与党民主党が、予想通り(予想以上に)
敗北した。
個人的には、旧態依然たる自民党より
新しい民主党に、閉塞社会の打破を期待したいが、
今回の選挙は、良い民意の反映が出たなと
思っている。
「民主党の政権獲得後の迷走ぶりに
お灸をすえた」というより、
その経済政策に心もとなさを覚えるからだ。
どうもぽっぽ政権の頃から、
この不況の中なのに、経済のパイの拡大よりも
分配平等主義のにおいが強い。
「消費税増税」という選挙戦でのタブー語を
菅首相は使ってしまった。
もともと自民党が言っていたのだから、
自民党を増税論者にしておけばよかったのに、
そのお株を奪ってしまった。
政治家は選挙のプロのはずなのに、
何とも選挙戦術の稚拙なことか。
首相は、選挙敗北後のインタビューで、
「ギリシャの財政危機に触発されて、
消費税増税の必要性を申し上げたが、
唐突過ぎた。民意はなお理解してくれて
いると思う」というようなことを言っていたが、
首相は、カン違いしている。
①ギリシャの財政危機は、財政赤字自体が
問題というより、
その国債がデフォルト(債務不履行)になるかもしれないという
危機だ。
これを多く抱える欧州の銀行の信用問題に
拡大したからだ。
幸い、日本の国債は、多くが国内で保有されており、
債務不履行の問題は出てこない。
②ギリシャは7月8日に、公的年金の改正法を
なんとか成立させた。
以前は、35年納めれば、60歳以前でも
給与代替率90%近い手厚い年金支給だった。
日本の国民年金は、すでに改革されている。
財政赤字自体が、年金の縮小につながるわけではない。
賦課方式である国民年金の問題は、
いかに人口の少ない現役世代が、
どれだけ稼ぎだしてくれるかという‘生産性アップ、
経済成長力’の問題である。
この視点が欠落している。
③それ以上のカン違いは、
消費税を増税すれば、財政赤字が減らせるという
財政均衡論の呪縛に陥っていることだ。
いまどき主要国で、歳入超過の国などない。
景気がなお悪い時に、消費増税などやれば、
景気はなお悪くなり、歳入は減り、財政赤字は
いっそう拡大する。
経済はゴムまりのようなものであり、
どこかを膨らませれば、どこかがへっ込むものだ。
3-4年先と言っているが、景気の悪い今、
税収増策を口にすべきではない。
まずは、景気刺激でしょう。