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中央アジアを巡り協力と同時に競合を強める中国とロシア
ロシアは2014年ここに来て、‘前庭’である
ウクライナを巡って、欧米と対立を深め、
経済制裁を食い、それでなくても原油価格下落で
苦しくなっている経済に痛手を負い、
通貨ルーブルの価値は大きく下落している。

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こういった苦しい状況にある今のロシアは、
かつてのソビエト領であり、ソ連崩壊後も今なお維持されている
「CIS」(独立国家共同体)の国々であり‘ロシアの裏庭’と
目される「中央アジア5カ国」との絆を、より堅固にしたいところだ。

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ロシアは、2000年に中央アジア諸国とベラルーシを含め、
「ユーラシア経済共同体」を創設した。

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2010年には、ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの間で
「関税同盟」が結ばれた。
2011年にプーチンは、「ユーラシア連合」の創設を提案するなど、
中央アジア諸国との結合を強めたがっている。

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一方、中国は、西方に動乱の発生しやすい
「新疆(シンジアン)ウイグル自治区」を持っている。

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中央アジアは、昔からトルキスタン(テュルク族の住む土地)と
呼ばれ、天山山脈・パミール高原を境に、
東トルキスタンと西トルキスタンに分かれていた。


西トルキスタンが、今の中央アジア5カ国だが、
東トルキスタンが“ウイグルスタン”だ。
この地が戦後中国の支配下に入っている「新疆ウイグル自治区」である。


日本の4.4倍の国土面積を持ち、2000万人の人口を持つ
この自治区の住民の半分ほどは、
なお、イスラム教徒であるウイグル族である。
中国からの自治独立を求めて、争乱が絶えない。


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そして、東シナ海、南シナ海といった
東方の海域での勢力拡張には、覇権国アメリカが
立ちふさがるので、中国としては、西方への進出を
図りたいところだ。


事実、中国は、中央アジアとの交易を高めている。
ハワイに本拠を多く研究機関「パシフィック・フォーラムCSIS」によると、
2012年の中国の中央アジアとの貿易額は460億ドルに達し、
ロシアと中央アジアの貿易額の倍になっている。


中国の中央アジア諸国に対する投資活動はいっそう積極的だ。
シー・ジンピン(習近平)主席は、
「新シルクロード経済ベルト」を目指している。


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中国は、カザフスタンとは300億ドル、
ウズベキスタンとは150億ドル(31件)にのぼる投資契約を結び、
トルクメニスタンとは、2013年に160億ドルの天然ガス
取引の契約を結んでいる。


中国カザフスタン間の石油パイプラインは
2006年に完成している。
カザフスタンのカスピ海北方に中国が所有する
油田から新疆まで、全長1000キロ近く石油を運んできている。

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また、世界第4位の天然ガス埋蔵量を誇るカザフスタンに対しては、
80億ドルの資金援助を行なっている。
タジキスタンは、アンチモンの生産では世界第4位だが、
貧しくロシアへの出稼ぎで稼いでいる国だ。
中国は、ここに対しても10億ドル以上の資金を供給している。


また2013年、キルギスとの関係を戦略的水準にまで
高めており、国内にウイグルの火種を抱える中国は、
経済的にも地政学的戦略からも、西方への進出を図っている。


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東方の海でアメリカや日本と対立し、西方の新疆ウイグルで
イスラム強硬派と対決する中国。
前庭のウクライナで西欧と対立し、裏庭との絆を強めたいロシア。


米国主導の国連では、常任理事国として、シリアや北朝鮮の
制裁案には、仲良く拒否権を発動して、国連の実行力を
削いでしまえる両国。
現状のもとでは、いっそうアプローチを強めている。

 「2034年第3次世界大戦勃発のシナリオ 2014-9-3」
  http://uccih.exblog.jp/21077700/


しかし、中国とロシアは、同じベッドに入っても
片目を開けて眠る仲と言われる。同床異夢でもある。
便宜的同盟とも言われる。ロシアも、経済大国になりつつある
中国へのエネルギーと武器の単なる供給国になりたくはない。
ことに、両国とも中央アジアへの進出を強めるとなると、
協力よりも対立が増えてきそうだと見られる。


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ロシアと中国は、2014年5月に、両国の石油公社を通じて、
30年間4千億ドル(約45兆円)にのぼる天然ガスの
供給契約を結んだ。
中国沿岸沿いに建設する新しいパイプラインを経由して、
シベリアの天然ガスを中国に供給する。


もっともこの件は、価格なども詰まっていないようで、
ロシアが中国との緊密な関係を見せ付ける政治的アドバルーン
でしかないとも見られているが。

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ロシアからの中国への武器輸出は近年減っているが、
経済開発協力は進んでいる。


しかし、前述した中国・カザフスタン石油パイプラインの敷設は
ロシアのこの地での石油支配・コントロールに対して
脅威となってきている。


中国が中央アジアの資源開発に乗り出してくることで、
中央アジア諸国の石油・エネルギー開発が進み、
ロシア自国の石油輸出への脅威となってくるからだ。
ロシアは、自国産原油に質のいいカザフスタン原油を
ブレンドして、品質・価格を維持しているのが現状だ。


中央アジアの開発が進むに連れて、
ロシアと中国は接近しつつも、対立する場面が増えてくるかもしれない。
国際関係の地政学は、一筋縄ではいかないものだ。
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by ucci-h | 2014-11-17 00:48 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)
興隆する「中央アジア」(5カ国)を中国とロシアはどうしたいのか?
中央アジアと言うと同じアジアながら、なじみが薄い。
中央アジアと言われて、何を思い描くだろうか?
広がる草原か,砂漠か、シルクロードを行く隊商か?

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中央アジアと言う地域には5つの国があると言うが、
どことどこだろう?
カザフスタンとかタジキスタンという国の名前だけは
聞いたことがあるが。


中央アジアの5カ国とは・・・?
いずれもかつてソビエト連邦に組み入れられていた
「・・・スタン」であったため、知名度は低い。


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中央アジアの北側(ロシアの南側)に広く広がるカザフスタン。
遊牧の民カザフ人の国である。
日本の面積の7倍にのぼる広い国土は、
アジアで中国、インドに次ぎ広い。
しかし、砂漠が多く、人口は1700万人に過ぎない。
鉱物・エネルギー資源に恵まれる国である。

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南側の中国に接する2カ国は、
キルギス(別称キルギスタン)と
タジキスタンである。


キルギスは東南アジアのラオスよりも小さな山国であり、
人口は55万人しかいない。紀元前の匈奴がいた地である。

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キルギスの南のタジキスタンは、さらに小さな山国で
5カ国の中で一番小さいが、古代からペルシャ帝国の
東部辺境だったから、710万人とラオスを上回る。
東部の国境パミール高原をはさんで、中国と対峙している。

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そして、中央アジアの西南に
ウズベキスタンと、その南にトルクメニスタンがある。


ウズベキスタンは、
トルクメニスタンと同様、日本を上回る国土面積を持つ。
ウズベキスタンの人口は3000万人ほどと、
カザフスタン以下他の4カ国を合わせた人口に匹敵する。
なお貧しい国だが、金など鉱物資源と若い人口に恵まれている。

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ウズベキスタンは、国土の多くを砂漠と山岳に覆われた
内陸国だが、少ないオアシス都市に多くの人が住んでいる。
東部のタシュケント、サマルカンドは、シルクロード天山北路の
中継地として紀元後から栄えたといわれる。

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日本の面積に匹敵する世界最大の湖カスピ海に
接するトルクメニスタンがある。
トルクメニスタンは、国土面積は日本より広いが砂漠が多い。
人口はラオスより少し少ない520万人。
テュルケ系民族の国である。
一党独裁だが、ここ数年開放が進んできているという。

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中央アジア5カ国の特徴は、
いずれも内陸国であり、北のロシア、東の中国からの
影響が強いことだろう。


そして、天然ガス・石油はじめ鉱物資源に恵まれていることだ。

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またいずれも、イスラム教(ことにスンニ派)の
ムスリムが人口の多くを占めている国々である。
中央アジアのムスリムは穏健派の人たちが多いと言われるが。

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これらのことが、ここに来て中国とロシアを
接近させると同時に、中央アジアを巡って、
両大国の競争をもたらすことになりそうだ。
中央アジアを巡っての、中国とロシアの
“同床異夢”については、次回に。
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by ucci-h | 2014-11-13 22:46 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)
2034年第3次世界大戦勃発のシナリオ(後編)
(前編http://uccih.exblog.jp/21074600/からの続き)


ことに、中国とロシアの結びつきが、第3次大戦の可能性の
カギになりそうだ。
ロシアと中国の結びつきは、しばしば「便宜的な枢軸」とみなされてきた。
しかしウクライナ危機が、ロシアを中国に一層近づける契機になるかもしれない。


EUとの経済的関係がぎくしゃくすると、ロシアは‘経済大国’中国への
接近を強めよう。
ロシアのウクライナ介入に対し、中国が“善意的中立”姿勢を保つのと
見返りに、ロシアは、中国の海洋進出に対して同じく善意的中立姿勢を見せよう。

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ロシアのプーチン大統領と中国のシー・チンピン(習近平)主席は
(52年と53年生まれで、共に今61歳)、うまが合いそうだが、
プーチンは2018年に再選され、2024年までいそうだし(任期6年2期)、
シー・チンピンは2022年までは主席をつとめ(2期10年)、その後も影響力を行使しそうだ。
プーチン・シーチンピン連携の先は長い。


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ルーキン教授の第3次世界大戦のシナリオは、以下のように展開する。


2030年に台湾との併合に成功した中国も、
この頃には経済的に大きくなってきたインドの影が気になってくる。
この頃、すでに人口でも、人口の若さでも、中国はインドに抜かれている。

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ちょうど第1次大戦前、ドイツがロシアの影におびえたように、
中国軍部は、インドに対して先に叩く作戦を練るようになる。
以前はインドは黙っていたチベットの問題に対し、国境問題も
絡めて、中国に物言うようにもなる。
中国軍部は先にインドを叩く行動に出る。


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2035年、中国がインドに対し手を出したことは、日本との戦いも
意味することになる。
その4年前の2031年に、中国の脅威に対し、
「日印防衛同盟条約」を結んでいたからだ。
日本とインドは、モディ新首相の初訪日の2014年頃から
経済協力中心に連携を強め始めていた。

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日本との戦いが始まると、強力になった中国海軍は、ただちに
尖閣諸島を押さえ、沖縄も獲得に動く。
先の第2次世界大戦で米軍に襲われた沖縄は、不幸にも、
今度は中国軍の標的にされる。


中国軍攻勢の背景には、アメリカ軍の極東からの引き上げがあった。
開戦の3年前の2032年には、日印防衛同盟への期待と、
日本もすでに核保有していたので、十分中国に対抗できるだろうとの思惑から、
在日アメリカ軍は引き上げていたので、中国の動きは速かった。
中国はまた、アメリカはすでに‘モンロー主義’(孤立主義)に入ったとみなしたのだ。


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しかし、これは中国の“読み違い”であった。
しばしの躊躇の後、アメリカは参戦してくる。
第1次大戦でドイツが、仏露と戦っても英国は入ってこないだろうと
見誤ったのに似ている。
アメリカの参戦は、オーストラリア、フィリピンの参戦、そして
NATOメンバーのカナダ、英国の参戦へとつながり、戦争は世界へ拡大する。


中国側はどうなったか?
戦争の起る10年前の2025年には、中国、ロシアをはじめとする
ユーラシア8カ国が、「ユーラシア協定」を結んでいた。
中国、ロシア以外は、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、
ツルクメニスタン、それにパキスタンである。
その後、モンゴルも無理無理引き入れられた。


ロシアの後ろ盾が、中国を強気にさせ、戦争へ踏み切る理由となった。
北方側は心配することなく、石油・ガスはじめ資源は入ってくる。
ロシアはまた、武器も提供し、少しだが、地上部隊と、戦闘機のパイロットも
派遣した。


しかし、ロシアは、中国のアジアでの戦闘に直接は入ってこなかった。
20年前に起こり、その後ロシアの影響力が高まったウクライナが
再びくすぶっており、EUやNATOのウクライナ東部・南部奪回攻勢の
対応に追われていたからだ。


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第3次世界大戦のかたちはどうなるだろうか?
前2つの大戦との違いは、核兵器が双方にとって大きな脅威に
なっていることである。

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核兵器の引き金が引かれれば、大量殺戮につながる。
双方とも使用には慎重だ。最終兵器であり続ける。
核兵器が使われるのは、自らの国土や主要都市が攻め込まれたときだ。
従って、第3次の世界戦争は、第2次大戦と違い、
相手の国の心臓部である主要都市への攻め合いとはならないだろう。


海や島など周辺部での戦闘が多く展開されるだろう。
前大戦のような、資源・人命の大量消費型の戦争とは様相を違えるかもしれない。

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18世紀はじめに欧州諸国を巻き込み14年続いた「スペイン継承戦争」や、
18世紀なかばの同じく欧州諸国が参戦した「7年戦争」のように、
周辺各地で戦闘が繰り広げられる形となるかもしれない。

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第3次大戦中も、韓国やシンガポール、トルコを通じての
交易も続き、経済封鎖も弱い。
ということは、戦争は長引くかもしれない。
30年、40年戦争もありうるだろう。


もっとも戦争はいったん起ればどうなるかわからない。
当事国が必ずしも落とし所を想定し、それに向けて注力するわけではないからだ。
前大戦のような大量の血を見るような悲惨な状況にはならないとは言えない・・・
と、教授は結んでいる。


(後編終わり)
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by ucci-h | 2014-09-03 23:38 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)
中国の南シナ海を舞台にした攻撃的進出の思惑は?
中国の南シナ海における、ベトナムやフィリピンの
経済水域内でのオイル・リグの建設や実効支配を
進めることに対しては、こちらアジアでもその真意を
いぶかる声が多い。

 「南シナ海の領有権を争う中国とアセアン 2012-9-17」
  http://uccih.exblog.jp/16827035/


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なぜ近隣各国を敵に回してまでも、
南シナ海で自国のアサーション(攻撃的自己主張)を
進めるのか?
中国共産党トップは何を考えているのか?
間違っているのではないか?それとも得心している
ことがあるので、こういったリスキーなゲームを進められるのか?


いろいろな見方の中で、
オーストラリア国立大学の教授ら中心に、
視野の広い見方をしているので、これらを中心に
中国の「リスキーなチェス・ゲーム」の背景を紹介したい。
コメントのニュアンスは筆者が出しているし、
文責はもちろんこちらにある。


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中国は、南シナ海の石油ガス資源や漁業権の支配が
欲しいだけで、拡張的政策をとっているわけではない。
中国の軍部や石油財閥、漁業グループにはこういった思惑が
あるだろうが、中国共産党はこれをコントロールできないわけ
ではなく、むしろ先兵として使っているのではないだろうか?


その証拠に、中国政府は、海洋での衝突を、“遺憾なこと”とは
言っていない。むしろ自国の‘領海’内での
当たり前の経済活動としている。


中国のインティミデーション(脅し)を交えながらのアサーティズム
(攻撃的自己主張)は、近年の歴史の中で、欧米列強や日本から
“蹂躙された”ことからの復活と、大中国のアジアにおける君臨と言う
長期的な‘使命感’からもたらされているようだ。


@@@@@


その場合、最大の阻害者は、アセアンの小国や日本ではなく、
アメリカということになる。
世界での武力シェアで後退したとはいえ、
太平洋から中国近海まで張り出しているアメリカの覇権の
力を徐々に削いでいく必要がある。


ここで、中国の米国を意識したチェスゲームの手が打たれる。
もちろん、今のアメリカと一戦交える覚悟や軍備は今はない。
そうなると、アメリカがはるか西太平洋の同盟国の‘地域的問題’に
どこまで乗ってくるかを見、そこにちょっかいを出すのが戦術となろう。


中国は、おそらく、ちょっかいを出しても、アメリカは地域問題に対し
中立的立場から抜け出られず、徐々にアメリカの力を期待する
アジア諸国から失望されるのを狙っているのではないだろうか?
南シナ海問題で、アメリカを中心とした連帯が強まるよりは、
むしろこれに亀裂ないしは失望が生じるのを待っているのかもしれない。


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仮にアメリカがフィリピンだけでなく、ベトナムなどの後押しを
すると言うようになっても、いったい何ができるのかと
思っているのかもしれない。

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民間の船同士の衝突なら、米軍は出てこないし、
小国の軍艦や飛行機が出てきても、米軍は中国との
軍事衝突は避けると思っていよう。


今の中国の言動は、オバマ大統領が中立的だったこともあり、
アメリカの対応の瀬踏みをしているように見える。


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アメリカが本腰になっても、いったいどこまで手を打てるかと
中国は読んでいよう。
アジア諸国への心理的サポートで終わっているうちは、
中国は時間をかけて(その中でアジアの経済はいっそう興隆する)、
徐々に、アジアでの中国覇権を固めていけばいいと思っていよう。


時間はたしかに中国の味方をしようが、
さて、中国の思惑通りに行くのだろうか?
人間の歴史は、‘思い違い’と‘やりそこない’の歴史である。
中国の思い違いとやりそこないが表面化したとき、
世界の歴史は、どういった展開を示すのだろう?
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by ucci-h | 2014-07-04 11:13 | Comments(0)
南シナ海で仲裁役を捨て中国と対峙することになったインドネシア(後編)
インドネシアは、古くから共産中国には警戒的で来た。
1967年に時のスハルト政権は、その2年前の9.30運動の
背後には共産中国があったとして、中国との外交関係を“凍結”した。
正常化したのは、ベルリンの壁崩壊後の1990年だった。


21世紀に入ると、ワヒド、ユドヨノ両政権において、
インドネシアと中国の関係は、主に経済的理由から、緊密さを増す。
2011~12年には、両国の特殊部隊同士が合同訓練さえ行なっている。


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しかし、古くからの中国に対する脅威は消えたわけではない。

インドネシアが、南シナ海を巡る中国とアセアン諸国との“仲裁役”から
中国と対峙する立場に変わったのは、2014年3月12日のことだと、
コロンビア大学のアン・マーフィー教授は指摘する。


その背景は以下のようなものだ。

両国の経済関係が発展する中でも、南シナ海での紛争は続いた。

2010年、中国の漁船がインドネシアの排他的経済水域(EEZ)内で
漁業をするのをインドネシアの巡視船が拘束したが、
中国漁業局は、フリゲート艦に近い漁政巡視艇を派遣し、機銃を向けて
解放させた。

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2013年3月には、同様に中国の武装巡視艇が、インドネシアの
ナトゥナ諸島沖で不法漁労をして連行される漁業者を、これまた威嚇して
解放させた。
ナトゥナ諸島は、‘隠れたパラダイス’だが、世界有数のガス田が
眠っている。

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インドネシアは、これらの事件の情報をあまり公にしなかった。
中国との関係を悪化させず、また仲裁者としての立場を保つため、
“静寂外交”を続けたといわれる。


これにより、「中国も、インドネシアのリアウ諸島州に属する
ナトゥナ諸島(ボルネオ島の北、むしろマレーシアに近い島々)の
権益を尊重してくれるだろう」とインドネシアは考えたのだろう。


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しかし中国のその後の積極進出は続く。

2013年11月には、東シナ海の
尖閣列島を含む上空に、日本のそれと重なる「防空識別圏」を設定した。
準備が出来次第、南シナ海にも広げるものと見られる。

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また、2013年5月からは、海南島を囲む海域
(といっても、南シナ海の6割近くに達する)に、禁漁区域を
一方的に設定している。


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中国は、空母「遼寧」(リアオニン)を南シナ海に派遣しつつ、
2014年1月には、艦艇3隻で、マレーシアのサラワク州(ボルネオ島)の
北わずか80kmのジェームズ礁(マレーシアの排他的経済水域)に入り、
‘主権宣誓式’を行なった。
これには、さすがに温和なマレーシアも硬化した。

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これらの中国のとどまるところのない‘アサーティブな’進出行動を見て、
2014年3月14日、インドネシア政府は、「中国の九段線は、
我が国の経済水域とオーバーラップする」と、中国とのいさかいを
公言するにいたった。


この背景には、海洋国家インドネシアの軍事予算が過去数年二桁で
伸びてきて、ナトゥナ諸島にも一個大隊とジェット機部隊を派遣できるように
なったからと見られる。

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インドネシアが、仲裁役から、反中国側に付き、
またマレーシアなど穏健派もフィリピン、ベトナムに
同調するようになると、南シナ海を巡るアセアンの力は増す。


中国は、東シナ海で日本と対峙し、
南シナ海でアセアン5カ国と海洋の権利を巡り争うようになると、
勝算はどのくらいあるのだろうか。
着地点はどこらにあるのか、中国通に聞いてみたいものだ。
着地点や引き処のない進出ほど、双方にとって危ういものはない。


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2014年4月7日、インドネシアのナタレガワ外相は、
「中国の進出の意図はどこにあるのか?」と、
南シナ海での攻勢に釈明を求めている。


中国はおそらく無視するだろう・・・。
「南シナ海は、南の果ての海溝まで中国のものなのだ」と
強弁するだろうか。


(後編おわり)
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by ucci-h | 2014-04-15 20:01 | アセアンの動向 | Comments(0)
終焉に近づいてきた中国の一人っ子政策のゆくえ
中国は、昨年2012年建国以来はじめて
生産年齢人口(15歳~59歳)が減少に転じた。
前年の9億4千万人から345万人減少し、
9億3700万人ほどとなった。

1979年から始めた「一人っ子政策」が少子高齢化に拍車をかけた。
2012年の合計特殊出生率は1.18人と低位にとどまった。
30年余りも続いてきた一人っ子政策も、経済的問題から、
さすがに終焉に近づいてきたようだ。

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(写真の出所:ピーター・パークス氏)

2012年11月の5年に一度の共産党全国代表大会では、
フー・チンタオ(胡錦濤)総書記、ウェン・チアバオ(温家宝)首相の
報告の中でも“低出生率を維持する”の言葉は、消えていたと言われる。

2013年3月には、政府は一人っ子政策の推進役だった
「家族計画委員会」を厚生省の傘下に統合するとともに、
人口政策を「国家開発改良委員会」のもとに移した。

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ただ、人口政策については、古くからの議論が残っているようだ。
かつて一人っ子政策を推進したソン・ジアン(81歳、かつてのミサイルの科学者)は、
「人口はゼロ成長が望ましい」、
「放っておけば中国の人口は1世紀後に22億人になる」、
「一人っ子政策をなくせば、食糧は1.5億トン不足する」と、
なお一人っ子政策の維持を上層部に働きかけているという。

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一方、同じくかつての国家評議員で家族計画委員会の
委員長でもあった83歳のペン・ペイユン女史は、
「もはや一人っ子政策は緩めるべきだろう」と、政策変更を提言している。

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一人っ子政策のマイナス面は、
少子高齢化の人工的加速によって、
経済成長を支える労働力が減少してきたことに加え、
少子高齢化で、年金はじめ高齢者を支える財政的原資が
不足してくること、
さらには男児対女児の比率が118対100といびつになったことも
社会的ストレスをもたらしている。

@@@@@

ことに、2011-12年の政府・世界銀行の調査によると、
中国の60歳以上の高齢者1億8500万人のほぼ4分の一、23%の
人は年間3200元(5万円)以下で暮らしており、
今や家族の支えのない人も増えているということだ。

中国の60歳以上の人口は、
2010年の1億5600万人(人口の12%)から、
2050年には、3億8400万人(人口比34%)へ増加すると見られる。

中国の高齢者のうつ病の人も多い。
先の調査によると、60歳以上の40%にあたる7400万人が
高い水準の抑鬱症状を示していると言うことだ。

中国の一人っ子政策はここにきて廃止されそうだが、
廃止されても人口がただちに増加していくかは疑わしい。
すでに34年前に比べ、都市化、核家族化は進んでいる。
労働力も不足気味となると、昔のような子沢山の家族には戻れないだろう。
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by ucci-h | 2013-06-26 23:18 | 中国・韓国そしてインド | Comments(3)
異論(続き): 中国の潜在成長率は落ちていく!?
中国が、大げさに言うと、2000年代の世界経済を引っ張ってきた。
2010年代も、中国を中心とするアジアが世界経済を引っ張ると
見られている。

消去法からするとその通りなのだが、はたして中国に毎年8~9%で
成長するだけの潜在成長率がなおあるのだろうか?
甘い期待は落胆につながる。
航空母艦をお披露目した2012年が、ことによると、成長の屈折点だった
のかもしれない。

中国の経済統計は割り引いてみた方が良いものが多いようだが、
前回見たように、野村證券の中国人のエコノミストが、最近、
中国の潜在成長力の低下を予想している。
少し毛色の違った意見にも耳を傾けてみよう。

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@@@@@

「金融危機は、経済的高成長のあとにやってくる!」
投資家や政策当局が、成長率が低下したにもかかわらず、
過去の高成長を忘れられず、潜在成長率を過大評価し、
景気刺激策を講じるからだ、というのがその理由。
たしかに、80年代後半の日本のバブル時代もそんなところが
あった。

中国の潜在成長率が2010年代には、それ以前に比べて低下していくと見る
根拠は、労働生産性の伸び悩みと、労働力需給状況の逆転だ。

労働生産性に関し頼りになる統計は中国にはないが、
世界貿易市場におけるシェアの推移が、その国の生産性の動向を
示す数字になる。
日本のシェアは86年に10%でピークをつけたし(今は5%ほど)、
米国のシェアは、93年ごろは13%近くだったが、その後8%近くまで
下がっている。

中国のシェア(ただし統計数字の関係で米国市場でのシェア)も、
2010年の22%ほどでピークをつけたと見られる。
次に見る労働供給力の低下もあって、中国の生産性上昇率、
貿易シェアは2010年ごろピークをつけたようだ。

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中国の労賃、また為替も過去かなり上がっただけでなく、
国内の労働力の需給関係も逆転してきた。
ここまで農村部から労働力が都市部に流れ込み、成長を支えてきたが、
都市部の労働力需給指数も、2009年第4四半期から1を上回るようになり
(つまり、供給過剰がなくなってきた)、
今後は、余剰労働力の恩恵がなくなっていく。

また、ずっと増えてきた中国の生産年齢人口も、2012年から
減少に転じているという。
過去10年の賃金の伸び率は470%、2000年当時インドネシアの
2倍だった賃金水準は、2011年には3.5倍に拡大している。
豊富で安価な労働力は過去のものとなりつつあり、
外資の中国への投資の伸び率もここ数年減少してきており、
投資先としての魅力が薄れつつあり、このことは成長率を下げる方向に
働く。

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@@@@@

中国の成長率が過去のように10%近くと期待しないほうが
よさそうだ。また高成長を目指す施策には要注意だろう。

まあしかし、それでも6~7%近い成長力を持つ発展途上国だ。
へまをしなければ成長ゼロになるわけではない。
中国の今後の成長率と、政府の施策、それと国内信用の増加率に
注意を払いながら見ていこう。
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by ucci-h | 2013-04-03 14:22 | 中国・韓国そしてインド | Comments(1)
異論: 高まる中国の金融リスク
中国の経済も停滞期が過ぎ、
再び成長に入るだろうという見方が
多いが、中期的に見ると、航空母艦の
お披露目をした2012年が屈折点で、
今後、経済の潜在成長率は下がると共に、
この数年は、金融リスクが高まるかもしれない・・。

3月末に出た最新の野村證券の中国人エコノミストの
研究レポート「上昇する中国の金融リスク」を読むと
こういった感じが否めない。

@@@@@

最初に、当面の金融リスクから。

中国は、2000年代の不動産投機を抑えるため、
2010~2011年と金融を引き締め、バブルの破裂を
抑えたが、なお各セクターの不動産を中心とする債務は
大きく残っているという。
 「景気対策の転換点にやってきた中国 2011-12-8」
  http://uccih.exblog.jp/15073149/

国内の信用残高を金融機関の貸付と債券発行残高を
合わせたものとすると、中国の「対GDP国内信用比率」は、
1978年の統計開始以来最高水準(2012年150%)だという。
水準自体は、債務危機時の欧米や日本に比べれば高くはないが、
問題はその変化のテンポ、積み上がり方だと分析されている。

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ここで、興味深い指標「5年30%ポイント」ルールが登場する。

85年から89年までの日本のバブル時代(206%→237%)、
95年から99年までの米国のITバブル時代(173%→209%)、
2003年から2007年の米国のサブ・プライム・バブル時代(214%→244%)、
2006年から2010年のEUの債務危機前バブル時代(134%→160%)、
いずれも、5年間でこの対GDP国内信用比率が30%ポイント
増加した。
なお,タイでは94年から98年までバーツ危機バブル時代には、
46%ポイントも増加したという(131%→177%)。

中国の場合、

1994年から1998年にかけてこの比率が低位ながら、86%から
110%まで24%ポイント上がって、広東国際信託の不履行があったが、
今回2008年から2012年までは、121%から155%へと34%ポイント
上昇している。
中国の金融機関の債務問題が見過ごせない理由だ。

中国の国内信用の拡大とは、
具体的にどんなところが増えているのだろうか?

銀行は、地方政府のインフラ建設プロジェクト向けの
貸出が急増しているという。
これに対し、当局が貸出規制を行なったので、
2012年には規制の枠外のノンバンクである信託会社からの
貸出増が6倍になっている。
社債発行もここ4年で4倍増になっている。これも規制外で増加した。
これらの他に、中国では、統計に出ない‘地下銀行’の貸し出しも
増えているといわれる。

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信用拡大は、不動産、土地価格の上昇となって表れる。
公式統計の住宅価格は、過去8年で2倍強になったに過ぎないが、
住宅の質の変化などを調整すると、2009年までの5年間で
3.5倍に上がっており、米国の2001~2006年の84%アップを
上回っている。

平均地価はもっと上がっており、過去10年で6倍近くになった
(1㎡あたり573元から3,393元へ)。

住宅価格は、信用規制により、2011年ごろから少し値下がりしたが、
2012年9月頃より国営企業による買いを契機に再び加熱している。
中国政府の関係官庁も現在の信用拡大に警鐘を鳴らしているが、
いったいどういう形で収束できるのだろうか?

野村のアナリストは、以下のようなシナリオを描いている。

巷間ことしの中国は景気浮揚のために金融を緩和していくと
見られているが、年後半、むしろ金利の引き上げを行なうだろうと
彼らは見ている。
これにより、バブルの抑制が図られるだろうと見る。

そして、リスクシナリオは、中国が7.5%以上という
過去の潜在成長率に固執し、景気配慮から金融緩和を続けた
場合である。不動産市場、信託会社にバブル破裂のリスクが
高まるというものだ。

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彼らの懸念が心配しすぎであってくれればいい。
中国でバブルが破裂すれば、ひとり中国だけでなく
タイを含めたアセアン諸国への影響も大きい。
そう言えば、タイ自身が巨額のインフラ投資を中心に
信用拡大、債務増大でバブってきそうな状況である。

中国の潜在成長率鈍化の話は、次の機会に。
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by ucci-h | 2013-04-03 14:07 | 中国・韓国そしてインド | Comments(8)
‘南京虐殺’から75周年の式典が開かれたが・・・
年も詰まった2012年12月13日、中国のナンジン(南京)では、
‘南京虐殺’の75周年式典が、南京虐殺記念館で9000人の
参加者を集めて行なわれたという。

尖閣諸島をめぐって日中両国の関係が好ましくない折から、
タイのような第三国にもニュースとして伝えられている。

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すでに4分の3世紀も経ったのだから、
いい加減にしてほしいというのが、当時はまだ生まれてもいない
多くの日本人の感情だと思うが、75年もたってなお、
日本(の当時の軍隊)の行為が非難され続けるというのは、
記念館の少女のブロンズ像のように非難が固定化して
しまったことであり、中国共産党の教宣のせいもあろうが、
我が国の政治家の戦後処理のまずさのせいでもあろう。

1937年12月13日からの1ヵ月半の戦闘で、
どれだけの殺傷があったのかはもう闇の中だ。
中国の言う30万人は膨大で、犠牲者は実際は数万人
だったろうと言っても意味がない。
しかも、どこまでが上からの指令だったかなどわからない。

戦争という狂気の沙汰の中で、過剰な殺戮は付き物である。
古くは、豊臣秀吉の朝鮮征伐では、朝鮮人の多くの
耳がそぎ落とされたという。
第2次大戦では、ドイツはユダヤ人数百万人をガス室に送った。
戦争は、常に残虐行為がつきまとうものだ。
なにせ人殺しが勲章なのだから・・。

ちょうど1年前には、オランダがインドネシアに対して、戦時中の
殺戮を謝罪して感謝されたなどと聞くと、
戦後、3兆円を超える対中経済協力をして
あまり感謝もされなかった日本のやり方はなんだったのだろうか
と問わずにはいられない。規模の問題ではないだろう。

 「こういった謝罪で事足りたオランダ軍のインドネシア住民虐殺 2011-12-13」
  http://uccih.exblog.jp/15104968/

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開き直ったり、弁明したり、お金で懐柔したりしようと
してもいい関係は生まれないはずだ。
現に、南京では被害にあった人たちがいるのだ。
それに対しては謝り、こういう被害が今後出ないように、
領土争いなどから戦争などの悲劇が起こらないよう
積極的に世界の世論を喚起して行くのが
日本の外交だと思うがどうだろうか。

日本軍が特に野蛮だったから殺戮が行なわれたのではなく、
戦争の狂気がこういう悲劇をもたらしたというロジックの教訓に持って
いけなかったのだろうか。
そういう努力をどれだけしてきたのだろうか?
第三国にいると、そう見える。

日本では、嫌中派だの親中派だの国内政局の思惑で、
非建設的なレッテル張りが行なわれがちだ。
中国に寛容的なことを言えば親中派、強硬なことを言えば
嫌中派だの白黒を国内政治向けにつけても外交力にならない。
国内で容中派か右派かと争っているようでは、外国からつけこまれるばかりだ。

硬軟両派があることは、タイのように、困ったときの‘保険’としてとっておき、
時に応じて、是々非々の一枚岩の外交力が求められる。
現在の日本の情勢は、国内経済など内政も大事だが、
中国だのTPPだの外交問題が、国の将来方向を握る時だ
(黒船来航以降の150年あまりが全部そうかな?)。

相変わらず、外交問題が、政局のツールにされているようでは、
この国の将来は危うい。
外交を真正面に立てて、世界の世論を誘導しないと、
ガラパゴス島の茹で蛙は、ゆだってしまう。

殺戮は、戦争の狂気として建設的に被害者に謝罪し、
戦後の対中経済支援はもっと宣伝すべきだろう
(戦争賠償金を払わなかったのは、中国の慈悲からではなく、
中国に残し、接収された資産が賠償相当額を上回ったからだと聞く)。

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一方、尖閣諸島は別問題だ。
沖縄まで狙う拡張思考の中国は、尖閣を実効支配に向け、
船、航空機まで入れてきている
(沖縄も昔、日本につくか中国に付くか迷った時代もあったので、
むかし中国領だったと主張しかねない)。
そう進めば、尖閣の南に位置するあのきれいな石垣、宮古島も切り離されかねない。

米軍との共同上陸訓練を中止した日本政府は、
小を慮って、大を忘れた格好だ。
中国が仕掛けてくるなら、守りを講じる十二分の言い訳が世界にできるはず。
確固たる意思のない国は、いっそうつけこまれるだろう。

南シナ海で中国の脅威にさらされているフィリピンやベトナムと
組み、仲良くなれるチャンスなのに・・。
東南アジア諸国と緊密になれる機会を見逃すのだろうか。
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by ucci-h | 2012-12-18 19:35 | タイ人と日本人 | Comments(3)
中国の反日暴動に対するタイにいる一中国女性の見方
尖閣諸島の日本政府による国有化意向をめぐり、
9月18日のムクデン(奉天)事件(中国が国辱の日と教える
柳条湖事件)の日を控えた2012年9月15日土曜日の午後、
反日デモは中国全土でピークをつけた。

中国政府がもはや抑えられないところまできたという
見方もあるが、その後ぴたりと収まった。
また、尖閣諸島への漁船1000隻によるデモ計画には
地方政府から金が出ているという話もあり、
デモは中国の政府のコントロール化にあると見てよいのだろう。
反日という材料が反政府に転化・拡大するようなら、ただちに
抑えるだろう。

中国の知識のある人は、今回の事態をどう見ているのだろう?
ちょうどこちらタイの新聞に、中タイ交換留学で来て、
バンコクでジャーナリストをやっている中国女性ツァン・チーさんが
正直なコメントを載せてくれている。
中国の教育事情もわかるので、紹介しておこう。

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(写真はいずれもBBCより)

@@@@@

中国の反日デモが多くの都市に広がった日、
バンコクでの買い物の帰り、
携帯で、中国のツイッターである「シナ・ウェイボ」の日本製品
ボイコットの呼びかけを見て、寿司など日本製品をたくさん買った
自分の買い物袋を見て、「私は愛国者なのかしら」と少し罪の意識を感じた。

もちろん、これはばかげた感情なのだが、
自分は、中国の広い国土、音楽のように美しい中国の言葉が
大好きだし、世界第2位の経済大国になったことを誇らしく思っている。

今、私たちがディアオユー(釣魚)島(尖閣諸島)を失いそうだと知れば、
中国の歴史書にもはっきりと中国固有の領土と記されてきた土地を
失いそうなことに対し、攻撃された感じと不安がとまらない
(尖閣諸島は、1895年日清戦争後、日本にとられたと教えられているようだ)。

しかし、領土問題は政府同士が交渉すべきビジネスだから、
政府間交渉に任せるべきで、国民がデモすべきことではないだろう。
私にもっとも衝撃を与えたのは、人々が愛国心を表すそのやり方である。
日本の店舗やレストランを暴力的に破壊するそのやり方である。
私には、信じられず、恥ずかしく、憤慨すべき、悲しい事態だった。

そして気がついた。
国を愛するように教えられては来たが、いかにいい方法で愛すべきかは
全然教えられてこなかったと。
デモ自体が悪いと言っているのではない。
デモを悪用し、ばかげた振る舞いに移ることである。

中国では、愛国教育には事欠かない。
70年代、80年代生まれの私たちには、多すぎるくらいだった。

小学校に入り、教わる歌は愛国歌ばかりである。
「母国への頌歌」、「共産党なしには新中国はなかった」、
「太陽は紅く、毛主席は最愛の人」などである。

学校で見る映画は、革命映画ばかりである。
その中で悪者は、哀れであほで邪悪な、いつも日本人か地主である。
ヒーローは、赤軍兵士、共産党メンバー、農民、労働者同胞となる。

こういった独善的な刷り込みは大学までも続くので、
私は、大学では強制的で時間を多くとる
マルクス・レーニン主義のイデオロギーと共産党の主義・政策を
教える「政治講義」ををスキップしたほどだ。

こういったものが多く教えられる一方で、
市民としての権利をいかに要求し、使うかといったことは
一切教えられてこなかった。

前向きな姿勢で、合理的で、平和的で、合法的なやり方で
いかに価値や力を獲得すべきかも教えられない。
我慢して、交渉して、妥協する方法についても教えられない。
他人の利益を尊重することも教えられない。
ただ教えられるのは、「敵を倒せ!」ということだけである。

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従って、こういうデモが起こると、
島の争いにはなんら貢献することなく、
自国の経済をも損なうような暴力を生み出す。

私たちは、感情的になり、暴力行為に移り、
さらにネガティブな感情を増やし、結局ルールや
社会正義を傷つけ、愛国とは関係ないところに収まる。

市民教育のないところに悲劇ははじまる。

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中国という国が、国民に考えさせないドグマティックな
教育を与え、生活の不満のはけ口を反日暴力など
外に向けているとしたら、どこかで行き詰まりそうですね。
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by ucci-h | 2012-09-23 10:19 | 中国・韓国そしてインド | Comments(3)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
by バンディ
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