間までステイできる。
さらに韓国及び南米4ヶ国のタイとのビザ協定を
持っている国の人は90日までと長い。

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そして、滞在が長くなり期限を越える場合は、
隣の国へ一度出国して、新たに再入国して
滞在を延長することが行なわれる。

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隣国からの陸路での再入国でも、
今は再びなお30日(以前5年間は15日)居られるわけだが、
これの繰り返しに対し、2014年5月12日より、
入国管理局の取締りが厳しくなると、5月8日にアナウンスされた。


@@@@@


タイは観光立国のため、ビザなしの外国人入国者でも
旅行客として、30日の滞在を認めている
(日本は、2013年7月からようやくタイ人に対し
ノービザ15日滞在を許可したが・・・)。


短期滞在者でなくても、主に西洋人が多いが、
ビザなしでタイに長く滞在し、退職者暮らしを送ったり、
または外国語の教師として働いている者も多いそうだ。


数ヶ月以上、ないし数年以上滞在する外国人に
対しては、ツーリスト・ビザや、NI(ノン・イミグラント)ビザが
奨められているが、タイと言うお国柄か、
ノービザでの数次入国者に対しては、運用が比較的緩やかだった。


@@@@@


しかし、タイで滞在する不良外国人や貧窮外国人も多くなってきた。
入国管理局も、警察の上からの要請で、取締りをしっかりやるよう
今回のアナウンスになったと思われる。
入国管理官の汚職防止も理由だと言われる。


5月12日からすでに陸路の入管で、3ヵ月後の8月12日からは
空路の入管でも取り締まられるという。


@@@@@


もっとも、これがセーフでこれがアウトと言う
はっきりした決まりはないので、
依然ケース・バイ・ケースの運用となるのだろう。


1~2度の再入国はいいが、短期間で3~4度目は、
何らかのビザを取らないとダメと言うことかもしれない。
実際どの程度厳しくなるのかはわからない。


西洋人がよく見る「タイビザ・ドット・コム」では
ちょっとした騒ぎになっている。
近隣ビエンチャンなどのタイ大使館はビザの
発給でごったがえし、ストップするのではないかと
心配する人もいる。


数ヶ月の滞在者ならツーリスト・ビザを取り、
1年単位の滞在者ならノン・イミグレ・ビザを取るのが
すじだが・・・。


@@@@@


タイ貢献党の経済失政で物価は上がり、道路は混み、
景気は悪くなり、タイは暮らしにくくなったが・・。


{追記}

今回の措置に実施については、韓国人の不法滞在に対する
タイ警察の報復的措置という面もあると見られている。
韓国人はビザなしでも長くいられるので、そのまま住み着き
レストランなど仕事をしてしまうケースが多いようだ。


不法労働は、タイ人の仕事を奪うものと、この国でもうるさい。
「タイから強制送還される韓国人は年間20人しかいないのに、
韓国から強制送還されるタイ人の数は年間8000人もいる」と
タイ警察の上層部の人は言っている。


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(写真は、バンコク・ポスト紙より)
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by ucci-h | 2014-05-17 20:05 | アジア的な生活 | Comments(2)
急増しているタイ人の日本観光旅行
前回、タイは4月~5月の暑い盛りに
休日が多いことを紹介した。

 「タイの国民の祝日は年間何日あるか? 2014-5-9」
  http://uccih.exblog.jp/20687049/


そして、この暑い時期には、タイ国内では
プーケットやサムイ島の海浜に旅行に多く行くが、
昨年7月日本へのビザが免除になって、
海外では、ロンドンやK/L、ソウルを凌いで
涼しい日本への観光熱が盛り上がっている。

 「今やタイ人観光客が日本へ行き日本人よりお金を落とす時代 2013-5-6」
  http://uccih.exblog.jp/18705310/

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直近の数字はまだないが、
今年1~3月でも日本へのタイ人旅行客の数は
13.2万人と昨年から64%も増えている。
今年年間では、50万人を優に超えそうだ。
3月に浅草へ行ったら、靴の店はタイのおばちゃん達で
ごったがえしていた。



@@@@@


日本への旅行を増やしているのには、
3泊4日で2万バーツちょっと(65000円ほど)の
安いパッケージツアーが競っていることが大きい。
これには、LCC(格安航空)とチャーター便の力が大きい。

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他の外国でなく、厳しく内容がチェックされがちな
日本旅行だから、いわゆる「ゼロ・ダラー・ツアー」
(名目は激安にして、現地で高いものを買わせる)はないようだが、
かつての一部の人しか行けなかった頃の4万~10万バーツ
(12~30万円)レンジからは様変わりだ。


ツアー関係の会社によれば、
タイ人のパッケージ客は扱いやすいとのことだ。
観光地に連れて行き写真を撮らせ、あとショッピングに連れて行けば
満足してくれるという。


タイ人旅行客は、あまり人の話を聞かないので、
歴史的な経緯など難しい話は必要ないと、なかば冗談に言っている。


@@@@@


日本の観光振興にもけっこうなことだ。
タイにおける中国人の振る舞いに悪評が立つような
ことが、日本でのタイ人に立たなければいい。
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by ucci-h | 2014-05-15 14:16 | エアライン・観光業 | Comments(0)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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