開放された国なら、列車に乗るには、
駅へ早めに行って切符を買えばいい。
ところがここはミャンマーである。
ヤンゴンへ帰る列車の時間を確かめにバゴー駅へ
行ったら、15時58分発のヤンゴン行き
急行列車があるという。
そして、「1時間前に駅に来て切符を買うよう」告げられた。
街の観光を終えて、午後3時ごろ駅へ行く。
駅前は水溜りで、お世辞にもミャンマーの主要駅には見えない。
外国人が切符を買うには、奥の係員のいる部屋まで行き、
パスポートを見せて買う仕組みとなっていた。
なお外国人の行動はチェックされるお国柄である。
アッパークラスを1枚取った。
ヤンゴンまで2時間、4ドル(400円)である。
列車が来たら、駅員は親切にも車両へ案内してくれた。
列車もエアコンこそないが、横1席+2席=3席でゆったりしている。
窓から眺めるすすきと田んぼの景色が気持ちいい。
@@@@@
ヤンゴン駅に着いたのは夕方6時。
現地通貨チャットでの支払いが思ったより多かったので、
チャットが足りなくなっていた。
ガイドブックによれば、駅の近くのトレーダーズ・ホテルの隣の
「セントラル・ホテル」で夕方でも両替できるという。助かった。
カンボジアはほとんどドル支払いだが、
今のミャンマーは、ドル払いとチャット払いが入場料などでも
混在している。
これは何か?
2012年に現実的な為替レートでスタートしたチャットは、
今年4月頃は1ドル=885チャットほどだったのが、
その後米連銀の金融緩和措置縮小の思惑で下落、
7月には980チャットまで下落、1ドル=1000チャットに迫った。
その後1ドル=970チャットくらいまで持ち直している。
開放ミャンマーへの外資流入もあり、必ずしもドル選好ではないようだ。
「通貨チャットの変動相場入り 2012-3-23」
http://uccih.exblog.jp/15616022/
夕食は、近くのサクラ・タワー20階にあるスカイ・ビストロで
ミャンマー・ビールとあわせ洋食セットをとった。
ヤンゴンの街が一望できるが、なお光の量は他の国の商都に
比べ少ない。
@@@@@
翌日のヤンゴン市内一日観光は、朝まず、かつての名門
ヤンゴン大学に行ってみようと決めていた。
かつての東南アジア随一の大学も、軍事政権下で縮小され、
今は、学部はなく、修士課程のみだという。
「教育空白の半世紀 ヤンゴン大学 2013-4-17」
http://uccih.exblog.jp/18567917/
北方郊外のインヤー湖公園南西角に大学はある。
手前には大きな新しいアメリカ大使館の建物が見えた。
大学の入口にタクシーで着いたが、外国人は許可証が
ないと構内に入れないと守衛は言う。
構内をタクシーで回ってみるだけだと言うが埒が明かない。
あとで運転手は、「後部座席に伏せていれば入れたよ」と
言ったが、そうもいかないだろう。
ミャンマー政府の外国人排斥の伝統を朝から見せてもらった。
@@@@@
しかたないので、ヤンゴンで一番人が集まるという
シンボリックなシュエダゴン・パヤー(パゴダ)へ行った。
建立は紀元前にさかのぼると伝えられる。
ここでも外国人は入場料をとられる。
外国人観光客が増えてきたせいか、10月1日から入場料は
5ドルから8ドルに60%値上げされていた。
入場料を増すなら、境内の英語の説明札ぐらい増やして欲しい。
外国人観光客の増加は、ミャンマー政府、政府関係者を
潤すように見える。
ミャンマーへの観光客数は、以前は年間30万人ほどだったのが、
開放により2012年には100万人に乗せた。
といっても、人口でほぼ同規模のタイの年間2000万人超とは桁違い。
仏教遺跡も豊富なことから、今後さらなる増加が望めそうだ。
「伸びるアジアへの観光客 2011-9-7」
http://uccih.exblog.jp/14512736/
境内はビルマ人の善男善女の参拝客でにぎわっていた。
日本人、韓国人など外国人の姿も目立つ。
仏塔を囲む八曜仏には英語の札がついていた。
自分の誕生曜日の水曜日夜(水曜だけは、タイもそうだが、
昼と夜に分かれ、八曜となる)を探したが、Wednesday morningが
ダブっていて、見つからなかった。
@@@@@
お寺を出て日差しが暑くなったので、隣の「人民公園」で
休もうかと思った。そしたら、素っ気無い公園なのに
外国人ビジターは入場料5ドルときた。
外国人となると政府からお金を取られる国だ。
木々も少なそうな公園に入るのはやめ、
タクシーをつかまえ、涼しい国立博物館へ向かった。
朝から面白くもないヤンゴン観光となったが、
南のダウンタウン西にあるこの大規模な国立博物館だけは別だった。
1階から5階まで王の玉座、各地の寺院のミニチュアの展示、
古墳時代のミャンマー、ミャンマーの伝統工芸品、ミャンマーの絵画、
さらにミャンマーの各地の民族の紹介など、広く多彩に陳列されている。
全フロアー5階分を見てさすがに足は疲れたが、
5ドルの入場料は安く、充分興味深く鑑賞できた。
@@@@@
昼メシは、近くのダウンタウンの狭苦しい路地を入った
ミャンマー・カレーの有名店「ダヌピュー」へ。
混んでいた。自分で好きなカレーを選ぶが、評判どおり、
ポーク、マトン・カレーはうまかった。
昼食後、歩いて、駅のそばの衣料品などおみやげ物を売る
1926年設立の「ボージョー・アウンサン市場」へ。
途中路上で、桜の枝の前で傘をさすアウンサン・スーチーの
来年のカレンダーが売られていた。日本人かと思った。
2階建てのマーケットでミャンマー製のシャツを3枚ほど買う。
ここは、地元のマーケットというより、おみやげ市場だ。
@@@@@
夕方は、夕食前に、ホテルから近い、カンドージ湖にある
ミャンマー・マッサージの店に行ってみる。
90分7000チャット(700円)とチェンマイ並みに安い。
いい雰囲気の店だったが、出てきたのは、何と若い女の子。
年を聞いたら、18歳だという。
そういえば、北タイのメーサイのビルマ人・マッサージ嬢も
若かったなあ。
ミャンマーは平均年齢が若い国だからだろうか(!?)。
話をしながら、まじめにマッサージをしてくれた(ほんとに)。
女子大生にやってもらった気分だ。
ーーーーー
ちなみに、アジア16カ国の平均年齢(中位数)は、
CIAの2013年推定によれば、以下のようになっている。
若い国ベスト5:
1.ラオス 21.6歳
2.パキスタン 22.2歳
3.フィリピン 23.3歳
4.カンボジア 23.7歳
5.バングラデッシュ 23.9歳
アセアンでは、ラオス、フィリピン、カンボジアが圧倒的に若い。
それに続く若い国5カ国:
6.インド 26.7歳
7.マレーシア 27.4歳
8.ミャンマー 27.6歳
9.ベトナム 28.7歳
10.インドネシア 28.9歳
ミャンマーはほどほどに若い国となる(世界平均は29.4歳)。
アジアの高齢国(世界の平均以上)を並べると
以下のような6カ国となる:
11.シンガポール 33.6歳
12.タイ 35.1歳
13.中国 36.3歳
(アメリカ 37.2歳)
14.台湾 38.7歳
15.韓国 39.7歳
16.日本 45.8歳
日本の46歳はダントツだが、タイはシンガポール、中国と並んで
はや‘中年国’となっている。
@@@@@
あすはチェンマイに帰る。
ヤンゴン周辺を見て回った印象をまとめると;
1.ホテル代が上がり、ホテルの数が少ないと言われるが、
探せば、それなりのホテルは見つかる。
2.宿泊施設より、道路、交通などインフラの整備を
して欲しい。携帯電話や電気、テレビなども足りない。
3.サービス業の人々の訓練をして欲しいが、
それ以上に、外国人にもっと門戸を広げて欲しい。
2013年10月のヤンゴン周辺を回った印象である。
(終わり)