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タイの農民にコメ代金が入ってこない!(その3/完)

過去2回にわたり、

コメ抵当スキームが資金不足に陥り、

おコメを納めた多くの農民にコメ代金を払えなくなった

金銭的事情を見てきた。



最終回の今回は、2月2日の選挙の直近にいたるまでの

経緯を追って見ることにする。



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滞納が目立ち始めたのが、2013年11月初め頃から。

政府の抱える在庫米が売りさばけないので、農民への支払い元で

ある「BAAC」(タイ農業農協銀行)に十分お金が入ってこない。

といって、その代わりに、BAAC自体が、自行の流動性に手をつけて

支払いすることは出来ない。

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(写真はいずれもバンコクポスト紙より)



金策に困った政府は、11月29日、証券界などからタイの格付け低下への

懸念の出る中で、BAACに政府保証債750億バーツの

入札をさせたが、半分の370億バーツしか調達できなかった

(国営のBAACに流動性を付加し、当面の未払いを切り抜ける予定だったか・・)。



12月に入り、17日(火曜)には、キティラット副首相兼財務相は、

「支払いが遅れて申し訳ない」と農民に謝った上で、

「反政府派の予算局占拠により遅れている支払いは、1週間後に行なわれよう」と

反政府運動を理由とし、12月24日(クリスマスイブ)の支払いを言明した。



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その3日後の12月20日には、今度はニワタムロン副首相兼国家コメ政策委員長が、

「委員会で、今月末12月31日(火曜)に支払いすることに合意した」と、

24日ではなく、年内の支払いを約束した。1週間延ばした形となった。

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そしてこの年末の支払いに向けて、政府は金策を図ることになる。

もっとも、ちょうど選挙を控えた時期であり、現在の継続内閣は、

次の新内閣への負担となる新たな起債については、

憲法の規定上できないことになっている。

どういう手段で政府はコメ代金を借り入れるつもりだろうか。



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12月25日になると、タヌサック副財務相が、「1月15日(水曜)に850億バーツ

(年明け後700億バーツに変更)支払われる」と言明した。

再度、支払い約束が延ばされた。

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タヌサック副財務相は、「200億バーツが12月はじめすでに支払われ、

さらに200億バーツが年内に、残る450億バーツが1月に支払われる」と

支払いスケジュールまで言明した。これでも、全体ではなお不足だが・・・。



そして、年内の支払い約束は実行されず、年を越すことになる。



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年が明け、農民の主要道路封鎖による抗議は、

各地で強まることになる。

ピチット県では、農民がインラック首相ら主要閣僚の写真を貼った

模造の「ひつぎ」をかついで抗議の声を上げた。

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政府の支払い手当てができないので、約束期限のはずの

1月15日(水曜)もまた、守られず過ぎて行く。

政府は、1,300億バーツの借入が必要な状況となっている。



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1月17日(金曜)にはBAACが326億バーツの3年もの

債券(クーポン3.14%)を売った。

景気停滞から金利引き下げが噂されている折、売れ行きはよかった。

しかし1,000億バーツを超える資金不足には届かない。

さらには、BAACが、コメ代金に自行の流動性を投入するとは見られていない。



各地での農民の道路封鎖による抗議に答えるために、

政府はその都度、支払日を言明する。

こうなると、その場限りの約束となってしまう。

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1月26日には、アユタヤの北、アントーンの農民に対して、

「1月31日(金曜日)に支払う」と政府はこたえて、

バンコクへ通じるアジアン・ハイウエイの封鎖を解いてもらった。

3度、4度と支払いはなお延ばされていく。



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1月も末になって、政府は、民間銀行からのブリッジ・ローンを

考え付く。財務省の「公的債務管理局」(PDMO)が担当となる。

選挙後の「BAAC債」1,300億バーツの発行のつなぎとして、

政府が民間銀行からコメ支払い不足額1300億バーツを借り、

選挙後、BAACが債券を発行したあとに返済するというものだ。



1月も押し詰まった30日(木曜)に、32の金融機関に対し

第1回目の入札(予定調達額200~400億バーツ)が行なわれる

こととなった。

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しかし出席する金融機関が少なく、急遽取りやめとなった。

出席しなかった金融機関には、国営の「政府貯蓄銀行」(GSB)や

「農業農協銀行」(BAAC)も見られたという。



「選挙前の借り入れが、憲法に抵触しないか、それに自行は巻き込まれないか?」、

また「カウンシル・オブ・ステート(法制委員会)が許可したと言うが、

委員会の署名のものではなく、事務局長個人の私見ではないか?」など、

招待状が前日(水曜日)の遅くに着いたこともあり、金融機関は

応じられなかったようだ。



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政府のコメ代金未払いが長引くに連れて、犠牲者も出ている。

1月26日(日曜)に東北部のロイエト県で、60歳の農民が

10万バーツが入らないので借金が返せず、果樹園で首吊り自殺した。



翌27日(月曜)には、同じく東北部のシサケット県で、46歳の

村長が、林で自殺した。彼は自分の6トン分のコメ代金が

入らないのに困っただけでなく、住民からのクレームに

心を痛めていたという。



ちなみに、タイも高齢化に伴い、ウツ症状の人は増えており、

自殺率は10万人当たり6.2人と、6人を超えてきている。



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コメ代金がもらえず、もともと借金に追われている農民は

どうしているのか。いっそう高利貸しに金策に走るしかない。

タイの農民を豊かにし、債務を減らしてやるという名目の

コメ抵当スキームは、農民を借金に走らせるという皮肉な結果を招いている。

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2月2日の総選挙後、どう政策が進められるのか不明だが、

このコメ代金支払いは、3月半ば頃まで長引くかとも見られている。

いざとなれば、インフラ整備の公共事業費が、幸い使われず、あまっているので、

是非は別にして、これをコメ代金に当てることも出来ると見られる。



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それにしても何とも罪作りな政策であることか。

選挙は、ボイコット含みの投票で、選挙後、議会召集、

組閣がうまくできるかどうか、選挙当日の今日もなお不明だが、

農民は、与党タイ貢献党に再び票を投じるのだろうか?

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政府の‘ウソ’と政策結果に嫌気がさして、タクシン離れを

起こすのか、それとも「まあ、今回の失敗は許そう。

タクシン派しか我々は頼るところがないから・・・」と

農民は再び与党に投票するのだろうか?


(3回連載おわり)





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by ucci-h | 2014-02-02 21:00 | タイの政治・経済・金融・為替 | Comments(0)
行き詰まってきたコメ抵当スキーム(3):政府にも見直し機運
タイ政府のコメ抵当スキームがのっぴきならないところへ
やってきたことをお伝えしたが、ここにきてさすがに政府の方からも
見直し機運が出てきた。しかしその顛末は?

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2013年6月13日、ブーンソン商務相の記者会見の6日後の
「NRPC」(国家コメ政策委員会)で、彼ははじめて、
タイ農民協会からの示唆として、コメ抵当(買取)価格の引き下げを
ほのめかした。

この会合でも損失額は確定できなかったが。
名目的ながら委員長であるインラック首相はこの日、出席しなかった。

「2年間の損失は3000億バーツを超えよう」という
財務省債務:費用小委員会の数字がショックを与えた感じだ。

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ちなみに、このコメ抵当スキームは、ただ量さえあれば、
その分、政府が高値で買い取ってくれるというスキームだから、
政府の損失(納税者の負担)は、農民への‘補助金’と見ればいいが
(ただし、まるまる農民にいかず、業者や役人に流れやすい仕組み
となっており、汚職の源泉とも批判される)、タイの米作の質も
損なうことが懸念される。

質の高いコメも低いコメも一緒に倉庫に入れられる。
タイのコメの生産量は、世界のコメが過剰がちにもかかわらず、
この政策のために何割か増えているはずだ。
みかん、ランプータン、ドリアンなどの果樹園さえ早期収穫米に
変えられているという。

一方、有機米など手間のかかるコメ作りは敬遠され、品質の改良も
措いて行かれる。
タイのコメの国際的信用も損なうとも懸念される。

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在庫増の問題は、政府にとっても頭の痛い問題だ。
「在庫期間が長くなるので、燻蒸消毒が繰り返され(通常は半年に1回だそうだが)、
在庫米の色はくすみ、かび臭いにおいを放つので、スーパーのブランド米に
入れて売られている」と言ったうわさが立つほどだ。
政府はもちろん否定している。

こういった中で6月16日(日)に行なわれたバンコクのドンムアンの補欠選挙では、
民主党のタンクン候補が、タイ貢献党のユラヌント候補を破り、与党タクシン派の地盤を
37年ぶりに野党民主党が取ったりしている。
コメ抵当スキームへの懸念も与党への批判票になったと言われる。
また、世論調査でも、このコメ抵当スキームの顛末で政府は信用を失ったのだから、
インラック首相は辞任すべきだとの声が30%あった。

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その5日後、6月18日のNRPC緊急会合で、
コメ買取価格の引き下げが提案された。
今のトン15000バーツ(普通米)を13500~12000バーツに下げる
方向で検討されたが、この日は結局2割カットの12000バーツと決まった。
同時に無制限だった買取り量も、1戸当たり50万バーツと制限が入った
(普通米で40トンほどとなる)。
今期の2期米を対象に、早速6月30日から施行されることになった。

これにより、年間2500~2600万トンに増えてきた供出米を、
1400~1500万トンに4割がた減らして絞る、
また買上げ価格も低くし、政府の負担を減らす方向だ。
量と価格合わせて、買い取り価額の負担を半減させたいことになる。

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政府は、「世界のコメ市場の変化により、変えざるを得なくなった」、
また、「財政の規律を保つために必要な措置だ」と説明しているが、
世界のコメ市場でコメがだぶつき気味なのは、政策導入以前からで変わらない。

「FAO」(食糧農業機構)の今年4月の見通しでも、
今年の世界のコメ生産高(籾量)は2.1%増の7億4670万トン
(精米ベースで4億9770万トン)。増加分だけでも1600万トンに達する。
輸出国は増産し、輸入国は自給努力を進める。
コメの国際相場は、なお軟調である。

「世界最大のコメ輸出国タイが在庫を貯めて輸出を渋れば、
タイ米は高く売れるだろう」といった市場経済を無視した政策が
破綻したにすぎない。

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農民は、もちろん大反対だ。
「今までのトン12000バーツと言っても、含水分が多いと15%がた引かれるなど、
実際は9000~9500バーツしか得られていない」、
「それを引き下げるとなると、農家のコスト8000バーツくらいから利益が出なくなる」と
反対している。

さらにこのやっかいなコメ抵当スキームは、問題の種に尽きない。
「今年度産のコメのうち260万トンが倉庫から消えた」とか(真偽不明)、
汚職の種にされやすく、品質低下懸念も含め、コメ倉庫の検査の手間が
多くなる。

タイ米(5%砕精米)の直近の輸出価格はトン532ドル。
インド米は445ドル。ベトナム米は370ドル。
輸入国が自給努力を進める中で、どこの国が高めのタイ米を
買ってくれるのだろうか。

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いろいろな問題を抱えながらも、政府はこの目玉政策を
やめられない。
かろうじて、価格・買取量の制限で、負担を減らし、
凌いでいこうという状況だ。

と思っていたら、決めたことがまた覆ることになる。

(続く)
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by ucci-h | 2013-07-24 23:27 | 一次産品の市況 | Comments(0)
厳しくなるか、タイのコメ国家管理スキーム?(2)今年度のゆくえ
昨年度、大きな財政負担となったタイのコメ抵当スキームだが、
さて、今年度はどうなるのだろうか?

今年度(2012年10月~2013年9月)タイでは、
このスキーム目当ての増産が加わり、生産量(籾量)は1次米が2300万トン、
2次米が1100万トン、前年度比7%増の計3400万トンと見込まれた。
幸いと言うか、乾季の旱魃で2次米は700万トンほどに下がりそうなので、
年間の生産高は、3000万トン強にとどまりそうである。

抵当に出てこない自家用・市場直売のコメ1000万トン近くを除けば、
今年度も2000万トンほどが抵当に供されるだろう。
抵当価格は変わらないので、トン当たり平均15600バーツとして、
今年度も3120億バーツほどの買上げ代金が動くだろう。

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1次米が何割か加わった3月末現在の政府在庫は、
籾量で1800万トンほどと業者は見ている。
これに今後2次米などが新たに倉庫に入ってくると、
年内には、売却量によるが、2000万トン台に乗ってこよう。
物理的な倉庫の容量の問題もあるが、コメ在庫は、
時間が経てば古米としてしか売れなくなる。

現在1570億バーツほど(売却見込み価額)と評価できる
1800万トンの政府コメ在庫。
買値2810億バーツを引けば、現在1240億バーツほどの
見込み損を抱えていることになる。

国連FAO(食糧農業機構)によれば、
タイの2013年末の在庫は精米で1820万トン(籾ベースで
2900万トン)になろうと見込まれている。
売却も進もうから、そこまで膨れないにしても、
損を抑えるのは、時間との勝負になる。

ブーンソン商務大臣は、4~5月とアフリカの輸入国に飛び、
タイ米を購入してもらうよう‘政府営業’を行なうという。
今やアフリカ諸国がタイ米のトップのお客様だ。

資金の供給を担当する国有銀行「農業農協銀行」(BAAC)の
資金繰りも、高値で買ったコメが売れないと、巨額なだけに
国有銀行といえども、資金繰りに苦しくなる。
同じ国有銀行の「政府貯蓄銀行」(GSB)から資金援助をしてもらおうかと
いう計画も出ている。

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損を抑えるために、商務省からも、今年2月、
現行の抵当価格トン15000バーツ(普通米)を
市場価格に近い13000から14000バーツに下げ、
納入量も無制限でなく1農家25トンに制限しようと言う
‘現実的抑制案’が出たが、一度実施された甘い案は抑制できない。
たちまち農民の「次の選挙で投票しないぞ」という反対にあってつぶされた。

毎年、補助金に当たる大きな損失が出るコメ抵当スキーム。
いつまで続けられるのだろうか?
タイ貢献党政府は、止めたときの農民票の反動が怖いだろう。
しかし今のままでは、毎年1400億バーツ(4200億円)を超える
損失が国家財政を食っていく。

タイの公的債務残高のGDP比の上限は60%とされている。
そして50%に行ったら注意ゾーンとされ、国債の格付けにも
影響が及ぶとされる。
2年前までタイの公的債務のGDP比は、40%少しで問題なかった。
そこに、タイ貢献党政権のポピュリスト政策、なかでもコメ抵当スキームが
やってきた。
さらに、今後2兆バーツを投じるインフラ建設計画がこのあとやってくる。

2013年1月末のタイの公的債務GDP比は、44%。
タイのGDPは、2012年推計で11.47兆バーツ(3800億ドル)。
5兆バーツほどの公的債務残高がある。
50%まであと7千億バーツほどだ(もちろん、その間にGDPの増加もあろうが)。
コメ抵当スキームの損失だけで、毎年GDPの1.2%分を増やしていく
計算になる。

問題の多いこのスキーム。
うまく収拾できるのだろうか?
へたをすると現政権の命取りになるだけでなく、
タイ財政のダウングレードにつながる。
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by ucci-h | 2013-04-08 11:42 | 一次産品の市況 | Comments(0)
厳しくなるか、タイのコメ国家管理スキーム?(1)昨年度の実績
タイの批判の多い「コメ抵当スキーム」の去就は、
早ければ、今の乾季米(2次収穫米)の収穫が終わり、
さらに政府の倉庫が新しいコメで一杯になるこの
8~9月頃に定まるかも知れない。
続けられるのか、続けられないのかが。

2011-12年度に始まったインラック政権のコメ抵当スキームは、
2012-13年度の2年目の今、政府の思惑がはずれ、
厳しい状況に追い込まれている。

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初年度は、1次(690万トン)、2次(1470万トン)米合わせ、
籾量にして2160万トンほど(当初の1800万トンから2次米分がその後増えた)の
コメを政府は買い上げた(平均価格トン15600バーツほどか)。
買上げ代金として、3360億バーツ(約1兆円)の巨費だ。
この他に、運営のための経費や輸送・倉庫代なども
年間400億バーツほどかかったから、
3760億バーツというタイの歳出規模2.7兆バーツの14%近い
税金が投じられたことになる。

この買い上げたコメが、当初の思惑通り、高い値段で捌ければ、
国有銀行の負担も、財政の負担も緩和される。
しかし、世界のコメ需給の緩和の中、高いタイのコメは、
世界で売れなくなった。2012年の輸出は、前年から大きく落ち込み、
673万トン(精米基準)にとどまった。
前年の1060万トンから37%落ち込み、長く続けたコメ世界輸出国トップの
地位から、インド、ベトナムに続く3位に転落した。

コメのいわば国家管理だから、輸出も政府が中心となる。
外国政府との取引(GtoG)で売ると言ったコメ輸出も、商務省によれば、
2012年は精米にして400万トンほどにとどまった。
2160万トン(籾量)受け入れたコメは、
民間業者へも入札などでさばいたが、高価格が災いし、300万トンほどしか
はけなかった。

結局、籾量にして2160万トン(タイ全生産量3180万トンの68%)のコメを
政府は買い上げたが(残りは主に自家消費)、
籾量で1150万トンほど(精米量で700万トンほど)しか捌けず、
昨年度納入された新米の半分近くの1100万トンは、
政府のコメ倉庫(借り上げ倉庫も含め)にお蔵入りとなった。

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収支面を見ると、3760億バーツを使ってコメを市場の6割高で買上げ、
市場仕入れ価格に近い平均籾量トン当たり8700バーツほど
(政府にとってはコスト割れ)で捌いたとすると、政府には初年度、
1000億バーツほどの収入があったと推計される(商務省は972億ドルと発表)。

売却分1150万トンだけについてみると、トン当たり15600バーツほどで買上げ、
8700バーツほどで売った(今の米余り市場ではこれぐらいでなければ売れなかった)。
トン当たり7000バーツほどが政府の損というか補助金部分になる。
前年度は、売却した分だけで、800億バーツほどの補助金となった。

政府の損失は、この実現した売却分だけに限らない。
1100万トンが隠れ損失として、倉庫に眠った。
今後、天変地異があって、世界のコメ市場が急騰すれば、損は減るが、
世界のコメ市場は、タイに世界の年間取引量の半分近くになる在庫が
あることを知っているので、何もなければ、相場圧迫要因として続く。

今年度の見通しは、次回に。
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by ucci-h | 2013-04-08 11:29 | 一次産品の市況 | Comments(0)
タイの‘コメ国家管理スキーム’の負担はいよいよ重くなる!?
タイの北部では雨季に入るこれからが乾季米(2次米)の収穫期だ。
緑に実ったコメが刈り取られていく。

現時点を中間点にして、3年間(2011年10月~2014年9月)展開される
(タクシンは、ずっと続けたい意向のようだ)
タイ貢献党の最大の財政負担となる「コメ抵当スキーム」の
功罪について、この昨年12月に3回にわたってまとめてみた。

 「コメ抵当スキームの分析(1)生産されたコメはどう納入されたか 2012-12-6」
  http://uccih.exblog.jp/17370689/
 「コメ抵当スキームの分析(2)大きな運営資金はどう渡ったか 2012-12-9」
  http://uccih.exblog.jp/17392326/   
 「コメ抵当スキームの分析(3)倉庫に貯まった米はどうなるか 2012-12-17」  
  http://uccih.exblog.jp/17445081/

このコメ抵当スキームという‘国家コメ管理システム’は、
貧しい農民の稲作をすべて1粒まで、
市価の6割増し近い価格で国が買い上げてやり、収入を増やしてやろう
というインラック政権の貧農救済の目玉政策である。

確かに、これにより、毎年1千億バーツ(3千億円)近い
税負担が米作関係者に恵まれることになる。
しかし、この恩恵を受けるのは、370万稲作農家のうち、供出に余裕のある
120万戸ほどの農家に限られるようだ。

また、このスキームはいろいろな官民の手を経るために、
1千億バーツ近い補助金部分のうち60%近くは、
精米業者、倉庫業者、流通業者、そして役人や
政治家にわたったと見られている(それが狙いで、こんな複雑なシステムを
採用したのかと勘ぐりたくなる)。

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副作用が大きい。

コメを高値で政府が買い取るため、その処分に窮する。
「タイのコメは品質が良いから買い手はどこにでもいる。
今のような安い国際相場では売らない。高くなったら売る」と
政府は強気に言うが、世界のコメ相場は、主な輸入国の自給努力、
ベトナムやインド、いずれミャンマーなどの輸出国の,タイ産に比べ、
トン100ドル以上安い価格での輸出攻勢の前に、2012年の
タイの米輸出は4割近く落ち込んだ。
バーツ高もあり、タイ米は今やトン(精米)600ドルと、
ベトナム米400ドルの5割り増しの価格となってしまった。

その分、政府の在庫は膨らみ、
今年中に1800万トン(輸出2年分)に達するかとさえ、国連FAO(食糧農業機構)
は最近予想している。
コメ倉庫も不足してきており、ドンムアン空港の空いた倉庫を利用しようか
という話もあったが、空調の問題や、空港へのアクセスへの障害などで
なかなか進まないようだ。

政府はタイのコメの品質は一番と言うが、
確かにジャスミン米などの人気は高いが、ベトナムなど他国の
コメも品質がアップしてきている。
さらに悪いことに、この政策は、コメの質に関係なく、量を定価で
買い上げるシステムだから、農家はともかく量を増やすべく、
品質は置き去りにされてしまう。
このままでは、タイ米の品質も上がって行かない。

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商務省は、国対国の取引でコメを捌くと言い、その契約(実はLOIで
意向を記したものに過ぎないようだが)で中国に700万トン売っていく
と昨年から言っている。
中国の輸入は2012年増えたが、タイから買った量はそれでも数十万トンだ。
どこの国が、国際交流とは言え、世間相場を大きく超えたコメを大量に
買うだろうか?
政府はいったい倉庫に貯まって行き、古くなっていく、高値で買った
コメを、今後いったいどういう形で処分していくのだろうか?

コメ抵当スキームの問題は、汚職や政治資金、コメの品質低下、
輸出の落ち込みなどに限られない。
国の財政に大きな負担をかけ、全国的なインフラ建設計画を控えたいま、
今後の国の財政に一段の負担を負わせる先陣になりかねない。
財政負担の問題も含め、タイ貢献党政権の命取りともなりかねない
コメ抵当スキームのここまでの経緯について、あらためて次回紹介しよう。
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by ucci-h | 2013-04-07 12:56 | 一次産品の市況 | Comments(0)
タイのコメ抵当スキーム1年目の分析(3) 政府の倉庫に貯まったコメはどう捌かれるのか?
タイ貢献党の大票田、農民に対するポピュリスト政策「コメ抵当スキーム」の
1年目の運用では、生産米の6~7割しか納付されず、補助金部分の
大きな部分が倉庫業者や大規模農家・地主に偏ってしまっただろう
ことを見た。

しかし、最大の問題は、それらよりも、こうしてコメの国家管理に踏み切った
政府がコメを高値で大量に貯め込んでしまったところにある。

政府としては、高値で買い取ったコメをさらに高値で
売れればよいが、それは不可能だ。何せ市場から乖離した高値
買取りだからだ。これからは、高値で買い取った大量のコメを
いかに国内、輸出向けにさばき、損を少なくするかだ。
時間が立つほど、コメの品質は劣化し、倉庫費用も重なることになる。

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通常なら、タイで生産される3150万トンほどのコメ(籾量ベース、11/12年度)は、
自家消費に600万トン近く消費され、残る2550万トンほどが
市場に出てくると推定される。国内市場に1200万トンほど、
そして輸出に1350万トンほど(精米ベースで900万トンほど)が
向かうはずだ。

政府は貯め込んだコメの販売に苦慮することになる。
もちろん販路は、業者に入札させて、国内販売及び輸出となる。
政府自らも外国政府との間でコメ販売契約に努めなければ
ならない状況だ(これが政府の仕事だろうか?)。

従来から見てきているように、コメは貿易流通量の比率は小さく、
必ずしも国際商品とは言い切れない。
政府が膨れる在庫をうまくさばけないと、民間に委託した保管のコストが
嵩むだけでなく、米が古くなり、品質に齟齬をきたす。
政府の言っている「タイ米は品質がすぐれているので、世界中に安く売る
ことはない」という前提が崩れる。

@@@@@

仮に、政府がやむを得ず(その公算が高いが)、買い取り価格よりも
安い値段で放出すれば、その分が、政府の損、よく言えば、補助金部分となる。
これに保管費用、取り扱い費用が加わる。
政府の税金負担は、買い取り(抵当)価格―(売却価格+諸費用)となる。

国内市場向けは、農家の直接販売も745万トンほどあると推定されるし
(コメ農家の出荷量2550万トン―抵当スキーム納入量1805万トン)、
損を覚悟で(補助金だとして)、1805万トンのうち455万トンほどを
国内市場向けに、業者を通じてさばけばよい。
トン当たり5100バーツの政府負担として、この分は230億バーツほどの
税負担だ。

問題は輸出だ。高値で売れないタイ米をさばくのに、おいそれとはいかない。

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現在、世界の国際米相場は、指標となるBグレード白米バンコクFOB価格で、
港までの輸送費用なども含め、トン590ドル(精米ベース)ほどで
比較的安定している
(政府は国際相場の値上がりを待っているが・・)。

政府が、籾トン当たり15000バーツほどで買い取ったとして、倉庫に入れ、
在庫、精米、運送、費用などを加えれば、精米トン当たりでみて、
22500バーツほどの買い取り価格は、24000~25500バーツや
そこらにはなろう。
輸出ドル価格に直して、800~850ドルがコストになるわけだから、
これ以上で売れなければ、採算割れになる。

政府は、外国政府との政府間交渉で、700万トンほどの大量
販売を急いでいるが、高いコストを受け入れて買ってくれる国は
なさそうだ。高値で買うとすれば、中国などが政治的に恩を売るケースだろう。
インドの輸出コストがトン435ドルほど、ベトナムのそれが465ドルほど
と言われるから、せいぜい高くても590ドルほどでしか売れないだろう。

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仮に籾量1350万トン(精米量で900万トン)の8割、
精米720万トンをトン590ドルで輸出できたとしても、
そのコストとの差である税負担額は、
(590-800)ドル*720万トン=15.1億ドル(454億バーツ)という
大きな額になる。輸出分だけで、1年で454億バーツの税負担となる
計算だ。国内販売分の税負担230億バーツと合わせると、
政府の税負担は、684億バーツくらいには膨らむかもしれない。
国民一人当たり1000バーツ強の負担だ
(政府は200億バーツほどだろうと言っているが)。

2012年9月12日、ブーンソン商務相は、「中国やインドネシアなど6カ国と
計733万トンの輸出契約ができた」と発表した。これが本当なら輸出向けの
8割がたが捌ける。ビッグ・ニュースだ。

しかし、その後の経緯だと、輸出契約ではなく、拘束力のない「MOU」(合意書)、
いや「LOI」(意向書)が結ばれたに過ぎないと伝えられている。
本命とされる中国(200万トン?)ですら、
高いタイ米は買えないと、その後匂わせている。
中国のタイ米輸入は、ここ数年、年数十万トンほどで来ている。

実際、2012年の12月現在まで、港から出荷の物理的動きは見られていないという。
2013年末までに出荷すると政府は言っているが、そんなに長く
在庫したら、コメの品質も低下しそうだ。

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その3週間ほど前の8月21日に、政府は国内の業者に対し、在庫米75万トンの
第1回目の売却オークションを発表したが、3割の23万トンしか売れなかった。
残り50万トンは、9月19日に再度オークションに出されたが、
これも57000トンしか捌けなかった。
価格が高すぎるので、業者が敬遠したと言われる。

政府のコメ在庫は、籾ベースで1200万トンを超えて来るといわれる。
年が明ければ、2年目のコメが入ってくる。
倉庫が足りないので、ドンムアン空港の空いている軍の格納庫を使う
計画があるが(15.7万トン)、コメ倉庫としての密封度に欠けると同時に、
毎日500台以上のトラックがコメを持ち込んでくると、空港の道路が渋滞し、
空港の機能に障害が出ると懸念される。

10月より2年目に入ったコメ抵当スキーム、
増大するコメ在庫を政府はどう捌いていくのだろうか?
そのうちに、国民にコメをもっと食えとキャンペーンを
起こしてくるかもしれない。
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by ucci-h | 2012-12-17 11:55 | 一次産品の市況 | Comments(0)
タイのコメ抵当スキーム1年目の分析(1) 生産されたコメはどのくらい納入されたのだろうか?
インラック・タイ貢献党政権の批判の多い
「コメ抵当スキーム」について、数字をベースに
できるだけ客観的な1年のまとめをしておこうと
思って、1~2ヶ月経過してしまった。

なかなか、必要な事実、数字が手に入らないと
言うのは言い訳だが、推測数字も含めて、
この「コメ生産・流通の国家管理」ともいうべき
政策の功罪をとりあえず、まとめておこう。

まず、おコメが自由市場で流れる(と言っても、
民主党政権下でも補助金はつきものだったが、
国家備蓄はしない仕組みだった)のに比べて、おコメの
量の流れと、お金の流れはどうなったのだろうか?

ほぼ信じられると思う数字をベースに試算してみる。
今回は、コメ抵当システムに納入されたおコメの量である。
市場価格より5割り増しの価格で受け入れられるのだから、
全生産量が、このシステムに向かってもいいはずだが。
政府も全量引き受けとうたっているのだし・・・。
実際はどうだったか?

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おコメは籾の形で、1年に2回、雨季米と乾季米が
収穫されるが、コメ抵当スキームは、2回に分け、
全量政府が市場より5割ほどの高値で実質買い上げる
(正確には、籾を収めてもらって、それを抵当に
抵当代金を払う形だが、市場価格と乖離した高値だから、
買い戻すコメ農家はいない)。

もともとは、市場価格より若干高い抵当価格を設定して、
農民に抵当金を払い、市場への供給が安定し価格が上がった
ところで農民に引き取らせ、市場で売却させるのがもともとの抵当スキーム
だったが、タイ貢献党は、高い抵当価格を設定することによって、
このスキームをそのまま買取りの制度に変えてしまった。

2011年10月7日にスタートし、2012年2月末に締めた
雨季米中心の第1次収穫米の抵当預け入れは、
政府のBAAC(農業・農協銀行)によれば、695万トンほどと
少なかった(これは籾での量。精米にするとそのほぼ3分の2の
460万トンほどになる)。
制度の浸透に時間がかかったことと、大洪水の影響が大きかった。

ちなみに、タイのコメ生産量は、洪水の影響を受けた2011/12年でも
雨季米を中心とする第1次収穫米の生産量は2040万トン(籾量。
FAO調べ)。政府も当初は1000万トン以上の納入を見込んでいたから
695万トンは少ない量だった。
これは、洪水、制度の浸透に時間がかかったほかに、
農家が、抵当スキームへ持っていくのにコストがかかり、現金化
するのに時間がかかることから、たとえディスカウント額でも流通業者へ
売ってしまうケースが多かったことをうかがわせる。

後半の2012年3月から9月15日までの乾季米 、2期米中心の
第2次収穫米は、追加分も含めて籾量で1110万トンほど
(精米量で740万トンほど)に増加したようだ。
それでも、年間で計1805万トンが抵当スキーム受け入れ量となった。

タイの2011/12年のコメ生産量(籾量)は、FAOによれば、第1次2040万トン、
第2次(つづく乾季米)1110万トン、計3150万トンほど(前年比10%減)
と推計されたので、実際抵当スキームに出てきたおコメは、
全生産量の57%ほどとなる。
全量買い上げにしては、低い比率だ。

全生産量のうちほぼ20%、籾量にして600万トン近くは、
農家の自家消費分と見られ、市場には出てこないから、
市場に出てくるのは、全体からの推計では、
籾量で2550万トンほどだったと推計される。
それにしても、1805万トンの抵当受け入れ量は少ない。

しかも、納入量には、安い外国産米や古米が混入していたと
疑われるから、実際の国産新米の納入量は1600万トンほど
だったかもしれない。
実質的には37%ほどが直接市場に流れたと見られる。
このスキームの面倒さが、提供量を低くしたと思われる。

その分、このスキームの狙いである低所得農家に対する救済は
薄められたと見られてもしかたないだろう。
多くのメリットはどこに落ちたのだろうか。
コメ抵当システムは今年度も継続される。
カバー率が上がっていくかどうか注目される。

次回は、お金の流れを追ってみることにしよう。
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by ucci-h | 2012-12-06 18:30 | 一次産品の市況 | Comments(0)
コメ増産、輸出増を優先課題とするミャンマー
経済開放が進んでいきそうなミャンマーでは、コメの輸出増は、
経済発展のための要になっている。
テイン・セイン大統領は、コメの増産を経済成長の優先課題とし、
ミント・ライン農業大臣は、コメの収量アップと質のアップを農業省に
言い渡している。

輸出に対しては、税優遇も考えられるようだ。
コメ輸出にかかる8%の商業税も免除される。

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ミャンマー(ビルマ)は、かつては世界一のコメ輸出国だった。
戦前1934年の340万トンのコメ輸出は、かつての世界新記録だった。
 「コメ輸出現世界チャンピオンのタイに挑戦する元世界チャンピオン 2011-10-11」
  http://uccih.exblog.jp/14733789/

2011年度(3月期)は、84万トンあまりのコメを輸出し(前年比57%増)、
3億2400万ドルを稼いだ。トン当たり平均384ドルと、タイ米の価格を
大きく下回る。

ミャンマー米の主な輸入国は、
西アフリカ諸国、フィリピン、バングラデッシュ、中国などである。
フィリピンを除いて、タイやベトナムなどに比べ、仕向け地がより近い。

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今年は、新たにミャンマーの10万エーカーの土地に、
高収量で高品質のコメを植える予定だと言う。
農業機械の援助を外国に求めていくという。

近い将来、ミャンマーは、世界一安い価格を武器に、
主要コメ輸出国としてトップ3に顔を出してきそうである。
そうなると、高価格のタイ米はいっそう世界シェアを落としそうだ。
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by ucci-h | 2012-04-17 23:43 | ミャンマー・ラオス・カンボジア | Comments(0)
コメ価格は政策でなく市場が決める、やはり落ち込みそうなタイのコメ輸出
世界最大のコメ輸出国のタイのコメ輸出は、
2012年はやはり大きく落ち込みそうだ。
洪水があったので、輸出できるコメが少なくなったからではない。
タイ政府の思い上がった(タイのコメは高くしても売れる)「コメ抵当スキーム」が、
輸出競争力を減じているからだ。

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タイのコメ収穫は、年が変わり、雨季米の収穫が終わり、3月からは
乾季米の収穫に入るが、タイ米輸出業者協会は、政府に対して
コメ抵当価格の見直し(価格引下げ)を求め始めた。
「このままでは、タイはコメ輸出世界一の地位を失いかねない」と。

2011年、タイは1050万トンのコメを輸出し(世界シェア30%)、
2000億バーツの外貨を獲得したが、2012年は650~800万トンに
減じると見られる。38~24%の減少である。輸出額も600億バーツは減りそうだ。
輸出米の内訳は、白米300万トン強、パーボイル米(加水処理した玄米)100万トン強、
ホームマリ米(香り米)200万トン強である。

タイが世界市場の3割を握っているからといって、
価格を自由に出来るわけではない。
2012年の世界のコメ輸入は、昨年の3,478万トンから、3,188万トンほどへ
300万トン近く減ると、米農務省は予測している。

昨年輸入トップのインドネシアが278万トンから100万トンへ、
バングラデッシュが140万トンの輸入から65万トンへなどと、自国の生産増で
輸入を減らせるからだ。コメ輸入国全体の生産量は、昨年の4億5,040万トンから
今年は4億6,140万トンへと、タイの輸出量に相当する1100万トン増加しそうだ。

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一方、輸出国の方では、前回述べたように、インドの米の輸出動向が注目される。
インドが200万トン以上輸出してくるようだと(その可能性が高まっているが)、
その分、タイの輸出量は落ち込むと、タイ米輸出業者協会は警戒している。

タイ米は、その輸出市場であるアフリカや中近東で、インドやブラジル産のコメと
競争する。タイ米がトン570ドルほどでオファーされるのに対して、
インド米などは、それより100ドルも安い440ドルほどで提供される。
インドの輸出に向けられるコメ在庫は、3000万トンと大量にある。

タイの輸出米(100%グレードB白米)の価格は、
2011年11月16日に、洪水による供給低下をおそれて、
トン663ドルまで上がったが、
その後8週連続で下がり、2012年1月18日には、546ドルまで下がっている。
タイ政府の米抵当価格から想定された輸出米800ドル台という目標は
どこへ行ったのだろうか?

キティラット商務相は、「タイ米の品質は高く売れる!洪水で供給減になった
この機会をなぜバーゲニング・パワーに使わないのか?」と、なお息巻いている。
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by ucci-h | 2012-01-25 22:09 | 一次産品の市況 | Comments(0)
タイのコメ輸出は減少に向かうが、世界のコメ市況はどうなるのか?
インラック政権になり、10月7日よりタイの
コメ抵当システムが導入され、高米価政策がとられた。
一方、世界第3位のコメ輸出国インドにより、7月より
民間業者によるコメ輸出が3年ぶりに解禁された。
そして、タイを始めとする東南アジアの水害の米作への被害が出た。

今年から来年にかけて、アジアの主食コメの需給関係、そして価格は
どう推移していくのだろうか?

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世界一のコメ輸出国タイの生産事情と輸出状況を見てみよう。
コメ抵当システムの導入は、コメ市場に2つのインパクトを与えた。
ひとつは、輸出の高価格によるタイ米の輸出への影響だ。
もうひとつは、高価格に刺激されて、タイ農家のコメ作付けの増加だ。

タイの輸出米の指標となる「100%グレードB白米」の11月半ばには
トン663ドルと、2008年10月以来の3年ぶりの高値をつけた。
7月初めにインラックが選挙で勝ったときが、トン526ドルほどだったから、
それ以降4ヶ月でトン+137ドル、26%も上昇していることになる。

タイの洪水の影響もあったが、多くはタイのポピュリスト政策が
もたらした高値である。
ちなみに、タイの洪水は、タイの田んぼの15%、1000万ライ(160万ヘクタール)
を水没させ、雨季米(通年の3分の2)2300万トンの19%に当たる
430万トンほどの減収になったと言われる。

10月7日からスタートしたコメ抵当システムだが、
11月21日までの1ヵ月半で、農家から提供された量は115万トン。
洪水の影響もあり、出足は鈍い。
また手続きが面倒なので、農家から精米業者(400社が登録済み)に
直接手渡すケースが増えている。これだと、農家は抵当価格のトン15000バーツを
まるまる得られないで、精米業者に幾分取られるが、面倒くさくないのが
受けている。

タイの2011年のコメ生産は、2010年の3450万トンから、11%減の
3080万トンほどに下がりそうだ。
2012年は、高値誘導の作付け増から、再び増加しそうだが。

従って、タイのコメ輸出も、2011年は9月までは月100万トンの
順調なペースで来たが、10~12月と洪水の影響で6割近くの
減少となり、年間の輸出高は1030万トンと、昨年に近い数字は
キープできそうだ。
 「タイの稲作被害と国際コメ価格のゆくえ 2011-10-22」
  http://uccih.exblog.jp/14803407/

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むしろ、来年2012年のタイのコメ輸出の減少が見込まれる。
洪水の影響が尾を引くこともあるが、タイ米の高値は、輸入元から
敬遠されるおそれがある。実際、10月にはタイ米の輸出契約は
ゼロだったという。

2012年のタイの米輸出は820万トンほど、2割減になろうと
FAOでは見ている。
タイ政府は、輸出数量が下がっても、価格が上がれば、
取り返せると強気だが、はたしてタイの思惑だけで国際市況は
動くだろうか。

目を世界に転じると、世界の2011年のコメ生産量は、タイやビルマ、
パキスタン、フィリピンの洪水などによる悪影響にもかかわらず、
中国、インド、ベトナム、エジプト、バングラデッシュなどの改善により、
7億2100万トン(籾重量)と昨年比2000万トンほどの増加(+3%)と
なりそうである。

コメの世界の貿易量は、生産量の5%未満と少ないが(タイの場合は3割、
ベトナムは2割弱。自国市場の大きいインドは3%)、
今年は、昨年の3150万トンから、3430万トンへ9%増加すると予想される。
昨年今年と、史上最高を更新してきている。
人口を多く抱える中国、インドネシア、バングラデッシュ、イランや
アフリカの国々からの需要が増えているからだ。

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世界一のコメ輸出国タイの輸出が増えない、減るとすると、
これをカバーするのはどこの国だろうか。

世界2位の輸出国ベトナムは、今年は737万トンと、昨年の675万トンを超え、
初めて700万トン台に乗りそうだ。
ベトナム米は、最近質がよくなってきており、また納期が守られるように
なってきたので、インドネシア等からの引き合いが増えている。

タイ米が減るとすると、ベトナムは、それをカバーする最有力候補だが、
輸出余力は今のままでは限られている。
この5年間で輸出量は50%増えたが、生産量は3900万トンほどへ、
10%しか増えていない。

世界3位の米輸出国インドだが、国内の米買い上げ制度により、
政府在庫が貯まると、数百万トン単位の規模で、輸出弁が開かれる。
生産量が9500万トンほど、在庫量が2000万トン以上と規模が大きいだけに、
輸出市場へ出てくると、大きな需給変化要因となる。
インドの今年の米作は豊作のようである。
インドのコメ輸出量は、今年の280万トンから、来年は6割増の
450万トンほどに増加しようと、米国農務省は見ている。

世界の米価は、タイの輸出米「100%グレードB白米」が指標となる。
11月半ばには、トン663ドルの2008年10月以来の3年ぶりの高値をつけたと、
言ったが、その前の2008年6月にはトン1000ドルをつけているので、
600ドル台と言っても、めちゃ高いわけではない(12月14日現在622ドル)。

今後、タイの輸出減少、高値志向を映してどこまで上がれるのだろうか。
一方で、インドの輸出増というワイルド・カードが来年は控えている。
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by ucci-h | 2011-12-22 12:44 | 一次産品の市況 | Comments(3)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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