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ベトナムの課題(後編):経済状態の改善で改革は先送りされる!?
経済環境の自律的変化が、ベトナムの悪かった経済数字を
2~3年前に比べて好ましいものにしているが、
逆に、この環境好転がベトナム共産党政権の
自立的経済改革を、また後回しにしてもいる。
ベトナムの経済改革はいっこうになされないまま流されている。

成長するアジアにあって、インドと並んでその潜在力を
発揮できないで来ているベトナム。
何が課題で、何が改革されないのか?

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ベトナムは、戦後の数次の戦争の疲弊から立ち直るため、
1986年よりドイモイ(刷新)政策を導入して、経済の開放路線を敷いた。
中国の経済開放に遅れること8年でしかなかった。

90年代には8%前後の高成長を見せたが、2008年以降
5~6%程度へ低下、ことに20%のインフレ退治の2012年は、
5.0%と13年ぶりの低い経済成長となった。
若い層を中心に9千万人の人口を持つのに、伸び切れないでいる。

ベトナムがここ5~6年その経済潜在力を十分発揮できないで
来ているのは、共産主義体制のもとで積もったちりが多いからだろう。
中国の社会主義市場経済と同じ体制だが、成長率でひけを取って来た
のはなぜだろうか?

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中国がともかく経済優先でやってきたのに対し、
トロイカ体制をとり、政治面での安定を求めたベトナムの方が
経済政策もその後ギクシャクしたように見える。
中国とベトナムの経済運営の比較の研究はいくらかあるが、筆者は
まだ読み切れていない。
両国の経済運営体制の違いから、成長に差がついてしまったようだ。

社会主義体制がベトナムの経済発展を抑えてきたと言うより、
権力者、社会の上層部の癒着体制(これは社会主義ではない
発展途上国にも見られる、ここまでのビルマのように)と、
下部現場での放任が経済成長を阻害してきたように見える。

社会主義のドグマ自体が経済発展にマイナスというのではなく、
社会主義体制下での国営企業の闊歩、けじめの薄い融資体制、
また権力者同士の癒着、汚職腐敗の横行といったことが、
経済の足を引っ張り、インフレを助長し、不良融資の増大を
もたらしたと見える。

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とはいえ、今年の4月に見たようにベトナムの経済状況は
良くなってきている。ことに、2011年8月に23.0%をつけた
インフレ率が低下してきたことが大きい。2013年6月には6.7%まで
下がってきている。

 「数字で見るベトナム経済の昨日今日 2013-4-5」
  http://uccih.exblog.jp/18482602/

金利の引き上げが効いた感じだが、かつて盛んだった
不動産投資も後退し、不動産価格も沈静化してきた。

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2011~12年当時見られたベトナムの多くの経済問題のうち、
最大の問題は、銀行の国営企業などへの過剰融資と、
そこから発生した不良資産の拡大だった。
2012年10月には、前年7月に再選されたグエン・タン・ズン首相が
以前の経済失政を認めている。

不良資産の解消には、銀行の合併、不良資産の政府投資会社による
引き受けなどいろいろアイデアは出ていたが、インフレと金利の
ピークアウトで圧力が薄れ沙汰止みになっている。
また、国策企業の相次ぐ失敗についても人の入れ替え程度で、
抜本的なメスは入れられていない。

国営企業は、GDPの4割を生み出すと言われるが、
政府、官僚などの子弟らの大きな受け皿であるから、問題が多くても
なかなか減らない。時々、汚職が摘発されるのも、政敵への牽制球で
あると同時に、浄化しているとの姿勢の顕示だろう。

2012年4月にも、共産党政治局員の娘(24歳)が、国有建設会社の
社長に任命され、ピンクの服とハイヒール姿で工事現場を歩いている姿が
インターネットに載り、物議をかもした(彼女は6月に辞任したが)。

グエン・タン・ズン首相の娘は、べト・キャピタル証券を経営しているし、
二人の息子のひとりは建設副大臣だ。
またほとんどつぶれかかった国策造船会社ビナシンには、会長の
娘・息子含め3人の家族がトップ・ポジションを占めていたと言われる。

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中国の国有企業の生産比率は7割から3割ほどに減ったと言われるが、
ベトナムの国有企業の数が大きく減ったという話は聞かない。

そもそも、経済運営に失敗した首相が、経済状況が最悪の中で、
政治バランスを保つべく2011年7月に再選されたように、改革の意思は
薄いように見える。
もっとも最近の2013年6月の議会における信任投票で、
グエン・タン・ズン首相の信任票は3分の2であり、3分の一が不信任票で
あった。

経済状態がよくなったので、痛みの伴う改革は先送りされる。
このままだと、ベトナムの経済体制への信任がなかなか
起こらないと見るのは筆者だけだろうか。
潜在力があるだけに、ぜひ改革を進めて欲しいものである。
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by ucci-h | 2013-07-06 20:45 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(7)
40年前の亡霊か、ベトナムからの「ボート・ピープル」が再び!?
「ボート・ピープル」---ベトナム戦争でサイゴン陥落の
1975年から10年ほど、ベトナムから漁船などに乗って、
海外に逃げる南ベトナム関係者や華人たちの数は、
100万人近くに及んだという。
香港やオーストラリアに舟で亡命した。

それから40年。
ボート・ピープルの話は、すでに過去の歴史の話かと思っていたら、
2012年から2013年にかけて、ベトナムからのボート・ピープルが
また増えだしたという。

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もちろん、40年前の戦争の後の規模には比ぶべくもないが、
ここ数年強まっているベトナムの一党独裁による抑圧、言論統制を
嫌って、国を捨てる人が増えていると報道されている。
もちろん政治的な理由だけではなく、ここ数年のベトナム経済の
低迷による生活苦も背景にあるのだろう。

2013年に入っても、460人がオーストラリアにたどり着いた。
過去5年の累計数を上回るという。
豪州領クリスマス島は、ベトナム本土から2300kmも
離れているが、漁船による命がけの航海のようだ。

ベトナム政府は、逃げるものは追わず、また迎えもしないという。
ベトナム戦争の後は、意図的に華人を追い出したともうわさされたが。

ただ、政治的理由にせよ、宗教的理由にせよ、経済的理由にせよ、
どういう背景か知らないが、
国を脱出する国民が増えるということは、共産党政権にとって
好ましいニュースとはならない。本当にそうなのか?
日本からの投資にも水をさされる。

ベトナムは9千万人の人口も若く、将来の経済発展が期待される。
しかし、ほぼ一党独裁による、経済運営の拙さや、国営企業の失策、
さらに政治的抑圧が強まるようだと、発展への助走路がなお長くなる。

2年前ホーチミン市を訪れたときのガイド君の言葉、
「この国では、なお好きなことが言えないんですよ」と言って
いたのが耳に残っている。

21世紀のボート・ピープル騒ぎも一時的な出来事で終わって欲しい。
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by ucci-h | 2013-05-12 17:27 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
ベトナムの抱える課題(前編): 交通網はいつ整備されるのだろうか? 
前回見たように、ベトナムの経済は、立ち直ってきた。
 「数字で見るベトナム経済の昨日・今日 2013-4-5」
  http://uccih.exblog.jp/18482602/

2桁インフレが6~7%へ下がって来、
金利も同様に下がり、なお引き下げの余地がありそうだ。
下げ続けた為替ドンも落ち着いてきたし、
為替安の効果もあり、貿易収支もバランス化してきた。

今後は、①経済成長が高まるかどうか、
またその中で、②財政赤字の膨張を抑えられるかどうか、
そして、依然改善されていない③銀行の不良債権にメスが入れられるか、
また、④非効率な国営企業の整理が行なえるかといった
構造問題の行方が注目される。

ベトナム経済の抱える課題の特集、
第1回は,交通インフラの未整備についてである。


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ホーチミン市(サイゴン)へ行くと、そのオートバイの洪水に
びっくりし、また道路網が未整備なのに驚かされる。
道路は狭く、舗装されていないところも多い。

ベトナムの建設省によれば、
ベトナムの都市人口は、2,800万人。
全人口9,000万人の31%と、3分の一近くを占める。
そしてGDPの7割を生み出している。

ベトナム全土のクルマの保有台数は、3,700万台もあるが、
自動車は200万台ほど。バイクが3,500万台と圧倒的数を示す。
これからの経済発展で、バイクから自動車へのシフトが
進めば、都市の交通渋滞はいっそう激しくなると危惧される。

ホーチミンやハノイといった都市の人口密度はとても高い。
人口密度は、平方kmあたり25,000人から35,000人だというから、
シンガポールや香港の6,500人/平方kmを上回る混雑振りである
(もっとも、シンガポールは国だから公共施設に多く割いているし、
香港は山岳部が多い。住居地域だけ見れば、ベトナムの都市を
上回るだろうが)。

世界の都市で、人口密度の高い都市は、平方kmあたり1万人を超える。
インドのムンバイは、27,000人/平方kmにも達するそうだ。
ちなみに東京23区は、14,000人/平方km。

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ベトナムの2大都市に話を戻すと、
バイクも含めた車の数は、年12~15%増の勢いで
近年増えている。
都市の道路面積は7-8%しかなく、
交通需要の40%しか満たしていないといわれる。
国際的な標準では、都市面積の20-25%が道路に使われることが
求められる。

ベトナムの都市の道路不足は、行政の計画力の不足から
多くきている。
都市の社会経済発展計画を作るのに、9-10年かかり、
3-4年で様相を変えていく都市の顔に追いつかない。

それでも、都市の道路の混雑を緩和するため、
ベトナムはバス、地下鉄、モノレール、市街電車などの
公共交通機関の整備を目指している。

ホーチミン市では、7つの地下鉄路線、3つの市街電車路線が
計画されている。
2020年までに全長で160kmになる計画だ。
最初の20kmの地下鉄路線計画は、2012年8月にスタートしたが、
建設資材費が高騰したため、はやくも4年先に延ばされ、
2018年開業の予定となっている。
ODAからの開発援助資金も10億ドルから20億ドルに倍増している。
地下鉄計画は、2007年に承認されたが、
2003~6年時のコストをベースに作られたため、
時代に合わなくなった。

ハノイでは、2030年までに8つの市街電車路線が計画されている。
全長284km。うち5路線がすでに承認された。
8つの衛星都市とハノイ市内を結ぶことになる。
早ければ、2015~16年に開業できるというが、さてどうだろうか?

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ベトナムは、2011-2020年の10年間にGDPの3.5~4.5%を
輸送インフラに投じる計画を持っている(ビジョン2030)。
2012年時点で見れば、国のGDPは1,380億ドルだから、
48~62億ドルと、年50億ドル前後の資金を投じる計画だ。
ベトナム財務省は、10年間で800億ドルの資金が必要と
このほど推計したが、専門家は実際はもっとかかると見ている。

ベトナムの交通網の整備には時間がかかりそうだ。
直近の対策としては、都市では衛星通信を使い、混雑を
いくらかでも緩和する対策を採るというがどのくらい効果が
あるだろうか?

ホーチミン市を2年前に訪れてびっくりしたのは、
あの大都会に高速道路が見られなかったことだ。
一部作られ始めていたが・・。
JICAの協力でホーチミン市からゾーザイ地区へ向かう
最初の55kmの高速道路の竣工式が12年12月にあり、
早ければ年内には一部利用できるようである。

ベトナムの名物、「バイクの洪水」が無くなる日は
いつごろくるのだろうか?
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by ucci-h | 2013-05-02 00:52 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
数字で見るベトナム経済の昨日と今日
成長するアジアの中で、その社会主義政権の
経済運営の拙さから、経済成長も貿易も為替も
物価安定も財政安定も取り残されてしまった
かつての‘アジアの虎’ベトナム。

株価は底を打ったようだし、さすがの2桁のインフレも
沈静してきたようだ。
ベトナム経済のなお抱える問題を見ながら、
ベトナム経済の反騰へのきっかけを探ってみよう。
 「3年ぶりに金利が下がり、株も上がってきたベトナム 2012-3-22」
  http://uccih.exblog.jp/15609742/

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数字で見るベトナム経済のきのう、きょうはどうなっているだろうか。

{インフレ率}

最大の問題であるベトナムのインフレ率は、2011年平均18.7%と
近年では2008年の23.1%に次ぐ高い物価高を示した。
2011年8月のピーク時には、前年比+23.0%をつけた。
2012年には8.1%へと沈静。直近の2013年3月は、6.6%と
落ち着いている。

もっとも、80年代から90年代初めまで2桁の高いインフレを記録した
この国の物価状況が、構造的に変わったとはまだ見えない。

{政策金利}

ベトナムの政策金利は、中銀が銀行に貸し出すリファイナンス金利と、
中銀が財務省証券を銀行から買い、ファイナンスする際の‘公定歩合’で見られる。

高進するインフレを抑えるべく、中銀は、2011年を中心にリファイナンス金利を15%、
公定歩合を13%まで引き上げたが、インフレの沈静化傾向を見て、2012年3月、
3年ぶりに政策金利の引き下げに踏み切り、1年間で、2013年直近3月末には、
それぞれ8%、6%まで下がってきた。

高インフレ時には、政策金利がこれに追いつかなかったが、
今はインフレ率の低下で、2013年なお金利低下の余地があると見られる。
世銀は、ベトナムの急速な政策金利の引き下げに対し、早計であると言っているが、
なお銀行の不良債権問題をかかえる国としては、これを緩和してやるチャンスと
捉えているのかもしれない。

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{為替ドン}

高いインフレ率と成長鈍化により、成長地域アジアの中で、
ベトナムはインドと並んで、為替が売られる国だった。
いや、積極的にドン安で貿易収支の建て直しを図ったといえよう。
2011年2月のベトナムの正月「テト」明けには、8.5%の対ドル
切り下げを行ない、‘参考レート’を1ドル=20693ドンと、1ドル2万ドン台に乗せてきた。
 「為替切り下げに頼るベトナム 2011-2-20」
  http://uccih.exblog.jp/12940756/

その後、インフレの沈静により、ドンは1ドル=20900ドン前後で、
ここ半年ほど落ち着いている。
また円安により、1円で265ドンほどしていたのが、
半年で220ドンになってしまった。それでもなおベトナムの諸物価は安いが。

{経常収支}

貿易赤字を中心に、2007年から2010年までの4年間、
年43億ドル~108億ドルと拡大した経常収支赤字は、
2011~2012年と、ようやくバランス化してきた。
為替安の効果も大きく、
貿易収支も、2012年1月以降、バランス化してきている。

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{経済成長率}

2012年の実質GDP成長率は5.0%と
1999年(4.8%)以来13年ぶりの低成長だった。
国内の不良債権の縮小のため、成長は抑えられた。
2013年は、5.5%と見込まれる(世銀)。

{財政赤字}

経常収支はバランス化してきたが、財政赤字は、
なお積極的な(あまり効率的に見えない)財政投資により、
なお拡大している。
2012年の財政赤字の対GDP比率は4.6%。
2009年の7.2%よりはましだが、2012年の赤字134兆ドンは
史上最高額になってきている。

この先、財政赤字がなお膨らむようだと、
いかにしてこれをファイナンスするかが問題となってきそうだ。

{ベトナム株式}

2012年初めまで下がったベトナム株は、
2012年前半で、年初の底値336ポイント(ホーチミン株式指数)から
年央には490ポイントまで4ヶ月間で+46%の急騰を見せた。
その後11月末の376ポイントまで、半年間かけて調整した。

そしてその後、再び急騰、2013年4月始めには514ポイント(+37%)と
2012年5月の高値を抜いてきている。
時価総額800兆ドン(約380億ドル)ほどの小さなマーケットだ。
今後も値動きは激しいだろう。
2007年3月の高値は、1170ポイントだった。

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2012年8月末には、主要銀行「アジア・コマーシャル銀行」(ACB)の
創業者と総裁が、不正行為で逮捕されたが、
塀の内外をきわどく歩くと言われるベトナムの金融界のこと、
金融構造改革、銀行再編はなかなか進まないだろう。

今後、インフレの再燃、財政赤字の拡大、
銀行の不動産業への不良貸付になお注意しながら、
そのなお高い成長ポテンシャルに投資すべきだろう。
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by ucci-h | 2013-04-05 13:59 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
アセアン4カ国の電力事情(4) 電力不足が拡大しているベトナム
アセアン4カ国電力事情の最終回は、ベトナムである。
ベトナムの電力需要は、インドネシアなどの伸び率を
上回り、ここ4年ほどは、年14%のハイペースで伸びている。

増大する需要にこたえるべく、中国から電力を輸入したり、
インドネシアから燃料炭を2011年には初めて輸入したりして
対処しているが、電力不足は否めない。

2007年以降電力事情が悪化し、
夏季には週2~3回の停電を余儀なくされ、
家庭だけでなく、ビジネスにも影響するので、
外国資本投資の障害になっているという。

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2011年の年間電力消費量93,600ギガワット時を
2020年には329,400ギガワット時と見込んでいるから、
年率15%の高い伸びを想定している。

発電能力は、20,000メガワット(2010年末)だから、
人口のほぼ等しいタイの77%ほどの能力を
数字上は持っている(電化率も97.6%といわれる)。

電力源としては、現在、
天然ガスが44%、石炭が27%、水力が27%、石油火力が2%
だが、将来は石炭を46%に伸ばし、天然ガスのシェアを29%に、
水力を23%に下げたい意向だ。

しかし、現実の発電所建設の進捗率は70%程度と計画通りに
行っていない。
ベトナム経済自体が、国有企業の経営不振、資金状況の悪化、
さらには相変わらずの共産党政権下でのレッドテープによる
行政の遅滞などが、進捗の障害になっている。

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ベトナムの電気料金は、kwh当たり6.5円ほどと、タイなどよりさらに安い。
補助金が多いのだろう。
しかし、その分、電力開発推進の障害となる。
今後は、徐々に電気料金を引き上げ、電力供給を増やしていく事になろう。

福島原発事故以降、各国で原子炉へのアレルギーは強まっているが、
ベトナムでは、南部での2基4,000mwのニン・トゥアン原子力発電所
(ロシアの技術による)の2014~2015年建設計画が破棄されてはいない。
今後、大きな電力不足が見込まれるベトナムでは、原子力に将来
15~20%のシェアを担ってもらいたいようだ。

もちろん安全性の精査もあり、実際の建設は先になろうが、
先に述べたように、ベトナムの経済政策全般の展開が、
電力設備の増強を可能に出来るかどうかの
鍵となるだろう。
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by ucci-h | 2013-03-02 20:34 | 電力・エネルギー | Comments(0)
経済失政を認めた6年目の首相の下、経済復活なるかベトナム
かねてから紹介してきたように、ベトナム経済は、
2000年から2007年にかけての8年間は、
平均7.6%という高い成長を示し“アジアのタイガー”と
呼ばれたが、2009年以降は平均5%台の成長に
落ち込み、成長する東南アジアの中では、「経済問題国」に
なってしまった。

経済成長率が落ち込んだだけでなく、
社会主義国の国有企業の赤字拡大、銀行不良資産の増大、
2桁のインフレ、貿易赤字の拡大、通貨ドンの下落といった
構造的な問題に苦しむようになった。

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幸い、世界経済の不況により、2011年平均18.7%まで高まった
インフレ率も、ようやく一桁で落ち着いてきた(2012年10月は7.0%)。
下落を続けた通貨ドンも、1ドル=20,900ドンほどで落ち着いてきた。

人口構成等から見てなお高い経済成長の潜在力を持つ
ベトナムだが、政治経済構造が柔軟性に欠けることから、
その力を発揮できないで来た。
平たく言えば、政治力、経済政策の不適格さから構造不振を
招いたと言えよう。

もっと平たく言えば、社会主義的計画経済の悪い面が出てしまったと
言えよう。市場の効率性が十分生かされてこなかった。
 「ベトナムの経済危機は国策会社の失敗から 2011-1-19」
  http://uccih.exblog.jp/12721961/

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というわけで、経済不振で問われるのは、ほぼ共産党独裁の
政治体制であった。
ことに、行政のトップである2006年就任のグエン・タン・ズン首相への
批判が強まってきた。
かつて中央銀行の総裁職にも就き、経済に明るいはずがうまく行かなかった。
しかし、彼は2011年7月に再度5年の首相に再任された(現在62歳)。

そして、2012年10月1日には175人のメンバーから成る
中央委員会が開かれ、会期も通常の倍の2週間と長く、
グエン・タン・ズン首相は矢面に立たされることになった。

しかし、ここでも彼は批判をしのいだようだ。
続く500人の議員の集まる国会(一院制)では、
インフレの収束を誇りつつ、経済運営の失政も認めたと言われる。

言論統制の厳しいベトナムからは、なかなか細かい経済政策の
変化が聞こえてこない(ベトナム語でも読めれば別かもしれないが)。
なので、変化の芽をなかなか見つけられない。

このインフレの落ち着きを契機に、失政を糧に、2期目の首相が、
赤字拡大の国有企業の改革、銀行の不良資産の処理、貧困層の減少に
どういった手を打てるのか、ここ数年が注目される。

 「ベトナムの不良貸し出しにメスが入れられるか 2011-12-30」
  http://uccih.exblog.jp/15190401/

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ベトナムの株価の方は、2012年1月の239ポイント(ホーチミン株価指数)を
底に、5月の高値486ポイントまで、43%ほど上昇したが、
その後、11月はじめには370ポイント近くまで反落している。
8月の大手銀行総裁の逮捕など、経済敗戦の処理が、今は足を引っ張っている。
ベトナムの株価は、企業業績に対し、割安になってきたようだが・・。
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by ucci-h | 2012-11-05 11:54 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(2)
タイを尻目にベトナムとコメ輸出世界一の座を競うインド
タイの今年のコメ輸出は、政府の世界の動向を見ない
手前勝手な高価格政策により、価格競争力を失い、
昨年の1,060万トンから、650万トンほどへ4割方落ち込み、
過去30年続けてきた世界一の座を降りると予想されている。

これに代わり、ベトナムが、輸出高700万トンで、
コメ輸出世界トップに躍り出てくると予想されているが、
ここにきて、“ワイルド・カード”インドが、ベトナムと首位を
競うと見られてきた。

インドは、コメの自給を国策として進めてきたが、
なかなか達成できなかったが、それでも、昨年度
(2010年9月~2011年8月)は、280万トンのコメを
輸出することが出来た。

そして今年度は、好天と、政府の価格奨励策に後押しされ、
中国に次ぐ世界第2位の生産量は、7.7%増の1億300万トンに
達し、輸出量は、700万トンに達すると予想される。
ベトナムと輸出の首位を競う量だ。

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コメは、ここ8年近く世界の生産は順調に伸びている一方で、
需要はそれほど伸びていない。世界のコメ市況は
大きな不作地域でも出てこないとなかなか高騰しない状況だ。
米国農務省によれば、今年の世界全体のコメ輸出量は3,390万トン。
インド、ベトナムともに21%ずつのシェアを占めることになりそうだ。

世界のコメの生産規模は、大きい。
今年は、籾量にして1.7%増の7億3,200万トンになろうと
FAO(国連食糧農業機構)は予想している。
精米の量はこれの3分の2だから、4億8,800万トンの生産見込み。
世界の需要4億7,700万トンを1,100万トンほど上回りそうだ。
世界のコメ輸出量総量は、世界の生産量の7%を占めるに過ぎない。
世界の1年分のコメ輸出量の3分の一ほどが、在庫に加わるわけだ。

インドの来年度のコメ生産見通しは良好で、
さらなる増産が見込めそうだという。
なかなか世界のコメ市況は上がりそうになく、コメ価格は安定が世界の
状況だ。
コメの高価格を目指したタイ政府のコメ政策「コメ抵当スキーム」は
宙に浮いて、その後どうなるのだろうか?

タイの政府コメ在庫は1200万トンに達する見通しだが、
キティラット副首相は、「こんな相場が安いときに、在庫が貯まったから
といって放出しない。タイのコメは良質だからもっと高い値段で
売れるのだ」と、強気を崩していない。
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by ucci-h | 2012-05-16 10:47 | 一次産品の市況 | Comments(0)
3年ぶりに金利が下がり、株も上がってきたベトナム
昨2011年は高いインフレと高金利に悩んだベトナムだが、
2012年3月12日、中央銀行は、2009年4月以来、
予想通り、およそ3年ぶりとなる政策金利のカットに踏み切った。

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中銀が銀行に貸し出すリファイナンス金利が15から14%へ。
また中銀が財務省証券を銀行から買い、ファイナンスする際の
‘公定歩合’が13から12%へ下げられた。
いずれも、銀行が中銀から融資を仰ぐ時の条件を緩くしてやる
金融緩和措置である。
不良債権を多く抱えると言われるベトナムの銀行も一息つけそうである。

今回の措置は、1年前の状況からの逆転である。
 「成長優先のベトナムも金融引締めに本腰 2011-2-25」
  http://uccih.exblog.jp/12989614/

銀行からの18-20%にのぼる高い貸し出し金利に企業は
悩まされ、貸し出しの伸びが鈍化してきたこともあるが、
最大の背景は、高インフレの低下傾向にある。

2011年8月には、ベトナムのインフレ率は23.0%まで上昇、
2008年11月の24.2%に並ぶピークをつけたが、その後
今年の1月には17.3%まで下がり、2月には16.4%まで
下落してきた。

さしもの高インフレも、世界の動向に歩調を合わせる形で
下がってきた。
政府は2012年のインフレ率の目標を9%に置いているが、
3月に燃料価格が12%すでに上がっている。
目標に届くかどうかは分からないが、インフレ率低下トレンドは
しばらく続きそうだ。

ベトナムのインフレ率の鈍化傾向と金利の引き下げを受けて、
株式市場も上昇している。
ホーチミン証券取引所指数も、1月6日の底値337ほどから
この3月には450ほどへと、出来高を伴って30%ほど上がってきている。
年初来のベトナム株式市場への外資の純流入額は5億ドルに達すると言われる。

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(ゴールデン・チャートより)

もっとも、2007年3月の高値1170ほどからの下げ幅の戻り率で
見れば、まだ14%ほどを回復したに過ぎない。
今年はうまくいけば、600近辺水準への挑戦ということになるのだろうか。
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by ucci-h | 2012-03-22 12:01 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(0)
ベトナムの銀行の増大した不良貸し出しにメスが入れられるか
欧州の財政問題は、銀行の信用問題に変容してきているが、
アジアでなお20%近いインフレ率(11月19.8%)に悩むベトナムの
最大の経済課題は、金融機関、銀行の健全性、具体的には
膨れ上がった不良ローンの処理という点になってきたようだ。
 「不良資産の処理に追われるベトナムの銀行 2011-10-4」
  http://uccih.exblog.jp/14690591/

ベトナムには、100行ほどの、国営、民間、外資系の銀行があるが、
多くが、過去のローンの急激な拡大から、不良債権を抱えている。
ベトナムの銀行融資は、過去10年で14倍に膨れたと言われる。
年35%増のペースで拡大してきた。
今や、融資残は、中央銀行によれば、2011年9月末現在で、
2500億ドルと、GDPの2.4倍に達している。

もともと資本が過小なベトナムの銀行は、不良資産の増大により、
資金不足に悩むことになる。
しかも高い貸出金利を余儀なくされているので、借り手の障害に
なってきており、金融業の機能が制限されてきている。
このままでは、経済の発展にも支障をきたしてくる。

ベトナムの銀行の不良債権の割合は、公式には3.2%で、
年末には5%に達するかもしれないと言うことだが、
数字があいまいなベトナムのこと、実際の割合は、
もっと高く、外資筋は、10%以上、銀行アナリストは15%を超えている
と見ている。

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これは、捨てて置けない問題で、共産党政府(ベトナム戦争勝利後、
ベトナム労働党の名をベトナム共産党に変えている)は、
銀行業の再編成に乗り出す意向だ。

もっとも、政府のやり方は、今のところ銀行合併しかない。
小さな銀行を一緒にさせ、2015年までに銀行の数を半分に減らす
つもりだと、前中央銀行総裁は言っている。
さっそく、この12月には、ホーチミン市の3行が合併した。

しかし、一緒になれば、不良資産が減ると言うものではない。
かつ、政府や大銀行にこれらを救済する余力も少ないようだ。
でも誰かが不良債権をかぶらなければならない。

そこで期待されるのが外資系金融機関だ。
外資系銀行も、欧米の銀行の多くは、欧州の債務問題で余裕に
乏しい。期待されるのは、アジア、中国の銀行と言うことになるのだろうか。

現在、ベトナムの銀行業において、外資系銀行は、一行につき、
国内銀行の資本保有は20%までに制限され、全部あわせても、
外資の保有比率は30%に制限されているが、今後は
こういった制限が緩められ、外資系銀行の設立が促進されるのだろうか。

ベトナムに外資系銀行が増えて、資金が豊かになるだけでなく、
ここまでのベトナムの国営企業を中心とする野放図な経営姿勢が
チェックされるようになれば、ベトナムの経済発展に好ましいことに
なるだろうが、さて今後どこまで開放されるだろうか。
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by ucci-h | 2011-12-30 12:10 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(1)
不動産がらみの不良資産の処理に追われるベトナムの銀行
インフレが20%以上に高進し、金利も二桁に乗せている
ベトナムでは、いま不動産マーケットの値下がりがきついようだ。

ロイター電によると、今年4月に銀行から5億ドン(180万円ほど)
を借りて、ハノイに新築のコンドミニアムを投資目的で買った
ベトナムの婦人は、5ヵ月後のいま、売却できればラッキーと
いった状態になっているという。

値下がりしてきたベトナムの通貨の桁数は多く、
今や1ドルが21000ドンほど。円もこの1年近くでさらに
15%上がって、100円が27500ドンほどになっている。

ベトナムは、2006~7年に不動産がブームだったが、
いまは値下がりし、なおいまだ底入れの見込みも薄い。
2007年はベトナムの不動産の‘ゴールデン・エイジ’で、
不動産関連の利益は、濡れ手に粟だったようだ。

問題は、不動産ローンを貸し付け、また不動産を担保に
とっている商業銀行だ。
不良資産の10%は不動産がらみと言われるが、
実際はさらに数十億ドルの融資が、不動産を担保にしている。

ベトナムの経済学者は、「住宅市場の崩壊はすでに経験したが、
いまだリーマン(金融危機)がないのが怖い」と皮肉交じりに
言っている。

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中央銀行は、不動産を含む“非生産セクター”への銀行の
貸付を、年末までに全貸し出し残の16%以下に抑えるよう
銀行に対し規制している。

中央銀行は、昨年末の焦げ付きローンの比率は2.16%と
公表したが、この7月末には3.04%に4割増えている。
今年の年末には、5%に達するかもしれないと中央銀行総裁は
見ている。

2006~7年からここまで4年間のベトナムの信用増加は、
年35%増というハイペースで、1000億ドルの新規信用が
加わった。1000億ドルといえば、2010年のベトナムの
GDP1036億ドルに匹敵する数字である。
これに比例して、不良債権も増加してきた。

ベトナムの問題は、国有企業だけでなく、金融機関にも
あるようだ。
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by ucci-h | 2011-10-04 13:17 | ベトナム・フィリピン・ネシア | Comments(1)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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