冷凍魚類などの売上げで国際化している
売上げ690億バーツ(20億ドル)の大手企業である。
しかし、この会社が、来年から3年くらいは、今の一株当たり1.80バーツの配当を
1.35バーツほどに減らしたい旨、表明している。
タイの企業は、利益の半分ほどを配当金に回す高配当が売り物だが、
この会社の場合、こうなると現在の配当利回り3.4%が、株価が今の53.25バーツの
ままだとすると、2.5%ほどに低下してしまう。
なぜ減配するのか。
業績が悪化したわけではない。
今年、フランスの水産会社「MWブランズ」社を6.8億ユーロ(約270億バーツ、
1ユーロ=約40バーツ)で買収したからだ。
この買収を主に借入金でまかなったため、
この会社の短期債務も含めた債務額は390億バーツに膨れ、
DE比率(長期債務対自己資本比率)は、従前の0.7倍から、
1.7倍に膨れてしまった。
会社は、財務の健全性のために、この比率を3年以内に1倍以下に
下げて行きたいわけだ。
そのために、コスト削減に加えて、
配当原資年16億バーツを12億バーツ以下に減らしたいという。
MWブランズ社はマグロや水産物の大手で、欧州でのシェアが高い
(マグロの水揚げ量は年40万トン)。
この買収により、TUF社は、世界の加工工場5を9つに増やし、
所有船舶4隻を9隻に増やし、世界有数の水産会社を目指すという。
来年は、買収効果で、ドル建ての売上げ、利益とも30%増を見込んでいる
(バーツ高だと、バーツ表示はこれより低くなろう)。
同社は、株主には、2-3年配当面で我慢してもらうが、
この買収によるいっそうの成長で、将来は十分報いられようと強気だ。
この買収により、地域別の売上げ比は、欧州が11%から33%に、
米国が48%から38%に、国内その他が41%から29%と、いっそうの
国際化をはたす。
タイ企業のフランス企業を買収し、減配してまでの成長戦略、
うまくいくかどうか注目される。
タイの企業は、配当重視から、高成長戦略に移ってきたのだろうか。