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南シナ海で仲裁役を捨て中国と対峙することになったインドネシア(後編)
インドネシアは、古くから共産中国には警戒的で来た。
1967年に時のスハルト政権は、その2年前の9.30運動の
背後には共産中国があったとして、中国との外交関係を“凍結”した。
正常化したのは、ベルリンの壁崩壊後の1990年だった。


21世紀に入ると、ワヒド、ユドヨノ両政権において、
インドネシアと中国の関係は、主に経済的理由から、緊密さを増す。
2011~12年には、両国の特殊部隊同士が合同訓練さえ行なっている。


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しかし、古くからの中国に対する脅威は消えたわけではない。

インドネシアが、南シナ海を巡る中国とアセアン諸国との“仲裁役”から
中国と対峙する立場に変わったのは、2014年3月12日のことだと、
コロンビア大学のアン・マーフィー教授は指摘する。


その背景は以下のようなものだ。

両国の経済関係が発展する中でも、南シナ海での紛争は続いた。

2010年、中国の漁船がインドネシアの排他的経済水域(EEZ)内で
漁業をするのをインドネシアの巡視船が拘束したが、
中国漁業局は、フリゲート艦に近い漁政巡視艇を派遣し、機銃を向けて
解放させた。

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2013年3月には、同様に中国の武装巡視艇が、インドネシアの
ナトゥナ諸島沖で不法漁労をして連行される漁業者を、これまた威嚇して
解放させた。
ナトゥナ諸島は、‘隠れたパラダイス’だが、世界有数のガス田が
眠っている。

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インドネシアは、これらの事件の情報をあまり公にしなかった。
中国との関係を悪化させず、また仲裁者としての立場を保つため、
“静寂外交”を続けたといわれる。


これにより、「中国も、インドネシアのリアウ諸島州に属する
ナトゥナ諸島(ボルネオ島の北、むしろマレーシアに近い島々)の
権益を尊重してくれるだろう」とインドネシアは考えたのだろう。


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しかし中国のその後の積極進出は続く。

2013年11月には、東シナ海の
尖閣列島を含む上空に、日本のそれと重なる「防空識別圏」を設定した。
準備が出来次第、南シナ海にも広げるものと見られる。

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また、2013年5月からは、海南島を囲む海域
(といっても、南シナ海の6割近くに達する)に、禁漁区域を
一方的に設定している。


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中国は、空母「遼寧」(リアオニン)を南シナ海に派遣しつつ、
2014年1月には、艦艇3隻で、マレーシアのサラワク州(ボルネオ島)の
北わずか80kmのジェームズ礁(マレーシアの排他的経済水域)に入り、
‘主権宣誓式’を行なった。
これには、さすがに温和なマレーシアも硬化した。

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これらの中国のとどまるところのない‘アサーティブな’進出行動を見て、
2014年3月14日、インドネシア政府は、「中国の九段線は、
我が国の経済水域とオーバーラップする」と、中国とのいさかいを
公言するにいたった。


この背景には、海洋国家インドネシアの軍事予算が過去数年二桁で
伸びてきて、ナトゥナ諸島にも一個大隊とジェット機部隊を派遣できるように
なったからと見られる。

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インドネシアが、仲裁役から、反中国側に付き、
またマレーシアなど穏健派もフィリピン、ベトナムに
同調するようになると、南シナ海を巡るアセアンの力は増す。


中国は、東シナ海で日本と対峙し、
南シナ海でアセアン5カ国と海洋の権利を巡り争うようになると、
勝算はどのくらいあるのだろうか。
着地点はどこらにあるのか、中国通に聞いてみたいものだ。
着地点や引き処のない進出ほど、双方にとって危ういものはない。


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2014年4月7日、インドネシアのナタレガワ外相は、
「中国の進出の意図はどこにあるのか?」と、
南シナ海での攻勢に釈明を求めている。


中国はおそらく無視するだろう・・・。
「南シナ海は、南の果ての海溝まで中国のものなのだ」と
強弁するだろうか。


(後編おわり)
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by ucci-h | 2014-04-15 20:01 | アセアンの動向 | Comments(0)
南シナ海で仲裁役を捨て中国と対峙することになったインドネシア(前編)
海洋権益の拡大を図る中国は、
尖閣諸島のある東シナ海以上に、
南シナ海においては、南シナ海の8割以上は
中国の領有権の下にあると、
南シナ海をほぼ囲む“ナイン・ダッシュ・ライン”(九段線)を引き、
2009年にはこの地図を発刊している。

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(緑の断線が‘九段線’)

南シナ海における領有権の問題は、1990年代半ば以降、広がる。
そして、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどだけでなく、
問題は、南シナ海からは遠く離れているはずのインドネシアにまで
及んでいく。

 「南シナ海の領有権で争う中国とアセアン 2012-9-17」
  http://uccih.exblog.jp/16827035/


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1994年に中国は、フィリピン西側のパラワン島西209kmの
ミスチーフ環礁に、フィリピン海軍がモンスーン期でパトロールに
来ない時期を狙って、建造物を構築し、実効支配に乗り出した。
1999年には鉄筋コンクリート造り、さらに多層階へと強化していった。

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ちなみに、ミスチーフ環礁のミスチーフは,‘いたずら’の意味ではなく、
この地域スパルトリー諸島を発見したスパルトリーの配下の
ドイツ人船員の名からきているそうだ。


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ちょうどこの時期、1994年11月に「国連海洋法条約」(UNCLOS)が発効する。
領海12海里(22km)、排他的経済水域(EEZ)200海里(370km)の
設定を可能にした条約だ(1海里は1.852km)。
ミスチーフ環礁は、フィリピンのEEZに入るわけだが、北京は抗議を聞き入れず、
現在に至っている。中国もこの条約に署名しているが・・。


この間、南シナ海の領有権を巡って、フィリピンやベトナム、マレーシアなど
アセアン諸国と中国との争いが増していくわけだが、
この中で仲裁役を買って出ていたのがインドネシアである。
アセアンの中で、内陸国とシンガポールを除けば、
インドネシアは、南シナ海から一番遠い位置にある。

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東西に4,800kmも広がり、17,000の島々から成る
インドネシアは、国連海洋法条約をもっとも重んじたい国のひとつだ。
島々の間の内水域の権利がUNCLOSで明確に認められているからだ。


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1990年代、インドネシアはワークショップを設け、
中国とアセアン諸国の利害を調整してきた。
その結果、2002年には、「南シナ海関係国行動宣言」(DOC)に
中国とアセアン諸国がサインするところまでこぎつけた。
DOCは、解決に軍事力を用いないことと、無人の島や環礁などを
占拠しないことを宣言した。

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このDOCには、法的拘束力がなかったため、中国の積極進出は止まない。
アセアンは一歩踏み込んだ「南シナ海行動規範」(COC)の策定を
中国に持ちかけているが、南シナ海を自国のパトロール船で
行き来している中国は、興味を示さないできている。


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中国とアセアン諸国の関係は一本ではない。

アセアン10カ国のうち、領海問題で中国と対立しているのは
フィリピンとベトナムだ。
マレーシアとブルネイも、中国の九段線にひっかかる領海を持つが、
比較的穏やかな対応だ。

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タイとカンボジア、ラオス、ミャンマーの内陸寄りの4カ国は、どちらかと言うと、
中国との経済連携が強いから、中国寄りだ。
タイは中国軍と共同演習を行なったりしている。


インドネシアとシンガポールだけが中立的にアセアンの利害の
調整役となれた。


(後編に続く)
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by ucci-h | 2014-04-11 21:42 | アセアンの動向 | Comments(0)
アジアでがんばっていたインドネシアも成長鈍化
一時に比べ成長が鈍化しているアジア圏経済の中で、
1年前は高い成長でがんばっていたインドネシア経済だが、
ここ2013年後半に来て、鈍化の色が目立ち始めた。

「世界不況の中でも伸びているインドネシア経済の中身 2012-9-14」
http://uccih.exblog.jp/16748127/

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その大きな要因は、①中国の経済減速に加えて、
②米連銀の量的緩和縮小の思惑の中での外資の
流出だったろう。


インドネシアのような人口2億4千万人もかかえ、
内需・インフラ投資で伸びている国でも、
中国はじめ主要市場の減速による資源価格の下落、
外資の流出による投資意欲の減退には抗し切れない。


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9月初めに発表された7月の貿易収支は、輸出価格の下落中心に、
23.1億ドルの赤字と、前月の8.5億ドルから急増、
史上最大の赤字幅となった。株式市場は驚き、急落した。


第2四半期の経常収支も、98億ドルの赤字に拡大し、
90年代末のアジア危機以来の赤字幅となっている。


7月に1ドル=1万ルピアにのせた為替ルピアも、
その後下落が続き、9月末には1ドル=11500ルピアまで
価値を落としてきている。


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また8月の製造業の操業指数は、15ヶ月ぶりの低水準に
落ち込んだ。
購買者指数は、8月に48.5と50を割り、企業の購入意欲が
下り坂に入ったことを示している。

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6%台だった成長率も、第2四半期には5.8%と
6%を割ってきた。


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一方で、インフレは8月に8.8%と8%を超え、
4年ぶりの高さにある。


インドネシア銀行は、インフレ抑制と通貨の下落防止のために
9月12日には、政策金利を4ヶ月連続で、7.25%へ(5月までは
5.75%)上げてきているが、目立った効果はまだ出ていない。


一人当たりのGDPで、まだタイの3分の2である人口大国
インドネシア。
この際、一度成長を落として、インフレを抑え、貿易赤字を
縮小させることになるのだろうか?
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by ucci-h | 2013-10-07 22:21 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
インドネシア・ユドヨノ政権の英断:エネルギー補助金縮小に踏み切る
東南アジアの中でその経済的プレゼンスを増す人口・資源大国
インドネシアだが、2014年の大統領選挙を前に、2013年6月21日、
ついにエネルギー補助金の大幅削減に鉈を振るった。

インドネシアは、かつてのOPEC(石油輸出国機構)のメンバーからはずれ、
今では原油の純輸入国だが、一度始めたガソリンなどの補助金制度は
麻薬のように止められず、国家財政に大きな負担でのしかかってきていた。

 「インドネシアを他山の石にエネルギー補助金を見直すタイ 2011-9-11」
  http://uccih.exblog.jp/14538049/

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インドネシアの燃料補助金額は、昨2012年で216兆ルピア(2兆2千億円)と
137兆ルピアの予算計画を大きく上回った。
成長する巨大な内需市場が、安価な石油の消費を増やした。

2013年も、予算額194兆ルピアを上回り、297兆ルピア(3兆円)と
ほぼ3兆ルピア、国の予算総額の3割近くになると予想される。
石油消費量は、計画の4600万klを上回る5600万klに達するかと見られる。

補助金制度により、市価は、実際のコスト含みの価格よりも3割ほど安くなっている。
この補助金込みのガソリン価格リッター4500ルピア(45円)を、
6月22日より、44%引き上げ、6500ルピア(65円)とした。

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それでもなお、日本の150円はもとより、タイの108円ほどよりずいぶん安い。
ディーゼル油は4500ルピアから5500ルピアへ。
低所得世帯(月収15万ルピア未満)1550万世帯には、
援助として、総額9.3兆ルピア(930億円)の現金給付がはかられる。

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内需中心の成長を見せるインドネシア経済は、
2013年第1四半期6%の経済成長率を示している。
年間でも、タイなどを上回る6%ちょっとの成長が期待される。

エネルギー補助金の削減は、2013年のインフレ率(第1四半期+5.3%)を
1.5%ポイントほど上げ、若干の消費抑制要因になろうが、
選挙を翌年に控え公共支出は旺盛なので、景気の落ち込みは最小限だろう。

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ユドヨノ政権の英断と言えよう。
「選挙前だが、後の世代に負担が残らないように、今やる」と言っている。

インドネシアへの直接投資(海外からが75%)は、
2013年第1四半期、前年比31%増の93兆ルピア(9300億円)に達した。
シンガポール、日本、韓国などからの直接投資が盛んである。
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by ucci-h | 2013-07-03 15:24 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
アセアン4カ国の電力事情(3) 電力不足が年を追って増加する(?)インドネシア
アセアン4カ国のうち、タイとミャンマーの
電力事情についてみてきた。
第3回目の今回は、アセアンの大国インドネシアの
電力事情についてみてみよう。

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インドネシアも、アセアンの多くの国と同様、
増える電力需要に供給が追いつけない。
2008年から2012年までの4年間に、
国の電化率は、67%から65%に低下しているという。

インドネシアの人口2億4千万人の35%にあたる
8,600万人もに電気が届いていないという。
既存の発電設備も古いため、稼働率は66%と低く、
全国で1日4時間ほどの停電があることも多いようだ。

インドネシアの国営電力会社「PLN」の現在の発電能力は
33,250メガワット。タイの26,000メガワットを3割がた上回っているが、
人口は3.5倍だ。
電力消費は、現在年+9%ほどのハイピッチで伸びている。

全国の電化率が低下しているとはどういうことなのだろう?
電化率の定義が見つからないが、全所帯24時間を100%とするなら、
供給力が制限され、需要に追いつかず、一日4時間停電があるだけで、
100%は83%に低下するのだろう。
過去4年毎年250万人分が不足してきているという。

いずれにせよ、電気が足りないことは明らかなようだ。
政府は、前政権のときから、1万メガワットの能力増強を目指している。
2020年までに国の電化率を90%に持っていきたいという。
石炭、石油の資源は手に入る国だ。やり方次第だろう。

PLNの計算でも、インドネシアの電化率は73.4%。
100%近いシンガポールやタイ、97.6%のベトナム、
89.7%のフィリピンにも引けをとる。

日本など外資を交えた発電所建設が今後進んでいくのだろう。
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by ucci-h | 2013-02-26 22:13 | 電力・エネルギー | Comments(0)
バリ島へ行ってわかったこと
バリ島(インドネシア)に5日間ほど行ってきた。
5日間と言っても、チェンマイからクアラルンプール経由の
エア・アジア乗継だから、往復に1日ずつ取られるので、
実質は3日だけ。

はじめてチェンマイの近所のペット・クリニックに泊まる
2歳のプードル、クロちゃんが心配で、ややせわしい日程だった
(実際、クロちゃんはお菓子ばかり食べ、便秘になっていた)。

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短い日程だから、南部のウルワツの丘の上と、その少し北の
ジャンバランの海岸の宿に2泊ずつだった。
両方ともこぎれいなホテルだったが、ウルワツのホテルは
到着の夜水が出ずに困った。

 「バリ島へのアプローチ、4つの問題に出くわす 2012-10-9」
  http://uccih.exblog.jp/16958761/

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ジンバランは、砂浜のシーフード店のすぐ前、1軒のビラだった。
インターコンチネンタルとフォーシーズンズにはさまれた好立地。
女性のオーナーが親切で、ビール飲み放題で、帰りの早朝、空港までも
無料で送っていただいた。

バリ島は有名な観光地だが、今回気がついたことを記しておこう。

1.タイのプーケットの10倍の広さがあるだけに、海、山、自然、
それに文化遺産、芸術品がある。広さと多様性が、この島の魅力だ。
石像も多くて面白かったが、重いので土産にできなかった。

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2.やはりここは日本人観光客が多い。
ウルワツ寺院のケチャ・ダンスを見に行っても、周りから聞こえる声は
日本語が多い。
70年代以降、日本人観光客の伸びで、バリの観光業は拡大したと
運転手さんは言っていた。

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もっとも、中央統計局の統計数字を見たら、日本からの観光客は、
不景気ゆえ、2011年は、第1位の座から第3位(183,000人)に落ちたと言う。
前年比26%の下落率は、震災の影響も多いだろうが・・。
以前、日本人は30万人以上来ていたが。

2011年総計249万人(11%増)のバリ来訪者
(この島の人口390万人の64%にあたる)のトップは、
オーストラリア人で、なんと791,000人(+22%)。32%のシェアだ。
パースから飛行機で3時間で来れる。
一部のオーストラリア人にとって、バリは第二の家のようだ。

2位は、中国人で237,000人(+20%)。
4位はマレーシア人で170,000人(+10%)
5位は台湾からの129,000人(+5%)
6位は韓国人で127,000人(+1%)だそうである。

タイの観光地で目立つロシア人は、まだ国別で11位の76,000人。
しかし、16%と高い伸びを示している。

3.物価はやはり安い。物によってはチェンマイに負けずに安い。
スーパーに行ったら、靴、サンダルがワンフロアーを占めていたので
びっくりした。物がよく安い。

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4.観光地だが、入国に際しアライバル・ビザで25ドル(2100円)、
出国に当たって、出国税15万ルピア(1250円)取られる。
計3350円は、南の楽園への入場料か。

5.島の中の交通はタクシーになるが、幸い
日本語の本当に上手なアセタワさんのハイヤーを雇えた。
一日8時間4000円で、いろいろ行ってもらい、
いろいろバリのことを教えてもらえた。

短い日程だったが、雨も着いた夜だけしか降らず、楽しかった。
何が楽しかったかって?
それは山国チェンマイから行ったので、
きれいな海で波で遊べたことと、えびやかにをたくさん
食べれたこと。

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足代は余計かかるが、ビンタン島も含め、インドネシアのシーフードは、
プーケット、パタヤよりも良いかもしれない。
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by ucci-h | 2012-10-15 18:55 | アジアのリゾート | Comments(2)
世界不況の中でも伸びているインドネシア経済成長の中身
欧州の経済危機が続き、アメリカの景気回復も鈍い中で、
高成長地域アジアの経済成長も鈍ってきた。
多くが輸出に頼る経済だからだ。
タイも例外ではない。

その中で、東南アジアの大国インドネシアだけはがんばっている。
先ごろ発表された第2四半期のGDPの前年同期比伸び率も6.4%と、
G20の国々の中では、中国の7.6%に次ぐ、2番目に高い伸びとなっている。

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インドネシアの経済成長率が、現在の世界不況の中で、なぜなお高いのか?
理由は、低金利を背景に国内での官民の投資が高い勢いで伸びているからだ。

第2四半期、輸出は、前年同期比16.4%も落ちている。
輸入は10.7%伸びているので、貿易赤字は13.2億ドルに拡大、
過去5年の最大幅の赤字となっているが。

高いGDPを支えたのは、固定資産投資の24%という高い伸びである。
ことに、道路、港、空港を作るというインフラ投資が、ユドヨノ大統領の掛け声の下、
進められている。

GDPに占める投資の比率が、第2四半期には32.9%も占めたと言うから、
高度成長時代の日本や90年代の韓国を彷彿させる。

インドネシアは、資源と人口に恵まれた大国である。
いずれ世界経済を引っ張る一国になるだろう。
日本の倍近い人口を抱える国内消費市場への期待は高い。

現在の積極的なインフラ・設備投資は、将来の消費拡大を
先取りしたものと言えよう。
労働問題などが先鋭化しているが、国内市場が順調に伸びれば、
現在の先行投資とうまくかみ合うのだろう。
もし、国内市場の伸びが期待はずれに終わるようだと・・・。

今のところ、世界第4位の人口大国インドネシアは、第2位のインドの
経済の伸び切れないのと対照的に、世界の不景気の中で伸びている。

もっとも、インフラ投資が進む中でも、
需要の伸びに能力が追いつかないという「電力不足」の問題は、
なお改善に向かっておらず、成長の足を引っ張りがちである。

ここ3年で、電化率はむしろ落ちてきており、
電気の届かない人口は8600万人、全人口の3分の一に上ると言われる。
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by ucci-h | 2012-09-04 12:32 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(5)
富が集中しながら高成長する資源大国インドネシアの今後は?
“後進国”インドネシアでは、ここ数年、年6%以上の
経済成長を果たし、毎日16人ずつのミリオネア(百万ドル長者)が
生まれていると言われる。

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経済が成長しているだけでなく、資源を豊かに持つ国だけに、
資源を持っている人間の資産の増加が著しい。
世界一の産出を誇るパーム油の価格は、2006年以降2倍に
なっているし、高い産出量を誇るゴールドの価格も3倍になっている。
その他、石炭、鉄鉱石、ニッケルと豊かな資源を持つ。

そのため、エルメスのバッグは高いものは5万ドルで売買され、
1台100万ドルするランボルギーニの高級車は、6ヶ月待ちだという。

マッキンゼーによると、月収7千ドル以上の高所得家計は、
現在の1700万世帯から、2020年には2500万世帯に
5割近く増加すると見られる。

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一方、全人口の40%にあたる1億人は、1日2ドル以下で
暮らしていると世銀は言い、インドネシア人の平均月収113ドルは今や中国の
3分の一だとも言われ、貧富の格差が大きく開いている。

中産階級が1億3300万人と拡大していると言われるが、
そのうち6千万人は、1日2-4ドルの消費である。
労働争議、ストが頻発しているわけだ。
政府も、エネルギーへの補助金をやめられずにいる。

貧富の差をはかる「ジニ係数」は、スハルト政権が倒れた1998年の
0.32より、今は0.38と高くなっている(差が広がっている)。
さらに、ハーバード大学の調査だと、インドネシアの真のジニ係数は
0.45ともっと高く、フィリピンやカンボジアと同等だという。
ちなみに、ジニ係数0.4ラインが社会騒乱発生の警戒ラインと言われる。

一部がますます富み、いずれ国全体が豊かになると見れば良いのか、
それとも、偏った富の蓄積は社会不安を招くのか?
正解はどちらでしょう?
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by ucci-h | 2012-04-25 12:50 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
資源国インドネシアは、資源ナショナリズムから取り分増加要求へ
中国、インドといった人口大国を含めたアジアの経済成長を
背景に、景気の波を超えて、資源価格が強含む時代になってきた。
エネルギーや非鉄といった有限な資源を背景に、
資源国の資源ナショナリズムと収入の極大化の動きが強まっている。

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その典型が、最近のインドネシアだ。
インドネシアは、世界最大の燃料炭の輸出国であり、銅鉱山の規模でも
世界第2位、ニッケル鉱でも日本の需要の半分以上を満たしている。
内需中心に成長をはじめた人口大国インドネシアは、今や鉱業部門の
生産がGDPの11%を占める「鉱業大国」でもある。

インドネシアでは、2009年の鉱業法により、国内での付加価値化を5年以内に進め、
2014年以降は未精錬の粗鉱の輸出を禁止するとしているが、
その分、外資系の鉱山会社による開発、輸出が急がれている。
銅資源国なのに、精錬所は国内に今のところ一基しかないという。

過剰な開発を抑えるため、2012年2月には、未加工の粗鉱の輸出の禁止に
踏み切ることと、石炭・非鉄金属に25%の輸出税(2013年には50%へ)を
かけることを鉱山省は示唆した。

これは、直ちに実際行なうと言うより、強い警告に見えるが、資源国が
行き過ぎた開発から資源を守り、また輸出から多くの税やロイヤルティー収入を
得ようという世界的な流れの一環と見られる。

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資源国の自国資源の守り方には、①鉱山の外国資本を49%以下に抑えるといった
ような、資本規制による資源ナショナリズムと、②税金、ロイヤリティーを課し、
自国の取り分を増やすといった収入の極大化のふたつが主にあるが、
鉱物資源の市況が高くなっている折から、後者の収入増が有力な政策に
なってきているようだ。

インドネシアも、開発10年後には外資を49%以下にするという政策を取ってきているが、
タイの石炭会社バンプーなどは、現地会社を65%保有し、過去20年やってきた。
徐々にナショナリズムを進めるのはいいだろうが、既存の権利まで侵すような
ことになれば、外資も黙っていないだろう。

これに対し、投資家、鉱山会社は、どう対抗するのだろうか?
ひとつは、未開発地域が多いアフリカのブルキナファソ、コンゴ、モーリタニア、
モザンビーク、ボツワナなどの未開発資源に挑むことだ。
資源価格の上昇により採算ラインは上がってきているだろうが、
筆者のかつての経験によれば、鉱山の品位の問題でなく、
政治の安全性、ことに輸送面のロジスティックで躓くことが多い。
ニューフロンティアの開発には時間がかかるだろう。

オーストラリア、カナダ、インドネシアなど、資源国の要求が多くなるとは言え、
既存の資源国での開発促進をやめるわけには行かない。
今後はいっそう、共同の利益の上に立って、折り合っていくことになろう。
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by ucci-h | 2012-04-23 17:05 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
拡大するインドネシアの賃上げスト
今年になって2度お伝えしたように、
成長するインドネシアでの労働争議が拡大している。

 「労賃比較がインドネシアに鉱山ストを 2012-1-6」
  http://uccih.exblog.jp/15226858/

 「高まるインドネシアの労働争議 2012-1-29」
  http://uccih.exblog.jp/15344683/

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パプア州の米フリーポート社非鉄鉱山で3ヶ月続いたストが
昨年12月に、37%の賃上げを獲得したのを皮切りに、
首都ジャカルタ郊外のホンダ、サムソン、ナイキ等の工場のある
地域で、労働攻勢が強まっている。

インドネシアには、2011年200億ドルという
史上最高の外国直接投資が行なわれている。
推定110億ドルほどのタイを上回ったはずだ。

1月27日には、首都東郊外のブカシの労働者2万人以上が、
首都への高速道路を10時間に渡って封鎖するデモを行ない、
生産にも影響を与えた。

ブカシ(西ジャワ州)は、郊外の工業団地があるが、地区の最低賃金の
月129万ルピー(約12,000円)から149万ルピー(約14,000円)への
15.5%引き上げを裁判所に否認されたのでこの行動をとり、
知事は、デモの夜、引き上げを認めた。

インドネシアには33の州があるが、西ジャワ州以外でも賃金の
引き上げ要求が高まっている。

ナイキの靴工場では、1月、数千人の労働者の要求で、
残業代100万ドルを支払った。
労働組合の意気は高く、IWA(インドネシア労働組合)のティンブル
組合長は、ウォール街占拠行動を見て、「インドネシア証券取引所
の占拠も辞さない」と息巻いている。

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(写真はロイター電より)

世銀によれば、2010年にインドネシア人口2億4千万人の56%、
1億3,400万人が中産階級に入ったと言う。2003年は38%だった。
もっとも、世銀の中産階級の定義は、一日2~20ドル消費できる層と
いうのだから、中産階級と言うより、非貧困層と言った方が当たるだろうが。

とはいえ、インドネシアの工場労働者は、月に100~200ドルの収入と、
アジアの中でも低位にあると、AFP電は伝えている。ジェトロの2010年の
調査でも一般工の月収はジャカルタで186ドルほどで、アジアの中で
ベトナム、カンボジア、バングラデッシュ、ミャンマーを除いて、低位にある
のは違いない。

同等の一般工の月給は、このジェトロの調査では、
中国の上海は311ドル、マレーシア(K/L)は298ドル、ニューデリー
294ドル、バンコク263ドルとなっている。

1998年まで32年間に及んだスハルト政権下では、公務員の1組合だけ
許されたインドネシアでは、今は4つの公務員組合、11,000の民間労働者
組合が存在する。スハルト時代の反動か、組合の攻勢は強い。
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by ucci-h | 2012-03-04 09:58 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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